親が亡くなり、自分が喪主になった。葬儀社の担当者に「まず何から決めましょうか」と聞かれても、通夜と告別式の違いさえはっきりしない。そんな状態で喪主を務める方は少なくありません。
この記事では、亡くなってから精進落としまでの葬儀の流れを、喪主がやることと一緒に時系列の表にしました。通夜・葬儀・告別式の違いも表で比べ、そのまま使える喪主のあいさつの例文ものせています。家族葬の流れは一般葬と同じ順番で、違うのは知らせ方と辞退の伝え方です。呼ぶ範囲の決め方と知らせる文例も、節を分けて書きました。内容は2026年10月時点で、葬儀の業界団体や法務省などが公開している案内をもとにした一般的な整理です。作法や順番は宗教・宗派・地域で違うため、迷ったときの確かめ方もあわせて書きます。
先に結論:喪主の仕事は「決めること」と「あいさつ」。通夜は前夜、葬儀・告別式は翌日
この記事の結論
- 流れ:臨終→搬送・安置→葬儀社との打ち合わせ→納棺→通夜→葬儀・告別式→出棺→火葬→精進落とし、の順が一般的です。火葬は法律で、亡くなってから24時間たつまで行えません。
- 違い:通夜は葬儀の前夜に故人のそばで過ごす儀式、葬儀は故人の冥福を祈る宗教的な儀式、告別式は宗教的な意味合いのないお別れの場です。いまは葬儀と告別式を続けて行うのが一般的です。
- 喪主の役目:葬儀社との打ち合わせで形式・日程・費用を決めることと、通夜の終わり・出棺の前・精進落としでのあいさつが中心です。細かな段取りは葬儀社が手伝ってくれます。
鎌倉新書の2026年の全国調査では、喪主を務めた人の63.8%が、葬儀の事前準備を「していなかった」と答えています。準備がなくても、流れを先に知っておけば、その場で何を決めればよいかが見えてきます。
葬儀の流れと喪主がやること【時系列の表】
仏式で、通夜と葬儀・告別式を2日に分けて行う形を例にしています。家族葬でも、流れはほとんど同じです。
死亡届の書き方や出す場所は死亡届の出し方と書き方(期限7日・出す場所・届出人)に、火葬のあとに受け取る書類は埋葬許可証とは(火葬許可証との関係・納骨で出す先)にまとめています。
通夜・葬儀・告別式の違い【比較表】
3つは混同されやすい言葉です。全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は、葬儀を「故人の冥福を祈る宗教的な儀式」、告別式を「宗教的な意味合いはありません」と説明しています。通夜は、葬儀の前夜に遺族や親しい人が故人のそばで過ごす儀式です。
葬儀と告別式は、いまは続けて1つの式として行うのが一般的
全葬連は、現代では葬儀と告別式を連続して行うのが一般的なため、混同されやすいとしています。案内状に「葬儀・告別式 〇時より」とあれば、1つの式と考えて構いません。葬儀のあとに20分ほど休憩をはさみ、告別式に移る流れも紹介されています。
通夜の開始は、夏は19時ごろ、冬は18時ごろが目安とされます。本来は夜通し故人のそばにいる儀式でしたが、いまは日中の式に来られない人のお別れの時間という意味合いが強くなっています。
一日葬・家族葬の場合
一日葬は、通夜をせず、葬儀・告別式と火葬を1日で行う形です。家族葬は呼ぶ人を絞った形で、通夜から火葬までの流れは一般の葬儀とほぼ同じです。形ごとの費用の目安は、葬儀費用の相場2026(誰が払う?親の口座から払う方法)に全国調査の数字を表にしています。
亡くなってから葬儀までの日数と、日程の決め方
火葬は、ほかの法令に別の定めがある場合を除き、亡くなってから24時間を過ぎないと行えません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。日程は、この24時間と、火葬場の空き、お寺(宗教者)の都合、親族が集まれる日の4つで決まります。
亡くなった翌日に通夜、その翌日に葬儀・告別式という日程はよく見られます。ただ、火葬場が混み合う時期や、休みの日が重なると、数日待つこともあります。待つ日数が延びると、安置の費用やドライアイスの費用が日数分かかるのが一般的です。ドライアイスの費用が増える仕組みは、葬儀費用の相場の記事で説明しています。
友引の日は避けるもの?
