扶養親族等申告書2027|出さないとどうなる?書き方・提出期限と出さなくてよい人

9月の半ば、日本年金機構から封筒が届く。中には「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」と、返信用の封筒。まだ2026年なのに「令和9年分」とあり、去年は出したかどうかも思い出せない。この時期によくある場面です。

この申告書は、配偶者や家族の控除を、2027年の年金から引かれる所得税と翌年の住民税に反映させるための届け出です。この記事では、出す人・出さなくてよい人、出さないとどうなるか、書き方の迷いどころを整理します。家族が代わりに書くときと、出し忘れたときの扱いもまとめました。内容は2026年10月時点の日本年金機構の案内に基づいています。

この記事の結論
1. 控除に当たる家族や事情(配偶者・扶養している家族・本人の障害・寡婦など)がなければ、出さなくても余分に税金を引かれることはありません。
2. 当てはまるのに出さないと、控除なしで所得税が引かれます。税率は同じ5.105%で、差は控除の分だけ。後から出すか、確定申告で精算できます。
3. 紙の提出期限は、9月に届いた人が2026年10月20日、10月に届いた人が11月30日。スマホなどの電子申請は、どちらも10月20日までです。
※2026年10月時点。出典:日本年金機構「令和9年分の扶養親族等申告書の手続きの開始」(2026年9月3日)ほか
目次

届いた書類は何のためのものか

年金も給料と同じで、一定の額を超えると所得税を差し引いてから振り込まれます。そのとき、配偶者控除や扶養控除、障害者控除などを計算に入れてもらうための届け出が、この申告書です。会社員が勤め先に出す「扶養控除等申告書」の年金版と考えると分かりやすいと思います。

「令和9年分」は、2027年1月から12月に受け取る年金の分という意味です。日本年金機構の案内では、申告の内容は令和9年2月分以降の年金の所得税の計算に使われます。あわせて年金機構から市区町村に伝えられ、翌年の住民税の計算にも使われます。

令和9年分では、次の点が前の年から変わりました。

  • 所得税が引かれていない人も対象に:令和8年度の税制改正により、住民税がかかる程度の年金がある人も、控除に当たる家族や事情があれば提出の対象になりました。
  • 扶養している家族の所得の基準が上がった:年間の所得の見積額が「58万円以下」から「62万円以下」になりました。
  • 配偶者の基準も変わった:配偶者控除の対象は所得62万円以下。配偶者の収入が年金だけなら、65歳以上は年金額172万円以下、65歳未満は122万円以下が目安です(令和8年分は168万円以下・118万円以下)。

送付時期と提出期限(令和9年分)

申告書は年金額によって、届く時期と期限が2つに分かれています。

届く人(令和9年分の年金額)紙の送付時期紙の提出期限電子申請の受付
65歳以上で214万円以上
(65歳未満は164万円以上)
2026年9月7日〜9月30日2026年10月20日9月3日〜10月20日
65歳以上で148万円以上214万円未満
(65歳未満は98万円以上164万円未満)
2026年10月5日〜10月30日2026年11月30日10月2日〜10月20日
出典:日本年金機構「令和9年分の扶養親族等申告書の手続きの開始」(2026年9月3日)。上の段は年金から所得税が引かれる水準の人、下の段は住民税がかかる可能性がある水準の人です。

どちらに当たるか分からなくても心配はいりません。手元の申告書に期限が印刷されているので、それに従えば足ります。

紙の申告書が届かない人もいます。昭和36年1月2日以降に生まれた人には、紙の代わりに電子申請の手引きが届きます。前の年までに電子申請をした人や、ねんきんネットで紙を止める登録(ペーパーレス)をした人には、マイナポータルのお知らせやメールで案内が来ます。

分からないことは、日本年金機構の「扶養親族等申告書お問い合わせダイヤル」で聞けます。番号は0570-081-240(050から始まる電話は03-6837-9932)です。受付は月曜8時30分〜19時、火〜金曜8時30分〜17時15分、第2土曜9時30分〜16時です。市区町村や厚生労働省では、この申告書の相談は受けていません。

出す人・出さなくてよい人の早見表

この申告書は、住民税がかかるかもしれない人まで広めに送られています。住民税がかからない基準は市区町村ごとに違い、年金機構はそれを一人ずつ把握していないため、いちばん低い基準以上の人全員に送っているからです。届いたから必ず出す、という書類ではありません。

