親が亡くなり、相続税の申告が要りそうだと言われました。税理士や税務署から「死亡日現在の残高証明書を取ってください」と頼まれ、何をどこに出せばいいのか分からない。そんな場面を想定しています。
この記事では、亡くなった人の銀行預金について、相続人が残高証明書を取る流れを整理します。内容は2026年10月時点の各銀行と国税庁の公式な案内によります。
先に結論:死亡日現在で頼み、書類は戸籍と実印が中心
この記事の結論
- 基準日は死亡日:相続税の申告では、亡くなった日の残高で預金を数えます。依頼するときに「死亡日現在」と伝えます。
- 書類は戸籍・本人確認・印鑑:死亡と相続人であることが分かる戸籍が基本です。銀行によって実印や印鑑証明書も求められます。
- 手数料と日数は銀行ごと:確認できた例は1通770円や880円です。郵送まで1〜2週間の例があります。定期預金は利息の証明も頼みます。
残高証明書を取れる人・取れない人
残高証明書とは、ある日の預金残高を銀行が証明する書類です。亡くなった人の分は、相続人が請求します。
ゆうちょ銀行の公式ページには、相続の請求なら通帳がなくても受け付けると書かれています。通帳が見つからなくても、あきらめなくて大丈夫です。
どの銀行に口座があるか分からないときは、先にこちらをどうぞ。亡くなった親の銀行口座の調べ方|全店照会・ゆうちょ・マイナンバーでの照会で、探し方を整理しています。
手数料と日数の例:3つの銀行で比べる
手数料は銀行ごとに違い、改定もあります。公式ページで金額を確認できた3つを例に挙げます。特定の銀行をすすめるものではありません。
口座が複数の銀行にあると、手数料も日数も銀行の数だけかかります。1か所ずつ並行して頼むと、待ち時間が重なりません。残高証明書のあとの払戻しまでの流れは、みずほ銀行の相続手続きや楽天銀行の相続手続きで銀行ごとにまとめています。
取り方の手順と必要書類チェックリスト
- 銀行名と支店を確かめる。通帳、キャッシュカード、郵便物から探します。
- 相続手続きだと銀行に連絡する。窓口で足りる銀行と、電話や予約が要る銀行があります。
- 書類をそろえる。下のチェックリストを使います。
- 依頼書に基準日を書く。「死亡日現在」とし、定期預金があれば既経過利息の証明も頼みます。
- 手数料を払い、受け取る。郵送か窓口かは銀行により異なります。
必要書類チェックリスト
- □ 亡くなったことが分かる戸籍謄本など
- □ 請求する人が相続人だと分かる戸籍謄本など
- □ 請求する人の本人確認書類
- □ 実印と、発行から6か月以内の印鑑証明書(みずほ銀行の例)
- □ 銀行所定の依頼書(相続用)
- □ ゆうちょ銀行は、相続手続き全体では「相続確認表」を使います
- □ 代理人が行くなら委任状
戸籍は、法務局の「法定相続情報一覧図の写し」で代えられる銀行が多いです。みずほ銀行も、一覧図の写しを出せば戸籍謄本の提出は原則不要としています。取り方は法定相続情報一覧図の取り方【2026年】必要書類・申出先・郵送・無料の通数にまとめました。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
相続税の申告で必要な日付と、定期預金の利息
相続税では、預金を「亡くなった日」の価値で数えます。国税庁の案内では、相続開始日の預入残高に、その日に解約したとして受け取れる既経過利子を足します。そこから源泉所得税相当額を引きます。
基準日を「発行日」にすると、死亡後の入金や引き落としで残高が変わります。申告に使うなら、死亡日現在で頼みます。
期限の目安:申告は10か月、証明書は逆算で
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です(国税庁タックスアンサー)。期限を過ぎると、延滞税などがかかる場合があります。
残高証明書そのものに期限はありません。ただ、ゆうちょ銀行は10年以上前の日付を証明日にした証明書を出せないとしています。銀行から届くまでに1〜2週間かかる例もあります。戸籍集めも含め、早めに動くと安心です。
損しやすい点と今日できる一歩
- 基準日を決めずに頼み、発行日の残高が届く。
- 定期預金の利息の証明を頼み忘れ、再度依頼する。
- 残高証明書だけで安心し、死亡前の出金や名義の確認を後回しにする。
- 請求すると口座の取引が止まるのが一般的なため、引き落とし先の変更を後回しにする。
今日できる一歩
- 通帳やカードから銀行名を書き出し、各銀行の相続窓口の電話番号と必要書類を調べる。
よくある質問
Q1. 通帳が見つからなくても取れますか。
ゆうちょ銀行は、相続手続きを理由にした請求なら通帳がなくても受け付けるとしています。他の銀行は窓口でお尋ねください。
Q2. 相続人全員の同意が要りますか。
残高証明書は、相続人の1人から請求できる銀行が多いです。ただし銀行により異なるため、事前に確認してください。
Q3. 遠くに住んでいて窓口に行けません。
銀行によっては郵送の手続きがあります。みずほ銀行は郵送での受け取りを案内しています。申込み方法は各銀行の公式ページで確認してください。
Q4. 死亡日の入出金の記録も取れますか。
残高証明書とは別に、取引明細の証明を案内する銀行があります。みずほ銀行は「取引明細証明書」を別の案内にしています。金額や条件は銀行ごとに確認してください。
Q5. 申告が不要そうなら、取らなくてよいですか。
申告が必要かは、財産の合計と基礎控除の比較で決まります。その判断にも預金の残高が要るため、残高証明書や通帳は役に立ちます。株や投資信託があれば証券口座の相続手続きで、不動産は固定資産評価証明書で金額を確かめます。
Q6. 残高証明書は、何通必要ですか。
決まった通数はありません。残高証明書は、口座のある金融機関ごとに頼みます。みずほ銀行のように、業務分野ごとに1通と数える銀行もあります。手数料は1通ごとにかかるため、先に提出先へ「原本が要るか、コピーでよいか」を聞いてから通数を決めます。相続税の申告を税理士に頼むなら、何通要るかを税理士に確かめてから依頼すると無駄がありません。
参考にした公的情報
- ゆうちょ銀行「残高証明書の発行」
https://www.jp-bank.japanpost.jp/tetuzuki/henko/tzk_hnk_issue.html - みずほ銀行「相続預金の残高証明書の発行」
https://www.mizuhobank.co.jp/tetsuduki/souzoku/zandaka.html - みずほ銀行FAQ「残高証明書(相続預金)」
https://www.faq.mizuhobank.co.jp/faq/show/376?site_domain=default - 三菱UFJ銀行「その他の手数料」
https://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/sonota.html - 国税庁「相続税の申告要否判定コーナー 預貯金の評価方法」
https://www.keisan.nta.go.jp/oshirase/sozoku/yohihantei/genkinyotyokin/hyokahoho.html - 国税庁タックスアンサー「No.4205 相続税の申告と納税」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
※本記事は2026年10月時点の公的機関と各銀行の公開情報をもとにした一般的な整理です。手数料・必要書類・日数は改定や銀行ごとの違いがあります。税額の計算など個別の事情は、窓口や税務署、税理士にご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
