衣替えでタンスを整理していたら、何年も袖を通していない服と、実家から持ち帰った着物や帯が出てきた。捨てるのはもったいない気がするが、売ればお金になるのかも分からない。そんなときに迷いやすい手放し方を、ひとつずつ整理します。
内容は2026年10月8日時点の、国民生活センター・環境省・自治体の案内にもとづいています。
この記事の結論
- 着られる服は「譲る・売る・古着回収」、傷んだ服は自治体の古着回収かごみ、と状態で出し先を分けます。環境省は、多くの自治体が古着を資源として回収していると案内しています。
- 着物は、値が付くかどうかが種類や状態で大きく変わります。売るつもりでも、先に家族へ「着たい人はいないか」を聞きます。
- 突然訪ねてきて買い取る業者は、家に入れません。契約書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができ、その間は物を渡さなくてよいと、国民生活センターが案内しています。
服の手放し方は5つ。状態で選ぶ
服の手放し方は、大きく分けて5つあります。まだ着られるか、傷みや汚れがあるかで、向く方法が変わります。
喪服や礼服は、冠婚葬祭でまた必要になることがあります。手放す前に、数年後に着る場面があるかを一度考えてみてください。
自治体の古着回収は、市区町村で決まりが違う
環境省は、多くの自治体が古着を資源として回収していると案内しています。お住まいの市区町村のホームページで「古着 回収」と調べるよう呼びかけています。
例として、名古屋市の案内を見てみます。名古屋市では、衣類はどんなものでも出せるとされ、シミや破れ、ボタンが取れたものも出せます。出し方は、自宅に保管してある状態で透明か半透明の袋に入れ、口をしっかり結びます。雨に濡れるとリユースもリサイクルもできなくなるため、濡れないように出します。
一方、わたの入った布団、座布団、枕、クッション、じゅうたん、カーペット、マット類は、この回収には出せません。ハンガーなど衣類以外のものも、袋に入れてはいけません。
同じ古着回収でも、市によって扱いは違います。堺市の案内では、洗濯して乾いたものを出し、汚れたものや濡れたものは出せないとされています。お住まいの市区町村の窓口やホームページで、先に確かめてください。
着物・帯は、服とは別に考える
着物は、一枚ずつ価値が違い、思い入れも大きい品です。手放し方の選択肢も、服より多くなります。
名古屋市の古着回収の案内には、着物についての記載がありません。着物や帯を回収に出せるかどうかは、市区町村のごみの窓口や、回収先に確かめてください。
買い取りに出すときは、売る前に次のことをしておくと安心です。
- たとう紙(着物を包む紙)や、証紙(産地などを示す紙)、仕立ての書付が残っていれば、一緒にしておく。
- タンスから全部出して、数と状態を確かめ、写真を撮っておく。
- 複数の店や業者に見てもらい、金額や条件を比べる。
- 売る前に、家族の誰かが欲しくないか聞く。
着物の金額の目安は、ここには書いていません。種類、産地、状態、仕立て、証紙の有無などで大きく変わり、公的な機関が示す相場も確認できなかったためです。
突然訪ねてくる買い取り業者には要注意
着物や貴金属などの買い取りでは、業者が自宅に来て買い取る「訪問購入」のトラブルが出ています。国民生活センターによると、訪問購入の相談は2022年度に7,722件ありました。契約した人のうち60歳以上は、全体の8割近くを占めています(2023年9月27日公表)。
事例には、不用なお皿を売るつもりだったのに、売る気のなかった貴金属まで強引に買い取られた、というものがあります。2024年9月の発表では、ふと目を離した隙に金のネックレスやダイヤの指輪を持ち去られた例や、母の形見の指輪を強く求められた例が紹介されています。
国民生活センターは、次のように呼びかけています。
- 突然訪問してきた購入業者は、決して家に入れないようにしましょう。
- 購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しないようにしましょう。
- 購入業者から勧誘を受けて訪問を承諾する場合は、一人では対応しないようにしましょう。
法律で決まっていること
- 突然訪ねてきて、買い取りを勧誘することは禁止されています(特定商取引法)。
- 契約書面を受け取った日から8日以内は、クーリング・オフ(契約を取り消す制度)ができます。
- クーリング・オフができる期間内は、業者に物を渡すことを断れます。
- 家電、家具、自動車(二輪を除く)、有価証券、CD、DVD、ゲームソフトなどは、このルールの対象外です。衣類や着物は、この例に含まれていません。
消費者ホットライン「188(いやや!)」は、お住まいの地域の消費生活センターなどを案内する、全国共通の3桁の番号です。
親の着物・服を片付ける人へ
親の家の整理では、着物や服は後回しになりがちです。親が元気なうちに、次の3つを聞いておくと、あとで迷いません。
- 誰に残したいか。
- 売ってもよいか。
- 思い出があって、手放したくないものはどれか。
処分の前には、たとう紙の間、帯の箱、タンスの引き出しの奥も一度確かめます。通帳や貴重品が紛れていることがあるためです。実家全体の進め方は実家の片付けの進め方、亡くなったあとに守るものは遺品整理で捨ててはいけないものにまとめています。
今日できる一歩:まず3つだけ確かめる
全部を一度に片付ける必要はありません。次のうち、できるものから始めてください。
- 市区町村名と「古着 回収」で検索し、出し方を調べる。
- 着物は、数と状態が分かる写真を撮り、家族に送って「着たい人はいる?」と聞く。
- 「着物を買い取ります」という電話があったら、番号をメモして断る。
よくある質問
汚れた服や、穴の開いた服も古着回収に出せますか。
市区町村によって違います。名古屋市ではシミや破れのあるものも出せますが、堺市では汚れたものは出せません。出す前に、お住まいの自治体の案内で確かめてください。
着物は、燃えるごみに出してもよいですか。
ごみの出し方は市区町村が決めています。まだ着られるものや、譲れる相手がいるものは、先に譲ることや回収を考えます。傷みが大きいものは、自治体の決まりに従って出します。
着物はいくらで売れますか。
金額は、種類や産地、状態、仕立て、証紙の有無などで大きく変わります。この記事では目安を示せません。複数の店で見てもらい、金額や条件を比べてください。
自分から呼んだ出張買い取りでも、クーリング・オフはできますか。
契約の内容や状況によって、扱いが変わることがあります。サインの前に、書面にクーリング・オフの案内が書かれているかを確かめ、迷ったら消費者ホットライン188に電話してください。
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参考にした公的情報
- 国民生活センター「不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!」(2023年9月27日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230927_1.html
- 国民生活センター 同上の報告書本文(PDF) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20230927_1.pdf
- 国民生活センター「きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブルにご注意を!」(2024年9月18日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240918_1.html
- 環境省「サステナブルファッション」 https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
- 名古屋市「衣類・布類はリユース・リサイクルに出しましょう!」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/gomi/1012351/1012389/1012390.html
- 堺市 ごみ減量・リサイクルの冊子(衣類のリユース・リサイクル) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/gomi/gomi_recy/chousa/sasshi/ichiran.files/reuse.recycle.pdf
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報にもとづく一般的な情報です。ごみの出し方は市区町村で異なります。契約や買い取りについて個別の判断が必要なときは、消費生活センター(188)などにご相談ください。
