親が亡くなり、相続税の申告をすることになった。税務署に何をそろえて出せばいいのか、誰がどこへ取りに行くのか。最初に迷うのはここです。
この記事では、国税庁の手引き「相続税の申告のしかた(令和7年分用)」に載っている提出書類の一覧をもとに、立場別・特例別の早見表を作りました。あわせて、書類ごとの取りに行く先、取る順番、家族の中での分担までまとめます(国税庁の案内は令和8年4月1日現在法令等、2026年10月に確認)。
先に結論:必要な書類は「全員共通」+「使う特例の分」です
この記事の結論
- 全員共通:相続人全員が分かる戸籍(亡くなってから10日を過ぎた後に取ったもの)か法定相続情報一覧図の写し、遺言書か遺産分割協議書の写し、申告する相続人それぞれのマイナンバー関係の書類です。
- 特例を使うとき:配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使うなら、相続人全員の印鑑証明書(原本)が加わります。小規模宅地等の特例は、土地の使い方ごとにさらに書類が増えます。
- 財産の資料:残高証明書や固定資産評価証明書など、金額の根拠になる資料もそろえます。国税庁の「相続税の申告のためのチェックシート」で漏れを確かめられます。
申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。期限の数え方は相続税の申告期限10か月の数え方にまとめています。この記事は「何を、どこで、誰が用意するか」に絞って説明します。
自分はどれに当たる?立場別・特例別の添付書類早見表
まず、どの家族でも出す「共通の書類」があります。そのうえで、使う特例や家族の事情によって書類が加わります。自分の家に当てはまる行を探してください。
「印鑑証明書は全員がいつも出すもの」と思われがちですが、国税庁の一覧では、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う場合の書類として挙がっています。特例の中身は配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例の要件早見表で確かめられます。自分の家が特例の対象になるかの判断は、税務署か税理士に確認してください。
マイナンバー関係の書類:申告する人ごとに2種類
相続税の申告書には、相続人それぞれのマイナンバーを書きます。そのため、書面で出す人は「番号の確認」と「本人の確認」の2種類の写しを付けます。
もう一つ、2026年から気をつけたい点があります。国税庁は、令和8年4月1日以後に提出する申告書に介護保険の被保険者証の写しを付けるときは、保険者番号と被保険者番号を元に戻せない程度に塗りつぶすよう案内しています。老人ホームに入っていた方の小規模宅地等の特例で使う書類なので、コピーを取ったら番号の欄を黒く塗ってから付けます。
書類ごとの取りに行く先と、取る順番
書類は、日数がかかるものから先に頼むのが基本です。下の表は、取りかかる順に並べています。
個別の取り方は、法定相続情報一覧図の取り方、銀行の残高証明書の取り方、固定資産評価証明書の取得方法で詳しく説明しています。
やり直しになりやすい順番
- 亡くなってすぐに戸籍を取る。死亡の記載が入る前の戸籍だと、取り直しになります。国税庁の一覧も「相続開始の日から10日を過ぎた日以後に作られたもの」としています。
- 介護保険証を先に返してしまう。老人ホーム等に入っていた場合の特例で写しを使います。返す前にコピーを取っておきます。
- 協議書より先に印鑑証明書だけ集めて、途中で実印を変える。協議書に押した印と印鑑証明書の印が合わなくなります。
家族の中で誰が何を用意するか(分担表)
申告書は相続人が共同で出すことが多く、書類も一人では集めきれません。本人でないと用意しにくい書類があるので、最初に分担を決めておくと、期限前に慌てずに済みます。
相続人の一人が「自分の印鑑証明書は出したくない」と言うと、特例を使う申告が進まなくなります。特例を使うときに必要な書類だと、早めに家族で共有しておきます。
提出前のチェックリスト(国税庁のチェックシートの使い方)
国税庁は「相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用)」という様式を公開しています。間違えやすい点を項目ごとに確かめる表で、財産の種類ごとの資料、土地や株の評価、特例、税額の計算の順に並んでいます。書類をそろえ終わったら、この様式で項目ごとに確かめると、出し忘れに気づきやすくなります。
家族で分担するときは、下の簡単なチェックリストから始めると話が早くなります。
- □ 戸籍(10日を過ぎた後のもの)または法定相続情報一覧図の写し
- □ 遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し
