盆休みも正月も、今年は帰れそうにない。電話をしても、母は「元気よ、心配しないで」としか言わない。声は変わらないのに、冷蔵庫の中や郵便受けの様子が気になってくる。離れて暮らす親のことを、ふと考える場面は多いはずです。
この記事では、離れて暮らす親の見守り方法を、費用の目安つきで比べます。特定の会社の商品はすすめず、自治体や郵便局など公的・公共のサービスを中心にまとめました。内容は2026年10月時点の公的機関の案内によります。
この記事の結論
- 見守りは、1つに決めなくて大丈夫です。「家族の電話」を土台に、自治体の見守りや郵便局のサービス、センサーを組み合わせると、無料から月数千円で形にできます。
- 最初に調べたいのは、親が住む市区町村の高齢福祉の窓口と、地域包括支援センターです。名古屋市の案内では、地域包括支援センター(いきいき支援センター)の相談は無料です。
- 機器やサービスは、親本人の了解が先です。契約の前に、総額と解約の条件、異変が出たときに誰が駆けつけるかを確かめてください。
見守りの方法を並べて比べる
見守りには、「今日、元気か」を知る安否確認、「倒れたとき」の緊急対応、「話し相手がいない」ことへの対策の3つがあります。1つの方法で全部をカバーするのは難しいので、親の状態に合わせて組み合わせます。
どの方法でも、土台になるのは家族の連絡です。電話のしかたや、お金の話の切り出し方は、年末年始の帰省で親とお金の話も参考になります。
まず調べたいのは、自治体の見守り
親が住む市区町村には、高齢者の見守りの仕組みがあります。窓口は、役所の高齢福祉の担当と、地域包括支援センターです。地域包括支援センターは、保健師や社会福祉士などがいる高齢者の総合相談窓口で、すべての市町村にあります(厚生労働省、2025年4月末時点で5,487か所)。
内容は市区町村で違います。名古屋市と岐阜市の案内から、例を挙げます。
- 名古屋市:民生委員の訪問、老人クラブの友愛訪問、福祉電話の貸与(ボランティアが週2回電話する。条件あり)、消防あんしん情報登録制度(救急搬送のとき話せなくても、登録した緊急連絡先へ消防局が連絡する。65歳以上で身体障害がある人、または70歳以上のひとり暮らしが対象)など。
- 名古屋市守山区:定期的に電話で見守る「いきいきコール」、新聞販売店と協力する「見守りあんしんプラス」。申し込みは、いきいき支援センターです。
- 岐阜市:自宅にセンサーを置き、異常があると協力員に連絡が行く「安否確認サービス」。センサーの設置は原則無料ですが、所得の条件と、協力員の確保が必要です。
新聞や郵便物がたまっているなど、配達の人が異変に気づいたら役所に連絡する「見守り協力事業者」の仕組みを持つ区もあります(名古屋市守山区)。
遠くに住む子が、親に代わって申し込めるかどうかは、窓口で違います。まず親が住む地域の窓口に電話で確かめてください。親本人の同意や状況の確認が必要になることもあるので、先に本人と話しておくと進みます。
郵便局のみまもりサービス
郵便局のサービスは、訪問と電話の2本立てです。日本郵便の案内(2026年10月時点)では、次の内容です。
- みまもり訪問サービス:月額2,500円(税込)。局員が月1回、30分ほど訪問し、10項目(基本7項目+選択3項目)を確認。写真つきの報告書が、家族など指定先に届きます。
- みまもりでんわサービス:固定電話は月額1,070円、携帯電話は月額1,280円(税込)。自動音声で毎日体調を確認し、報告先は最大4名まで設定できます。
- セット:訪問とでんわで月額3,460円(税込)。
- 駆けつけ(オプション):警備会社との別契約が必要で、追加料金は月額880円(税込)から、駆けつけ1回5,500円(税込)。
訪問は月1回なので、毎日の安否は電話やセンサーで補う形になります。申し込みや内容の確認は、日本郵便のお客様サービス相談センター(0120-23-28-86、平日9時〜19時、土日祝9時〜17時)です。
センサーなど民間サービスを選ぶときの確認点
民間のサービスは種類が多く、会社ごとに仕組みも費用も違います。この記事では特定の会社はすすめません。次の点を比べてください。
親の状態別に、組み合わせの考え方も整理しておきます。
親への切り出し方と、費用の分担
