固定資産評価証明書の取得方法【2026年】相続登記・相続税で使う場面・請求先・手数料

固定資産評価証明書の取得方法

親が亡くなり、実家の相続登記をしようと調べると「固定資産評価証明書を用意してください」と書いてあります。どこへ行けば取れるのか、誰が請求できるのか、迷う方が多い書類です。

この記事では、評価証明書の使いどころ、請求先、必要書類、手数料の例を、2026年10月時点の公式な案内で整理します。名寄帳(なよせちょう)との違いは短く触れるだけにします。

目次

先に結論:評価証明書は相続人が役所で取れる。相続登記では納税通知書で足りることもある

この記事の結論

  1. 請求先:不動産がある市区町村の窓口です。東京23区は都税事務所で、23区内ならどの事務所でも申請できます。
  2. 必要書類:相続人であることが分かる書類と本人確認書類です。法定相続情報一覧図があれば、戸籍の束の代わりになることが多いです。
  3. 手数料:1件300〜400円ほどが目安です。自治体で違うので、申請前に公式ページで確認します。

評価証明書は、土地や建物の「固定資産税の計算のもとになる価格」を役所が証明する書類です。相続登記のときの税金(登録免許税)の計算や、相続税の申告で使います。
相続人であれば、亡くなった方の名義のままの不動産でも請求できます。

評価証明書を使う場面と、似た書類との違い

評価証明書が出てくる場面は、おもに次の4つです。

  • 相続登記:登録免許税を計算するために、不動産の価格を確認します。税率は、相続による所有権の移転で1,000分の4です。生前贈与で名義を移すときは1,000分の20で、手順は生前贈与で不動産の名義変更をする手順にまとめています。
  • 相続税の申告:建物は、固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額になります。土地は、路線価のある地域では路線価で計算し、ない地域では評価額に倍率をかけます。
  • 遺産分割の話し合い:不動産のおおまかな価値を、きょうだいで共有する材料にします。評価額は時価より低めに出やすいので、路線価や査定額との違いと、どの数字で分けるかの決め方を遺産分割の不動産の評価方法で確かめておくと話がこじれにくくなります。
  • 売却や名義の整理:不動産会社や金融機関から、価格の資料を求められることがあります。
書類分かること入手のしかた
評価証明書指定した土地・建物の価格(評価額)役所で申請(有料のことが多い)
課税明細書その年の課税対象の物件と価格毎年4月ごろ届く納税通知書に付いている
名寄帳同じ市区町村内の所有物件の一覧役所で申請(詳しくは名寄帳の取り方)
※出典:国税庁「No.4602 土地家屋の評価」「No.7191 登録免許税の税額表」、名古屋市「不動産登記申請における固定資産税・都市計画税(土地・家屋)課税明細書の利用について」(2026年10月時点)。

つまり「物件の一覧がほしい」なら名寄帳、「この物件の価格を証明してほしい」なら評価証明書、と考えると分かりやすいです。

請求できる人・できない人の早見表

評価証明書は、誰でも取れるわけではありません。亡くなった方の不動産については、次のように整理されます。

立場請求ひとこと
配偶者・子(第1順位)できる一覧図、または死亡が分かる書類と現在の戸籍
親・きょうだいなど(後順位)先順位の人がいなければできる先順位の人の死亡を示す書類が増える
遺言で不動産を受ける人・遺言執行人できる検認済みの遺言書か公正証書遺言が必要
相続人から頼まれた代理人委任状があればできる郵送では代理を認めない自治体もある
相続人ではない親族・知人原則できない相続人に頼んで取ってもらう
※出典:東京都主税局「【土地・家屋】相続人・受遺者」、名古屋市「評価証明・物件証明の申請」(2026年10月時点)。代理人の扱いは自治体で異なります。

相続人の順番は、配偶者は常に相続人で、そのうえで子、親、きょうだいの順です。先の順位の人が生きている間、後の順位の人は相続人になりません。
戸籍類のそろえ方は、法定相続情報一覧図の取り方の記事で整理しています。

請求先と手数料の例:東京23区は都税事務所

請求先は、不動産がある市区町村の税の窓口です。東京23区だけは、区役所ではなく東京都の都税事務所になります。23区内であれば、物件がある区と別の区の都税事務所でも申請できます。
手数料と窓口は自治体で違います。例を3つ並べます。

