無宗教の葬儀の流れ【2026年】自由葬の式次第例と菩提寺・費用の注意点

父は生前、「葬式にお坊さんは要らない」と言っていた。家族も、特定の宗教とのつながりは薄い。けれど、宗教のない葬儀がどんな流れになるのか、何を決めればいいのかが分からない。

この記事では、無宗教葬(自由葬)の流れを、亡くなってから火葬までの時系列と、告別式の式次第の例で整理します。菩提寺(先祖のお墓があるお寺)がある家で特に気をつけたい納骨のことと、費用の考え方もまとめました。2026年10月時点で公開されている法令や、葬儀の業界団体・専門家の解説をもとにした一般的な整理です。

目次

先に結論:無宗教葬は「黙祷・お別れの言葉・献花」で組む自由な式。菩提寺があるなら先に相談

この記事の結論

  1. どんな式か:無宗教葬(自由葬)は、特定の宗教の儀礼によらない葬儀です。読経や焼香の代わりに、黙祷・お別れの言葉・音楽・献花などで式を組みます。
  2. 流れ:臨終から安置、死亡届、火葬までの流れと手続きは、宗教がある葬儀と同じです。変わるのは式の中身と、お寺へのお礼が要らない点です。
  3. 菩提寺:お寺の墓地に納骨するつもりなら、葬儀の前にお寺へ相談します。無宗教で葬儀を済ませたあと、納骨を断られた例が紹介されています。

無宗教葬(自由葬)とは。仏式の葬儀との違い

葬儀・お墓のコンサルタントによる解説では、「特定の宗旨・宗派の宗教儀礼によらない葬儀」を無宗教葬(自由葬)と呼んでいます。お坊さんなどの宗教者を呼ばず、家族が決めた進行で故人を送る形です。

項目仏式の葬儀無宗教葬(自由葬)
式を進める人お坊さん(読経)と司会者司会者(葬儀社の担当者のほか、家族や友人が務めることも)
中心になる儀式読経・焼香黙祷・お別れの言葉・献花(花を遺影に手向ける)
式の演出宗派の作法に沿って進む写真や手紙の展示、生涯を紹介する映像、好きだった音楽などを自由に組める
戒名お寺から授かる付けない(生前の名前のまま)
お寺へのお礼お布施などを包む宗教者を呼ばないので要らない
家族が決めることお寺と相談しながら決まる部分が多い式の中身を一から決める
※出典:All About「無宗教で葬儀をする前に」(吉川美津子)、ファイナンシャルフィールド「『家族葬』や『自由葬』が増え、葬儀の形態も変わってきました」をもとに、一般的な形として整理(2026年10月時点)。内容は葬儀社や家族の考えで変わります。

無宗教葬は、宗教を否定する式というより、「故人らしく、家族の言葉で送る式」と考えると組み立てやすくなります。一方で、決まった型がないぶん、家族が決めることは仏式より増えます。

無宗教葬の流れ(亡くなってから火葬まで)

亡くなってから火葬までの大きな流れと、役所の手続きは、宗教がある葬儀と変わりません。火葬は、ほかの法令に別の定めがある場合を除き、亡くなってから24時間を過ぎないと行えません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。死亡届と火葬許可の申請も、同じように必要です。

段階内容無宗教葬で考えること
臨終〜搬送・安置死亡診断書を受け取り、葬儀社に連絡して安置する枕経(お坊さんの読経)は行わない。菩提寺があれば、この時点で連絡するかを家族で決める
葬儀社との打ち合わせ形式・日程・会場・費用を決める無宗教で行うことを最初に伝える。司会、音楽、映像、献花の花、式次第を相談する
死亡届・火葬許可死亡を知った日から7日以内に役所へ宗教に関係なく同じ
納棺棺に愛用品などを納める家族がそれぞれ手紙を書いて入れる、などの形も選べる
通夜にあたる集まり前夜に親しい人で故人と過ごす宗教儀礼はないので、思い出を語る会にしたり、行わずに1日で済ませたりできる
告別式(お別れの式)式次第に沿って進める下の「式次第の例」を参照
出棺・火葬・骨上げ火葬場へ向かい、火葬と骨上げをする宗教に関係なく同じ。火葬のあと、埋葬許可証を必ず受け取る
会食参列者にお礼を伝える食事精進落としの形にこだわらず、ふつうの会食にすることもできる
※出典:墓地、埋葬等に関する法律3条、法務省「死亡届」、全日本葬祭業協同組合連合会「お葬式 お役立ち辞典」をもとに整理(2026年10月時点)。

