親の免許更新のはがきが届いた。「認知機能検査」「高齢者講習」と書いてあり、何から手をつけるのか分からない。75歳を過ぎると、こうした場面が増えてきます。
この記事では、75歳以上の更新で受けるものを順番に並べ、費用の目安、予約のしかた、結果ごとの次の手続きを整理します。2026年10月時点の警察庁と、愛知県警・警視庁・長野県警の案内をもとにしています。
先に結論:はがきが届いたら、まず予約です
この記事の結論
- 受けるもの:75歳以上は、認知機能検査と高齢者講習を受けてから更新します。過去3年に一定の違反がある方は、運転技能検査も受けます。
- 費用:警察施設の例では、認知機能検査が1,050円、高齢者講習が6,600円です。教習所で受けると金額が変わるので、予約のときに聞きます。更新手数料は別にかかります。
- 結果:認知機能検査で「認知症のおそれ」と出ても、その場で免許がなくなるわけではありません。次は医師の診断に進みます。
講習の場所は、都道府県ごとに運転免許試験場や教習所などに分かれます。お住まいの都道府県警察の案内が最終の確認先です。
受けるもの・受けないものの早見表
決め手は、更新期間が終わる日の年齢と、これまでの違反の有無です。70〜74歳は高齢者講習だけで、認知機能検査はありません。
運転技能検査の対象は、普通自動車対応の免許を持つ75歳以上の方です。更新期間が終わる日の直前の誕生日の160日前からさかのぼって3年間に、信号無視、速度超過、携帯電話の使用など11種類の違反のどれかがあると該当します。
認知機能検査は、普段の運転頻度に関係なく、75歳以上の更新では受ける決まりです(警察庁のQ&A)。ただし、医師の診断書を出せば受けなくてよい場合があります。くわしくは後の章で触れます。
更新までの流れと予約のしかた
2022年10月12日以降に誕生日を迎える方は、認知機能検査・高齢者講習・運転技能検査を、好きな順番で受けられます(警視庁の案内)。最後に更新の窓口へ行く点は、どの順番でも同じです。
- 通知書を確認する。愛知県では「認知機能検査等に関する通知書」が届きます。検査の日時と場所が書かれています。
- 認知機能検査を予約して受ける。結果は書面(はがきなど)で届きます。
- 高齢者講習を教習所などに予約して受ける。受けると終了証明書がもらえます。
- 該当する方は、運転技能検査を受ける。合格すると受検結果証明書がもらえます。
- 更新の窓口へ行く。各証明書と更新手数料を持って、運転免許試験場や指定の警察署で手続きします。
更新の窓口へ持っていくものチェックリスト
- □ 更新のお知らせのはがき
- □ 運転免許証(マイナ免許証をお持ちの方は、そちらも)
- □ 更新手数料
- □ 高齢者講習の終了証明書
- □ 認知機能検査の結果通知書(診断書を出した方は不要な場合あり)
- □ 運転技能検査の受検結果証明書(該当する方のみ)
- □ 眼鏡や補聴器(使っている方のみ)
持ち物は警視庁の案内をもとにしています。細かい点は都道府県で違うので、届いた通知書の記載が優先です。
予約の先は、検査ごとに違います
愛知県の運転技能検査に該当する方は、検査日時の変更が電話のみです。教習所で受ける場合は、教習所に直接予約し、警察が指定した検査はコールセンターで取り消します。
親の免許の話は、家族で切り出しにくいものです。話し方の例は親に運転免許の返納をどう切り出す?話し方の例と返納後の支援・手続きにまとめています。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
費用の表:都道府県と受ける場所で変わります
手数料は、警察が行う場合と教習所が行う場合で違います。教習所は料金を自分で決めるため、同じ県でも差が出ます。下の表は、警察施設で受ける場合の例です。
愛知県の通常の高齢者講習は、金額が案内に出ていません。「実施機関により異なるので、予約の際に問い合わせてください」とされています。ここでは、愛知県が金額を載せている臨時の講習の額を、参考として並べました。
更新手数料は、これとは別にかかります。教習所を選ぶ前に、金額、所要時間、送迎の有無を電話で聞いておくと迷いません。
結果ごとの次の手続き
認知機能検査の結果
検査では、16種類の絵を覚えて思い出す問題と、今日の年月日や曜日、時刻を答える問題があります。結果は「認知症のおそれがない」か「おそれがある」の2つです。警視庁の案内では、36点未満が「おそれがある」です。問題の中身や採点のしかた、公式の練習資料の入手先は、75歳の免許更新の認知機能検査で詳しく整理しています。
「おそれがある」という判定は、医学的な診断ではありません。警察庁のQ&Aでも、判定だけで直ちに免許が取り消されることはないと説明されています。認知症かどうかは、医師の診断で決まります。
検査は何度でも受けられますが、受けるたびに手数料がかかります。再び受けて「おそれがない」と出れば、診断などの手続きは必要なくなります。
検査を受けずに、診断書を出す方法
認知症に当たらないという医師の診断書などを出すと、認知機能検査を受けなくてよい場合があります。愛知県警の案内では、診断書に次のことが必要です。
- 氏名、住所、生年月日が書かれている
- HDS-R、MoCA、DASC-21、MMSE、ABC-DSのどれかの検査を行っている
- 検査名、結果、認知症に関する判定が書かれている
- 判定した医師の名前と医療機関名が書かれている
- 通知書に書かれた期間内に作られている
提出は郵送のほか、警察行政手続オンラインやe-Govでもできます。作成日の条件は都道府県で表現が違うため、通知書の期間を必ず見てください。