六曜の友引に葬儀を避ける考え方が残る地域があり、友引を休みにしている火葬場もあります。気にするかどうかは家や地域で違います。親族の年長者や葬儀社に確かめてから日を決めると、あとで行き違いが起きにくくなります。
葬儀社との打ち合わせで喪主が決めること
打ち合わせは、安置が済んだ直後に始まることが多く、疲れた中で多くを決めることになります。次の順に確かめると、決め漏れが減ります。
- 宗教と菩提寺:仏式か、神式・キリスト教式・無宗教か。菩提寺があれば、日程より先にお寺の都合を聞きます。
- 葬儀の形:一般葬・家族葬・一日葬・火葬式のどれにするかを決めます。
- 日程と場所:火葬場とお寺の空きに合わせて、通夜と葬儀・告別式の日時、会場を決めます。
- 知らせる範囲:親族、故人の友人、勤務先、近所のどこまで知らせるか。家族葬なら、あとから知った人への伝え方も考えておきます。
- 見積もり:プランに含まれるものと、日数や人数で増えるもの(安置料、ドライアイス、料理、返礼品など)を分けて書いてもらいます。
- 遺影の写真:ピントが合い、顔が大きめに写っている写真を選びます。スマートフォンの写真でも使えることがあります。
- 役割分担:受付、香典の管理、弔電を読む順など、親族で手分けすることを決めます。
同じ全国調査では、自分で葬儀社を決めた人の87.1%が、1社だけで、または見積もりを取らずに決めていました。時間がないときでも、見積書は書面で受け取り、何が追加になり得るかを聞いておくと、支払いのときに慌てずに済みます。
お坊さんを呼ばない形を考えている場合は、無宗教の葬儀の流れと、菩提寺がある場合の注意も先に読んでおくと安心です。
家族葬の流れ:順番は一般葬と同じ、違うのは「知らせ方」と「辞退の伝え方」
家族葬は、呼ぶ人を家族や親しい人に絞って行う葬儀です。通夜から火葬までの順番は、一般の葬儀とほとんど変わりません。喪主の手間が変わるのは、式そのものより「誰に、いつ、どう知らせるか」と「香典や弔問をどう断るか」です。家族葬を選ぶときに喪主がやることを、日を追って表にしました。
どこまで呼ぶか・いつ知らせるかの決め方
家族葬に「何親等まで」という決まりはありません。迷ったら、知らせる相手を次の3つに分けると決めやすくなります。故人が生前に話していた希望があれば、それを優先します。
呼ぶ範囲が親族の一部だけになるときは、呼ばない親族にも葬儀の前に電話を入れておくと、あとで「なぜ知らせてくれなかったのか」となりにくくなります。
家族葬の知らせ方の文例(参列のお願い・辞退のお願い・事後のお知らせ)
参列をお願いする人へ
父〇〇が〇月〇日に亡くなりました。葬儀は家族葬で行います。〇〇さんには父も大変お世話になりましたので、ぜひお見送りいただければと思います。通夜は〇日〇時から、告別式は〇日〇時から、〇〇会館です。
参列や香典を遠慮してもらう人へ(勤務先など)
父が〇月〇日に亡くなりました。葬儀は故人の希望により、近親者のみの家族葬で執り行います。誠に勝手ながら、ご参列・ご香典・ご供花はご辞退申し上げます。〇日から〇日までお休みをいただきます。
葬儀のあとに送るお知らせ
父〇〇が〇月〇日に永眠いたしました。葬儀は故人の遺志により、近親者のみで執り行いました。ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げます。なお、ご香典・ご供花等はご辞退申し上げます。生前のご厚情に、心より御礼申し上げます。
会社への連絡の順番や電話・メールの文例は、葬儀の連絡の順番と例文にもまとめています。
あとから弔問したいと言われたとき
家族葬では、葬儀のあとに「お線香をあげに行きたい」という申し出が続くことがあります。受けるかどうか、受けるなら日を決めて何人かまとめて来てもらうかを、家族で先に決めておくと負担が減ります。香典を辞退している場合でも、弔問の場で差し出されたら「お気持ちだけいただきます」と伝えて断って構いません。受け取った場合は、四十九日のあとに香典返しを用意します。
家族葬でも、健康保険から葬祭費や埋葬料が出る場合があります。対象になるかは、故人が加入していた健康保険や市区町村の案内で確かめます(申請先は下の「葬儀のあとに喪主がすること」を参照)。参列する側から見た流れとマナーは、葬儀の流れとマナー(参列者の到着から帰宅まで)にまとめています。
喪主のあいさつ例文(通夜・出棺・精進落とし)