宗教がある場合も含めた葬儀全体の流れと、喪主がやることは、葬儀の流れと喪主がやること(通夜・告別式の違いと挨拶例文)で時系列の表にしています。死亡届の出し方は死亡届の出し方と書き方をご覧ください。

無宗教葬の式次第の例(告別式)

無宗教葬には決まった型がないため、葬儀社と相談しながら組みます。よく取り入れられる要素を並べると、次のような形になります。順番や時間は、会場と参列者の数に合わせて調整します。

  1. 開式の辞:司会者が式の始まりを告げます。
  2. 黙祷:全員で故人をしのびます。
  3. 故人の紹介:経歴や人柄を、司会者の言葉や写真・映像で紹介します。
  4. お別れの言葉(弔辞):友人、仕事仲間、孫などが故人に語りかけます。
  5. 弔電の紹介:届いた弔電を読み上げます。
  6. 献奏:故人が好きだった曲を流すか、演奏します。
  7. 献花:喪主・遺族・参列者の順に、花を遺影の前や祭壇に手向けます。
  8. 喪主のあいさつ:参列へのお礼を伝えます。
  9. 閉式の辞・最後のお別れ:棺に花を入れて、出棺します。

家族だけの小さな式なら、黙祷と献花、家族それぞれのひとことだけでも十分です。参列者が多い場合は、献花に時間がかかります。花の数と並ぶ順番を、葬儀社と決めておくと進行が落ち着きます。

式で使う言葉の注意

無宗教の式では、「ご冥福」「成仏」「供養」「往生」のような仏教の言葉は避けるのが無難です。弔辞を頼む人にも、ひとこと伝えておきます。仏教の言葉を使わない弔電の文例は、弔電の送り方と文例にあります。

菩提寺がある場合の注意(納骨を断られることがある)

いちばん気をつけたいのは、先祖代々のお墓がお寺の墓地にある場合です。葬儀・お墓のコンサルタントによる解説では、菩提寺に知らせずに無宗教で葬儀を済ませ、戒名も付けないまま納骨を頼んだところ、お寺に断られた例が紹介されています。

法律では、墓地の管理者は、正当な理由がなければ埋葬や埋蔵(納骨)の求めを拒んではならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律13条)。ただ、お寺の墓地は、そのお寺の宗派の作法で納骨や法要を行うことを前提にしている場合があります。何が「正当な理由」に当たるかは事情ごとに判断されるため、争う前に話し合うのが現実的です。

  1. 葬儀の前に菩提寺へ連絡する:無宗教で行いたい理由(故人の希望など)を、正直に伝えます。
  2. 納骨の条件を確かめる:戒名、納骨のときの読経、その後の法要などを求められるかを聞きます。
  3. 折り合える形を探す:葬儀は無宗教で行い、納骨のときだけ読経をお願いする、などの形を相談します。
  4. 合わなければ別の納め先を考える:宗旨・宗派を問わない公営墓地や民営墓地、納骨堂を検討します。

すでに無宗教で葬儀を済ませた場合も、連絡が遅れた事情を話して素直におわびし、改めて宗教儀礼を行えば、柔軟に対応してもらえることがあると解説されています。宗派を問わない墓地に納める予定なら、この問題は起きにくいとされています。納骨堂を考える場合の費用の考え方は、納骨堂の費用にまとめています。

