相続放棄の確認方法【2026年】家族が放棄したか調べる照会の手順・必要書類

父が亡くなり、兄が相続放棄をしたらしい。でも、本当に手続きが済んだのか分からない。自分に借金の話が回ってくるのかも気になる。そんなときに使えるのが、家庭裁判所への照会です。

相続放棄をしたかどうかは、放棄した本人に受理通知書を見せてもらうか、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に「相続放棄の申述の受理の有無」を照会すれば確かめられます。照会の手数料はかかりません。この記事では、確かめたいこと別の早見表、照会の手順と必要書類、受理通知書と受理証明書の違い、次の順位の人が期限から逆算して動く段取りを、名古屋家庭裁判所と岐阜家庭裁判所の案内(2026年10月時点)で整理します。

目次

先に結論:相続放棄の確認方法は「本人に聞く」か「家庭裁判所に照会する」です

この記事の結論

  1. いちばん早い方法:放棄した本人に、家庭裁判所から届いた受理通知書を見せてもらいます。連絡が取れないときや、書面で確かめたいときは照会を使います。
  2. 照会先と費用:亡くなった方の最後の住所地を受け持つ家庭裁判所です。照会の手数料は不要で、返信用封筒の切手代がかかります(名古屋家裁・岐阜家裁)。
  3. 照会できる人:相続人と、債権者などの利害関係人です。代わりに照会を頼めるのは弁護士だけです。

家庭裁判所が放棄を受理しても、ほかの家族に知らせるという案内はありません。受理通知書が届くのは、申述した本人です。確かめたい人が、自分で動く必要があります。

確かめたいこと別|あなたはどの方法?早見表

「相続放棄の確認」といっても、確かめたい中身は人によって違います。当てはまる行を探してください。

確かめたいこと方法どこで費用
先の順位の家族(子など)が放棄したか本人に受理通知書の写しをもらう。無理なら照会亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所照会の手数料は不要。返信用封筒の切手代
親族のうち誰が放棄したか、まとめて知りたい照会書の「相続人目録」に、確かめたい人を並べて書く同上同上
自分の放棄が受理されたか届いた受理通知書を確かめる申述した家庭裁判所なし
債権者などに放棄を証明したい受理証明書を申請する受理した家庭裁判所1件につき収入印紙150円
債権者として、相続人が放棄したか知りたい照会(資格の証明と、契約書などのコピーを付ける)亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所照会の手数料は不要
※出典:名古屋家庭裁判所「相続放棄・限定承認の申述の受理の有無の照会」、岐阜家庭裁判所「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」、名古屋家庭裁判所の相続放棄の案内資料(2026年10月時点)。

照会先の家庭裁判所は、放棄の手続きを出す先と同じです。亡くなった方の最後の住所から担当の家裁を探す方法は、相続放棄 家庭裁判所はどこ?に愛知・岐阜の一覧をまとめています。

家庭裁判所への照会の手順(5ステップ)

照会は、書類を家庭裁判所に送り、回答書を郵送で受け取る流れです。名古屋家裁と岐阜家裁の案内をもとに、順番に並べました。

  1. 最後の住所地を確かめる。亡くなった方の住民票の除票(本籍の記載があるもの)で確かめます。その住所を受け持つ家庭裁判所が照会先です。
  2. 照会書と相続人目録を手に入れる。名古屋家裁はページに照会書と相続人目録の書式(Excel)を載せています。岐阜家裁も照会申請書の書式をページに載せています。
  3. 添付書類をそろえる。下の表で確かめます。住民票などは、マイナンバーの記載がないものを使います。
  4. 返信用封筒を入れて送る。宛先を書き、切手を貼った返信用封筒を同封します。
  5. 回答書を受け取る。指定した相続人について、放棄の申述が受理されたかどうかの回答書が届きます。

相続人が照会するときの必要書類(名古屋家庭裁判所の例)

