老後のお金の置き場所【2026年】使う・増やす・残すで選ぶ預金・国債・NISA

退職金や満期のお金が入って、預金がふくらんできた。銀行の窓口では、国債やNISA、終身型の商品まで、いろいろ案内される。どれが良いのか分からず、結局そのまま普通預金に置いている。60〜80代の方やそのご家族から、よく聞くお話です。

この記事では、お金を「使う」「増やす」「残す」の3つの目的に分けて、5つの置き場所を比べます。特定の商品や金融機関を勧めるものではありません。数字と制度は2026年10月時点で公的な情報から確認しています。

目次

先に結論:お金は「使う・増やす・残す」に分けて置く

この記事の結論

  1. 使うお金:数年以内に使う生活費や介護費は、普通預金・定期預金に。すぐ引き出せて、元本が減りません。
  2. 増やすお金:当面使わないお金だけを、個人向け国債やNISAに。NISAは元本割れがあり得るので、減っても暮らしに響かない額にとどめます。
  3. 残すお金:家族に渡したいお金は、相続のときの扱いで選びます。死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は使えますが、途中解約の元本割れなどの弱点も一緒に確かめます。

ひとつの置き場所に全部を入れる必要はありません。目的ごとに「いくら・どこへ」を分けると、迷いが減ります。

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あなたの状況この記事ひとこと
預金が多く、置き場所を見直したい役に立つ目的別の比べ方をそのまま使えます
親のお金の置き場所を一緒に考えたい子世代役に立つ相続のときの扱いの列を先に見てください
窓口で勧められ、比べる材料がほしい役に立つリスクの欄を持って行って質問できます
個別の銘柄や商品を選びたい合わない商品選びは扱いません。金融機関の説明書面で確かめます
親が亡くなり、手続き中のお金がある一部口座が止まった後の扱いは関連記事へ
※2026年10月時点の整理です。

5つの置き場所を比べる早見表

比べるのは4つの点です。「流動性」は、すぐ現金にできるかどうかのことです。元本は、預けたり買ったりした元のお金を指します。

置き場所すぐ使えるか元本主なリスク相続のときの扱い
普通預金いつでも引き出せる減らない利息が少ない。物価が上がると実質の価値が下がる亡くなったことを銀行が知ると原則止まる。遺産分けの対象
定期預金途中解約はできるが、利息が下がるのが一般的減らない普通預金と同じ。途中解約の利率は金融機関の規定による普通預金と同じ
個人向け国債発行後1年たてば中途換金できる額面で戻る(国が支払う)中途換金で直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる相続人の口座へ移すか換金。保有者が亡くなると1年未満でも換金できる特例あり
NISA(投資信託・株式)売れば数日で現金化保証なし値下がりで元本割れ。外国の資産は為替でも上下するNISA口座のままでは引き継げず、相続人の課税口座へ移す。遺産分けの対象
一時払い終身保険解約はできるが、戻るお金は時期で変わる早期の解約で元本割れがあり得る途中解約の元本割れ。外貨建ては為替で円の受取額が上下する受取人を指定して渡せる。相続人が受け取る分は非課税枠あり(500万円×法定相続人の数)
※出典:金融庁「預金保険制度」、財務省「個人向け国債」、金融庁「NISA特設ウェブサイト」、日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」、国税庁タックスアンサーNo.4114(2026年10月時点で確認)。商品ごとの条件は各金融機関の説明書面で確かめてください。

預金は、預金保険制度で守られる範囲があります。決済用預金(利息の付かない普通預金など)は全額です。利息の付く預金は、1つの金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息等が守られます。分け方はペイオフ1,000万円を超えたら分けるべき?で詳しく整理しています。

目的別の選び方:使う・増やす・残す

使うお金:普通預金と定期預金

毎月の生活費の不足分、家の修繕、入院や介護の費用。数年以内に使うと分かっているお金は、預金に置くのが基本です。すぐ引き出せて、元本が減らないからです。

目安は「何年分を手元に置くか」を先に決めることです。年金で足りない月の額に、使う年数をかけます。大きな出費の予定があれば、その分も足します。

増やすお金:個人向け国債とNISA

当面使わないお金は、預金より利息や値上がりを期待できる場所に置く考え方もあります。ただし「増える」は約束されたものではありません。

個人向け国債は、国が発行する個人向けの債券です。1万円から1万円単位で買えます。変動10年・固定5年・固定3年の3種類が毎月出ています。どれも年0.05%の最低金利があり、満期には額面で戻ります。発行後1年たつと中途換金でき、そのときは直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。

NISAは、投資で得た利益に税金がかからない口座の制度です。2024年からの制度では、年間の投資枠は合計360万円まで、生涯の上限は1,800万円です。非課税で持てる期間に期限はありません。一方で、値下がりすれば元本割れします。外国の株などを含む商品は、為替でも値が動きます。

60〜80代では、使い切るまでの年数が若い人より短くなります。値下がりした時期に取り崩す必要が出ると、戻るのを待てません。NISAに回すのは、下がっても暮らしが変わらない額にとどめる考え方が落ち着きます。年代ごとの向き不向きは70代のNISA・iDeCo、認知症になったときに口座がどうなるかは親が認知症になったら証券口座・NISAは?で整理しています。

残すお金:相続のときの扱いで比べる

家族に渡したいお金は、「亡くなった後、誰がどう受け取るか」で比べます。預金・国債・NISAは、原則として遺産分けの話し合いで分ける財産です。預金は、銀行が亡くなったことを知ると原則として止まります。止まった後の払い戻しは親が亡くなったら銀行口座はすぐ止まる?をご覧ください。

一時払い終身保険は、まとまったお金を一度に払い込み、亡くなったときに死亡保険金が出る商品です。受取人を指定しておけば、その人に直接渡せます。受取人が受け取るお金は、原則として遺産分けの対象外とされています。