あなたの状況提出
一人暮らしで年金だけ。本人は障害者・寡婦・ひとり親のどれにも当たらない不要(基礎控除は出さなくても受けられる)
配偶者はいるが、配偶者の所得が95万円を超えていて、ほかに当てはまる控除もない不要
年金額がお住まいの市区町村の「住民税がかからない基準」に届かない不要
受給者本人がすでに亡くなっている不要(年金事務所への死亡の届け出が先)
所得62万円以下の配偶者がいる(年金だけなら65歳以上で172万円以下)必要(配偶者控除)
所得62万円超95万円以下の配偶者がいる(本人の所得が900万円以下の場合)必要(配偶者特別控除)
所得62万円以下の子・孫・親などを養っている(16歳以上)必要(扶養控除)
本人または家族が障害者に当たる(16歳未満の家族を含む)必要(障害者控除)
本人が寡婦・ひとり親に当たる必要
退職金を受け取る見込みの配偶者や家族を養っている必要(退職金を除いた所得の記入が要る場合あり)
出典:日本年金機構「扶養親族等申告書の記入項目について」、年金Q&A(扶養親族等申告書の提出)(2026年10月時点)。「必要」の行も、年金額が送付の基準に達している人が対象です。

「所得」は収入そのものではなく、収入から一定の控除を引いた金額です。家族の収入が年金だけでなく、パートの給料などもある場合は判断が少し複雑になります。当てはまるか迷うときは、先ほどのお問い合わせダイヤルで確かめられます。

出さないとどうなるか:違いは「控除の分」だけ

控除に当たる家族や事情がある人が出さないと、年金から引かれる所得税は控除がない状態で計算されます。税率は、出しても出さなくても同じ5.105%です。日本年金機構が示している計算の仕方を並べると、違いがよく分かります。

場合1回の年金から引かれる所得税の計算
申告書を出した(年金の支給額 − 社会保険料 − 基礎控除 − 配偶者控除などの各種控除)× 5.105%
申告書を出さなかった(年金の支給額 − 社会保険料 − 基礎控除)× 5.105%
出典:日本年金機構 年金Q&A「扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか」(令和9年2月分以降の年金に適用)。社会保険料は年金から天引きされる介護保険料と、国民健康保険料または後期高齢者医療の保険料です。基礎控除は65歳以上なら「1か月分の年金額×25%+11万円(最低18万円)」、65歳未満は最低14万円です。

つまり、出さなかった場合は、本来引ける控除の分だけ所得税が多めに引かれます。住民税も同じで、翌年の住民税に配偶者や扶養の控除が反映されません。住民税で控除を受けるには、別に確定申告か市区町村への申告が必要になります。

多く引かれた所得税は、翌年の確定申告をすれば戻ってきます。期限を過ぎてから申告書を出した場合も、年金機構がさかのぼって計算し直します。控除に当たるものが何もない人は、出さなくても余分に引かれることはありません。

なお、ご自身がどの控除に当たるか、出すと出さないでいくら違うかは、家族の収入やほかの所得で変わります。ここでは仕組みの説明にとどめます。個別の計算が必要な場合は、提携の税理士が確認します。

書き方の要点:よくある迷いどころ

紙の申告書には、前の年に申告した内容が印刷されていることがあります。そのうえで、迷いやすいところを欄ごとにまとめます。

  • 前の年と同じなら「ア」に丸と氏名だけ:「ア.前年から『変更なし』で申告します。」に丸をつけ、氏名を書けば、ほかの欄は書かなくて構いません。はんこも要りません。
  • いつの時点で書くか:申告書を出す日の状況で書きます。家族の所得は2027年1年間の見積もり、年齢は2027年12月31日時点で判断します。
  • 配偶者の欄:配偶者の所得が62万円以下なら配偶者控除、62万円超95万円以下なら配偶者特別控除の対象です。配偶者が70歳以上なら「老人」に、一緒に住んでいれば「同居」に丸をつけます。
  • 扶養している家族の欄:所得62万円以下の家族が対象です。19〜22歳の家族は、所得が62万円を超えても85万円以下なら「特定親族」として対象になります。別に住んでいる家族は、裏面の「摘要」欄(自由に書き添える欄)に名前と住所を書きます。
  • 16歳未満の孫など:扶養控除の対象にはなりません。ただし障害者に当たる場合は、障害者控除が受けられます。
  • 障害者の欄:「普通障害」か「特別障害」を選びます。裏面の摘要欄に、名前、手帳などの種類と交付された年月日、障害の程度を書きます。証明書の添付は要りません。介護保険の要介護度や障害年金の等級とは、直接は関係しません。
  • 寡婦・ひとり親の欄:本人の所得が500万円以下で、今は結婚していない(または配偶者の生死が分からない)人が対象です。夫と死別した女性で扶養している家族がいない場合などは「寡婦」に当たります。子どもを養っている場合は「ひとり親」です。
  • マイナンバー:控除の対象にする家族それぞれについて、個人番号の欄に記入します。
  • 汚した・なくした:日本年金機構のホームページから様式を印刷し、記入して出せます。
  • 返信用封筒の切手:自分で貼ります。普通郵便なら110円です。

