生前贈与の非課税2,500万円はいつまで?【2026年】相続時精算課税の期限と届出

「親から2,500万円までは非課税で贈与を受けられる」と聞いた。けれど、その枠はいつまで使えるのか。今年のうちに受け取らないと消えてしまうのか。調べるほど、住宅資金の期限や110万円の話が混ざって分からなくなる。そんな声をよく伺います。

この記事では、2,500万円の正体である「相続時精算課税」について、「いつまで」の答えを意味ごとに分けて整理します。期限があるのは制度ではなく手続きのほうです。届出から亡くなった後の精算までを、計算例と段取りの表で示します。2026年10月時点の国税庁の案内(法令等基準日:令和8年4月1日現在)をもとにしています。

この記事の結論
1. 2,500万円の特別控除に「何年まで」という終わりの日付はありません。国税庁の案内(No.4103)にも期限の記載はなく、同じ親からの贈与で累計2,500万円まで使えます。
2. 期限があるのは手続きです。最初に贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に、受け取った人が届出書を出します。2,500万円を使う年は、期限内の申告も必要です。
3. 「非課税」というより「後で精算」です。贈与した親が亡くなると、年110万円の基礎控除を超えた分は、何年前の贈与でも相続財産に足し戻します。
4. 期限があるのは住宅資金の特例です。親が60歳未満でも精算課税を使える特例と、住宅取得等資金の非課税は、2026年12月31日までの贈与が対象です。
※2026年10月時点。出典:国税庁タックスアンサーNo.4103・No.4402・No.4503・No.4508(法令等基準日:令和8年4月1日現在)
目次

「2,500万円はいつまで?」の答えを、知りたいこと別に分けた早見表

「いつまで」と調べる人が知りたいことは、実は1つではありません。制度の終わり、年齢の条件、届出の締め切り、何年分使えるか。どれを聞いているかで答えが変わります。先に表で分けておきます。

知りたいこと答え(2026年10月時点)
制度そのものはいつまで?終わりの日付は示されていません。国税庁No.4103に適用期限の記載はありません
2,500万円は毎年もらえる?毎年ではなく累計です。前の年までに使った分を引いた残りが、その年の限度になります
誰からの贈与でも使える?贈与の年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫へ。贈与する人ごとに2,500万円です
届出の締め切りは?最初に贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日。受け取った人が税務署に出します
2,500万円を使う年の申告は?必要です。期限内に申告書を出した場合に限り、特別控除が使えます
年110万円以内の年は?2024年1月以後の贈与なら、精算課税でも年110万円までは申告不要です
やめて元に戻せる?戻せません。一度選ぶと、その人からの以後の贈与は暦年課税に変えられません
亡くなった後はどうなる?年110万円を超えた分を、贈与の時の価額で相続財産に足し戻します。納めた贈与税は相続税から引き、引ききれない分は還付を受けられます
期限がある特例は?住宅取得等資金で親が60歳未満でも精算課税を使える特例は、2026年12月31日までの贈与が対象です

(2026年10月時点/国税庁タックスアンサーNo.4103・No.4402・No.4503をもとに整理)

つまり、「今年中に受け取らないと2,500万円の枠が消える」ということはありません。気をつけたいのは、届出と申告の期限を守ることと、一度選ぶと戻れないことの2点です。

計算例:2,500万円の枠は、こう減っていく

累計2,500万円という意味は、数字で追うと分かりやすくなります。父(65歳)から長男(35歳)へ、2年に分けてお金を渡した場合の一般的な計算例です。

年受け取った額計算贈与税2,500万円の残り
1年目1,000万円1,000万円−基礎控除110万円=890万円。特別控除で890万円を引く0円1,610万円
2年目1,800万円1,800万円−110万円=1,690万円。残りの1,610万円を引くと80万円80万円×20%=16万円0円
3年目以降毎年100万円年110万円以内なので基礎控除の範囲0円(申告不要)0円

(2026年10月時点の一般的な計算の流れ/国税庁タックスアンサーNo.4103の計算式「(課税価格−110万円−特別控除額)×20%」による。金額は説明用の例です)

父が亡くなったときは、相続税の計算で足し戻しが起きます。この例では、1年目の890万円と2年目の1,690万円、合わせて2,580万円を相続財産に加えます。3年目以降の年100万円は基礎控除の範囲なので、足し戻しません。2年目に納めた16万円は、相続税から差し引かれます。

