病院の受付で、順番を待つ人の列の先頭に立つ。機械の画面には「カードを置いてください」。顔を映したがうまくいかず、画面は暗証番号を聞いてくる。数字が思い出せない。
マイナ保険証は、使い方が分かっていれば難しくありません。うまくいかなかったときの逃げ道もあります。この記事では、受付の流れ、持っていない親の受診のしかた、暗証番号を忘れたときの再設定を、2026年10月8日時点の厚生労働省・デジタル庁・J-LISの案内で整理します。
この記事の結論
- 受付の機械(顔認証付きカードリーダー)にカードを置き、顔認証か暗証番号で確認します。うまくいかないときは、職員が「目視モード」に切り替えて受け付けてくれます。
- マイナ保険証を持っていない人は、「資格確認書」で受診できます。持っていない人には申請なしで届くのが基本で、持っていても使いにくい高齢の人は申請して受け取れます。
- 暗証番号は3回間違えるとロックされます。市区町村の窓口で再設定できます。不安な人は、暗証番号がいらない「顔認証マイナンバーカード」も選べます。
マイナ保険証とは|いま病院で使える書類
マイナ保険証とは、健康保険証として使う登録(利用登録)をしたマイナンバーカードのことです。従来の紙やプラスチックの保険証は、有効期限が2025年12月1日で終わりました。期限が切れた保険証でも受診できた特例の扱いも、2026年7月31日で終わっています。
いま病院や薬局で出す書類は、次のとおりです。名前が似た書類があるので、並べて見てみます。
75歳以上の方の書類の届き方は、2026年8月から変わりました。愛知県の例は資格確認書2026|75歳以上の親の保険証はどうなる?にまとめています。他の都道府県の方は、加入している後期高齢者医療広域連合の案内で確かめてください。
病院での使い方|受付の流れ
医療機関と薬局の受付には、「顔認証付きカードリーダー」という機械が置かれています。流れは次のとおりです。
- 機械にマイナンバーカードを置きます。
- 顔認証をします。うまくいかないときは、4桁の暗証番号を入れます。
- 画面の案内に従い、過去の薬や診療の情報を医師や薬剤師に見せてよいか、同意するかを選びます。
- 受付が終わったら、カードを忘れずに受け取ります。
帽子やメガネをしていると、顔認証の反応が悪くなることがあります。うまくいかないときは、はずして映してみてください。
利用登録をしていない場合は、その場の機械でも登録を案内してもらえます。登録しているかどうかは、マイナポータルで確かめられます。登録は、マイナポータルのほか、病院などの顔認証付きカードリーダー、セブン銀行のATMでもできます(デジタル庁)。
カードのICチップには、税や年金、病歴のような情報は入っていません。カードだけを拾われても、顔認証か暗証番号がなければ、医療の情報は引き出せません(デジタル庁)。
機械がうまく使えないとき
顔認証がうまくいかない、暗証番号を思い出せない、機械の調子が悪い。そんな場面でも、受診を断られたり、全額を払わされたりするわけではありません。受付の職員に声をかけてください。
本人がカードを機械に置けないときは、本人が望めば、家族や介助者、施設の職員が置くのを手伝えます。ただし、手伝うのは本人の前で行うことが前提とされています(厚生労働省)。
暗証番号を忘れたら|ロックと再設定
受付で使う暗証番号は、4桁の数字です。J-LISによると、3回続けて間違えるとロックがかかります。ロックされたり、忘れたりしたときは、初期化して新しい番号を決め直します。
受付の4桁は「利用者証明用」の暗証番号です。コンビニ交付やマイナポータルのログインにも、同じ番号を使います。覚えにくいときは、書いたメモをカードと一緒にしまわないでください。落としたときに、カードと暗証番号が同時に知られてしまいます。
高齢の親が持っていないとき|資格確認書で受診
マイナンバーカードを持っていない親、持っていても使っていない親は、資格確認書で受診できます。誰に申請なしで届き、誰が申請すると受け取れるのかは、厚生労働省が次のように整理しています。
資格確認書の有効期限は5年以内で、加入している医療保険者(国民健康保険なら市区町村、会社の健康保険なら健保組合など)が決めます。形や大きさ、色も保険者によって違うため、書類に「資格確認書」と書かれているかを見てください。
申請は、法定代理人や介助者などが代わりにできます。申請先は、親が加入している医療保険者です。保険証の発行元だった窓口に聞くのが近道です。