書類中身ひとこと
照会書家庭裁判所の書式亡くなった方の氏名・最後の住所・死亡日を、戸籍のとおりに書きます
相続人目録確かめたい相続人の氏名など照会の対象になる人は、この目録で決まります
亡くなった方の住民票の除票のコピー本籍の記載があるもの戸籍の附票と除籍謄本のコピーでも可。取れないときは事情説明書
照会する人が相続人だと分かる戸籍のコピー亡くなった方とのつながりが分かるもの親子なら、つながりが載った戸籍です
本人確認書類のコピー運転免許証、健康保険証など健康保険証は、保険者番号と記号・番号を隠します
返信用封筒宛先を書き、切手を貼る重さで料金が足りないときは、不足料金受取人払いで届きます
※出典:名古屋家庭裁判所「相続放棄・限定承認の申述の受理の有無の照会」と同ページの案内PDF(2026年10月時点)。追加の資料が必要なときは、家庭裁判所から連絡があります。

岐阜家庭裁判所も、照会申請書、除票のコピー、照会する人の本人確認書類のコピー(発行から3か月以内のもの。個人は住民票)、相続関係図、利害関係を示す資料のコピーを求めています。書類の名前や細かな扱いは家庭裁判所ごとに違います。送る前に、照会先のページで確かめてください。

照会で分かること・気をつけたいこと

照会で分かるのは、目録に書いた相続人について、相続放棄(または限定承認)の申述が受理されたかどうかです。結果を正しく受け取るために、次の点に気をつけます。

  • 名前と住所は戸籍のとおりに書く。名古屋家裁は、照会する相続人と亡くなった方の氏名、最後の住所、死亡日を戸籍のとおりに書くよう求めています。正確でないときは「受理がないもの」として扱うとしています。旧字体や番地の書き方に注意します。
  • 調べてもらえる期間がある。岐阜家裁の案内では、原則として亡くなった日から3か月の間の申述を調べます。先の順位の人の放棄が受理された日などを示せば、その日から3か月の間になります。電子データで検索できるときは、現在までの有無を調べます。3か月を過ぎてから放棄した人がいそうなときは、照会先に相談してください。
  • 代わりに照会できるのは弁護士だけ。家族や知人、ほかの士業が代理で照会することはできません(名古屋家裁・岐阜家裁)。
  • 放棄した人も照会できる場合がある。放棄が受理された人は相続人ではなくなりますが、別に法律上の利害関係を示せば照会できます(名古屋家裁)。
  • もう一度照会するときは書類を省ける。回答から1年以内で、同じ利害関係にもとづくなら、前回の回答書のコピーを付ければ、返信用封筒以外の添付資料を省けます(名古屋家裁)。

受理通知書と受理証明書の違い|自分の放棄を示すとき

自分が放棄したことを家族や債権者に示すときは、2つの書面を使い分けます。受理通知書は自動で届くもの、受理証明書は必要なときに申請するものです。

比べる点受理通知書受理証明書
何か放棄が受理されたことを、本人に知らせる書面放棄が受理されたことを証明する書面
手に入れ方受理されると、申述した本人に届く。名古屋家裁の案内では、申述から結果の連絡まで約1か月が目安受理した家庭裁判所に申請する。郵送でも申請できる
費用なし1件につき収入印紙150円
本人以外本人以外には届かない利害関係を示す資料があれば、本人以外も申請できる(東京家裁の案内)
使う場面家族に写しを渡す。債権者に写しを見せる債権者や手続きの窓口から、証明書を求められたとき
※出典:名古屋家庭裁判所の相続放棄の案内資料、名古屋家庭裁判所「相続放棄・限定承認の申述の受理の有無の照会」、東京家庭裁判所「相続放棄申述受理証明書の申請方法について(放棄をした本人以外の方が申請する場合)」(2026年10月時点)。期間は目安で、事案によって変わります。

照会をしたあとで受理証明書を申請するときは、照会の回答書の写しを付けます(名古屋家裁)。東京家裁は、照会から1年以内なら、照会のときに交付された検索結果のコピーを使えると案内しています。証明書の申請は裁判官の許可が要るため、申請したその日には受け取れません(東京家裁)。

次の順位の人の段取り|確認から自分の申述まで、期限から逆算する

先の順位の人が全員放棄すると、次の順位の人が相続人になります。その人の3か月は、自分が相続人になったと知った時から数えます(民法915条)。督促状や手紙で初めて知ったときは、その書面と届いた日を残しておきます。次のように進めると、確認の待ち時間で期限を失いにくくなります。

