年金暮らしの住民税非課税の目安|単身・夫婦の年金額と級地の違い【2026年度】

6月、郵便受けに市役所の封筒が届く。中身は住民税の通知書。年金だけで暮らしていると、金額の欄が「0円」なのか数千円なのか、開く前から気になるものです。

住民税がかからない「非課税」の線は、年金額に直すと、住む市町村によって数万円違います。この記事では、単身と夫婦の目安、級地(きゅうち)による差、非課税だと変わることを整理します。数字は2026年10月時点で、名古屋市・日本年金機構・国税庁などの公表を確かめました。

この記事の結論

  1. 65歳以上で収入が年金だけなら、単身の非課税の目安は年金収入155万円(名古屋市など1級地)です。3級地では148万円になります。
  2. 夫婦は合計額ではなく、一人ずつ判定します。妻を扶養している夫は、1級地で211万円まで非課税の範囲に入ります。
  3. 非課税の世帯は、介護保険料が低い段階になります。年金生活者支援給付金の条件にもなります。ただし条件は「世帯全員」が非課税であることです。
目次

非課税の線は「年金収入」ではなく「所得」で決まる

住民税は、前の年の1年間の所得で決まります。2026年6月からの分は、2025年中の所得が基準でした。2027年6月からの分は、2026年中の所得で決まります。

「非課税」とは、均等割(所得に関係なく一律にかかる部分)も、所得割(所得に応じてかかる部分)も、かからない状態です。

年金の場合は、年金収入から「公的年金等控除」を引いた残りが所得です。65歳以上で年金収入が330万円以下なら控除は110万円。65歳未満で130万円以下なら60万円です(国税庁、2026年分)。

名古屋市の基準では、扶養する家族がいない人は、前年の合計所得が45万円以下なら非課税です。65歳以上で年金だけの方なら、次のとおりです。

年金収入155万円 − 控除110万円 = 所得45万円

遺族年金や障害年金は、税金のかからない収入です。この計算の「年金収入」には入れません。

級地で線が変わる|1級地は155万円、3級地は148万円

級地とは、生活保護の基準で市町村を1級地から3級地に分けたものです。住民税の非課税の線は、この級地ごとに少しずつ違います。1級地がいちばん高く、3級地がいちばん低くなります。

世帯の形(年金だけの場合)1級地(名古屋市など)2級地3級地
単身・65歳以上155万円151万5千円148万円
単身・65歳未満(60〜64歳)105万円101万5千円98万円
配偶者を扶養している人・65歳以上211万円201万9千円192万8千円

(年金収入の目安。均等割も所得割もかからない線です。名古屋市・みよし市・高山市の公表をもとに、公的年金等控除(65歳以上110万円・65歳未満60万円)を当てはめて当社が計算しました。2026年度分)

愛知・岐阜の例では、名古屋市と刈谷市が1級地、清須市と安城市が2級地、みよし市と高山市が3級地です。お住まいの市町村がどれかは、厚生労働省の級地区分の一覧(平成30年10月1日現在)か、市の税務課で確かめられます。

3級地の148万円は、日本年金機構が住民税の扶養親族等申告書を送る目安(65歳以上は年金額148万円以上)とも重なります。

2級地の市の一部は、端数を切り上げて「42万円」と案内しています(安城市の広報、2025年6月号)。数千円の差ですが、線のすぐそばにいる方は、市の案内で確かめてください。

所得割だけがかからない線は、これより少し広くなります。3級地の単身なら、所得が38万円を超えて45万円以下の間は、所得割はかからず、均等割だけがかかります(みよし市)。上の表は、均等割も所得割もかからない線です。

夫婦は「合計」ではなく、一人ずつ見る

住民税は、一人ずつ課税されます。夫婦の年金を足した額では判定しません。

ただし、配偶者に収入がほとんどなければ、もう一方の線が上がります。前年の合計所得が58万円以下の配偶者を「同一生計配偶者」といいます。これがいる人の線は、1級地で次の式です(名古屋市)。

35万円 ×(扶養する家族の数 + 1)+ 10万円 + 21万円

配偶者が1人なら、35万円 × 2 + 10万円 + 21万円 = 101万円です。65歳以上で年金だけの人なら、年金収入で211万円になります。配偶者の年金が、65歳以上で168万円以下(所得58万円以下)という条件つきです。

名古屋市など1級地の夫婦で、具体的に見てみます。

夫の年金妻の年金合計夫妻世帯全員が非課税
200万円80万円280万円非課税非課税はい
220万円80万円300万円課税(均等割のみ)非課税いいえ
150万円150万円300万円非課税非課税はい
190万円160万円350万円非課税課税いいえ

(ともに65歳以上で年金だけの場合。名古屋市の基準をもとに当社が計算した例です。2026年度分)

