75歳を過ぎて免許を更新するときは、認知機能検査を受けます。「どんな問題が出るのか」「何点で引っかかるのか」と、気になる方は多いはずです。
この記事は、検査そのものに絞って整理します。検査の中身、採点の考え方、結果の区分、当日の流れ、手数料までを、2026年10月時点の警察庁と、愛知県警・岐阜県警の案内でまとめました。
更新までの全体の順番や教習所の予約は、75歳以上の免許更新の流れで扱っています。この記事では重ねて書きません。
先に結論:検査は2項目で、36点未満が「おそれあり」です
この記事の結論
- 中身:「手がかり再生」と「時間の見当識」の2項目です。イラストを覚えて思い出す問題と、今日の年月日・曜日・時間を答える問題です。
- 結果:総合点が36点未満だと「認知症のおそれがある」、36点以上だと「おそれがない」の2区分です。「おそれあり」は診断ではなく、医師の診断に進む入口です。
- お金と練習:検査の手数料は、愛知県警・岐阜県警の案内でどちらも1,050円です。練習用の資料は、警察庁のサイトからダウンロードして使えます。
検査の中身:手がかり再生と時間の見当識
対象は、更新期間が満了する日に75歳以上の方です。ふだんの運転頻度は関係ありません(警察庁Q&A)。満了日の6か月前から受けられ、その前に警察から通知が届きます。
答え方は、検査用紙への記入か、タブレットにタッチペンで入力する形です(警察庁)。
出題パターンは、愛知県警の案内で4種類のうち1つです。警察庁も、練習用にAからDの4パターンを公開しています。
問題のイラストや文面は、この記事には載せません。実物は、後の章でご案内する警察庁のページで見られます。
採点の考え方と結果の区分
警察庁の採点方法では、手がかり再生の点をA、時間の見当識の点をBとして、次の式で総合点を出します。
総合点=2.499×A+1.336×B
この総合点が判定の基準です。個々の問いの採点基準は、警察庁の採点方法のページにあります。
「おそれあり」と出たときの考え方
- 判定だけで、すぐ免許が取り消されることはありません(警察庁Q&A)。
- 簡易な検査なので、医師の診断の代わりにはなりません。認知症かどうかは、医師の診断で決まります。
- 何回でも受け直せます。受けるたびに手数料がかかります。受け直して「おそれがない」となれば、臨時適性検査や診断書提出の対象から外れます。
検査を受けずに済む場合
基準を満たす診断書などを出すと、検査が免除されます(愛知県警の案内)。基準の例は、次のとおりです。
- 本人の住所・氏名・生年月日が書かれている
- HDS-R、MoCA、DASC-21、MMSE、ABC-DSのどれかの検査をしている
- 検査名、結果、認知症に関する判定が書かれている
- 判定した医師の名前と医療機関名が書かれている
- 通知書に書かれた期間内に作成されている
提出は、郵送、警察行政手続オンライン、e-Govの3通りです(愛知県警)。古い診断書は使えないので、病院で書いてもらう前に通知書の期間を確かめます。
当日の流れと持ち物
流れは愛知県警の案内が分かりやすいので、それをもとにします。岐阜県は、届いた通知書と案内に従ってください。
- 通知書で日時と場所を確かめる。愛知県では「認知機能検査等に関する通知書」で日時と場所が決まっていて、予約は要りません。
- 都合が合わなければ変更する。愛知県は運転免許課コールセンター(0570-02-7075、平日9時〜17時)か、通知書の二次元コードから。運転技能検査にも当たる方は電話のみです。
- 受付で通知書・免許証・手数料を出す。
- 検査を受ける。説明のあと、手がかり再生(覚える、別の課題、ヒントなしで答える、ヒントありで答える)、時間の見当識の順です。
- 結果を待つ。結果は書面(はがきなど)で届きます。
持ち物チェックリスト
- □ 認知機能検査等に関する通知書
- □ 運転免許証
- □ 手数料(愛知県・岐阜県の案内で1,050円)
- □ 眼鏡や補聴器(使っている方)
愛知県のコールセンターは、月曜日の午前中がとくに混むと案内されています。変更の電話は、ほかの時間帯が向いています。
手数料と、高齢者講習・運転技能検査との関係
受ける場所によって額が変わることがあります。通知書に書かれた場所と金額を、いちばん優先してください。
高齢者講習との順番
愛知県警・岐阜県警の案内ページには、検査と講習の順番の決まりは載っていません。別の記事で紹介している警視庁の案内では、2022年10月12日以降に誕生日を迎える方は、好きな順番で受けられます。最後に更新の申請へ進む点は同じです。
講習は、認知機能検査の結果にかかわらず、実車指導を含む2時間に一本化されています(岐阜県)。
運転技能検査がある人
75歳以上で、普通車に対応する免許を持ち、過去3年間に信号無視などの一定の違反歴がある方は、更新のときに運転技能検査を受けます。基準に届かないと、更新できません(警察庁、岐阜県)。この場合は、認知機能検査と技能検査の両方があります。講習は実車指導がない1時間になります(愛知県警)。
技能検査の代わりに、自動車教習所などが行う公安委員会認定の検査を受ける方法もあります(警察庁)。
期限と、過ぎたらどうなるか
検査は、更新期間が満了する日の6か月前から受けられます。検査と講習が済まないと、更新の申請には進めません。期間が過ぎると免許は失効します。失効後の扱いは都道府県で違うので、運転免許課に確かめます。
損しやすい点
- 通知書を広告と間違えて捨てる。日時と場所が書かれた大事な書類です。