地域窓口手数料の例
東京23区都税事務所(郵送は都税証明郵送受付センター)1件目400円、同じ区・同じ人の2件目以降は1件100円
名古屋市市税事務所、区役所・支所の税窓口2026年10月1日から、土地1筆・家屋1個・1年度につき400円
岐阜市資産税課と各事務所(平日のみ)1通300円(土地と家屋を合わせて9筆・棟まで)
※出典:東京都主税局「固定資産に関する証明等(23区内)」、名古屋市「市税に関する証明の種類と手数料・必要書類・発行窓口について」、岐阜市「税務証明の申請方法【窓口】」(2026年10月時点)。金額や数え方は改定されることがあります。

東京23区では、窓口で申請するほか、郵送と電子申請(償却資産を除く)もあります。郵送は、手数料と同額の定額小為替(郵便局で買う無記名のもの)と、切手を貼った返信用封筒を同封します。届くまでおおむね1週間から10日です。
例年4月の初めの数日は、窓口がとても混みます。急ぎでなければ、時期をずらすと待たずに済みます。

登記のために取る場合、東京23区には別の方法もあります。法務局の登記官が公印を押した「固定資産評価証明書交付依頼書」を、物件がある区の都税事務所に出すと、手数料がかからない扱いです。依頼書は管轄の法務局でもらいます。この扱いは変わることがあるので、窓口で確認してください。

取り方の手順と必要書類チェックリスト

  1. 不動産の場所を整理する。住所だけでなく、登記簿の「地番」と「家屋番号」を権利証や固定資産税の納税通知書で確かめます。
  2. 請求先の役所を調べる。不動産がある市区町村の公式ページで、窓口・郵送・電子申請のどれが使えるかを見ます。
  3. 相続人であることを示す書類をそろえる。法定相続情報一覧図があれば、それを使います。ない場合は戸籍類を取ります。
  4. 申請書を書く。自治体のホームページから様式を入手するか、窓口で書きます。
  5. 窓口か郵送で出す。手数料を払い、受け取った証明書の年度と物件を確かめます。

相続人が申請するときのチェックリスト

  • □ 申請書(自治体の様式。東京都は「証明・閲覧申請書」)
  • □ 申請する人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • □ 法定相続情報一覧図。なければ、亡くなった方の死亡が分かる書類(住民票の除票や除籍謄本)と、相続人の現在の戸籍謄本
  • □ 第2順位以降の相続人は、出生から死亡までの戸籍や、先順位の人の死亡を示す書類を求められることがある
  • □ 遺言で受ける人は、検認済みの遺言書か公正証書遺言
  • □ 代理人が出すときは、委任状と代理人の本人確認書類
  • □ 手数料(郵送は定額小為替)と、郵送のときは返信用封筒

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

戸籍や住民票の除票の書類は、自治体ごとに「原本の提示」か「写し」かが違います。窓口に行く前に、電話か公式ページで確かめておくと二度手間を防げます。

期限と年度:いつの価格の証明を取るか

評価証明書そのものに、使える期限はありません。ただし、登記を申請する時期によって、必要な年度の価格が違います。東京都の案内では、次のとおりです。

登記を申請する時期必要な証明
4月1日から12月31日その年の1月1日時点で登録された価格の証明
1月1日から3月31日前の年の12月31日時点で登録された価格の証明
※出典:東京都主税局「よくあるお問合せ」(2026年10月時点)。新年度分の評価証明は毎年4月1日(休日の場合は翌開庁日)から出ます。

いまは2026年10月です。いま登記を申請するなら、2026年度分(令和8年度分)の証明が目安です。
1月2日以降に建った家屋は、評価額が翌年の4月以降に決まるまで、評価証明書が出ないことがあります。

相続登記そのものには期限があります。2024年4月1日から、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内の申請が義務になりました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です。
2024年4月より前に始まった相続で、まだ登記していない不動産も対象で、期限は2027年3月31日までです。

登録免許税には、特例もあります。価額が100万円以下の土地の相続登記は、2027年3月31日までの申請なら免税です。この判定に使う価額も、評価証明書や課税明細書で確かめます。免税を受けるには、申請書に免税の根拠となる法令の条項を書く必要があります。書き方は法務局の案内で確かめてください。

