10月のある朝、郵便受けに銀行からのはがきが入っていました。「定期預金 満期のご案内」。5年前に預けたときは、利息が付いているのか分からないほどの金利でした。それが今年は、ニュースで「金利が上がった」と何度も聞きます。このまま続けていいのか、別の銀行に移したほうがいいのか。はがきを手に、少し迷う方が増えています。
この記事では、2026年10月時点の実際の金利を銀行ごとに確かめたうえで、満期を迎えた定期預金の選択肢と、確認しておきたい仕組みを整理します。60代から80代の方と、親の預金が気になるご家族に向けた内容です。
なぜ今、定期預金の金利が上がっているのか
預金の金利は、日本銀行が決める「政策金利(銀行どうしがお金を貸し借りするときの短い期間の金利の目安)」に合わせて動きます。日銀は2024年3月にマイナス金利をやめ、そこから少しずつ政策金利を引き上げてきました。
| 日銀が決めた日 | 政策金利の目安 |
|---|---|
| 2024年3月19日 | 0〜0.1%程度(マイナス金利を終了) |
| 2024年7月31日 | 0.25%程度 |
| 2025年1月24日 | 0.5%程度 |
| 2025年12月19日 | 0.75%程度 |
| 2026年6月16日 | 1.0%程度 |
| 2026年9月18日(直近) | 1.25%程度(9月24日から適用) |
日銀は9月の公表文で、物価の上がり方が目標の2%に近づいていると説明しています。そのうえで、経済や物価の状況に応じて「引き続き政策金利を引き上げ」ていく考えを示しました。ただし、次にいつ、どれだけ上げるかは決まっていません。
銀行の動きも続いています。三菱UFJ・三井住友・みずほ・十六・ゆうちょの各行は9月に、普通預金の金利を11月から0.500%に上げると発表しました。このうち三井住友・みずほ・十六・ゆうちょは、定期預金の金利も「引き上げを予定している」としています。ただ、対象の商品や時期、新しい金利は、10月8日時点でまだ発表されていません。三菱UFJの9月の発表資料には、定期預金についての記載はありませんでした。
銀行別・定期預金の金利早見表(2026年10月8日確認)
大手銀行と、愛知・岐阜の主な地銀・信金の店頭金利です。各行の公式ページ・発表資料で、2026年10月8日に確認しました。確認できなかった銀行は載せていません。
| 銀行 | 1年 | 3年 | 5年 | 普通預金 | 金利の基準日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 0.500% | 0.800% | 1.000% | 0.400%(11/2から0.500%) | 8月3日改定(同行発表) |
| 三井住友銀行 | 0.500% | 0.800% | 1.000% | 0.400%(11/2から0.500%) | 8月3日改定(同行発表) |
| みずほ銀行 | 0.500% | 0.700% | 0.825% | 0.400%(11/2から0.500%) | 8月3日改定(同行発表) |
| ゆうちょ銀行(定期貯金) | 0.500% | 0.800% | 1.000% | 通常貯金0.400%(11/9から0.500%) | 10月5日現在 |
| あいち銀行 | 0.575% | 0.750% | 0.850% | 0.400% | 10月5日〜11日適用分 |
| 名古屋銀行 | 0.575% | 0.800% | 0.925% | 0.400% | 10月6日〜13日適用分 |
| 十六銀行 | 0.550% | 0.750% | 0.800% | 0.400%(11/2から0.500%) | 8月3日改定(同行発表) |
| 大垣共立銀行 | 0.525% | 0.650% | 0.725% | 0.400% | 10月8日現在 |
| 岡崎信用金庫 | 0.500% | 0.800% | 1.000% | 0.400% | 10月5日〜11日適用分 |
※三菱UFJ・三井住友・みずほ・十六の定期の金利は、各行が7月30〜31日に出した改定発表資料(8月3日適用)の値です。10月8日時点で、その後の定期金利の改定は発表されていません(三井住友・みずほ・十六は「引き上げを予定」と発表済み)。
※キャンペーン金利、インターネット専用の金利、退職金向けなどの特別な定期は含みません。金利は変わることがあります。手続きの前に各行で最新の金利をご確認ください。
表を見ると、1年ものでは愛知の地銀がやや高めです。一方で5年ものは、大手銀行・ゆうちょ・岡崎信金の1.000%が高い側に入ります。「地元の銀行のほうが高い」「大手のほうが高い」とは、期間によって一概に言えません。
金額にすると、差はこのくらいです。200万円を1年預けた場合、0.500%なら利息は1万円、0.575%なら1万1,500円です(税引前)。差は年1,500円。この差を大きいと感じるか小さいと感じるかは、人によって違います。
満期の案内が来たときの選択肢は4つ
満期のはがきが届いても、慌てて銀行へ行く必要はありません。選べるのは、おおむね次の4つです。組み合わせても構いません。