喪主のあいさつは、通夜の終わり、告別式の最後(出棺の前)、精進落としの始めと終わりが主な場面です。長い話は要りません。参列へのお礼、故人の様子をひとこと、これからのお付き合いのお願い、の3つが入れば十分です。紙に書いたものを読み上げても構いません。
「重ね重ね」「たびたび」のように、不幸が重なることを思わせる言葉は避けます。避けたい言葉の一覧は、弔電の送り方と文例の表が参考になります。〇〇の部分は、故人の名前や続柄に書きかえてください。
例文1 通夜の終わりのあいさつ
本日はお忙しいところ、父〇〇の通夜にお越しいただき、誠にありがとうございました。父は〇月〇日、〇〇歳で息を引き取りました。
生前、皆さまには大変お世話になりました。故人に代わりまして、心よりお礼申し上げます。
ささやかではございますが、別室にお食事を用意しております。父の思い出話などお聞かせいただければ幸いです。
なお、明日の葬儀・告別式は〇時より、こちらの会場で執り行います。本日は誠にありがとうございました。
例文2 出棺の前のあいさつ(告別式の最後)
遺族を代表いたしまして、ひとことごあいさつを申し上げます。本日はご多用のところ、母〇〇の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
母は長く療養しておりましたが、最期は家族に見守られ、穏やかに旅立ちました。
こうして多くの皆さまにお見送りいただき、母も喜んでいることと思います。生前に賜りましたご厚情に、心より感謝申し上げます。
残された私どもにも、変わらぬお付き合いをいただけますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
例文3 精進落としの始めのあいさつ
本日は最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。おかげさまで、葬儀・告別式を滞りなく終えることができました。
ささやかですが、お食事をご用意いたしました。故人の思い出話などをしながら、どうぞゆっくりお召し上がりください。
例文4 精進落としの終わりのあいさつ
皆さま、本日は長い時間ありがとうございました。まだごゆっくりしていただきたいところですが、お疲れのことと存じますので、このあたりでお開きとさせていただきます。
四十九日の法要につきましては、改めてご案内いたします。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
全葬連は、精進落としの宴は長くならないよう、1時間から1時間半くらいで切り上げるとしています。家族だけの葬儀なら、ここまで改まった言い方でなくても構いません。「今日は来てくれてありがとう。おかげで無事に送り出せました」と、自分の言葉で伝えれば十分です。
葬儀のあとに喪主がすること
火葬が終わっても、喪主の役目はもう少し続きます。慌てなくてよいものも多いので、期限のあるものから順に片づけていきます。
- 葬儀社への支払い:請求書を見積書と見比べます。領収書は、あとで相続人どうしで精算するときや相続税の申告で使うので、捨てずに保管します。
- お寺へのお布施:葬儀の当日か後日に渡します。封筒の書き方はお布施の書き方にまとめています。
- 香典の整理と香典返し:芳名帳と金額を記録しておきます。返す時期と品物の目安は香典返しの相場と時期で確かめられます。
- 葬祭費・埋葬料の申請:健康保険から、葬儀をした人に出るお金です。申請しないと受け取れません。葬祭費・埋葬料の申請方法をご覧ください。
- 四十九日の準備:お寺に日取りを相談します。四十九日法要の流れと準備リストに、いつまでに何を決めるかを並べています。
- 役所・年金・銀行の手続き:期限の早い順は死亡後の手続き一覧表で確かめられます。
親の口座が止まり、葬儀費用を家族で立て替えた場合は、親が亡くなったら銀行口座はすぐ止まる?(葬儀費用の払い戻し)で払い戻しの仕組みを説明しています。
葬儀のあと、相続の手続きをうちの場合は何から始めればいいか知りたいときは、30分の無料相談で、書類を見ながら一緒に整理できます。
今日できる一歩
- 葬儀社の見積書を受け取り、日数や人数で増える項目に印をつける
- 通夜と出棺のあいさつの例文に、故人の名前と思い出を一つ書き入れておく
- 菩提寺の連絡先と、知らせる人の一覧を、家族で分担して確かめる
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
葬儀の流れと喪主についてよくある質問
喪主は誰がなるものですか?