損しやすい点:取りすぎ、年度ちがい、課税明細書の見落とし

  • 納税通知書で足りるのに有料で取る。毎年4月ごろ届く納税通知書の課税明細書で、価格が分かります。法務局に出す申請書に、課税明細書の写しを添える方法があります。名古屋市のように、登記申請では評価証明書の代わりに課税明細書の写しを使えると案内する自治体もあります。管轄の法務局に確かめてから、取るかどうかを決めます。
  • 「課税標準額」と「価格」を取り違える。登録免許税の計算に使うのは、明細書の「価格」(評価額)のほうです。税額を軽くする計算をしたあとの「課税標準額」ではありません。
  • 年度がずれた証明を取る。前の項目の表のとおり、申請の時期で必要な年度が変わります。取り直すと、手数料が二重にかかります。
  • 土地と家屋、複数の物件を別々に取る。東京23区は2件目以降が安くなります。岐阜市は9筆・棟までが1通です。一度にまとめて申請すると、手数料が抑えられることがあります。
  • 相続人申告登記なら不要なことがある。申請義務をまず果たす簡単な手続きの相続人申告登記では、登録免許税がかかりません。名古屋市の案内では、評価証明書などを取る必要がないとされています。

不動産が実家だけで、ほかに現金が少ない場合の分け方は、不動産しかない相続の分け方の記事が参考になります。相続税がかかるかどうかの目安は、相続税はいくらからかかるかの記事で確かめられます。

今日できる一歩

  1. 今年の春に届いた固定資産税の納税通知書を探し、課税明細書にある「価格」の欄を見ておきます。見つからなければ、不動産がある市区町村の税の窓口の電話番号を調べます。

よくある質問

Q1. 評価証明書は、誰でも取れますか。

いいえ。所有者、相続人、遺言で受ける人、決められた条件の借地人や借家人などに限られます。亡くなった方の不動産は、相続人が相続関係の書類を示して申請します。

Q2. 遠方の実家の評価証明書は、どう取りますか。

郵送か電子申請が使える自治体が多いです。郵送は、申請書、本人確認書類の写し、定額小為替、返信用封筒を送ります。名古屋市のように、家族や代理人からの郵送申請を原則認めない自治体もあるので、公式ページで確かめます。

Q3. 評価額がない土地はどうなりますか。

私道などで、固定資産課税台帳に価格がない土地もあります。その場合、登録免許税の計算には登記官が認定した価額を使います。管轄の法務局に事前に問い合わせてください。

Q4. 相続税の申告にも、評価証明書は必要ですか。

建物の評価には、固定資産税評価額を使います。路線価のない地域の土地も、評価額に倍率をかけます。そのため、申告のときに評価額の分かる書類があると便利です。個別の計算や書類は、税務署や税理士にご確認ください。預金の金額をそろえる書類は、銀行の残高証明書の取り方で説明しています。

Q5. 名寄帳と、どちらを取ればよいですか。

所有する物件を漏れなく知りたいときは名寄帳、特定の物件の価格だけが必要なときは評価証明書です。登記では、評価証明書か課税明細書の写しで足りることが多いです。

Q6. 固定資産評価証明書は、コンビニで取れますか。

亡くなった親の分は、コンビニでは取れないと考えてください。うるま市のように、評価証明書をコンビニ交付の対象にしていない市があります。福岡市も、税の証明のコンビニ交付はカードを持つ本人の分だけで、亡くなった方の証明書は出せないと案内しています。相続人が取るときは、不動産がある市区町村の窓口か郵送で申請します(2026年10月時点)。

Q7. 評価証明書の見方を教えてください。

まず「所在地」の地番や家屋番号で、どの土地・建物かを確かめます。次に、地目や構造、地積・床面積を見ます。横浜市の様式のように、登記上の内容と現況が並んで載ることもあります。相続登記の税金の計算に使うのは「評価額(価格)」の欄です。横浜市の評価証明書には課税標準額は載らないと案内されており、納税通知書の明細と見比べるときは欄の名前に注意します。地番が分からないときは、登記事項証明書の取り方にある地番の調べ方が使えます。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。手数料・窓口・必要書類は自治体ごとに異なり、改定されることがあります。税や登記の個別の事情は、税務署・法務局・専門家にご確認ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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