納骨の日が近づき、お寺や霊園から「埋葬許可証を持ってきてください」と言われた。けれど、そんな書類を受け取った覚えがない。そう戸惑う方は少なくありません。
この記事では、埋葬許可証と火葬許可証の関係、いつ誰から受け取るか、納骨のときどこに出すか、なくしたときの再発行の手順を、2026年10月時点の法令と市区町村の公式案内をもとに整理します。お墓を移すときの改葬許可証との違いもあわせて表にしました。
先に結論:埋葬許可証は「火葬済みの印が入った火葬許可証」
この記事の結論
- 正体は火葬許可証:火葬のあと、火葬場が日時を書き入れて印を押して返す火葬許可証が、一般に「埋葬許可証」と呼ばれています。骨壺の箱に入っていることが多い書類です。
- 出す先は墓地・納骨堂:納骨のとき、墓地や納骨堂の管理者に渡します。管理者はこれを受け取らないと納骨させられない決まりです。
- なくしたら死亡届を出した役所へ:再発行は死亡届を出した市区町村で受け付けます。年数がたっていると、火葬場の「火葬証明書」が先に要る自治体もあります。
法律の言葉で「埋葬」は、遺体をそのまま土に葬ること(土葬)を指します。いま日本で多い「火葬して遺骨をお墓に納める」ことは、法律上は「焼骨の埋蔵」といいます。そのため実際の納骨で使うのは、火葬済みの記載がある火葬許可証です。窓口や霊園で「埋葬許可証」と言われたら、この書類のことだと考えてかまいません。
埋葬許可証と火葬許可証の関係:いつ・誰から受け取るか
書類は1枚で、手続きの段階ごとに役割が変わります。流れを表にまとめました。
火葬の許可を出すのは、死亡届を受け付けた市区町村です。死亡届の出し方や期限は死亡届の出し方と書き方(期限7日・出す場所・届出人)で詳しく整理しています。なお、法律では原則として、亡くなってから24時間たつまでは火葬ができません。
葬儀社に任せた場合、②まで葬儀社が持ち歩き、③の書類が骨壺と一緒に家族の手に渡るのが一般的な流れです。「受け取った覚えがない」ときは、まず骨壺を包む箱や袋の中を見てください。
埋葬許可証はどこに出す?納骨のときの手順
出す先は、遺骨を納める墓地または納骨堂の管理者です。お寺の墓地ならお寺、公営霊園なら霊園の管理事務所が窓口になります。墓地の管理者は、この書類を受け取ったあとでなければ納骨させてはいけないと法律で決められています。
必要になる人・ならない人の早見表
納骨までの手順
- 書類の現物を確かめる。骨壺の箱の中などから火葬許可証を探し、火葬の日時と火葬場の印が入っているかを見ます。
- 墓地・納骨堂に必要書類を聞く。埋葬許可証のほか、墓地の使用許可証や印鑑を求められることがあります。
- 納骨の日取りを決める。四十九日や一周忌に合わせる家が多いものの、法律上の期限はありません。
- コピーを取ってから当日持参する。原本は管理者に渡すので、控えとして写しを残しておくと安心です。
- 管理者に原本を提出して納骨する。石材店に納骨作業を頼む場合も、書類は管理者に渡すのが基本です。
納骨の日に持っていくものチェックリスト
- □ 埋葬許可証(火葬済みの記載がある火葬許可証の原本)
- □ 埋葬許可証のコピー(自分の控え)
- □ 墓地や納骨堂の使用許可証など(管理者に求められた場合)
- □ 印鑑(管理者の書類に押す場合)
- □ 遺骨・遺影・お供え(お寺や霊園の案内に合わせて)
四十九日の法要と納骨を同じ日にする場合の段取りは、四十九日法要の準備リスト(日取り・納骨・費用の目安)にまとめています。
納骨に期限はある?保管の仕方と、時間がたったときの注意
墓地埋葬法には、火葬から何日以内に納骨しなさいという期限はありません。お墓の準備が整うまで自宅に遺骨を置いておくことも、法律上の問題はありません。
気をつけたいのは、時間がたつほど書類の行方が分からなくなることです。数年後に納骨するとき、保管した人が亡くなっていたり、引っ越しで紛れたりすることがあります。期限そのものはなくても、年数がたつと再発行の手間が増える自治体があります(次の章で説明します)。
保管のこつは、骨壺の箱に入れたままにせず、ほかの大切な書類と同じ場所にまとめることです。表に「納骨用・原本」と書いた封筒に入れ、写しを別に取っておくと、家族の誰が見ても分かります。
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埋葬許可証の再発行:紛失したときの手続き(火葬許可証の再発行)
なくしても、再発行(再交付)を受けられます。申請先は、死亡届を出した市区町村です。住んでいた市区町村と違うことがあるので注意してください。どこに出したか分からないときは、亡くなった方の戸籍の「死亡」の欄に届出先が書かれています。
必要書類や手数料は市区町村ごとに違います。公式案内で確認できた3つの例を並べました。
「火葬証明書」は、火葬した斎場が出す証明書です。たとえば大阪市立斎場では1通250円で、事前に電話で火葬記録の有無を確かめるよう案内しています。確認には、故人の氏名と火葬日または死亡日が必要です。
再発行の手順
- もう一度探す。骨壺の箱、葬儀社から受け取った書類の袋、お寺に預けていないかを確かめます。
- 死亡届を出した市区町村を確かめる。分からなければ戸籍謄本の死亡の欄で確認します。
- その役所の案内を読むか電話で聞く。申請できる人、必要書類、手数料、火葬証明書が要るかを確認します。