運転技能検査の結果
運転を続けるか、免許を返すかは、ご本人とご家族が決めることです。返納する場合は、申請により免許の取消しを受け、運転経歴証明書を申請できます(警察庁のQ&A)。返納後の手続きや支援は、返納の記事で取り上げています。
期限と、過ぎたらどうなるか
認知機能検査は、更新期間が終わる前の6か月以内に受けられます(警察庁)。通知は、その時期に合わせて届きます。検査と講習が済まないと更新の窓口へ進めないので、はがきが届いたら早めに予約します。
- 更新の期限を過ぎたとき:更新はできなくなり、免許は失効します。その後の扱いは都道府県で違うため、運転免許試験場に聞いてください。
- 臨時の講習を受けないとき:愛知県では、通知を受け取った翌日から1か月以内に受けます。受けないと、免許の効力の停止や取消しになることがあります。
- やむを得ず期間内に受けられないとき:その理由を示す書類を警察に出す方法があります。通知書の連絡先に相談します。
「臨時」の検査や講習は、通常の更新とは別に届くものです。運転免許証をお持ちの75歳以上の方が、信号無視などの一定の違反をしたときに、臨時認知機能検査の通知が届きます。臨時認知機能検査で「認知機能の低下が運転に影響するおそれがある」と判断された方は、愛知県では臨時高齢者講習を受けます。
損しやすい点と、今日できる一歩
- 予約が混む。教習所によっては、希望の日に空きがないことがあります。愛知県では空き状況を協会のページで見られます。
- 教習所の料金は一律ではない。同じ内容でも、教習所ごとに金額が違います。予約のときに合計額を聞きます。
- 運転技能検査の対象は、本人が気づきにくい。違反の記録は通知書で分かります。通知書が「運転技能検査」の案内になっていないか、封を開けて確かめます。
- 診断書の作成日に条件がある。古い診断書は使えません。病院で書いてもらう前に、通知書の期間を確認します。
- 家族の代理予約は、予約方法による。東京都の認知機能検査のWEB予約は、本人以外の代理もできます。電話窓口の本人確認は、先方に聞きます。
今日できる一歩
- 届いた「更新のお知らせ」と通知書を出して、書かれている期間と問い合わせ先を、カレンダーに書き写す。
よくある質問
70歳から74歳でも、認知機能検査はありますか
ありません。更新期間が終わる日に75歳以上の方が対象です。70〜74歳は、高齢者講習だけを受けます。
ふだん運転していなくても、検査を受けますか
免許を更新するなら、受けます。警察庁のQ&Aでは、普段の運転頻度にかかわらず受ける決まりです。更新しない場合は、受けなくて構いません。
認知機能検査の結果が悪いと、すぐ免許がなくなりますか
なくなりません。判定の次に、医師の診断を受けます。免許の取消しなどは、診断の結果と手続きを経て決まります。
高齢者講習に、合格や不合格はありますか
案内には、合否の記載がありません。講義、視力などの適性検査、実車指導を受けて、終了証明書をもらう形です。愛知県の案内では、2時間の内訳は講義30分、適性検査30分、実車指導60分です。
教習所と警察施設は、どちらで受けるのがよいですか
どちらで受けても、更新に使える証明書がもらえます。違いは、費用、予約の取りやすさ、場所です。通える範囲の実施先に、金額と空きを聞いて選びます。
運転する車を安全装置つきに限る免許はありますか
警察庁の案内に「サポートカー限定免許」があります。申請の条件や手続きは、都道府県警察で確認してください。
75歳になるときのほかの手続きは、75歳になったら必要な手続きにまとめています。
参考にした公的情報
- 警察庁「認知機能検査Q&A」
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/faq_r03.html - 愛知県警察「高齢者講習」
https://www.pref.aichi.jp/police/menkyo/tetsuzuki/koushin/menkyo/20170412-1.html - 愛知県警察「認知機能検査」
https://www.pref.aichi.jp/police/menkyo/tetsuzuki/shikenjou/20170412-3.html - 愛知県警察「運転技能検査」
https://www.pref.aichi.jp/police/menkyo/topics/untenginoukensa.html - 警視庁「認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/koshu/koshu/over75.html - 長野県警察「高齢運転者の方へ」(2025年3月24日更新)
https://www.pref.nagano.lg.jp/police/menkyo/kourei/index.html - 愛知県警察「臨時高齢者講習」
https://www.pref.aichi.jp/police/menkyo/tetsuzuki/shikenjou/20170413-5.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。手数料、予約先、実施の時期は都道府県や実施機関で異なります。ご自身の手続きは、届いた通知書とお住まいの都道府県警察の案内でご確認ください。運転を続けるかどうかなど、健康に関する判断は医師にご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