- □ 申告する相続人全員のマイナンバー関係の書類の写し(e-Taxなら不要)
- □ 特例を使うなら、相続人全員の印鑑証明書の原本
- □ 分け方が決まらないなら、申告期限後3年以内の分割見込書
- □ 小規模宅地等の特例なら、土地の使い方ごとの書類(早見表のとおり)
- □ 預貯金の残高証明書、固定資産評価証明書、登記事項証明書、保険金の支払通知書など財産の資料
- □ 介護保険の被保険者証の写しは番号を塗りつぶしたか
e-Taxで申告する場合、戸籍の写しや遺産分割協議書の写し、印鑑証明書など多くの添付書類は、PDFのイメージデータで送れます。一方で、納税猶予の担保に関する書類の一部は、書面での提出が必要です。
書類の集め方や家族の分担で迷うところは、30分の無料相談で、手元の書類を見ながら一緒に整理できます。申告書の作り方や税額の判断は、税務署か税理士にご確認ください。
今日できる一歩
- 早見表で、自分の家がどの行に当たるかに印をつける。
- 相続人の名前を並べ、分担表の「担当」を一人ずつ決める。
- 亡くなった人の介護保険証が手元にあれば、返す前にコピーを取る。
親の預金や自宅のことを元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。税理士に頼む場合の費用の目安は、相続税の申告を税理士に頼む費用にまとめています。
よくある質問
相続税の申告に必要な書類は、どの家でも同じですか
共通の書類は同じです。戸籍か法定相続情報一覧図の写し、遺言書か遺産分割協議書の写し、マイナンバー関係の書類です。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使うと、印鑑証明書などが加わります。
戸籍謄本はコピーでもいいですか
国税庁のチェックシートでは、戸籍の謄本や法定相続情報一覧図の写しは「複写したものを含みます」とされています。ただし、相続開始の日から10日を過ぎた日以後に作られたものが条件です。
印鑑証明書は原本が必要ですか
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う場合、国税庁のチェックシートは「必ず原本を提出」と案内しています。e-Taxで申告する場合は、イメージデータで送れる書類に含まれています。
マイナンバーカードを持っていない相続人はどうしますか
番号の確認は、マイナンバー入りの住民票の写しなどで代えられます。本人の確認は、運転免許証やパスポートなどの写しを使います。2種類をそろえて付けてください。
通帳のコピーも付けるのですか
国税庁のチェックシートでは、預貯金について残高証明書や通帳などの資料で確かめる項目が並んでいます。どこまで付けるかは財産の内容で変わるため、迷うときは税務署か税理士に確認してください。
申告書の用紙はどこで手に入りますか
国税庁のホームページの「相続税の申告書等の様式一覧」から取得できます。様式は亡くなった年の分を使います。たとえば令和7年分の様式は、令和7年1月1日から12月31日までに亡くなった方の申告用です。
参考にした公的情報
- 国税庁「相続税の申告のしかた(令和7年分用)」(参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2025/index.htm - 国税庁「相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用)」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/2023/pdf/r05-01.pdf - 国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(令和7年分用)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/r07.htm - 国税庁 e-Tax「イメージデータで提出可能な添付書類(相続税申告)」
https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/imagedata/shinkoku08.pdf - 国税庁 タックスアンサーNo.4205「相続税の申告と納税」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
※本記事は2026年10月時点の国税庁の公開情報をもとにした一般的な整理です。必要な書類は、財産の内容や使う特例によって異なります。ご自身の申告については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