- 自動継続のままにする:手続きは要りません。満期日の店頭金利で、同じ期間の定期として続きます。今年は金利が上がっているので、前回より高い金利になるのが普通です。
- 期間を変える・別の銀行に預け替える:5年を1年にする、少し金利の高い銀行へ移す、などです。満期日以降に窓口で手続きします。
- 一部を普通預金に移す:急な出費に備えて、すぐ引き出せる分を手元に置いておく方法です。普通預金も11月から0.500%に上がる銀行があり、1年定期との差は小さくなっています。
- 使い道が決まっている分を分けておく:家の修理、車の買い替え、孫の入学祝いなど。使う時期が決まっているお金は、その時期に満期が来るように期間を合わせるか、普通預金に分けておくと、途中で解約せずに済みます。
満期の手続きで窓口に行くと、預金以外の商品を案内されることがあります。その場で決める必要はありません。資料を持ち帰り、家族と一緒に見てからでも遅くありません。
「定期の金利がもうすぐ上がるなら、待ったほうがいいのでは」と考える方もいます。待つ間だけ普通預金に置く、という選び方も一つです。ただ、引き上げの時期も幅もまだ分かりません。今の普通預金と1年定期の差は0.1〜0.2%ほどで、200万円なら1か月あたり300円ほどまでです。どちらを選んでも、大きな損得にはなりにくい場面です。
自動継続で確かめておきたい仕組み
自動継続は便利な反面、中身を知らないまま続いていることが多い仕組みです。満期のはがきや通帳で、次の点を見ておくと安心です。
- 継続後の金利は「満期日の店頭金利」:前回の金利がそのまま続くのではありません。継続する日に、その銀行が店頭で出している金利に切り替わるのが一般的です。逆に言えば、継続した後で店頭金利が上がっても、次の満期までは継続時の金利のままです。
- 期間は前回と同じになるのが基本:5年で預けていれば、また5年です。5年先に80代半ばを迎える方は、その期間でよいか一度考えておくとよいでしょう。期間を変えたいときは窓口で申し出ます。
- 利息の行き先:利息も一緒に定期に入れる「元利継続」と、利息だけ普通預金に入れる「元金継続」があります。年金の足しにしたい方は、元金継続のほうが使いやすい場合があります。
- 満期前に解約すると金利が下がる:途中で解約すると、約束の金利より低い「中途解約の金利」になります。たとえばゆうちょ銀行の定期貯金では、6か月以上たってから払い戻すと、預けていた期間に応じた定期の金利の60%になります(6か月未満は通常貯金の金利)。使う予定があるお金を長い期間に入れないことが、いちばんの対策です。
長い期間で預けるか、短い期間にするかに正解はありません。長くすると今の高めの金利で固定できますが、その後さらに上がっても乗り換えにくくなります。短くすると次の満期で新しい金利に乗り換えられますが、金利が下がればその逆です。迷ったら、金額を2つ3つに分けて期間をずらす方法もあります。
金利の高い銀行に移す前に見ておきたいこと
金利だけで比べると、移したほうが得に見えます。ただ、60代から80代の方の場合は、次の点も一緒に考えておきたいところです。
- 手間と移動:口座を新しく作るには、本人確認書類を持って窓口へ行くか、スマートフォンで手続きをします。家から遠い支店だと、次の満期のたびに出向くことになります。
- ネット銀行の使いにくさ:ネット銀行は金利が高めのことがあります。一方で、窓口がなく、手続きはスマートフォンやパソコンが前提です。パスワードを忘れた、画面の操作が分からない、というときに家族が代わりに対応しにくい面があります。
- 相続のときの手続きが増える:預金は亡くなった後、銀行ごとに相続の手続きが要ります。口座が1つ増えると、書類の提出先も1つ増えます。口座の数は、そのまま家族の手間の数になります。
- キャンペーン金利の条件:地銀や信金では、期間限定の特別金利を出していることがあります。「新しく預けるお金だけ」「1回目の満期まで」などの条件が付くことが多いので、2回目以降の金利も確かめておきます。
今の銀行のまま続けるのも、十分に筋の通った選び方です。移すなら、「口座を増やす」より「いくつかの口座を1つにまとめる」方向で考えると、金利と手間の両方が整いやすくなります。
預金保険:1つの銀行で「元本1,000万円とその利息」まで
預ける先を考えるときに、もう一つ見ておきたいのが預金保険(銀行が破綻したときに預金を守る国の制度)です。預金保険機構の案内では、定期預金や利息の付く普通預金は、1つの金融機関ごとに合算して、1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息が守られます。1,000万円を超える部分は、破綻した銀行の財産の状況によって、一部が戻らないことがあります。
- 同じ銀行の支店違いは合算される:A支店に600万円、B支店に600万円なら、その銀行で1,200万円として数えます(名寄せ)。
- 利息の付かない決済用の預金は全額守られる:当座預金や無利息型の普通預金などが当たります。
- 外貨預金は対象外:円の定期預金とは扱いが違います。