気をつけたいのは、前の年から家族の状況が変わったのに「変更なし」に丸をつけてしまうことです。配偶者が亡くなった、子どもが独立した、家族が障害者手帳を受け取った。こうした年は「ア」ではなく、欄を書き直します。

スマホ・パソコンで出す(電子申請)

マイナポータルから「ねんきんネット」につなぎ、画面に沿って入力します。用意するのは次のものです。

  • 年金を受け取っている本人のマイナンバーカード
  • カードの「署名用電子証明書」の暗証番号(英数字6〜16桁)
  • マイナンバーカードを読み取れるスマホ(パソコンならカードを読み取る機器「ICカードリーダライタ」)

受付は2026年9月3日から10月20日まで(10月に送付される人は10月2日から)です。10月に届いた人は、紙なら11月30日まで間に合いますが、電子申請は10月20日で締め切られます。

旧法の老齢年金を受けている人と、国外に住む家族を控除の対象にする人は、電子申請を使えません。後者は添付書類が必要なためです。

入力を間違えたときは、ねんきんネットの「申請済みの届書を確認する」で中身を見て、「申告内容を修正し再提出する」から出し直せます。紙と電子の両方を出した場合は、原則として電子申請の内容が使われます。なお、一度電子申請をすると、翌年からは紙の申告書が届かなくなります。

家族が代わりに書くとき

日本年金機構のQ&Aでは、本人が高齢で記入できない場合、家族が代わりに書いて問題ないとされています。その際は、受給者氏名の欄には本人の名前を書きます。そして裏面の摘要欄に「子 ○○ ○○ 代筆」のように、代わりに書いたことを書き添えます。

成年後見人(判断が難しくなった人のお金の管理を、家庭裁判所に選ばれて担う人)が手続きをしている場合も、受給者氏名は本人の名前です。摘要欄に「成年後見人 ○○ ○○」と書き添えます。

電子申請は、本人のマイナンバーカードで署名する仕組みです。家族自身のカードは使えません。親が操作できない場合は、紙で代筆するほうが確実です。

親が亡くなった後に申告書が届いた場合は、出す必要はありません。まだなら、年金事務所か街角の年金相談センターに死亡の届け出をします。市区町村への死亡届とは別の手続きです。受け取っていない年金(未支給年金)の請求もあわせて確認してください。

出し忘れた・出したあとで変わったとき

  • 期限を過ぎてしまった:気づいた時点で出せば大丈夫です。いったん控除なしで所得税が引かれますが、提出後にさかのぼって計算し直されます。
  • 11月に案内が届く:10月20日までに出していない人には、2026年11月に改めて案内が届く予定です。電子申請で案内を受けている人にはハガキ、昭和36年1月2日以降生まれの人には紙の申告書が届きます。
  • 出したあとで状況が変わった:結婚した、障害者になった、家族が扶養の条件から外れた。こうした変化は申告書を出し直すのではなく、翌年の確定申告で税金の過不足を精算します。
  • 申告書を出していても確定申告が要ることがある:年金以外に給料などの収入がある場合や、2か所以上から年金を受け取っている場合です。年金が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら確定申告は要らない仕組みもありますが、税金を戻してもらうには申告が必要です。

確定申告が要るかどうかの目安と、申告したほうがよい場合は「年金受給者の確定申告|400万円の不要条件と申告したほうがよい人」で詳しく整理しています。

今日できる一歩
1. 申告書に印刷された提出期限(10月20日か11月30日)を確かめ、カレンダーに書き込む。
2. 去年から家族の状況(配偶者の収入、同居か別居か、障害者手帳)が変わっていないか確かめる。変わっていなければ「ア」に丸をつけ、氏名を書いて投函する。
3. 早見表で控除に当たるものが何もなければ、出さなくてよい。迷うときはお問い合わせダイヤル(0570-081-240)で確かめる。
相談現場から
よく伺うのは、親宛に届いた申告書を子どもが見つけ、書き方が分からず手が止まっているという場面です。申告書そのものは、年金機構の案内どおりに書けば済みます。ただ、親の書類を代わりに書くようになった時期は、家族で話し始めるよい機会でもあります。親の預金がどこにいくらあるか。親が判断できなくなったら、お金をどう動かすか。
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参考にした公的情報

本記事は2026年10月時点の日本年金機構の公開情報に基づく一般的な内容です。控除に当たるかどうかや税額は、家族の収入やほかの所得によって変わります。個別の判断は、日本年金機構のお問い合わせダイヤルや税務署、税理士にご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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