ここから分かるのは、2,500万円の枠が「税金を消す枠」ではないことです。贈与のときの税金を先送りし、相続のときにまとめて計算する仕組みです。相続税がかからない家なら、結果として税負担なく早めに渡せます。相続税がかかる家では、足し戻した分にも相続税がかかります。

期限から逆算した段取り:最初の贈与から届出・毎年の申告まで

届出の締め切りは、贈与を受けた翌年の3月15日です。年末に贈与すると、準備の時間は3か月ほどしかありません。年の初めから逆算すると、次の順番になります。

時期やること誰が
贈与の年の1月1日年齢を確かめる。渡す親は60歳以上、受け取る子・孫は18歳以上か家族で
贈与する前贈与契約書を作る。渡す財産・金額・日付を書き、双方が署名する親と子
贈与の年の12月31日まで振込や名義変更で実際に渡す。通帳や登記の記録を残す親(渡す側)
翌年1月受け取った人の戸籍謄本などをそろえる。申告書と届出書を用意する子(受け取る側)
翌年2月1日〜3月15日「相続時精算課税選択届出書」を出す。申告が要る年は申告書に添えて出す子(受け取る側)
2年目以降その親からの贈与が年110万円を超える年は、毎年同じ期間に申告する子(受け取る側)
親が亡くなったとき相続税の計算で、精算課税で受けた贈与を足し戻す相続人

(2026年10月時点/国税庁タックスアンサーNo.4103・No.4402・No.4429をもとに整理。添付書類は国税庁の申告の手引きで最新のものを確認してください)

提出先は、受け取った人の住所地を受け持つ税務署です。親の住所地ではありません。親子が別の市に住んでいると、ここで迷う方が多いところです。また、届出書は贈与する人ごとに出します。父と母の両方から精算課税で受け取るなら、2通になります。

現金を渡すときの契約書の書き方と、財産ごとの手続き先は生前贈与の方法と手続きに記入例つきでまとめています。

家族の中で、誰が何をするのか

相続時精算課税の手続きは、ほとんどが受け取る側の仕事です。渡す親が「選んでおいたから」と言っても、届出をしていなければ選んだことになりません。役割を先に分けておくと、締め切りを落としにくくなります。

立場すること気をつけたい点
渡す親贈与契約書に署名し、財産を渡す渡した財産は戻らない。介護や施設の費用を残してから考える
受け取る子・孫届出書と申告書を出し、贈与税があれば納める提出先は自分の住所地の税務署。毎年の記録を自分で保管する
ほかのきょうだい手続きはない特定の子への贈与は、遺産分割や遺留分の計算に入ることがある(民法903条・1044条)
相続が起きたとき相続人が、精算課税の贈与も含めて相続税を計算する何年前の贈与でも足し戻すため、届出書と申告書の控えを保管しておく

とくに見落としやすいのは最後の行です。精算課税は期間に関係なく足し戻すため、20年前の贈与が相続税の計算に出てくることもあります。そのとき控えがないと、相続人がいくら受けたのかを確かめられません。届出書と申告書の控えは、受け取った人が亡くなった親の書類とは別に保管しておきます。

精算課税を選ぶかどうか、迷っている方へ
一度選ぶと戻せないので、相続税がかかりそうか、渡したいのが現金か家か、きょうだいへの説明をどうするかを先に整理しておくと判断しやすくなります。30分の無料相談では、家族の状況と財産を一緒に書き出し、税理士に確かめるべき点をまとめてお渡しします。税額の計算や選ぶかどうかの判断は、提携の税理士が確認します。比べた結果、「今は何もしなくてよい」が答えになることもあります。愛知県内は対面、それ以外はオンラインです。
※お電話は相談中の場合、折り返しになります。

期限があるのは住宅資金の特例:2026年12月31日までの贈与

「2,500万円 いつまで」で期限の話が出てくるのは、住宅を買うための資金の特例が混ざっているからです。こちらには、はっきりした期限があります。

特例中身期限
住宅取得等資金の精算課税の特例(No.4503)住宅を買う・建てるための資金なら、親や祖父母が60歳未満でも精算課税を選べる2026年12月31日までの贈与
住宅取得等資金の非課税(No.4508)父母・祖父母からの住宅資金のうち、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで非課税2026年12月31日までの贈与
相続時精算課税の2,500万円(No.4103)60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫へ、累計2,500万円まで特別控除期限の記載なし