- 信用金庫・ゆうちょ銀行も対象:信用金庫は預金保険の対象の金融機関です。ゆうちょ銀行の定期貯金も対象です。なお、ゆうちょ銀行の定額・定期の貯金には、合わせて1人1,300万円までという預け入れの上限があります。
- JA(農協)の貯金は別の制度:預金保険ではなく、農水産業協同組合貯金保険制度という別の仕組みで守られます。
1つの銀行に1,000万円を超えて預けている方は、満期を機に置き場所を分けるか考える場面です。ただし、家族の名前を借りて口座を分けるのはやめておきましょう。他人名義の預金は保護の対象外です。相続のときに「本当は誰のお金か」が問題になることもあります。
70代からは、満期のついでに確かめておきたいこと
相談の場で感じるのは、年に数千円の金利の差より、次の2つのほうが家族への影響がずっと大きいということです。
認知症で手続きできなくなる前に、置き場所と代理人を確認する
定期預金の解約や預け替えには、本人の意思確認が要ります。認知症などで判断が難しくなると、満期が来ても家族が代わりに解約できないことがあります。詳しくは定期預金は認知症になると解約できない?で整理しています。
銀行によっては、本人に代わって手続きできる家族を前もって届け出る仕組みがあります(代理人カード、代理人の登録など)。できることの範囲は銀行ごとに違います。満期の手続きで窓口に行くついでに「家族を代理人として届け出る方法はありますか」と聞いておくと、一度で済みます。
家族に渡したい分があるなら、渡し方を決めておく
「この定期は、いずれ長男に」「孫の学費に」と心の中で決めていても、それだけでは伝わりません。遺言がなければ、亡くなった後の預金は相続人全員の話し合いで分けるのが基本です。渡し方には、遺言に書いておく、元気なうちに渡す、といった方法があります。生前に渡す場合は贈与税がかかることがあります。ご自身の場合どうなるかは、提携の税理士が確認します。
どの方法を選ぶにしても、まず「どの銀行に、いくら、いつ満期の定期があるか」を1枚の紙にまとめておくことが出発点です。家族が知らない口座は、相続のときに見つけるだけで手間がかかります。
今日できる一歩
1. 満期のはがきに3か所、印をつける。「満期日」「継続の方法(元利継続か元金継続か)」「継続後の期間」です。分からない欄があれば、はがきに書かれた支店に電話で聞けば教えてもらえます。
2. 定期預金の一覧を1枚つくる。銀行名、支店、金額、満期日の4つだけで十分です。家族に置き場所を伝えておきます。
3. 次に窓口へ行くとき、代理人の届け出について聞く。「家族が代わりに手続きできる方法はありますか」の一言で構いません。
相談現場から
よく伺うのは「満期のたびに窓口で手続きしてきた」というお話です。通帳を見ると、実は自動継続になっていて、行かなくても続いていたということも少なくありません。また、ご本人は口座をすべて覚えていても、ご家族は半分も知らないことがよくあります。金利を比べる前に、まず一覧をつくるだけで、話がずっと進めやすくなります。
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- あいち銀行の相続手続き完全ガイド(旧愛知銀行・中京銀行)
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参考にした公的情報
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260918a.pdf - 日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文」(2024年・2025年・2026年の各回)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2026/index.htm - 預金保険機構「保護の範囲」
https://www.dic.go.jp/yokinsha/page_000016.html - 預金保険機構「預金保険制度の基礎知識」
https://www.dic.go.jp/yokinsha/kihon.html - ゆうちょ銀行「金利一覧」「定期貯金 商品概要説明書」
https://www.jp-bank.japanpost.jp/kinri/kinri.html - 各銀行の金利ページ・改定発表資料(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行・十六銀行の2026年7月30〜31日/9月18〜25日の改定発表、あいち銀行・名古屋銀行・大垣共立銀行・岡崎信用金庫の円預金金利ページ。いずれも2026年10月8日確認)
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報です。金利は各金融機関の判断で変わります。預け替えや解約の前に、各金融機関で最新の金利と条件をご確認ください。税金や相続の個別の判断は、専門家にご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
