二次相続とは?親の一人が亡くなったら確かめる5つ【2026年】税金・預金・認知症

四十九日が過ぎ、戸籍や銀行、年金の書類がようやくひと段落した。そんな頃に、ふと「次は母(父)のときだ」と考える方は少なくありません。残った親も、自分のときに家族が困らないか気にかけていることがあります。

この記事では、残ったお父さま・お母さまの相続(二次相続)について、元気なうちに確かめておきたい5つを整理します。数字は2026年10月時点で、国税庁などの公的な情報から確認しています。個別の税額の計算はしていません。

目次

先に結論:二次相続は、残った親が元気なうちに確かめる

この記事の結論

  1. 税の仕組みが変わる:二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、相続人も1人減ります。同じ財産でも、一次相続より税が重くなることがあります。
  2. 確かめるのは5つ:残った親の財産の一覧、預金の置き場所、認知症の備え、遺言、受取人の名義です。
  3. 本人が決められるうちに:どれも、本人がしっかり判断できるうちにしか決められないことを含みます。手続きが落ち着いた頃は、話を始めやすい時期です。

「うちは税金がかかるほどの財産はない」という家でも、預金・認知症・遺言の3つは関係があります。税金の話だけでなく、残った親の暮らしを守る準備として読んでみてください。

二次相続とは:1回目と2回目の相続の違い

両親のうち、先に一方が亡くなったときの相続を「一次相続」といいます。そのあと、残った親が亡くなったときの相続が「二次相続」です。法律の用語ではなく、相続の順番を分けて呼ぶための言い方です。

一次相続では、残った親(配偶者)と子どもが相続人になるのが一般的です。二次相続では配偶者がもういないため、相続人は子どもだけになります。この違いが、税金にも分け方にも影響します。

項目一次相続(1回目)二次相続(2回目)
亡くなる人先に亡くなった親残った親
主な相続人残った親と子ども子どもだけ
配偶者の税額軽減使える使えない(配偶者がいない)
基礎控除(子2人の例)3,000万円+600万円×3人=4,800万円3,000万円+600万円×2人=4,200万円
自宅の土地の特例配偶者が取得するなら、取得する人の要件はない取得する子が、同居などの要件を満たす必要がある
※両親と子ども2人の家族の例です。出典:国税庁タックスアンサーNo.4152・No.4158・No.4124(2026年10月時点で確認)。

二次相続で起きやすいこと:税金の仕組みから

ここからは税金の一般的な仕組みです。実際にいくらになるかは、財産の額と家族の構成で変わります。具体的な計算は、税理士や税務署で確かめてください。

配偶者の税額軽減が使えない

一次相続では、配偶者が受け取った財産に大きな軽減があります。1億6千万円か、配偶者の法定相続分の、どちらか多い額までは相続税がかかりません(国税庁タックスアンサーNo.4158、2026年10月時点)。

二次相続では、亡くなる親に配偶者がいません。そのため、この軽減を使える人がいなくなります。一次相続で税金がほとんどかからなかった家でも、二次相続で税金が出ることがあるのはこのためです。

なお、この軽減は申告をして初めて使えます。軽減で税金がゼロになる場合でも、遺産が基礎控除を超えるなら、一次相続の申告書は出す必要があります。

相続人が減り、基礎控除が小さくなる

相続税には、ここまでなら税金がかからない「基礎控除」があります。計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(国税庁タックスアンサーNo.4152、2026年10月時点)。

両親と子ども2人の家なら、一次相続の相続人は3人で4,800万円です。二次相続では子ども2人だけになり、4,200万円に下がります。一人っ子の家なら、4,200万円が3,600万円になります。

相続税の税率は、財産が多いほど高くなる仕組みです。法定相続分で分けたと仮定して、それぞれに税率をかけて計算します(国税庁タックスアンサーNo.4155)。相続人が減ると1人あたりの額が大きくなり、高い税率がかかる部分が出やすくなります。相続税がかかりそうかの目安は、相続税はいくらから?基礎控除の早見表と目安の出し方で確かめられます。

一次相続で配偶者に多く渡すと、二次相続で重くなることがある

一次相続で、残った親が多くの財産を受け取ったとします。そのぶん、一次相続の税金は軽くなります。けれども残った親がもともと持っていた財産に、受け取った財産が上乗せされます。それが二次相続で、まとめて子どもに渡ることになります。

二次相続では配偶者の軽減がなく、基礎控除も小さくなります。そのため、2回の相続を合わせた税金が、かえって多くなる場合があります。反対に、残った親の暮らしや住まいを考えれば、多めに渡すのが自然な家もあります。

大切なのは、一次相続だけを見て決めないことです。一次相続の遺産分割がまだなら、二次相続まで通して考える余地があります。分け方がもう決まっていても、残った親の財産の使い方や渡し方で、二次相続の形は変わります。

二次相続の相続税の早見表(子どもだけが相続する一般例)

