家族が亡くなった。悲しむ間もなく、病院から「どちらの葬儀社に連絡されますか」と聞かれ、親族や会社にも知らせなければならない。誰に、どの順番で、何を伝えればいいのか分からず、電話を手に止まってしまう方は多いです。
この記事では、遺族の側から見た葬儀の連絡の順番(家族・葬儀社・菩提寺・親族・会社・学校・近所)と、会社への連絡で伝える項目、電話とメールの例文、訃報の文例をまとめます。忌引休暇の日数は法律ではなく会社の就業規則で決まるため、確かめ方もあわせて書きました。内容は2026年10月時点のものです。
先に結論:まず家族と葬儀社、次に菩提寺。日程が決まってから会社・親族・近所へ
この記事の結論
- 連絡の順番:亡くなってすぐは、近い家族と葬儀社。お寺との付き合いがあれば菩提寺にも早めに。通夜・葬儀の日程が決まってから、親族・会社・学校・近所に知らせます。
- 会社への連絡:まず電話で上司に一報し、亡くなった人との続柄、休む見込みの期間、通夜・葬儀の日時と場所を伝えます。あとでメールでも送ると行き違いが減ります。
- 忌引休暇:法律で決まった休みではなく、日数や有給かどうかは会社の就業規則しだいです。分からなければ上司か総務に確かめます。
葬儀の連絡は、一度で全部を伝えようとしなくて大丈夫です。最初は「亡くなったこと」だけを伝え、日程が決まってから二度目の連絡をする、という二段構えで考えると落ち着いて進められます。
葬儀の連絡は誰にどの順で?連絡先と順番の早見表
連絡の順番に法律の決まりはありません。ただ、急ぐ連絡と、日程が決まってからでよい連絡に分けると迷いが減ります。一般的な流れを表にしました。
病院で亡くなった場合は、医師から死亡診断書を受け取ります。役所に出す死亡届と一体の用紙で、葬儀社が提出を手伝ってくれることも多いです。書き方や期限は死亡届の出し方と書き方(期限7日・出す場所)で確かめられます。
菩提寺には日程を決める前に連絡する
お墓があるお寺など、付き合いのある菩提寺がある場合は、葬儀社と日程を固める前に連絡します。通夜や葬儀の日取りは、僧侶の予定で決まることがあるためです。戒名(法名)をお願いするのも、ふつうは菩提寺です。
菩提寺に相談しないまま別の僧侶に葬儀をお願いすると、あとで納骨のときに行き違いが起きることがあります。遠方のお寺でも、まず電話で亡くなったことを伝え、どうすればよいかをたずねておくと安心です。お寺に渡すお布施の包み方はお布施の書き方(封筒・表書き・金額)にまとめています。
火葬は亡くなってから24時間たってから
墓地、埋葬等に関する法律は、火葬は亡くなってから24時間を過ぎなければ行えないと定めています。そのため、亡くなった当日に葬儀まで終えることはありません。通夜・葬儀の日程は、この決まりと、火葬場・式場・僧侶の空き具合を合わせて決まります。親族や会社への「二度目の連絡」は、この日程が決まってからで十分です。
会社への葬儀の連絡:電話で伝える項目と例文
自分の勤務先には、まず電話で直属の上司に伝えるのが基本です。早朝や深夜で上司につながらない場合は、メールやチャットで先に一報を入れ、始業後に電話します。会社によっては総務への届け出が必要なこともあります。
電話では、要点を短く話せば十分です。亡くなった理由まで詳しく話す必要はありません。
例文1 上司への電話(亡くなった直後の一報)
「おはようございます。〇〇です。朝早くに申し訳ありません。今朝、父が亡くなりました。これから葬儀の準備をするため、今日から休みをいただけますでしょうか。通夜と葬儀の日程は、決まり次第あらためてご連絡します。急ぎの〇〇の件は、△△さんに引き継ぎをお願いしてもよろしいでしょうか。」例文2 上司への電話(日程が決まったあとの連絡)
「〇〇です。先ほどはありがとうございました。父の通夜は〇月〇日〇時から、葬儀・告別式は〇月〇日〇時から、〇〇斎場で行います。喪主は母です。〇日から〇日まで、忌引でお休みをいただきたいと思います。休みの間も、夕方であれば携帯電話に出られます。」会社へメールで連絡するときの例文
電話のあとにメールでも同じ内容を送ると、日付や場所の聞き間違いを防げます。上司が社内に共有するときにも使いやすくなります。件名だけで用件が分かるようにします。
例文3 上司へのメール(電話のあとの確認用)
件名:忌引休暇のお願い(〇〇部 氏名)〇〇課長
お疲れさまです。〇〇です。
お電話でもお伝えしましたとおり、〇月〇日に父が亡くなりました。
つきましては、下記のとおり休暇をいただきたく、お願い申し上げます。
・休暇の期間:〇月〇日(〇)から〇月〇日(〇)まで
・通夜:〇月〇日(〇)〇時から
・葬儀・告別式:〇月〇日(〇)〇時から
・場所:〇〇斎場(住所:〇〇市〇〇町〇-〇)
・喪主:〇〇〇〇(母)
・休暇中の連絡先:携帯電話 〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