夫婦の合計が同じ300万円でも、結果は分かれます。片方が課税になると、「世帯全員が非課税」にはなりません。

子や親を扶養している場合は、人数が増えるぶん線が上がります。ご家族の状況で変わるため、ここでは目安としてご覧ください。

非課税だと、変わること

非課税の線は、住民税だけでなく、ほかの制度の「線」にもなっています。主なものを並べます。多くは、世帯全員が非課税であることが条件です。

制度非課税で変わること詳しくは
介護保険料(65歳以上)世帯全員が市民税非課税の人は、保険料が低い段階(第1〜第3段階)になります。名古屋市の2026年度は、基準額が年83,403円。第1・第2段階は年20,851円、第3段階は年33,362円です介護保険料の記事
年金生活者支援給付金世帯全員の市町村民税が非課税であることが、条件の一つです。ほかに所得の基準があります給付金の記事
高額療養費(70歳以上)「住民税非課税」の区分は、医療費の自己負担の上限が低く設けられています高額療養費の記事
介護施設の食費・居住費世帯全員が住民税非課税で、負担限度額の認定を受けると、食費と居住費が軽くなります。預貯金の基準もあります市区町村の窓口で申請
高額介護サービス費非課税の区分は、月ごとの自己負担の上限が低くなります市区町村の窓口

(名古屋市介護保険「第1号被保険者の保険料」、日本年金機構、厚生労働省・介護サービス情報公表システムをもとに作成。2026年10月時点)

年金生活者支援給付金の所得の基準は、前年の年金収入とその他の所得の合計が82万6,500円以下などです(昭和31年4月2日以後生まれの場合)。非課税であることに加えて、この基準も満たす必要があります。非課税なら必ずもらえる、というわけではありません。

非課税の線をわずかに超えると、これらの扱いが変わることがあります。年金額が増えた年は、通知書で課税か非課税かを見ておくと安心です。

同居する家族に住民税がかかっている人がいると、「世帯全員が非課税」にはなりません。子が同居を始めた、という変化で、親の介護保険料の段階が変わることもあります。

2027年度に向けて|決まったことと、検討中のこと

決まっているのは、同一生計配偶者や扶養親族の所得の要件です。2027年度(令和9年度)から、58万円以下が62万円以下に上がります(名古屋市、2026年5月28日更新)。名古屋市では、給与収入だけの単身の人の非課税の線も、110万円から119万円になります。

一方、非課税限度額そのものは、総務省の2026年5月の資料で「必要な対応を検討する」とされている段階です。名古屋市の案内には、年金だけの方の線を変える内容は載っていません。決まったものと検討中のものを分けて、年末にかけての発表を待つのが落ち着いた見方です。

自分が非課税か、確かめる方法

  • 前年の「公的年金等の源泉徴収票」で、支払金額(年金収入)を見ます。見方は年金の源泉徴収票の記事にあります。
  • 年金から住民税が引かれている人は、課税の側にいます。非課税の人は、年金からの住民税の天引きはありません。
  • 迷ったときは、市の税の窓口です。名古屋市なら、お住まいの区を担当する市税事務所の市民税課です。申告が要るかどうかは年金受給者の確定申告の記事も参考になります。

今日できる一歩

1. 昨年分の源泉徴収票を出す。「支払金額」の欄が年金収入です。ほかに収入がなければ、上の表の線と並べてみます。

2. お住まいの市町村の級地を調べる。名古屋市なら1級地です。ほかの市町村は、厚生労働省の一覧か、市の税務課で聞けます。

3. 同居の家族の収入をメモしておく。「世帯全員が非課税」の判定は、同居の家族の分も含むためです。

相談現場から

よく伺うのは「年金が上がったから、非課税でなくなったのでは」という心配です。線は、年金額だけでなく、級地と、扶養する配偶者の有無でも変わります。通知書の金額欄だけで決めず、前年の年金額と並べて見ると、落ち着いて判断できます。もう一つ多いのは、夫婦の年金を足した額で「うちは大丈夫」と考える場面です。住民税は一人ずつ見ます。

この話、うちの場合はどうなるか知りたい方へ
年金や預金を家族でどう整えておくか、30分の無料相談でお話を伺います。税額や課税・非課税の見立ては、提携の税理士が確認します。正式な判定は市町村が行います。愛知県内は対面・ご自宅への訪問も可能、それ以外はオンラインです。
※お電話は、相談中の場合は折り返しになります。
LINEで通知書や源泉徴収票の写真を送って相談する 返信は2営業日以内(土日祝を除く)

あわせて読みたい

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の一般的な情報の整理です。年金収入の目安は、年金だけで暮らす方に当てはめた計算で、実際の課税・非課税は、ほかの収入や家族の状況で変わります。個別の判断は、お住まいの市町村、または税理士にご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

親の預金・保険、元気なうちに決めておくこと。30分無料で相談できます052-766-5650無料相談を申し込む
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「いまから相続」は、株式会社アシストプラスが運営する、相続の手続き・生前対策・終活に関する情報サイトです。愛知県内の相続相談先の選び方や費用相場、金融機関ごとの手続き、生前対策や終活の進め方など、地域の実情に即した実践的な情報をお届けしています。 なお、運営会社である株式会社アシストプラスには、「あいち相続あんしんセンター」代表を務める司法書士 今井裕司が一部出資しております。この関係性を踏まえ、記事内でのご紹介・ご案内は公平性を保つよう努めています。

目次