パスポートの申請や婚姻届、相続の手続きで「戸籍謄本を出してください」と言われた。けれど本籍地の役所は遠く、平日の昼間は仕事がある。そういうときに迷うのが、戸籍謄本をどの方法で取るかです。
この記事では、窓口・郵送・コンビニ・オンラインの4つを、必要なもの・手数料・かかる日数で比べます。内容は2026年10月8日時点の公的機関の案内にもとづきます。
先に結論:急ぐなら窓口かコンビニ、遠いなら広域交付か郵送
この記事の結論
- 戸籍謄本は、窓口・郵送・コンビニ・オンラインの4つで取れます。手数料は1通450円が基本です(コンビニは自治体により異なります)。
- その場で受け取れるのは窓口とコンビニです。郵送は1週間から10日ほど、オンラインは申し込みから発送まで数日かかります。
- 本籍地が遠い人は、最寄りの窓口で使える広域交付(本人・配偶者・親・子・孫の分)か、郵送が選べます。
どれが合うかは、マイナンバーカードを持っているか、本籍地がどこか、いつまでに必要か、の3つでほぼ決まります。下の表で全体を見てから、気になる方法を読んでください。
4つの方法を比べる
本籍地が遠くても、窓口に行ける人は「広域交付」が使えます。2024年3月1日に始まった制度で、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できます。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫の分で、きょうだいの分は取れません。郵送や代理人による請求もできません(法務省)。取れないケースの詳細は戸籍の広域交付の使い方にまとめています。
窓口で取る
本籍地の市区町村役所の、戸籍を扱う窓口に行きます。名前は市民課・区民課・戸籍住民課など、自治体で違います。持っていくものは次のとおりです。
- 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、在留カードなどは1枚で足ります。健康保険の資格確認書や年金証書などは、2枚以上の組み合わせが求められます(法務省)。
- 申請書:窓口に置いてあります。ホームページから入手できる自治体もあります。
- 手数料:戸籍謄本は1通450円です。支払い方法は自治体で違うため、現金を用意しておくと安心です。
- 委任状:本人以外の代理の人が行くときに必要です。
本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫は、戸籍謄本を請求できます。それ以外の人(第三者)は、権利の行使などに必要な理由を請求書に詳しく書きます(法務省)。
窓口は平日の昼間が中心です。たとえば名古屋市役所は月曜から金曜の午前8時45分から午後5時15分までで、閉まる間際に行くと処理が間に合わず、日を改めることになる場合があります。窓口の開く日や時間は自治体で違うため、行く前にホームページで確認してください。
出生から死亡までなど、連続した戸籍をまとめて頼むと確認に時間がかかり、混んでいる日は後日の申請をお願いされることもあります(名古屋市の案内)。除籍や改製原戸籍が必要なときは、除籍謄本・改製原戸籍の取り方を見てください。
郵送で取り寄せる
役所に行けないときの方法です。本籍地の市区町村に、請求書・本人確認書類の写し・手数料・返信用封筒を送ります。
- 手数料は「定額小為替」で送ります。ゆうちょ銀行や郵便局の貯金窓口で買え、発行手数料が1枚につき200円かかります。現金を普通郵便で送ることはできません。
- 返信用封筒には切手を貼り、宛先を住民登録している自分の住所にして入れます。
- 届くまでは、投函から1週間から10日ほどが目安です(柏市)。連休をはさむと2〜3週間以上かかる場合もあります(名古屋市)。
請求書の書き方や為替の組み合わせは、戸籍謄本を郵送で取り寄せる方法で一つずつ説明しています。
コンビニで取る
マイナンバーカードがあれば、コンビニのマルチコピー機で戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が取れます。窓口の閉まっている早朝や夜、土日でも使える場合があります。ただし戸籍は、本籍地の市区町村が対応していることが条件です。利用できる時間を、窓口に近い平日の昼間に限る自治体もあります。
住所地と本籍地が別の市区町村の人は、先に「利用登録」をします。登録が済むまで3〜5日ほどかかる自治体があります。除籍謄本や改製原戸籍謄本は取れません。条件と手順は戸籍謄本をコンビニで取る方法に詳しく書きました。亡くなった方の戸籍が必要な場合は、先に亡くなった人の戸籍謄本はコンビニで取れる?をご覧ください。
オンライン(電子申請)で申請する
市区町村の電子申請サービスで、スマートフォンやパソコンから申し込む方法です。取り扱いは自治体ごとで、本籍地の市区町村が対応しているかを先に調べます。仙台市、横浜市、名古屋市などが、本籍が自分の市内にある人向けに実施しています。