見守りの話は、「見張られている」と受け取られないことが大切です。「心配だから」より、「私が安心したいから、連絡の約束をしたい」と、自分の気持ちとして伝えるほうが通りやすくなります。
1. 短め(LINEで)
「毎朝、スタンプ1つだけ送り合わない? 返事がなければ、電話するね。」
2. 丁寧め(帰省したとき)
「離れていると、何かあったときにすぐ行けないのが気がかりなの。お母さんの生活は変えなくていいから、私が安心できる方法を一緒に探してほしい。」
3. 公的な仕組みを使う
「市の見守りって、民生委員さんが訪ねてくれるんだって。顔見知りができると、私も安心だよ。話だけ聞きに行ってみない?」
4. 断られたとき
「じゃあ、お試しで1か月だけにしよう。合わなければ、やめていいから。」
費用は、親の預金から払うか、子が出すかで、あとから気持ちのズレが出やすい部分です。きょうだいがいる場合は、誰がいくら出したかをメモに残し、早めに共有してください。
分担の話し合いの進め方は、親の介護で兄弟が不公平…どう話し合う?で詳しく書いています。
今日できる一歩
- 親が住む市区町村の名前と「高齢者 見守り」で検索し、見守りの窓口の電話番号を1つメモする。
よくある質問
見守りの話をすると、親が怒りそうです
「年寄り扱いされた」と感じる人は少なくありません。機器を入れる話の前に、電話の約束や、自治体の訪問など、生活を変えない方法から始めるのが無理がありません。「お試し」と期間を決めるのも一つの方法です。
連絡がつかないとき、最初に何をすればいいですか
近所の知人や親しい人に、様子を見てもらえるか頼みます。見守りに登録している場合は、その窓口にも連絡します。倒れている可能性があるなど、命に関わりそうなときは、迷わず119番に連絡してください。
遠くに住んでいても、自治体の見守りを使えますか
見守りの対象は、親が住んでいる市区町村の住民です。子が遠方の場合の扱いや、申し込みの方法は、市区町村で違います。親が住む地域の役所か、地域包括支援センターに電話で確かめてください。
費用は、誰が払うのが一般的ですか
決まりはありません。親の年金や預金から払う家庭も、子が出す家庭もあります。どちらの場合も、金額と払う人を決めてメモに残しておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。
あわせて読みたい
参考にした公的情報
- 日本郵便「郵便局のみまもりサービス」 https://www.post.japanpost.jp/life/mimamori/
- 名古屋市「ひとり暮らしの高齢者などの支援」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/koureisha/1016427/1016428.html
- 名古屋市守山区「見守り」 https://www.city.nagoya.jp/moriyama/page/0000119943.html
- 岐阜市「高齢者向けの案内」(PDF) https://www.city.gifu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/033/185/koureisyaanshinguide.pdf
- 厚生労働省「地域包括支援センターについて」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001671185.pdf
- 神奈川県「見守りサービス事業者の一覧」 https://www.pref.kanagawa.jp/documents/25828/kigyouitirann_sensor.pdf
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報にもとづく一般的な整理です。料金や対象は変わることがあります。実際に申し込む前に、日本郵便、お住まいの市区町村、地域包括支援センターなどの最新の案内をご確認ください。
関連:見守りの相談先になる地域包括支援センターは、市町村ごとにまとめています(例:飛島村、大治町)。離れて暮らす中で介護の負担が重くなってきたときは、介護で気持ちがもたないときの原因と対処も参考になります。