お金の面では、2026年8月から高額療養費の上限額も見直されています。窓口で払う医療費の上限は、高額療養費2026年8月見直し|70歳以上の上限額で確かめられます。
暗証番号と家族|預かる前に知っておきたいこと
親のカードの暗証番号を、子が書きとめて預かる。親切のつもりでやりがちですが、厚生労働省は、暗証番号を原則として法定代理人以外の人に知らせるのは適当ではない、としています。
- 管理が不安なとき:暗証番号を設定しない「顔認証マイナンバーカード」を選べます。おもて面の右下に「顔認証」と書き足され、暗証番号では認証できません。保険証としては使えますが、マイナポータルやコンビニ交付など、暗証番号が必要なサービスは使えなくなります。切り替えは、本人か代理人が市区町村の窓口へ行って手続きします。
- 施設に入る親:入所の契約や預かり証で合意すれば、施設がカードを管理することもできます。鍵つきの保管場所を使う、出し入れの日時を記録する、扱う職員の範囲を決めておく、といった方法が例に挙げられています。資格確認書も、従来の保険証と同じように施設で管理できます。
- 認知症などで窓口へ行けないとき:マイナンバーカードの受け取りは、本人が行けない事情を示す書類(診断書、障害者手帳、施設入所の証明など)をそろえれば、代理人ができます。
よくある質問
従来の保険証は、もう使えませんか
使えません。有効期限が2025年12月1日で終わり、期限が切れた保険証での受診という特例も2026年7月31日で終わりました。手元に古い保険証が残っていたら、病院で出す書類は、マイナ保険証か資格確認書に切り替えてください。
暗証番号を決めたかどうか、覚えていません
顔認証がうまくいけば、暗証番号なしで受付できます。顔認証もだめなときは、目視モードで受け付けてもらえます。暗証番号は、市区町村の窓口で再設定できます。
機械の故障で、全額を払うことになりませんか
カードリーダーの不具合などで受付がうまくいかなくても、医療費が全額自己負担になるわけではありません。カードを出して、職員の案内に従ってください。
マイナンバーカードを取り扱っていない病院に行ったときは
マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に連絡するよう案内されています。資格確認書があれば、その病院では資格確認書で受診できます。
今日できる一歩
1. 親の手元にある書類の名前を見る。「資格確認書」「資格情報のお知らせ」「従来の保険証」のどれなのか、書類の名前から確かめます。
2. マイナ保険証の利用登録があるかを調べる。マイナポータルか、次の通院のときに受付の機械で確かめます。
3. 暗証番号が心配なら、窓口に聞く。市区町村や保険者に、「顔認証マイナンバーカード」への切り替えや、資格確認書の申請ができるかを聞いてみます。
参考にした公的情報
- 厚生労働省「資格確認書について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45470.html
- 厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/50.html
- 厚生労働省「高齢者・障害者等の要配慮者の方々におけるマイナンバーカードの健康保険証利用について(支援者・ご家族向け説明資料)」https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001321214.pdf
- デジタル庁「マイナ保険証に関するよくある質問」https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/faq-insurance-card/
- デジタル庁ニュース「健康保険証の切り替えと資格確認書」https://digital-agency-news.digital.go.jp/articles/2025-07-22
- J-LIS「マイナンバーカードの暗証番号がわかりません。どうしたらよいでしょうか?」https://www.kojinbango-card.go.jp/faq_pin3/
※本記事は2026年10月8日時点の公的機関の公開情報にもとづく一般的な整理です。資格確認書の交付の対象や有効期限、暗証番号の再設定の方法は、加入している医療保険者や市区町村で異なる場合があります。受診のしかたや個別の事情については、加入先の保険者や市区町村の窓口へご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
