70代のNISA・iDeCo【2026年】始める意味がある人・ない人と加入年齢

「NISAは何歳でも始められるらしい」「iDeCoは70歳まで入れるようになると聞いた」。70代の親や、親のお金を気にかける子世代から、こうした声をよく聞きます。

ただ、NISAとiDeCoでは年齢の決まりがまったく違います。この記事では、2026年10月時点の制度をもとに、70代から始める意味がある人・ない人を表で整理します。口座開設を勧める記事ではありません。

目次

先に結論:70代は「NISAは条件次第、iDeCoは入れない」

この記事の結論

  1. NISA:18歳以上なら年齢の上限はありません。ただし元本割れがあるので、当面使わないお金に限った話です。
  2. iDeCo:今は原則65歳未満まで、2026年12月施行の改正後も70歳未満までです。70代は新しく入れません。
  3. すでにiDeCoがある人:70代の課題は「受け取り」です。75歳までに請求が必要です。

70代から始める意味がある人・ない人の早見表

NISAは、投資で出た利益に税金がかからない口座の制度です。iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出して運用し、老後に受け取る私的年金です。70代では、この2つの向き・不向きがはっきり分かれます。

こんな人NISAiDeCo
生活費・医療費・介護費の備えが別に確保できている検討の余地あり。値下がりしても困らない額に限る70代は新規加入できない
預金を取り崩して暮らしている意味は薄い。値下がり時に売ると損が確定する新規加入できない
数年内に住み替え・施設入居の予定があるその資金は入れない方が無難新規加入できない
すでに証券会社の一般口座・特定口座で投資している今後の買い付け分の置き場所として検討できる新規加入できない
60代のうちからiDeCoに加入している別の話として検討掛金は出せなくなるが、受け取り方の検討が必要
60代の子世代(本人として)年齢の上限なし2026年12月以降、70歳未満で条件を満たせば加入・継続できる(未施行)
※出典:金融庁「NISAを知る」、厚生労働省「私的年金制度、iDeCoの改正のポイント」「iDeCoの加入可能年齢の引き上げ」(2026年10月時点で確認)。向き・不向きは一般的な目安で、個別の投資判断ではありません。

早見表の「意味がある」は、得をするという意味ではありません。投資は値上がりも値下がりもします。70代は取り戻す時間が短いため、使う予定のないお金かどうかが分かれ目になります。

NISAとiDeCoの年齢・金額の決まり(2026年10月時点)

まず、今の制度の数字を確かめます。iDeCoの改正は2026年12月施行のため、10月時点ではまだ始まっていません。現行と改正後を分けて書きます。

項目NISA(現行)iDeCo(現行)iDeCo(2026年12月施行・未施行)
始められる年齢その年の1月1日時点で18歳以上。上限の定めなし国民年金の被保険者であること(会社員などは原則65歳未満)。老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っている人は加入不可70歳未満まで。国民年金の被保険者でなくても、iDeCo加入者などの条件を満たせば加入・継続できる
1年に入れられる額つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円(合計360万円)月額。自営業者など6.8万円、企業年金のない会社員2.3万円など月額。自営業者など7.5万円、会社員は企業年金と合わせて6.2万円など
生涯の上限1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)。売ると翌年以降に取得額分の枠が戻る生涯上限の定めはなく、月額の上限で管理同左
非課税の期間無期限運用中の利益は非課税。受け取るときは税金の対象同左(掛金の所得控除も継続)
お金を引き出せる時期いつでも売却できる(値下がり時は損が出る)原則60歳から75歳までの間に受け取り開始受け取り開始は60歳~75歳の間
※出典:金融庁「NISAを知る」、厚生労働省「iDeCoの概要」「私的年金制度、iDeCoの改正のポイント」「iDeCoの加入可能年齢の引き上げ」(2026年10月時点で確認)。iDeCoの掛金上限は働き方・企業年金の有無で変わります。

改正後のiDeCoは「70歳になるまで加入できる」と紹介されることが多いです。ただ、すでに老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っている人は、改正後も対象外です(老齢基礎年金を繰り下げている人などは例外あり)。

なお、経過措置として、施行から3年間は、上の条件に当たらない60歳以上70歳未満の人も新たに加入できるとされています(老齢基礎年金を受け取っている人などは除く)。厚生労働省の資料では、この期間を令和11年11月末までと案内しています。70代の方は、いずれにしても新規加入の対象になりません。

iDeCoの受け取り:70代は「入る」より「いつ・どう受け取るか」

60代までにiDeCoに入っていた人は、70代で受け取り方を決める場面が来ます。受け取り開始は60歳から75歳までの間で選べます。何もしなくても自動では振り込まれません。

60歳時点の加入期間など受け取りを始められる年齢
10年以上60歳
8年以上10年未満61歳
6年以上8年未満62歳
4年以上6年未満63歳
2年以上4年未満64歳
1か月以上2年未満65歳
60歳以降に初めて加入した加入から5年たってから
※出典:厚生労働省「iDeCoの概要」、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCo加入者・運用指図者の方へ」(2026年10月時点で確認)。加入期間には企業型DCの期間なども通算されます。詳しくは記録関連運営管理機関の通知で確認してください。

受け取り方は、一時金(まとめて受け取る)、年金(5年以上20年以下で分けて受け取る)、その組み合わせから選びます。選べる形は、加入している金融機関(運営管理機関)によって違います。

税金のかかり方も変わります。一時金は退職金と同じ「退職所得」、年金は公的年金と同じ「雑所得」として扱われるのが一般的です。会社の退職金を受け取った時期や、公的年金の額によって有利な形が変わるため、個別には税務署や税理士に確認してください。