〇〇の件は△△さんに引き継ぎました。
ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
例文4 家族だけで送る場合に添える一文
葬儀は家族のみで執り行いますので、誠に勝手ながら、ご参列・お香典・ご供花はご辞退申し上げます。お気遣いに感謝いたします。反対に、同僚の家族の葬儀に参列する側、または参列できずにお悔やみを送る側のメールは、葬儀参列のメール例文(上司への休みの連絡・お悔やみ・返信)で場面別にまとめています。
亡くなった人が勤めていた会社への連絡
故人が在職中だった場合は、故人の勤務先にも連絡します。葬儀の日程を伝えるほか、会社側で次のような手続きが動き出します。
- 退職の手続きと、最後の給与の扱い
- 会社の健康保険証などの返却(死亡後の保険証返却と資格喪失の手続き)
- 死亡退職金や弔慰金がある場合の受け取り(死亡退職金の非課税枠)
- 会社に置いてある私物の引き取り
最初の電話では、亡くなったことと葬儀の日程だけで構いません。手続きの話は、葬儀が終わって落ち着いてから担当者と進めます。
忌引休暇は何日?日数は会社の就業規則で決まる
忌引休暇(慶弔休暇)は、年次有給休暇のように法律で義務づけられた休みではありません。厚生労働省は、こうした休暇を「法律によって義務とされている休暇ではなく、企業が任意に設ける休暇制度」と説明しています。何日休めるか、給料が出るかどうかは、会社の就業規則で決まります。
厚生労働省のモデル就業規則でも、慶弔休暇の日数は空欄になっていて、会社ごとに決める形です。参考として、国家公務員の場合、人事院は父母が亡くなったときの忌引を7日としています。民間の会社がこれと同じとは限らないため、自分の会社の規則で確かめてください。
忌引休暇の制度がない会社や、日数が足りない場合は、年次有給休暇を組み合わせて休むこともできます。パートやアルバイトでも、就業規則で対象になっていれば使えます。
学校・近所・親族への連絡のしかた
子どもの学校・園
担任の先生か園に、電話か連絡帳・連絡アプリで伝えます。誰が亡くなったか(「祖父が」など)と、休ませる日を伝えれば足ります。忌引として欠席扱いにしないかどうか、何日までかは学校ごとの決まりなので、そのときに確かめます。
近所・町内会(自治会)
自宅に弔問の人が来る、車の出入りが増えるといった場合は、両隣や自治会の班長などに一言伝えておくと行き違いが減ります。地域によっては、町内会から手伝いや回覧での知らせがある慣習もあります。どこまで知らせるかは、地域の年長者や葬儀社に聞くと分かりやすいです。
親族
親族への連絡は、急ぐ相手ほど電話にします。全員に自分で電話をかけるのは大変なので、「父方の親戚は叔父から伝えてもらう」のように、家ごとに代表の人に頼むと負担が分けられます。どこまでが親族にあたるかは、親等の図(1〜6親等の数え方)で確かめられます。
訃報の文例(電話・メール・LINE)
訃報(ふほう)は、亡くなったことを知らせる連絡です。電話でもメールでも、伝える内容は同じです。メールやLINEで送ると、日時や場所を相手が見返せる利点があります。
- 亡くなった人の名前と、自分との続柄
- 亡くなった日
- 通夜・葬儀の日時と場所(式場名・住所・電話番号)
- 宗教・形式(仏式・神式・キリスト教式・無宗教など)
- 喪主の名前と、故人との続柄
- 香典・供花を辞退するかどうか
- 問い合わせ先(自分の電話番号など)
例文5 親族への電話
「〇〇です。夜分に失礼します。実は今日、父が亡くなりました。入院先の病院で、最期は家族で見送ることができました。通夜と葬儀の日取りは明日決まる予定なので、決まったらまたお電話します。」例文6 メール・LINEでの訃報(日程が決まったあと)
件名:父 〇〇〇〇 逝去のお知らせ父 〇〇〇〇が、〇月〇日に永眠いたしました。
生前のご厚誼に、心より御礼申し上げます。
通夜・葬儀は、下記のとおり仏式にて執り行います。
通夜:〇月〇日(〇)〇時から
葬儀・告別式:〇月〇日(〇)〇時から
場所:〇〇斎場(〇〇市〇〇町〇-〇 電話 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)
喪主:〇〇〇〇(長男)
ご不明な点は、〇〇(携帯 〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)までご連絡ください。
例文7 家族だけで見送ったあとに知らせる場合
母 〇〇〇〇が、〇月〇日に永眠いたしました。葬儀は故人の希望により、家族のみで〇月〇日に執り行いました。
ご連絡が遅くなりましたことを、お詫び申し上げます。
誠に勝手ながら、お香典・ご供花はご辞退申し上げます。
生前のご厚情に、深く感謝いたします。