税金の面では、死亡保険金の非課税枠があります。親が保険料を負担し、相続人が受け取る場合が対象です。枠は「500万円×法定相続人の数」です。たとえば相続人が子3人なら1,500万円です。相続人以外の人が受け取った分には、この枠は使えません。

弱点も同じ重さで見ておきます。契約から早い時期に解約すると、戻るお金が払った額を下回ることがあります。外貨建ての商品は、為替によって円で受け取る額が増えも減りもします。年齢や健康状態で入れる商品が限られることもあります。仕組みの詳細は一時払い終身保険とはで整理しています。

そもそも相続税がかからない家では、非課税枠の効果はありません。まず相続税はいくらから?基礎控除の早見表で、かかりそうかを確かめると順番が整います。

受取人をだれにするか、非課税枠をどこまで使うかは、家族の構成と今ある預金・証券で答えが変わります。手元の通帳や保険証券を見ながら整理したい方は、30分の無料相談で一緒に確かめられます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

置き場所を決める手順と、用意するもの

  1. 今あるお金を書き出す。金融機関ごとに、預金・国債・投資信託などの残高を1枚の紙にまとめます。
  2. 「使うお金」を先に確保する。年金で足りない月の額×使う年数に、修繕や介護の予定額を足します。
  3. 「残したいお金」と渡したい相手を決める。誰にいくらを想定しているか、家族と話せる範囲で共有します。
  4. 残りを「増やすお金」にするか考える。下がっても困らない額かどうかを基準にします。
  5. 金融機関で条件を確かめる。途中解約の条件、手数料、相続のときの手続きを、説明書面で確認します。その場で決めず、持ち帰って家族と見直します。

窓口や相談の前に、次のものを手元にそろえておくと話が早く進みます。

  • □ 通帳・定期預金の証書(金融機関ごとの残高が分かるもの)
  • □ 国債・投資信託・株式の取引残高報告書
  • □ 加入中の終身型の商品の証券(契約者・被保険者・受取人の欄)
  • □ 年金の振込額が分かるもの(年金振込通知書など)
  • □ 今後の大きな出費の予定メモ(修繕・車・介護など)
  • □ 家族の続き柄の一覧(法定相続人の数を数えるため)
  • □ 本人確認書類と、金融機関の届出印

期限と、過ぎたらどうなるか

置き場所ごとに、知っておきたい「時間の決まり」があります。

項目期限・条件守れないと
個人向け国債の中途換金発行後1年を経過してから(保有者の死亡・大規模災害は特例あり)1年未満は原則として換金できない
NISA口座の名義人が亡くなったとき相続人が「非課税口座開設者死亡届出書」を遅滞なく金融機関に出す亡くなった日以降に非課税で受け取った配当などは、後から課税し直す手続きが必要になる
相続税の申告亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内期限後の申告になり、加算税などがかかることがある
※出典:財務省「個人向け国債」、日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」、国税庁タックスアンサーNo.4205(2026年10月時点で確認)。

相続税の評価にも違いがあります。個人向け国債は、亡くなった日に中途換金したら受け取れる額で評価するとされています。NISAの投資信託などは、その日の値動きで評価額が変わります。細かい計算は税務署や税理士に確かめてください。

損しやすい点

  • 使う予定のお金まで運用に回す。値下がりした時期に取り崩すと、損を確定させることになります。
  • 非課税枠だけを見て決める。相続税がかからない家では枠の効果がありません。途中で使う可能性があるお金を入れると、早期解約で元本割れすることもあります。
  • 受取人の指定を見直さない。受取人が先に亡くなっていたり、相続人でない人になっていたりすると、思った通りに渡せないことがあります。
  • 親のNISAの中身を、子のNISAに引き継げると思い込む。相続人の課税口座への移管になり、その後の値上がり益には通常どおり税金がかかります。
  • 置き場所を増やしすぎる。口座や契約が多いほど、本人も家族も把握しにくくなります。相続の手続きも金融機関ごとに必要です。

今日できる一歩

  1. 紙を1枚用意し、「使う」「増やす」「残す」の3つの欄を作って、今のお金を金融機関ごとに書き分けてみましょう。

よくある質問

預金を1つの銀行に置いたままで問題はありますか?

利息の付く預金は、1つの金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息等が守られます。超える部分は、破綻した金融機関の財産の状況によって一部が戻らないことがあります。利息の付かない決済用預金は全額が守られます。

80代でもNISAの口座は作れますか?

NISAは、日本に住む18歳以上の人なら開設できます。年齢の上限はありません。口座は1人1口座です。ただし元本割れのリスクがあるため、使う時期が近いお金は入れない考え方が基本です。

個人向け国債を持ったまま亡くなったらどうなりますか?

相続人の口座へ移すか、中途換金するのが一般的です。保有者が亡くなった場合は、発行後1年未満でも特例で中途換金できます。相続人であることを示す書類が必要です。手続きは金融機関で異なるため、取引先に確かめます。

死亡保険金の非課税枠は誰が受け取っても使えますか?

使えるのは相続人が受け取った分です。相続を放棄した人や、相続人でない孫などが受け取った分には使えません。法定相続人の数は、放棄した人がいても放棄がなかったものとして数えます。

どの置き場所が一番良いですか?

一番はありません。使う時期、減っても困らない額、渡したい相手で、向く場所が変わります。目的ごとに分けて、それぞれに合う場所を選ぶのが落ち着いた考え方です。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした一般的な整理です。特定の商品や金融機関を勧めるものではなく、将来の利回りや値上がりを約束するものでもありません。商品の条件は金融機関ごとに異なるため、契約前に説明書面で確かめてください。制度は変わることがあります。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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