- 必要なもの:署名用の電子証明書が有効なマイナンバーカード、カードを読み取れるスマートフォン、クレジットカード。署名用の暗証番号は英数字6〜16桁で、コンビニで使う4桁とは別です。
- 手数料:戸籍謄本は1通450円に、郵送料が別にかかります。
- 受け取り:住民登録している住所への郵送です。仙台市は決済の確認後3営業日以内に発送、横浜市は決済後1週間から10日ほどが目安です。名古屋市は受付の処理だけで1週間から10日ほどかかることがあります。
- 支払いの期限:審査のあとに届く支払い案内のメールから、約1週間のうちに決済しないと、申請が取り下げ扱いになります(仙台市は受信日を含む7日以内)。
- できないこと:代理の人や第三者による申請はできません。除籍謄本などは対象外の市もあります(仙台市、名古屋市)。
一部の手続きでは、紙の戸籍謄本そのものが要らなくなります。たとえばパスポートの新規申請をマイナポータルから行うときは、戸籍証明書の添付を省ける「電子戸籍パス」の仕組みがあります。パスは本人(15歳以上)がマイナポータルで無料で取得でき、有効期間は3か月です(法務省)。
手数料と、請求できる人
請求できるのは、戸籍に載っている本人、配偶者、父母や祖父母(直系尊属)、子や孫(直系卑属)です。きょうだいは、本人から見て直系ではないため、同じ戸籍に入っていない限り、自分の請求としては取れません。親族以外の請求や、不当な目的と判断される請求は、市区町村が断ることがあります(法務省)。
状況別、どの方法が合うか
よくある質問
戸籍謄本と戸籍抄本は、どちらを取ればよいですか
謄本は戸籍に載っている全員の分、抄本は一部の人だけの分です。提出先が「謄本」や「全部事項証明書」と指定しているなら、全員分を取ります。指定がなければ、提出先に聞いてから請求すると取り直しになりません。手数料は、どちらも1通450円です。違いは本籍の調べ方でも説明しています。
本籍地がわからないときは、どうしますか
戸籍を請求するには、本籍地と筆頭者(戸籍の先頭に書かれた人)の名前が要ります。わからないときは、本籍が載った住民票の写しで確認できます。方法は本籍の調べ方に、亡くなった親の分は亡くなった親の本籍地がわからない時の調べ方にまとめています。
相続で、出生までさかのぼって戸籍を集めたいときは
亡くなった方の戸籍は、本籍が何か所も変わっていると複数の役所にまたがります。配偶者・子・親の立場なら、最寄りの窓口の広域交付でまとめて請求できる場合があります。きょうだいが相続人になるときは、きょうだいの戸籍は広域交付の対象外です。くわしくは戸籍の広域交付の使い方をご覧ください。
コンビニで取った戸籍謄本は、窓口のものと同じように使えますか
コンビニで交付される戸籍証明書は、偽造や改ざんを防ぐ処理をしたA4の普通紙に印刷されます(法務省)。提出先によっては「発行から何か月以内」といった条件をつけることがあるため、取る前に提出先で確認しておくと安心です。
あわせて読みたい
参考にした公的情報
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html
- 法務省「戸籍の窓口での『本人確認』が法律上のルールになりました」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji150.html
- 地方公共団体情報システム機構「コンビニ交付とは」https://www.lg-waps.go.jp/01-00.html
- 総務省「地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令」https://www.soumu.go.jp/main_content/000915857.pdf
- 名古屋市「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)・住民票の写しなどの証明」https://www.city.nagoya.jp/kurashi/todokede/1007816/1007817.html
- 仙台市「戸籍証明書のオンライン請求」https://www.city.sendai.jp/kosekijumin/kurashi/tetsuzuki/koseki/kofu/onlineseikyu.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報にもとづく一般的な整理です。手数料・受付時間・対応状況は市区町村で異なります。実際に請求する前に、本籍地の市区町村へご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