訃報では「重ね重ね」「たびたび」のような重ね言葉や、「死亡」などの直接的な言葉を避け、「永眠」「逝去」と言い換えるのが一般的です。ただし身内への電話なら、ふだんの言葉で伝えて構いません。
訃報を受け取った人が参列できないときに送る弔電については、弔電の送り方と文例にまとめています。
葬儀の連絡で迷いやすい点
- 夜中や早朝に電話してよいか:すぐ来てほしい近い家族には、時間を気にせず連絡して構わないとされます。それ以外の親族や会社は、朝になってからでも間に合います。
- 死因を伝えるか:伝える義務はありません。聞かれても「病気で」「急なことで」程度で十分です。
- 一斉送信の宛先:メールで複数の人に送るときは、BCCを使い、ほかの人のアドレスが見えないようにします。
- 辞退をはっきり書く:香典や供花を受けない場合、あいまいに書くと相手が迷います。「ご辞退申し上げます」と言い切ります。
- 連絡した相手を控える:誰に、いつ、何を伝えたかをメモしておくと、伝え漏れや二重の連絡を防げます。のちの香典返しの準備にも役立ちます。
葬儀が終わると、役所や銀行の手続きが続きます。期限の早い順は死亡後の手続き一覧表で確かめられます。葬儀費用の一部が戻る葬祭費・埋葬料は、葬祭費・埋葬料の申請方法にまとめています。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。相続の手続きで分からないことが出てきたときは、無料相談で何から手をつけるかを一緒に整理することもできます。
今日できる一歩
- 連絡する相手を「すぐ」「日程が決まってから」の2つに分けて書き出す
- 会社の就業規則で、忌引休暇の日数と申請のしかたを確かめる
- 菩提寺がある場合は、お寺の電話番号を手元に控えておく
葬儀の連絡についてよくある質問
会社への連絡はメールだけでもいいですか?
急な休みになるため、まず電話で上司に伝えるのが基本です。時間帯の都合でつながらないときは、メールやチャットで先に知らせ、あとで電話を入れます。社内でメール連絡が決まりになっている会社なら、その方法に従います。
祖父母や配偶者の親が亡くなったときも、会社に連絡しますか?
休みが必要なら連絡します。忌引休暇の対象になる続柄と日数は、会社の就業規則で決まっています。対象外の続柄でも、年次有給休暇で休むことはできます。
忌引休暇は何日もらえますか?
法律の決まりはなく、会社ごとに違います。就業規則の慶弔休暇(特別休暇)の条文を見るか、総務に確かめてください。国家公務員の場合、父母が亡くなったときは7日と人事院が示しています。
家族葬にする場合、会社にはいつ伝えればいいですか?
休みを取る以上、亡くなったことは早めに伝えます。そのうえで「家族のみで行うため、ご参列・お香典はご辞退します」と添えれば、会社側も対応を決めやすくなります。
菩提寺がどこか分かりません。
お墓がある場所、仏壇の中の過去帳や位牌、以前の法事の記録、年長の親族への確認で分かることが多いです。分からないまま葬儀社に相談しても、僧侶の手配について案内を受けられます。
訃報をLINEで送っても失礼になりませんか?
ふだんLINEでやり取りしている相手なら、日時や場所を見返せるので使われることが増えています。目上の親族や、ふだん連絡しない相手には、電話で伝えてから詳細をメッセージで送ると丁寧です。
参考にした公的情報・解説
- 厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト 特別な休暇制度とは」
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/ - 厚生労働省「モデル就業規則 第5章 休暇等(慶弔休暇)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/model/dl/05.pdf - 人事院「一般職の国家公務員の休暇制度(概要)」
https://www.jinji.go.jp/content/900018065.pdf - e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」(第3条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048 - 鎌倉新書「いい葬儀」「お悔やみメールの例文と相手別のマナー」
https://www.e-sogi.com/guide/11336/
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報と一般的な慣習をもとにした整理です。連絡の順番や範囲、言葉づかいは、地域・宗教・宗派・葬儀の形によって異なります。忌引休暇の日数や扱いは、お勤め先の就業規則でご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