- 必要なら斎場で火葬証明書を取る。火葬した斎場に連絡し、記録の有無と申請方法を聞きます。
- 窓口か郵送で申請する。郵送やオンラインに対応しているかは市区町村によって違います。
再発行の必要書類チェックリスト
- □ 再交付(再発行)申請書(役所の窓口か公式サイトで入手)
- □ 申請する人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- □ 亡くなった方との関係が分かる戸籍謄本など(求められた場合)
- □ 斎場の火葬証明書(求められた場合)
- □ 委任状(家族の代わりに申請する場合)
- □ 手数料(郵送なら定額小為替)、返信用封筒と切手
今日できる一歩
- まだ納骨していない遺骨があれば、骨壺の箱を開けて火葬許可証があるかを確かめる。
- 見つかったら写しを1部取り、原本は「納骨用・原本」と書いた封筒に入れて大切な書類と一緒にしまう。
改葬許可証との違い:お墓を移すときは別の書類
埋葬許可証は「初めて納骨するとき」に使う書類です。すでにお墓に入っている遺骨をほかのお墓や納骨堂へ移すときは、「改葬許可証」という別の書類が要ります。墓じまいで使うのはこちらです。お墓の一部の遺骨を分けて別の場所に納める「分骨」では、墓地や火葬場が出す証明書を使います。
墓じまいの流れや、樹木葬・散骨との違いは墓じまい・樹木葬・散骨の違いと費用で整理しています。改葬許可の申請先や名古屋市の申請書の書き方は、墓じまいの手続き(改葬許可の手順・役所の書類)で説明しています。
読者が困りやすい点
- 骨壺の箱ごと書類を処分してしまう:書類は箱の中に入っていることが多く、気づかずに捨てる例があります。
- 住所地の役所に再発行を頼んでしまう:申請先は死亡届を出した市区町村です。病院のある市で届けた場合などは住所地と違います。
- 年数がたってから慌てる:大阪市城東区のように、5年以上たつと火葬証明書が追加で要る例があります。火葬した斎場の名前と火葬日はメモしておきましょう。
- 葬祭費の書類と混同する:健康保険の葬祭費・埋葬料は「お金を受け取る申請」で、埋葬許可証とは別の手続きです。申請方法は葬祭費・埋葬料の申請方法(金額・期限2年・必要書類)をご覧ください。
- 改葬許可証で足りると思い込む:初めての納骨に改葬許可証は使いません。逆に墓じまいでは埋葬許可証だけでは足りません。
よくある質問
埋葬許可証と火葬許可証は別の書類ですか?
火葬して納骨する一般的な場合は、同じ1枚の書類です。火葬場で火葬の日時と印が入った火葬許可証が、通称「埋葬許可証」として納骨に使われます。法律上の「埋葬許可証」は本来、土葬をするときの許可証を指します。
埋葬許可証はどこに出すのですか?
遺骨を納める墓地または納骨堂の管理者です。お寺の墓地ならご住職、霊園なら管理事務所に渡します。役所に出す書類ではありません。
埋葬許可証を再発行できるのはどこですか?
死亡届を出した市区町村です。手数料は、長野市のように火葬後1通300円のところもあれば、大阪市城東区のように無料のところもあります。必要書類とあわせて、その役所の公式サイトか窓口で確認してください。
火葬許可証を火葬の前になくしたらどうなりますか?
火葬場は火葬許可証を受け取らないと火葬ができません。すぐに死亡届を出した役所に連絡してください。長野市では火葬前の再交付は窓口のみ・無料と案内しています。葬儀社が預かっていることも多いので、まず葬儀社に確認しましょう。
家族が代わりに再発行の申請をできますか?
多くの自治体で、親族や死亡届の届出人が申請でき、代理人は委任状で申請できます。ただ、申請できる人の範囲は自治体ごとに違います。石材店などが代わりに手続きする場合も、正当な申請者からの委任状が求められます。
参考にした公的情報
- e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048 - 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130181.html - 長野市「火葬許可証を紛失された方へ」
https://www.city.nagano.nagano.jp/n085500/contents/p006252.html - 柏市「埋火葬許可証再交付申請:埋火葬許可証を紛失したとき」
https://www.city.kashiwa.lg.jp/shimin/todokede/kosekitodoke/maikaso.html - 大阪市城東区「火葬許可証の再発行について」
https://www.city.osaka.lg.jp/joto/page/0000665864.html - 大阪市「火葬証明書の発行について」
https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000673920.html
※本記事は2026年10月時点の法令と公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。再発行の必要書類・手数料・申請できる人は市区町村ごとに異なり、変わることもあります。手続きの前に、死亡届を出した市区町村や墓地・納骨堂の管理者に最新の情報をご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