二次相続の相続税がどのくらいになるか、国税庁の速算表で一般例を出しました。前提は、相続人が子どもだけで、法定相続分どおりに分けた場合です。表の「遺産の合計」は基礎控除を引く前の額で、借入金や葬式費用の差し引き、小規模宅地等の特例などは考えていません。税額は、子ども全員の分を合わせた額です。

遺産の合計子1人子2人子3人
5,000万円160万円80万円20万円
7,000万円480万円320万円220万円
1億円1,220万円770万円630万円
1億5,000万円2,860万円1,840万円1,440万円
2億円4,860万円3,340万円2,460万円
3億円9,180万円6,920万円5,460万円
※国税庁タックスアンサーNo.4152「相続税の計算」・No.4155「相続税の税率」(令和8年4月1日現在法令等)の速算表で計算した一般例です(2026年10月確認)。財産の評価や特例、相次相続控除などで実際の税額は変わります。

たとえば遺産が1億円で子2人なら、基礎控除4,200万円を引いた5,800万円を2人で分けたと考えます。1人2,900万円に税率15%をかけ、50万円を引いた385万円が1人分で、2人で770万円です。同じ遺産でも、子どもが少ないほど税額は大きくなります。一次相続とあわせた比べ方は、一次相続の分け方で二次相続の税金は変わるで一般例を扱っています。

自宅の土地の特例は、取得する子の条件で変わる

亡くなった人が住んでいた自宅の土地は、条件を満たすと評価額を80%減らせる特例があります(小規模宅地等の特例、限度面積330㎡)。一次相続で配偶者が取得する場合は、取得する人ごとの要件はありません。

二次相続で子どもが取得する場合は、条件が付きます。たとえば、親と同居していて、申告期限まで住み続けて持ち続けることです。別に暮らしている子は、3年以内に自分や配偶者の持ち家に住んでいないことなど、細かな要件があります(国税庁タックスアンサーNo.4124、2026年10月時点)。

実家に誰が住み、誰が引き継ぐのか。この点も、二次相続の税金を左右します。当てはまるかどうかは、税理士に確かめるのが確実です。同居の子と別居の子(家なき子)の要件は、小規模宅地等の特例と二次相続|同居の子・家なき子の要件早見表で詳しく整理しています。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

残った親が元気なうちに確かめる5つ

一次相続の手続きで集めた書類は、二次相続の準備にもそのまま役立ちます。次の5つを、残った親と一緒に確かめていきます。

確かめること手元で見るもの確かめる点
□ ①財産の一覧通帳、証券会社の報告書、固定資産税の課税明細書どこに何がいくらあるか、1枚にまとまっているか
□ ②預金の置き場所通帳、キャッシュカード、引き落としの明細口座の数、生活費の口座、止まったときの備え
□ ③認知症の備え本人と家族の話し合い判断がむずかしくなったとき、誰がお金を管理するか
□ ④遺言遺言書の有無と保管場所誰に何を渡したいか、書き残してあるか
□ ⑤受取人と非課税枠手元にある保険証券受取人が亡くなった親のままになっていないか

①残った親の財産の一覧

最初に、残った親の名義の財産を1枚の紙に書き出します。預金、株や投資信託、自宅などの不動産、それに一次相続で受け取った分も含めます。ローンや借入があれば、それも一緒に書きます。金額は大まかでかまいません。

一次相続で使った残高証明書や、固定資産税の課税明細書が手元にあれば、それが土台になります。一覧があると、二次相続で税金がかかりそうかの目安もつけやすくなります。

②預金の置き場所と、止まる口座への備え

預金は、銀行が亡くなったことを知ると、原則として引き出しや振込ができなくなります。一次相続で、それを経験された方も多いはずです。

二次相続に向けては、まず口座の数を確かめます。使っていない口座が多いと、手続きの手間がその数だけ増えます。残った親が元気なうちに、使わない口座をまとめておく方法があります。お金の置き場所の考え方は、老後のお金の置き場所|使う・増やす・残すで選ぶで整理しています。

生活費や公共料金の引き落とし口座がどれかも、家族で共有しておきます。口座が止まると、引き落としも止まるからです。止まった後の払い戻しの仕組みは、親が亡くなったら銀行口座はすぐ止まる?にまとめています。

③認知症になったときの備え

見落とされやすいのが、残った親が認知症になった場合です。判断する力が十分でないと、預金の引き出しや自宅の売却、契約ごとが本人だけではできなくなることがあります。遺言を書くこともむずかしくなります。

元気なうちに選べる方法には、主に次のようなものがあります。

  • 任意後見:将来お金の管理などを任せる人と、その内容を、公正証書の契約で決めておく制度です。判断する力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだ時から始まります。
  • 家族信託:預金や自宅の管理を、信頼できる家族に託す契約です。誰に何を託すかを、本人と家族で決めておきます。
  • 金融機関の代理人の届け出:金融機関によっては、家族を代理人として届け出ておける仕組みがあります。内容は金融機関ごとに違います。

