遺産分割協議書の書き方とひな形|Word無料ダウンロードと記載例

戸籍を集め終わって、相続人も確定した。次は遺産分割協議書だと分かってはいるものの、ネットで見つかるひな形は条項がバラバラで、どれをそのまま使っていいのか判断がつかない。そんなところで手が止まっていないでしょうか。

遺産分割協議書に決まった書式はありません。手書きでもパソコンでも、様式が違っても効力に差はありません。ただし、法務局と銀行はそれぞれ見る場所が決まっていて、そこが崩れていると受け付けてもらえません。この記事では、そのまま使えるWordのひな形を配布したうえで、差し戻しの原因になる「財産の特定」「実印と印鑑証明書」「通数」の3点を具体的に説明します。

目次

先に結論:遺産分割協議書は4ステップでできる

👪
1. 相続人を確定
戸籍
出生から死亡まで
🔍
2. 財産を特定
登記+通帳
地番・口座番号まで
📝
3. 誰が何を取るか
条文化
ひな形に書き込む
📄
4. 署名・押印
人数分
各自1通ずつ保管
実印
全員の実印
1人でも認印・シャチハタが混ざると、法務局も銀行も受け付けません。印鑑登録証明書も相続人全員分が必要です。
※2026年9月時点。書式は自由ですが、財産の特定・全員の署名・実印の3点は共通して求められます。

つまずくのは3の条文化ではなく、2の「財産の特定」と4の「押印まわり」です。ひな形に書き込む前に、不動産の登記事項証明書と、対象口座の通帳を手元に揃えてください。この2つが揃っていれば、協議書そのものは30分で書けます。

Wordのひな形を無料でダウンロード

この記事の記載例とそのまま対応したWordファイルです。会員登録もメールアドレスの入力も不要です。空欄を埋めて、不要な条項を削除して使ってください。

📥 遺産分割協議書 Wordひな形
一般型(不動産・預貯金・現金)
土地・建物、預貯金、現金や自動車まで、いちばん多いパターンをカバーしたひな形です。後日判明した遺産の条項と、提出前チェックリスト付き。
Wordひな形をダウンロード(一般型)
代償分割型(家を1人が継いで代償金を払う)
代償金の額・支払期限・支払方法・払えなかったときの取り決めまで入れたひな形です。書き方を誤ると贈与税の対象になるため、条項例は代償分割の遺産分割協議書の書き方で確認してください。
Wordひな形をダウンロード(代償分割型)
2026年9月時点の実務にもとづく一般的なひな形です。相続人に未成年者がいる場合、行方不明の相続人がいる場合、遺言がある場合は、そのままでは使えません。

財産の特定:ここを間違えると差し戻される

「自宅の土地建物」「A銀行の預金」という書き方では通りません。第三者が読んで、その財産が1つに絞れる書き方が必要です。

不動産は登記事項証明書のとおりに書き写す

住所(住居表示)ではなく、登記上の「所在・地番・地目・地積」を使います。建物は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」です。郵便物に書いてある住所と、登記の地番は別物です。法務局で登記事項証明書(窓口請求は1通600円)を取り、そこに印字されているとおりに転記してください。

財産書く項目どこで確認するか
土地所在/地番/地目/地積登記事項証明書(法務局)
建物所在/家屋番号/種類/構造/床面積登記事項証明書(法務局)
マンション一棟の建物の表示/専有部分の建物の表示/敷地権の表示登記事項証明書(法務局)
預貯金金融機関名/支店名/預金種別/口座番号通帳・キャッシュカード
ゆうちょ通常貯金/記号/番号(支店名は不要)通帳
株式証券会社名/支店/口座番号/銘柄/株数取引残高報告書
自動車登録番号/車台番号/車名車検証

預金は「支店・種別・口座番号」まで。残高は書かない

記載例は次のとおりです。

第2条(預貯金)
相続人 山田一郎 は、次の預貯金債権を取得する。
(1)〇〇銀行 名古屋支店 普通預金 口座番号 1234567
(2)〇〇銀行 名古屋支店 定期預金 口座番号 7654321
(3)株式会社ゆうちょ銀行 通常貯金 記号 12345 番号 12345678

残高を書くかどうかは迷うところですが、書かないほうが無難です。死亡日の残高と協議書の金額がずれていると、金融機関から確認を求められることがあります。金額で分けたい場合は「〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号1234567の預金債権のうち2分の1」のように、割合で書きます。

「後日判明した遺産」の条項を必ず入れる

あとから知らない口座が1つ出てきただけで、協議のやり直しになります。「本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人〇〇がこれを取得する」または「相続人全員で別途協議する」の一文を入れておいてください。配布しているひな形には第5条として入れてあります。

署名・実印・印鑑証明書・通数のルール

項目実務上の取り扱い
氏名自署が原則。記名(印字)でも法律上は有効だが、自署のほうが後々もめにくい
押印相続人全員の実印。認印・シャチハタは不可
印鑑登録証明書相続人全員分。相続登記では取得後の期限の定めなし。金融機関は発行後3〜6か月以内を求めることが多い
住所印鑑登録証明書の表記と一字一句そろえる(「1丁目2番3号」と「1-2-3」の混在は避ける)
2枚以上のときページの継ぎ目に相続人全員の実印で契印。ホチキス留めなら見開きに、袋とじなら帯の部分に押す
通数相続人の人数分を作り、各自1通ずつ保管するのが基本。1通だけ作って回すのは避ける
日付最後に押印した日を書く。空欄のままにしない

相続人が遠方にいる場合は、1通を郵送で回して順に押印する「持ち回り」でも構いません。ただし1通しかないと紛失したときに全員に押し直してもらうことになるので、人数分を同時に回すほうが安全です。