(2026年10月時点/国税庁タックスアンサーNo.4503・No.4508・No.4103をもとに整理)

住宅資金の2つの特例は、どちらも、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の新築や取得をし、遅れずに住むことなどが条件です。受け取る人の年齢は18歳以上で、非課税のほうは合計所得金額2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満は1,000万円以下)という条件もあります。どちらも申告をしないと使えません。2027年以降の扱いは、毎年の税制改正で決まります。家を建てる予定がある方は、国税庁の最新の案内で確かめてください。

選ぶ前に確かめたい3つのこと

期限がないからといって、急いで選ぶものでもありません。一度選ぶと戻れないので、次の3つは先に確かめておきます。

  • 相続税がかかりそうか:かからない家なら、2,500万円までの贈与を税負担なく早めに渡せます。かかる家では、足し戻した分にも相続税がかかります。
  • 暦年贈与と同じ親から両方は使えない:精算課税を選んだ親からの贈与は、以後すべて精算課税です。その親から年110万円の暦年贈与を続ける、という使い分けはできません。別の親や祖父母からの贈与は、暦年課税のままです。
  • 渡すのがお金か、家や土地か:家や土地を生前に移すと、登録免許税や不動産取得税がかかります。精算課税を選んでも、これらの税金は変わりません。実家の場合の比較は実家を親が生きているうちに名義変更・売却するとどうなるにまとめています。

ふつうの贈与(暦年課税)を続けるか、精算課税に切り替えるかの比べ方は、生前贈与はいくらまで非課税?年110万円を正しく使うやり方で表にしています。

今日できる一歩

1. 渡す人と受け取る人の年齢を、来年1月1日時点で数える。親が60歳以上、子や孫が18歳以上かどうかで、使えるかが決まります。

2. これまでの贈与を書き出す。同じ親から精算課税を選んだことがあるか、届出書の控えが手元にあるかを確かめます。

3. 受け取る人の住所地の税務署を調べておく。届出と申告の提出先です。翌年3月15日の締め切りを、家族の予定表に書いておきます。

よくある質問

生前贈与の非課税2,500万円は、いつまで使えますか。

2026年10月時点で、相続時精算課税の2,500万円に終わりの日付は示されていません。同じ親からの贈与で、累計2,500万円に達するまで使えます。期限があるのは手続きで、最初に贈与を受けた年の翌年3月15日までに届出書を出す必要があります。

父と母の両方から、それぞれ2,500万円を使えますか。

使えます。特別控除は贈与する人ごとなので、父から2,500万円、母から2,500万円です。届出書も父の分と母の分を別に出します。ただし、年110万円の基礎控除は、精算課税で贈与する人が2人いると110万円を2人で分け合います。

年110万円以内の贈与でも、申告は必要ですか。

2024年1月1日以後の贈与なら、精算課税を選んだ親からの贈与が年110万円以内の年は申告不要です。2023年12月31日以前の贈与は、110万円以下でも申告が必要でした。最初の年は、金額にかかわらず届出書を出します。

届出の期限を過ぎてしまったら、どうなりますか。

届出書は、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに出すと決まっています。過ぎてしまった場合の扱いは事情で変わるため、気づいた時点で受け取った人の住所地の税務署か税理士に確認してください。暦年課税で計算すると贈与税が高くなることがあるので、申告の要否もあわせて確かめます。

親が亡くなったら、2,500万円の贈与はどうなりますか。

相続税の計算で、精算課税で受けた贈与を贈与の時の価額で相続財産に足し戻します。2024年以後の贈与は、毎年の基礎控除110万円を引いた残りを足し戻します。すでに納めた贈与税は相続税から差し引き、引ききれない分は相続税の申告で還付を受けられます。

孫に精算課税で贈与することはできますか。

できます。贈与の年の1月1日時点で60歳以上の祖父母から、18歳以上の孫への贈与が対象です。孫は祖父母の相続人でないことが多いですが、精算課税を選んだ孫は、祖父母が亡くなったときに相続税の計算に加わります。手続きや税額は、税理士か税務署に確認してください。


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参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の国税庁の公開情報(法令等基準日:令和8年4月1日現在)と民法の条文にもとづく一般的な仕組みの説明です。計算例は説明用の金額です。税額の計算や課税方式の選択は家族の状況によって変わります。実際の判断は税理士・税務署にご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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