どれが合うかは、財産の種類や家族の関係で変わります。認知症になった後は、家庭裁判所に申し立てる成年後見が中心になります。違いは認知症の親の家を売るには|後見人の許可と家族信託の違いでも整理しています。

④遺言

二次相続では、相続人が子どもだけになります。子ども同士の話し合いで分けることになり、間を取り持つ親はもういません。

残った親に「誰に何を渡したいか」の考えがあるなら、遺言で書き残しておく方法があります。自宅は誰が引き継ぐか、預金はどう分けるか。それが分かっているだけでも、子ども同士の話し合いは進めやすくなります。

遺言には、自分で書く自筆証書遺言と、公証役場で作る公正証書遺言などがあります。自筆の遺言は、法務局に預ける制度も使えます。

⑤生命保険の受取人と、死亡保険金の非課税枠

手元に残った親の保険証券があれば、受取人の欄を見てください。受取人が、先に亡くなった親のままになっていることがあります。

受取人が亡くなったまま変更していないと、誰が受け取るかの決まり方が複雑になります。思っていた人に渡らないこともあります。受取人を変えるときは、契約者である残った親が、元気なうちに保険会社へ手続きをします。

税金の面では、相続人が受け取る死亡保険金に非課税枠があります。枠は「500万円×法定相続人の数」です(国税庁タックスアンサーNo.4114、2026年10月時点)。相続人以外が受け取った分には使えません。二次相続では相続人が減るので、枠も一次相続より小さくなります。

残ったお父さま・お母さまの預金や受取人のことは、ご家族の構成で答えが変わります。通帳や保険証券を見ながら一緒に整理したい方は、30分の無料相談で確かめられます。愛知県内はご自宅への訪問もできます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。

話を始める時期と、家族での進め方

二次相続の話は、残った親にとって自分の亡くなった後の話です。切り出しにくいと感じるのは自然なことです。

手続きが落ち着いた頃は、比較的話しやすい時期です。「今回の手続きが大変だったから、次は困らないように一緒に書き出しておきたい」。こう伝えると、親を責める話になりにくくなります。

一度に5つを決める必要はありません。まずは①の財産の一覧と、②の口座の確認から始めると進めやすくなります。③〜⑤は、一覧を見ながら家族で少しずつ話していきます。

兄弟姉妹がいる場合は、話した内容を全員で共有しておきます。一人だけが親の財産を把握していると、後で行き違いのもとになることがあります。

今日できる一歩

  1. 一次相続で集めた残高証明書や通帳のコピーを1つの封筒にまとめ、残った親の名義のものに印をつけておきましょう。

よくある質問

二次相続は、いつ頃から考えればいいですか?

決まった時期はありません。一次相続の手続きが落ち着いた頃や、一周忌などで家族が集まる時期が、話を始めやすい時期です。大切なのは、残った親がしっかり判断できるうちに始めることです。

一次相続で相続税がかからなかった家も、気にする必要はありますか?

あります。二次相続では基礎控除が小さくなり、配偶者の軽減も使えません。一次相続で税金がかからなくても、二次相続では申告が必要になることがあります。まず残った親の財産の一覧を作り、基礎控除と比べてみてください。

一次相続から間もなく、残った親も亡くなったらどうなりますか?

10年以内に相続が続いた場合、「相次相続控除」という仕組みがあります。一次相続で残った親に相続税が課されていたときに、二次相続の相続税から一定額を差し引けます。経過した年数に応じて控除の額は少なくなります。相続人であることなどの要件があります(国税庁タックスアンサーNo.4168)。

残った親が認知症と診断されたら、もう何もできませんか?

診断されたからといって、すぐにすべてができなくなるわけではありません。どこまで本人が決められるかは、判断する力の程度によります。遺言や契約ができるかどうかは、医師や専門家に相談しながら確かめます。判断がむずかしい場合は、成年後見の申し立てを考えることになります。

親に財産のことを聞くのは気が引けます。どう切り出せばいいですか?

「今回の手続きで困ったことを、次は減らしたい」と、手続きの経験を理由にすると話しやすくなります。金額を聞き出すより、通帳や書類の置き場所を一緒に確かめるところから始めると、親も構えずに済みます。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした一般的な整理です。個別の税額や、特例が使えるかどうかの判断を示すものではありません。制度は変わることがあるため、実際の手続きの前に税務署や専門家にご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

親の預金・保険、元気なうちに決めておくこと。30分無料で相談できます052-766-5650無料相談を申し込む
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「いまから相続」は、株式会社アシストプラスが運営する、相続の手続き・生前対策・終活に関する情報サイトです。愛知県内の相続相談先の選び方や費用相場、金融機関ごとの手続き、生前対策や終活の進め方など、地域の実情に即した実践的な情報をお届けしています。 なお、運営会社である株式会社アシストプラスには、「あいち相続あんしんセンター」代表を務める司法書士 今井裕司が一部出資しております。この関係性を踏まえ、記事内でのご紹介・ご案内は公平性を保つよう努めています。

目次