よくある差し戻し理由 ワースト7

差し戻される理由直し方
相続人が1人抜けている前婚の子・認知した子・養子を含め、戸籍で全員を確認してから作り直す
不動産が住所で書かれている登記事項証明書の所在・地番・家屋番号に書き換える
地積・床面積の数字違い小数点以下まで登記どおりに。1文字違いでも通らない
口座番号がない・支店名がない通帳を見て4点セットで書き直す
認印が混ざっている該当者に実印で押し直してもらう(訂正印では通らない)
住所が印鑑証明書と違う証明書のとおりに書き直す。引っ越し直後は特に注意
契印が漏れている全員に契印してもらう。1人でも欠けると不可

数字の書き間違いは、二重線と訂正印ではなく、作り直したほうが早く済みます。押印前にPDFで全員に確認してもらってから、印刷して回すのが確実です。

今日の一歩:登記事項証明書を取りに行き、押印のセットを組む

①登記事項証明書は、最寄りの法務局で取れます。実家が県外にあっても、全国どこの法務局の窓口からでも請求できます。1通600円(オンライン請求なら480〜500円)。窓口では「全部事項証明書でお願いします」と伝えてください。現在事項証明書だと出ない情報があります。土地と建物は別々に請求します。

②地番が分からないときは、固定資産税の納税通知書を見てください。付いている課税明細書に、地番と家屋番号が載っています。納税通知書が見つからなければ、市区町村の資産税の担当窓口で名寄帳を取ると、私道など非課税で納税通知書に出てこない土地まで含めて、地番付きの一覧になります。協議書からこの私道が抜けると、あとでその1筆だけ登記できずに残ります。

③遠方の相続人へ送るときは、4点をまとめて封筒に入れます。協議書(人数分)、押す場所に付箋を貼るか位置を書いたメモ、「実印でお願いします。ページの継ぎ目にも契印を」の一文、返信用のレターパック。あわせて印鑑登録証明書の同封をお願いしてください。銀行は発行後3〜6か月以内を求めることが多いので、先に取ってもらうと二度手間になりません。

④出す前に、提出先へ一本電話を入れておくと確実です。法務局は登記手続案内(予約制)で下書きを見てもらえます。銀行には「相続届は何枚必要か」「印鑑登録証明書の有効期限は何か月か」の2点を聞いておくと、窓口で足りない書類が出てきません。

期限の目安:相続放棄は3か月、相続税の申告・納税は10か月、相続登記は取得を知った日から3年です。全員の押印が返ってくるまで数週間かかることがあるため、相続税の申告がある方は10か月から逆算して、遅くとも7〜8か月目には発送してください。

法務局と銀行は、それぞれどこを見ているか

見る点法務局(相続登記)銀行(払戻し・名義変更)
最重要不動産の表示が登記と完全に一致するかその口座が特定できているか
印鑑証明書期限の定めなし3〜6か月以内を求めることが多い
原本の返却相続関係説明図を添えれば戸籍は返却される窓口でコピーを取って原本はその場で返す銀行が多い
所定用紙なし(登記申請書を自分で作る)相続届など銀行所定の用紙に別途署名・実印が必要
期限取得を知った日から3年以内(2024年4月〜義務化)法律上の期限はないが、放置すると相続人がさらに増える

銀行では、協議書とは別に「相続届」という銀行所定の用紙に相続人全員が署名・実印を押す運用が一般的です。協議書があれば免除される、という話ではありません。詳しくは遺産分割協議書を銀行に提出するときにまとめています。

協議書ができたあと、どこに何を出すか

  • 法務局(相続登記):登記申請書、協議書、印鑑証明書、戸籍一式、住民票、固定資産評価証明書。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%。相続関係説明図を添えると戸籍の原本が返ってきます。
  • 銀行・ゆうちょ:協議書、銀行所定の相続届、印鑑証明書、戸籍一式、通帳・カード。
  • 証券会社:協議書と所定用紙。取得する相続人が同じ証券会社に口座を持っている必要がある場合があります。
  • 税務署(相続税の申告が必要な場合):申告書に協議書の写しと印鑑証明書を添付。期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内。

戸籍を何度も出し直すのが面倒であれば、先に法務局で法定相続情報一覧図の写しを取っておくと、以降は1枚で戸籍の束の代わりになります。交付手数料は無料です。

ひな形は埋めたけれど、これで出していいか不安な方へ
相続人が1人でも漏れていると、協議書は最初から作り直しになります。30分の無料相談では、下書きの段階で「相続人の範囲」「財産の書き方」「提出先ごとに足りない書類」を一緒に確認し、そのまま出せる形にして持ち帰っていただけます。愛知県内は対面、それ以外はオンラインです。
お電話 052-766-5650(相談中は折り返しになります)

あわせて読みたい

本記事の制度・手数料は2026年9月時点の情報にもとづいています。登録免許税や証明書の交付手数料は市区町村・法務局により取り扱いが異なる場合があり、金融機関ごとの必要書類も変わります。相続人に未成年者や行方不明者がいる場合、遺言がある場合、相続税の申告が必要な場合は、実際に提出する前に専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

「いまから相続」は、株式会社アシストプラスが運営する、相続の手続き・生前対策・終活に関する情報サイトです。愛知県内の相続相談先の選び方や費用相場、金融機関ごとの手続き、生前対策や終活の進め方など、地域の実情に即した実践的な情報をお届けしています。 なお、運営会社である株式会社アシストプラスには、「あいち相続あんしんセンター」代表を務める司法書士 今井裕司が一部出資しております。この関係性を踏まえ、記事内でのご紹介・ご案内は公平性を保つよう努めています。

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