いつすることひとこと
督促状などで知った日日付をメモし、封筒ごと書面を保管するいつ知ったかを説明する手がかりになります
できるだけ早く先の順位の家族に連絡し、受理通知書の写しをもらう。つながらなければ照会書を送る照会の手数料はかかりません
回答を待つ間亡くなった方の財産と借金の手がかりを集める調べ方は親の借金の調べ方
3か月で決めきれないとき3か月のうちに、期間の伸長(延長)を申し立てる出す先は照会と同じ家庭裁判所です
放棄すると決めたら申述書を出す先の順位の人がすでに出した戸籍は、出し直さなくてよい(裁判所)
受理されたらさらに次の順位の人(甥・姪など)に知らせる知らせ方と手紙の例文は相続放棄はどこまで続く?
※出典:e-Gov法令検索「民法」(915条)、裁判所「相続の放棄の申述」(2026年10月時点)。

兄弟姉妹や甥・姪が放棄するときは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍など、そろえる戸籍が増えます。集め方は兄弟の相続放棄の必要書類で、立場別に説明しています。

相続放棄の確認でつまずきやすい点

  • 先の順位の人が放棄しただけで安心する。先の順位の人が放棄すると、相続権はあなたに移ります。あなた自身が放棄しなければ、借金を引き継ぐ立場のままです。
  • 自分の住所の近くの家裁に照会する。照会先は、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所です。
  • 氏名を普段の書き方で書く。戸籍と違う字で書くと、受理がないものとして扱われることがあります。
  • 家族に頼んで代わりに出してもらう。照会は確かめたい本人が出します。代理は弁護士だけです。
  • 回答を待つ間、何もしない。自分の3か月の手がかりになる書面を残し、財産と借金を調べ始めます。決めきれないときは期間の伸長を使います。

ご家族の構成や財産で答えが変わるところは、30分の無料相談で、書類を見ながら一緒に整理できます。愛知県内はご自宅への訪問もできます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。

今日できる一歩

督促状や手紙など、自分が相続人になったと知ったきっかけの書面を1か所にまとめ、届いた日を書き添える。あわせて、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所のページを開き、照会書と相続人目録の書式を印刷しておきます。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

よくある質問

家族が相続放棄したかどうか、どうやって確認できますか

放棄した本人に、家庭裁判所から届いた受理通知書を見せてもらうのが早い方法です。連絡が取れないときは、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に、相続放棄の申述の受理の有無を照会します。

相続放棄の照会に費用はかかりますか

名古屋家庭裁判所と岐阜家庭裁判所では、照会の手数料はかかりません。回答書を郵送で受け取るための、返信用封筒の切手代がかかります。戸籍や除票のコピーをとる費用も別にかかります。

兄が放棄したかを、弟の私が照会できますか

あなたが亡くなった方の相続人であれば照会できます。相続人であることが分かる戸籍のコピーを付けます。相続人目録に兄の氏名を戸籍のとおりに書きます。

照会の回答は、どのくらいで届きますか

名古屋家裁と岐阜家裁の案内には、回答までの日数は書かれていません。自分の期限が気になるときは、回答を待つ間に財産と借金の調べを進めます。3か月で決めきれないときは、期限内に期間の伸長を申し立てます。

自分の相続放棄が受理されたか、確認するには

受理されると、申述した本人あてに受理通知書が届きます。名古屋家裁の案内では、申述から結果の連絡まで約1か月が目安です。家庭裁判所から照会書が届いた場合は、期日までに返送しないと手続きが進みません。

放棄したことを、債権者にどう示せばよいですか

受理通知書の写しを見せるか、受理した家庭裁判所に受理証明書を申請します。受理証明書は1件につき収入印紙150円です。郵送で申請するときの返信用切手などは、申請先の案内で確かめます。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。照会の書式、添付書類、調べてもらえる期間は家庭裁判所ごとに異なり、変わることがあります。実際に送る前に、照会先の家庭裁判所の案内をご確認ください。期限が迫っている場合や事情が複雑な場合は、司法書士・弁護士にご相談ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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