相続の相談先を探していると「相続手続き一式10万〜30万円」「遺言書の作成サポート8万〜15万円」といった金額をよく見かけます。ただ、この金額の中に何が含まれているのか、実はよくわからない…と感じたことはないでしょうか。
相続の費用は、大きく分けると2種類あります。ひとつは登録免許税や収入印紙、証明書の発行手数料など、国や役所に必ず支払う「実費」。もうひとつは、司法書士・行政書士・税理士・弁護士に手続きを依頼したときの「専門家報酬」です。実費はどこに依頼しても(自分で手続きしても)同じ金額がかかりますが、報酬は依頼先によって差があります。この記事では、愛知県内の相続手続きで発生する主な実費を、公的な料金表にもとづいて一覧にまとめました。
結論|相続の費用=「実費」+「専門家報酬」
実費(登録免許税・収入印紙・証明書手数料・公証人手数料など)は法律や条例で金額が決まっており、誰が手続きしても同じ金額です。一方、専門家報酬は依頼先によって異なり、交渉・比較の対象になる部分です。見積もりを受け取ったら、まず「実費」と「報酬」を分けて確認すると、金額の中身に納得しやすくなります。
「見積もりが実費込みなのか、報酬だけなのかわからない」「複数の事務所で金額が違って、どちらが妥当か判断できない」——こうした不安の多くは、実費と報酬の区別がつかないことから生まれます。まずは実費の実額を知っておくことで、見積もりの中身を落ち着いて確認できるようになります。
相続登記(不動産の名義変更)の実費
2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内の登記が必要になりました。相続登記でかかる主な実費は、登録免許税と証明書の発行手数料です。
※登録免許税は法務局の税率表、証明書手数料は法務局の手数料一覧にもとづく実費です。司法書士に登記を依頼する場合、これに加えて別途「報酬」がかかります。
家庭裁判所の手続きにかかる実費
相続放棄や成年後見の申立てなど、家庭裁判所で行う手続きにも、収入印紙や郵便切手などの実費が発生します。
公正証書遺言の公証人手数料
公正証書遺言を作成する際は、公証役場に公証人手数料を支払います。これは日本公証人連合会が定める手数料令にもとづき、遺言で誰にいくら財産を渡すかという「目的の価額」に応じて段階的に決まる実費です。
※上表は日本公証人連合会の手数料令(2025年10月1日施行の改正後)にもとづく代表的な区分です(財産額が大きい場合はさらに上位の区分があります)。加えて、遺言公正証書には「遺言加算」として、目的財産の合計額が1億円以下のときに13,000円が加算されます。相続人・受遺者が複数いる場合は、財産を受け取る人ごとに手数料を計算して合算します。最新の金額は公証役場へご確認ください。
戸籍謄本等の交付手数料
相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集める必要があり、本籍地を移していると複数の市区町村から取り寄せることになります。
実務上のポイント
実費は「不動産の数」「戸籍の通数」「財産の価額」に応じて積み上がっていくため、同じ「相続登記」でも家庭によって実費の総額は変わります。専門家に見積もりを依頼するときは、「実費はいくらで、報酬はいくらか」を分けて提示してもらうと、他の事務所と比較しやすくなります。専門家報酬は事務所ごとに設定が異なるため、複数の見積もりを取って比較・交渉する余地がある部分です。
専門家に依頼しなくても進められることが多いケース
次のような場合は、実費だけで自分で手続きを終えられる方も少なくありません。
- 相続人が1〜2人で、話し合いによる対立がない
- 不動産の数が少なく、名義変更の対象が限られている
- 金融機関の口座数が少ない、または残高が少額
- 戸籍の収集範囲が本籍地の移動が少なく限定的
セルフチェック|自分で進められそうか、3段階で確認
当てはまるものを確認してください
よくある質問
実費と専門家報酬は、見積書のどこで見分けられますか?
見積書に「登録免許税」「収入印紙代」「証明書取得費用」「公証人手数料」などと個別に記載されていれば実費です。「相続登記手続き代行」「遺産整理業務」のようにまとめて書かれている項目は、多くの場合、報酬(または報酬+実費の合算)にあたります。内訳が不明な場合は、依頼前に「実費と報酬を分けて教えてください」と確認するとよいでしょう。
実費は誰に依頼しても同じ金額ですか?
はい。登録免許税や収入印紙、証明書の発行手数料、公証人手数料は法律・条例・手数料令で金額が決まっているため、司法書士・行政書士のどちらに依頼しても、あるいは自分で手続きしても同じ金額がかかります。差が出るのは、その手続きを代行する専門家報酬の部分です。
複数の見積もりを取るとき、何を比較すればよいですか?
まず実費部分が同じ前提(不動産の数・戸籍の通数など)で計算されているかを確認したうえで、報酬部分の金額と、報酬に含まれる業務範囲(戸籍収集は含むか、遺産分割協議書の作成は含むかなど)を比べるのがポイントです。金額だけでなく、対応してくれる範囲もあわせて確認すると比較しやすくなります。
この記事の実費の金額は、今後変わりますか?
登録免許税の免税措置には適用期限があり、法改正により税率・手数料が改定されることもあります。本記事は作成時点の公的な料金表にもとづいていますが、実際に手続きを行う際は、法務局・家庭裁判所・公証役場・市区町村の最新の案内でご確認ください。
まとめ|まずは実費を知ることが、費用比較の第一歩
相続の費用は「実費」と「専門家報酬」に分けて考えると、見積もりの中身が理解しやすくなります。実費はどこに依頼しても変わらない金額なので、まずこの記事の一覧で目安を把握し、そのうえで報酬部分を複数の専門家で比較・検討することをおすすめします。お住まいの市区町村ごとの相談先・管轄機関は、愛知県の相続相談先マップ(市区町村別ガイド)から探せます。
ご自身の状況で実費・報酬がどの程度になりそうか整理したい方は、無料の生前対策診断や、30分の整理面談もご利用いただけます。
まずはご自身の状況を整理したい方へ
当サイトは手続きそのものをお受けしていないため、「実費だけで自分で進められそうです」というご案内をしても困りません。ご相談は無料で行っています。実際の手続きをご依頼になる場合は、提携先の専門家が有償で承ります。
※本記事は、法務局・裁判所・日本公証人連合会・各市区町村が公表する料金表等にもとづき、一般的な情報提供を目的として作成しています。掲載した実費の金額は作成時点のものであり、法改正・条例改正・特例の適用期限(登録免許税の免税措置は2027年3月31日までの申請分が対象)により変わることがあります。個別の金額・適用条件は、手続き先の機関に直接ご確認ください。本記事の内容は法的助言ではありません。専門家報酬は事務所ごとに設定が異なるため、本記事では特定の事務所・専門家の報酬額の比較は行っていません。