始める前・受け取る前の手順と確認チェックリスト

70代の方がNISAを検討するとき、またはiDeCoの受け取りを決めるときの順番です。口座を開く前に、家計の確認を先にします。

  1. 1年分の生活費を書き出す。年金でまかなえる額と、預金から取り崩す額を分けます。
  2. 医療・介護・住まいの備えを別に取る。入院や施設入居の可能性を考え、すぐ使える預金として残します。
  3. それでも当面使わない額を決める。値下がりして半分になっても暮らしが変わらない額が目安です。
  4. iDeCoがある人は残高と受け取り開始年齢を確認する。記録関連運営管理機関から届く通知で確かめます。
  5. 家族と口座の場所を共有する。金融機関名だけでも、エンディングノートなどに残します。
  6. 窓口では商品より先に手数料とリスクを聞く。説明に納得できなければ、その場で決めません。

NISA口座の開設やiDeCoの受け取り請求で、一般に確認しておくものです。

  • □ マイナンバーが分かる書類(マイナンバーカードなど)
  • □ 本人確認書類(運転免許証など)
  • □ 受け取り用の本人名義の預金口座
  • □ 基礎年金番号と、運営管理機関の案内にあるiDeCoの加入者番号など
  • □ iDeCoの残高や受け取り開始の案内(運営管理機関からの通知)
  • □ 会社の退職金を受け取った時期と金額のメモ(税金の確認用)
  • □ 1年分の家計のメモ(生活費・医療費・介護費)

必要書類は金融機関ごとに違います。手続きの前に、口座のある金融機関の案内で確かめてください。

期限と、過ぎたらどうなるか

70代でいちばん気をつけたい期限は、iDeCoの受け取り請求です。iDeCo公式サイトでは、75歳までに受給の請求をする必要があり、請求がない場合は法務局に供託されると案内しています。供託とは、受け取る人がいないお金を国の機関に預けておく仕組みです。

  • iDeCoの受け取り:75歳までに請求。過ぎると法務局への供託となり、受け取りの手間が増えます。
  • iDeCoの改正:2026年12月施行。10月時点では未施行で、今は現行の要件です。
  • NISA:口座そのものに期限はなく、非課税の期間も無期限です。ただし本人が亡くなると非課税は終わります(次の章)。

75歳に近い方は、早めに運営管理機関へ受け取りの書類を取り寄せておくと安心です。手続きに必要な期間は運営管理機関によって違います。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

70代のNISA・iDeCoで損しやすい点

生活費に使うお金を入れてしまう

NISAは元本が保証されません。株価や基準価額が下がっているときに生活費のため売ると、損が確定します。外国の株や債券を含む商品は、為替の動きでも値段が変わります。毎月の取り崩し計画は老後資金の見直し方も参考にしてください。

NISAの損は、ほかの口座の利益と相殺できない

NISA口座で出た売却損は、税金の計算では「なかったもの」とされます。特定口座などの利益と差し引く損益通算や、損を翌年以降に繰り越す仕組みは使えません。非課税の反面として知っておきたい点です。

相続のときは非課税が引き継がれない

NISA口座の名義人が亡くなると、非課税は終わります。中の株や投資信託は相続人の特定口座などに移り、取得価額は亡くなった日の時価になります。相続税の計算では、ほかの財産と同じく相続財産に含まれます。手続きの流れはNISA口座の相続手続きで確認できます。

iDeCoの残高は、遺族が死亡一時金として受け取る形になり、相続税では死亡退職金と同じ扱いになります。受け取る人の順番や請求先はiDeCoの死亡一時金は誰が受け取る?で整理しています。

認知症になると売るのが難しくなる

証券口座は本人の意思で売買するのが原則です。判断が難しくなると、家族が代わりに売ることは原則できません。元気なうちの備えは親が認知症になったら証券口座・NISAは?で整理しています。

窓口の勧めで、仕組みの分からない商品を選ぶ

NISAは口座の名前で、中に入れる商品は自分で選びます。手数料の高い商品や、値動きの大きい商品もあります。説明を受けたら、手数料・元本割れの可能性・途中で売るときの扱いの3つを書き出し、家族と相談してから決めても遅くありません。

今日できる一歩

  1. 親(または自分)がiDeCoやNISAの口座を持っているか、届いている郵便物で確かめ、金融機関名を1枚の紙に書き出しておきましょう。

よくある質問

Q. 75歳でもNISA口座は作れますか?

A. 作れます。NISAの年齢要件は「その年の1月1日時点で18歳以上」で、上限はありません。ただし作れることと、向いていることは別です。早見表で、使う予定のないお金があるかを先に確かめてください。

Q. 2026年12月から、72歳でもiDeCoに入れますか?

A. 入れません。改正後の加入可能年齢は70歳未満までです。改正は2026年12月施行で、10月時点ではまだ始まっていません。

Q. 年金をもらっている68歳の親は、改正後にiDeCoに入れますか?

A. 老齢基礎年金を受け取っている人は、改正後も原則として加入できません。老齢基礎年金を繰り下げている場合などは扱いが違うため、厚生労働省の資料や運営管理機関で確認してください。

Q. iDeCoの受け取りを忘れたまま75歳を過ぎるとどうなりますか?

A. iDeCo公式サイトでは、75歳までに請求がない場合は法務局に供託されると案内しています。お金がなくなるわけではありませんが、受け取りの手続きが増えます。

Q. 親のNISAを子どもが代わりに売れますか?

A. 原則として、本人以外は売買できません。本人が元気なうちに、口座の場所や今後の方針を家族で共有しておくと安心です。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした一般的な整理です。特定の金融商品や金融機関を勧めるものではありません。投資には元本割れ・為替変動などのリスクがあります。制度の内容は改正されることがあるため、手続きの前に金融庁・厚生労働省・iDeCo公式サイトや口座のある金融機関の最新の案内をご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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