7月の終わり、実家の郵便受けに市役所から後期高齢者医療の封筒が届いた。中には「資格確認書」と書かれた書類。母は「保険証はもう使えないの?マイナンバーカードは引き出しにしまったままだけど」と聞いてきます。
75歳以上の親の保険証まわりは、2026年8月にもう一度ルールが変わりました。この記事では、いま手元にあるどの書類で病院にかかれるのか、施設に入っている親や認知症の親の場合はどうするか、家族が代わりにできること・しないほうがよいことを、2026年10月時点の公的な案内をもとに整理します。
いま使える書類・使えない書類(早見表)
名前の似た書類が4つあり、混乱のもとになっています。病院の窓口で「それだけで受診できるか」で分けると、次のようになります。
| 書類 | それだけで受診できる? | ひとこと |
|---|---|---|
| 従来の保険証(紙・プラスチック) | できない | 有効期限は2025年12月1日で終了。期限切れでも受け付けていた暫定的な扱いも2026年7月31日で終了 |
| 資格確認書 | できる | これまでの保険証と同じように窓口で見せて使う。有効期限があるので券面を確認 |
| マイナ保険証(保険証の利用登録をしたマイナンバーカード) | できる | 窓口の機械で顔認証か暗証番号。カードの電子証明書(カードに入っている本人確認の機能。有効期限がある)が切れていると使えない |
| 資格情報のお知らせ | できない | マイナ保険証を使う人に届く紙。機械で確認できないときに、マイナ保険証と一緒に見せる補助の書類 |
いちばん多い勘違いは、「資格情報のお知らせ」を保険証の代わりだと思ってしまうことです。お知らせは、それだけでは受診できません。親の手元にあるのが「資格確認書」か「資格情報のお知らせ」か、まず書類の名前を見てください。
日付で見る、ここまでの流れ
保険証の切り替えは、一度に起きたわけではありません。75歳以上の人に関係する日付だけを並べると、次のとおりです。
| 日付 | 起きたこと |
|---|---|
| 2024年12月2日 | 従来の保険証の新規発行・再発行が終了 |
| 2025年7月31日 | 後期高齢者医療の保険証の有効期限。かわりに、マイナ保険証の有無にかかわらず全員へ資格確認書を送付(2026年7月末までの暫定措置) |
| 2025年12月1日 | 従来の保険証の有効期限が、すべて終了 |
| 2026年3月25日 | 期限切れの保険証でも受診できる暫定的な扱いを、7月末まで続けると厚生労働省が通知 |
| 2026年7月31日 | 期限切れ保険証の暫定的な扱いが終了。75歳以上の全員に送っていた資格確認書の有効期限もこの日まで |
| 2026年8月1日 | 後期高齢者医療の資格確認書は、年齢と利用状況で届く人を分ける運用に(7月中に新しい書類を郵送) |
つまり、2026年8月からは「期限切れの保険証を持っていけば何とかなる」という時期は終わっています。古い保険証は、受診には使えません。
75歳以上の親に届くもの(2026年8月から)
2026年8月1日からの後期高齢者医療の運用は、愛知県後期高齢者医療広域連合と県内市町村の案内では次のとおりです。年齢は8月1日時点で判断します。
- 85歳以上の人:マイナ保険証を持っているかどうかに関係なく、全員に資格確認書が届きます。
- 84歳以下で、マイナ保険証をふだん使っていない人(持っていない人を含む):資格確認書が届きます。
- 84歳以下で、マイナ保険証をふだん使っている人:資格確認書ではなく「資格情報のお知らせ」が届きます。受診はマイナ保険証で行います。
「ふだん使っている」とは、過去1年間にマイナ保険証を6回以上利用し、しかも直近おおむね3か月以内にも使っている状態を指します。どちらかが欠けると、資格確認書の側に入ります。
7月に届いた新しい資格確認書は、愛知県みよし市の案内によると2027年7月31日まで使えるものです。ほかの市町村でも、有効期限は券面に書かれています。保険者(保険を運営する団体)が5年以内で決める仕組みなので、国民健康保険など75歳未満の制度では期限が違うことがあります。
これから75歳になる人には、誕生日の前月末ごろ(1日生まれの人は前々月末ごろ)に書類が送られます。誕生日までに届かないときは、市区町村の後期高齢者医療の窓口に問い合わせてください。
施設に入っている親・認知症の親の場合
本人が窓口の機械を操作できない、暗証番号を覚えていられない。そんな場合は、資格確認書で受診するのがいちばん手間がかかりません。85歳以上なら、申請しなくても届きます。
「資格情報のお知らせ」が届いたが、資格確認書がほしいとき
84歳以下で「お知らせ」が届いた人でも、マイナ保険証での受診が難しくなったら、市区町村の窓口に申請すれば資格確認書が交付されます。厚生労働省は、高齢の人や障害のある人など配慮が必要な人の申請について、法定代理人(成年後見人など)のほか、介助者などによる代理申請もできるとしています。こうして申請で交付された人は、更新のたびに申請し直す必要はありません。
家族が代わりに申請するときに用意するものは、名古屋市の場合で次のとおりです(郵送・電子申請も可)。
- 窓口に行く家族の本人確認書類
- 親の被保険者番号がわかるもの(届いた「お知らせ」など)
- 親からの委任状
- 親の本人確認書類
本人が委任状を書けない状態のときの扱いは、市区町村によって案内が異なります。窓口に事情を話して確認してください。
マイナ保険証を使い続けたいなら「顔認証マイナンバーカード」
暗証番号を設定しないマイナンバーカードもあります。本人確認を顔認証か、職員の目での確認に限ったカードで、券面に「顔認証」と書き足されます。暗証番号を覚えておく必要がない代わりに、暗証番号が要るマイナポータルなどのオンライン手続きは使えません。