法律の決まりはありません。故人の配偶者や子が務めることが多く、故人の希望や家族の話し合いで決めます。配偶者が高齢の場合などは、子が喪主を務めることもあります。
喪主と施主はどう違いますか?
喪主は遺族の代表として弔問を受ける人、施主は葬儀の費用を負担し運営する人を指すのが一般的です。同じ人が両方を務めることがほとんどですが、喪主が高齢で、子が施主として費用を出す形もあります。
通夜をせずに、葬儀・告別式だけにしてもいいですか?
通夜を行わない「一日葬」という形があります。菩提寺がある場合は、通夜を省いてよいか先にお寺へ相談します。親族の中に通夜に出たい人がいないかも、確かめておくと安心です。
喪主のあいさつは、紙を見ながら読んでもいいですか?
構いません。気持ちが張りつめている中で、言葉に詰まるのは自然なことです。例文をもとに短く書いておき、ゆっくり読み上げれば十分に伝わります。
亡くなってから葬儀まで、何日くらいかかりますか?
決まった日数はありません。火葬は亡くなってから24時間を過ぎないとできず、火葬場とお寺の空きで日程が決まります。翌日に通夜、翌々日に葬儀・告別式という日程もあれば、数日あくこともあります。
家族葬の流れは、一般の葬儀と違いますか?
通夜、葬儀・告別式、出棺、火葬という順番はほとんど同じです。違うのは、呼ぶ人を絞るために「参列をお願いする人」「亡くなったことだけ伝える人」「葬儀のあとに知らせる人」を分けて連絡することと、香典や弔問を辞退するならその伝え方を決めておくことです。通夜を行わない一日葬にする家もあります。
葬儀の費用は、喪主が払わなければいけませんか?
誰が払うかは法律ではっきり決まっておらず、家族の話し合いで決めます。喪主がいったん立て替え、遺産を分けるときに精算する形もよくあります。考え方と費用の目安は葬儀費用の相場2026にまとめています。
参考にした公的情報・解説
- 全日本葬祭業協同組合連合会「お葬式 お役立ち辞典 お通夜とは」
https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary30/ - 全日本葬祭業協同組合連合会「お葬式 お役立ち辞典 葬儀・告別式」
https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary31/ - 全日本葬祭業協同組合連合会「お葬式 お役立ち辞典 葬儀・告別式の後は」
https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary32/ - 全日本葬祭業協同組合連合会「お葬式 お役立ち辞典 精進落としとは」
https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary33/ - e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」(3条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048 - 法務省「死亡届」
https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html - 株式会社鎌倉新書「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」(2026年5月12日公表)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000129.000009951.html
※本記事は2026年10月時点の、葬儀の業界団体と公的機関の公開情報にもとづく一般的な整理です。葬儀の流れ・作法・日程は、宗教・宗派・地域・葬儀社によって異なります。迷うときは、葬儀社やお寺、親族の年長者にご確認ください。費用の精算や相続の個別の判断は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