- 診断書の作成日を見ずに病院へ行く。通知書の期間内に作ったものでないと使えません。
- 日時の変更を直前の電話で済ませようとする。コールセンターは混む時間があります。
「無料」と「2025」で探した方へ:練習資料と制度の変更点
公式の練習資料は、サイトで見られます
警察庁は、検査を体験できる資料を認知機能検査のページで公開しています。ダウンロードして使えます。ページには、利用に料金がかかるという記載はありません。
- 検査用紙
- イラスト(パターンAからD)
- 採点方法
- 進行要領(検査員向けですが、体験のときの参考になります)
警察庁は、周りの方に検査員役を頼んで体験することをすすめています。
一方、検査そのものは無料ではありません。愛知県警・岐阜県警の案内では、手数料は1,050円です。練習は無料で見られる資料で、本番には手数料がかかる、と分けて覚えておくと迷いません。
「2025」で探した方へ:2026年10月時点の制度です
この記事は2026年10月時点の案内です。現在の検査の形は、2022年5月13日に施行された改正道路交通法で整ったものです(警察庁)。2025年から大きく変わった点は、確認した公式ページには見当たりませんでした。
家族の声かけと、心配なときの相談先
家族の声かけ:責めない、一緒に見る
- 結果を先回りして心配しない。検査は簡易なもので、判定が出ても診断ではないことを、家族がまず知っておきます。
- 「できるか試そう」ではなく「通知が来たね」から話す。点数の話より、日時の確認や持ち物の準備から始めると、角が立ちません。
- 練習資料を一緒に見る。警察庁の資料は、周りの人が検査員役をする前提です。家族が付き合う形なら、本人も構えにくくなります。
- できなかった点を数えない。思い出せなかったことを指摘するより、「ヒントがあると思い出せるね」など、できたことに目を向けます。
- 運転をやめる話は、検査と分けて切り出す。決めるのは本人と家族です。進め方は、親に運転免許の返納をどう切り出すかにまとめています。
返納を選ぶと、運転経歴証明書を申請できます。取消し・失効の後5年以内なら申請できます(警察庁Q&A)。
結果が心配なときの相談先
ご家族の構成や財産で答えが変わるところは、30分の無料相談で、書類を見ながら一緒に整理できます。愛知県内はご自宅への訪問もできます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。
75歳を迎えると、免許のほかにも届く書類が変わります。75歳になったら必要な手続きも、あわせて確かめておくと安心です。
今日できる一歩
- 警察庁の認知機能検査のページを開き、検査用紙と進行要領を、家族と一緒に画面で眺めてみる。
よくある質問
ふだん運転していなくても、検査を受けますか
免許を更新するなら受けます。警察庁Q&Aでは、運転の頻度にかかわらず、更新期間の満了日に75歳以上の方が対象です。更新しない場合は、受けなくてかまいません。
36点に届かないと、すぐ免許がなくなりますか
なくなりません。「おそれがある」と判定されると、警察から連絡が届きます。専門医の臨時適性検査か、医師の診断書の提出に進みます。免許の取消しなどは、その診断の結果と手続きを経て決まります。
結果に納得できないとき、受け直せますか
受け直せます。何回でも受けられますが、受けるたびに手数料がかかります(警察庁Q&A)。
診断書があれば、検査は受けなくてよいですか
基準を満たす診断書などを出せば、免除されます(愛知県警)。検査の種類、作成の時期、医師名などの条件があるので、通知書の期間を確かめてから病院へ行きます。
通知書の日時に行けないときは、どうすればよいですか
愛知県は、運転免許課コールセンター(0570-02-7075)に電話するか、通知書の二次元コードから変更できます。運転技能検査にも当たる方は、電話のみです。岐阜県は、通知書の案内に従ってください。
参考にした公的情報
- 警察庁「認知機能検査」(練習用資料・採点方法)
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html - 警察庁「認知機能検査Q&A」
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/faq_r03.html - 警察庁「高齢運転者対策・第二種免許等の受験資格の見直し(令和2年改正道路交通法)」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/r2kaisei_main.html - 愛知県警察「認知機能検査」
https://www.pref.aichi.jp/police/menkyo/tetsuzuki/shikenjou/20170412-3.html - 岐阜県「道路交通法の一部改正(令和4年5月13日施行)」
https://www.pref.gifu.lg.jp/site/police/220768.html - 岐阜県警察「安全運転相談」
https://www.pref.gifu.lg.jp/site/police/7795.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。手数料、予約の方法、日時は、通知書とお住まいの都道府県警察の案内が優先されます。検査の判定や運転の可否など、健康に関する判断は医師にご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