切り替えは市区町村の窓口で、代理人でも手続きできます。いま持っているカードを切り替えるだけなら、本人が署名か記名押印した委任状があれば、その場で手続きできるとされています。これから作るカードを家族が受け取る場合は、届いた交付通知書の暗証番号の欄で「設定しない」を選ぶ方法が案内されています。必要書類は市区町村ごとに確認してください。
病院の窓口でうまくいかないとき
顔認証がうまくいかず、暗証番号も分からない場合は、職員が読み取り機を「目視モード」に切り替えて本人を確認できます。帽子や眼鏡で反応が悪くなることもあります。本人がカードを機械に置けないときは、本人が望めば、家族や施設の職員が置くのを手伝ってもかまわないとされています。
家族が気をつけたいこと:暗証番号とカードの置き場所
親のマイナンバーカードの暗証番号を、家族がメモして預かる。よかれと思ってやりがちですが、厚生労働省の資料は、暗証番号は原則として法定代理人以外に知らせることは適当ではない、としています。暗証番号は保険証のためだけのものではなく、本人のさまざまな手続きの鍵になるからです。
- 暗証番号の管理に不安があるなら:家族が覚えるより、顔認証マイナンバーカードに切り替えるか、資格確認書で受診するほうが安全です。
- 暗証番号は3回間違えるとロックされます:病院で思い出せないときは、無理に試さず職員に声をかけるよう案内されています。
- 施設に預けるときは、取り決めを紙で:本人が管理するのが基本ですが、入所契約や預かり証で合意すれば施設が管理することもできます。鍵付きの保管、出し入れの記録、扱う職員の範囲を決める、といった方法が例に挙がっています。
- 自宅なら置き場所を家族で共有:資格確認書・マイナンバーカード・お薬手帳を同じ場所に。なくした資格確認書は、市区町村の窓口で再発行できます。
入院や高額な治療が続く親なら、資格確認書に「限度区分」(医療費の自己負担の上限の区分)を書き加えてもらう申請もできます。窓口での支払いが上限額までになります。上限額そのものは2026年8月に見直されています。
親が亡くなったときの資格確認書・マイナンバーカード
後期高齢者医療に入っている親が亡くなったら、市区町村の後期高齢者医療の窓口で届け出をします。愛知県後期高齢者医療広域連合は、届け出のときにマイナ保険証や資格確認書を持参するよう案内しています。資格確認書は返却するものと考えておいてください。
同じ窓口で、葬祭を行った人(喪主など)は葬祭費を申請できます。愛知県では5万円です。会葬礼状など葬祭を行ったことがわかるものと、喪主の預金通帳を持っていきます。亡くなった人の手続きでは、公金受取口座を使った通帳の省略はできません。
マイナンバーカードは、本人が亡くなると中の電子証明書が使えなくなります。カードの返納を求めていない自治体もありますが、扱いは市区町村によって案内が違います。相続の手続きで亡くなった人のマイナンバーが必要になる場面もあるため、すぐに捨てず、手続きが落ち着くまで保管しておくと安心です。
決まっていること・まだ決まっていないこと
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 決定・実施済み | 従来の保険証は2025年12月1日で有効期限が終了し、期限切れでも受診できた扱いも2026年7月31日で終了 |
| 決定・実施済み | 2026年8月から、後期高齢者医療の資格確認書は「85歳以上」と「マイナ保険証をふだん使っていない人」に交付。それ以外の人には資格情報のお知らせ |
| 決定・実施済み | マイナ保険証での受診が難しい人は、申請(代理申請も可)で資格確認書を受け取れる |
| 未発表・要確認 | 2027年8月の更新以降も同じ基準で交付するか。2026年10月時点で、当社が確認した範囲では公式の発表はありません。また厚生労働省は、マイナ保険証のない人への資格確認書の交付を「当分の間」の扱いとしています |
資格確認書の有効期限が近づいたら、市区町村からの郵便に気をつけてください。届いた封筒の中身が資格確認書かお知らせかを、その都度確かめるのがいちばん確実です。
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参考にした公的情報
- 厚生労働省「資格確認書について(マイナ保険証を使わない場合の受診方法)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45470.html
- 厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/50.html
- 厚生労働省「高齢者・障害者等の要配慮者の方々におけるマイナンバーカードの健康保険証利用について(支援者・ご家族向けご説明資料)」https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001321214.pdf
- 愛知県後期高齢者医療広域連合「資格情報のお知らせ・資格確認書」https://www.aichi-kouiki.jp/iryou/1002113.html
- みよし市「令和8年8月以降の資格確認書などの送付について」https://www.city.aichi-miyoshi.lg.jp/soshiki/fukushi/hoken/3/5/11440.html
- 名古屋市「従来の保険証の新規発行・再発行の終了(保険証の廃止)(後期高齢者医療)」https://www.city.nagoya.jp/kurashi/hoken/1016449/1016472/1016473.html
本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報にもとづく一般的な内容です。交付の基準や必要書類、有効期限は市区町村・保険者によって異なる場合があります。医療の受け方やご家族の個別の事情については、お住まいの市区町村の窓口や専門家にご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