親族への説明も先にしておく

菩提寺だけでなく、親族の中に「お経のない葬儀は寂しい」と感じる人がいることもあります。故人の希望を書いたメモやエンディングノートがあれば見せ、式の中身を前もって伝えておくと、当日の行き違いが減ります。

無宗教葬の費用の考え方

無宗教葬の費用だけを集計した全国的な調査は、2026年10月時点で確認できませんでした。そのため、ここでは金額ではなく、仏式と比べて「要らなくなるもの」「変わらないもの」「増えることがあるもの」を整理します。

区分主な項目確かめること
要らなくなるものお寺へのお布施、戒名のお礼、御車代・御膳料菩提寺に納骨する場合、別にお礼が必要にならないか
変わらないもの搬送・安置、棺、火葬、会場、料理、返礼品葬儀の形(一般葬・家族葬・一日葬)と人数で決まる
増えることがあるもの司会、生演奏、映像制作、献花の花、思い出の品の展示プランに含まれるか、追加料金かを見積書で分けてもらう
※一般的な費用の構成を整理したものです。金額は葬儀社・地域・規模で大きく変わるため、必ず見積書で確かめてください(2026年10月時点)。

「お布施が要らないから安くなる」とは限りません。演奏や映像を加えると、そのぶん費用が増えることがあります。葬儀の形ごとの総額の目安(全国調査)は、葬儀費用の相場2026にまとめています。

健康保険から出る葬祭費・埋葬料は、葬儀の宗教の有無に関係なく申請できます。手続きは葬祭費・埋葬料の申請方法をご覧ください。また、国税庁は、火葬や納骨、遺体の運搬、通夜など葬式の前後に通常欠かせない費用を、相続税の計算で遺産から差し引ける葬式費用としています。領収書は捨てずに保管しておきます。

後悔しないために、家族で決めておくこと

  • 故人の希望を書いて残す:宗教者を呼ばない、戒名は付けない、流してほしい曲など。口で伝えただけだと、親族に説明しにくくなります。
  • お骨をどこに納めるか:菩提寺のお墓か、宗派を問わない墓地や納骨堂か。ここが決まると、菩提寺への相談の仕方も決まります。
  • その後の集まりをどうするか:四十九日や一周忌にあたる時期に、しのぶ会として家族で集まる形もあります。
  • 親族への説明を誰がするか:喪主ひとりに任せず、きょうだいで分担すると負担が軽くなります。

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今日できる一歩

  1. 先祖のお墓がどこにあり、お寺の墓地かどうかを家族で確かめる
  2. 菩提寺があれば、無宗教で行いたいことと納骨の条件を相談する
  3. 式で流したい曲や、紹介に使う写真を数枚選んでおく

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無宗教の葬儀についてよくある質問

無宗教葬でも、死亡届や火葬の手続きは同じですか?

同じです。死亡届は死亡を知った日から7日以内に出し、火葬の許可を受けます。火葬は亡くなってから24時間を過ぎないと行えない点も変わりません。

無宗教葬でも通夜はしますか?

決まりはありません。前夜に親しい人で集まって思い出を語る形にすることもあれば、通夜をせず、お別れの式と火葬を1日で行うこともあります。

菩提寺に知らせずに無宗教葬をしても大丈夫ですか?

お寺の墓地に納骨するつもりなら、先に知らせて相談するのが安全です。知らせずに済ませたあとで納骨を頼み、断られた例が紹介されています。宗派を問わない墓地に納めるなら、この問題は起きにくいとされています。

葬儀は無宗教で行い、あとから仏式の法要をしてもいいですか?

家族の考えで決めて構いません。ただ、お寺によって考え方が違うため、法要をお願いしたいお寺に、葬儀を無宗教で行ったことを伝えて相談します。

無宗教葬は、仏式より安くなりますか?

お寺へのお礼は要らなくなりますが、演奏や映像などを加えると費用が増えることがあります。総額は葬儀の形と人数で大きく変わるため、見積書で項目ごとに比べるのが確実です。

参列者には、どう伝えればいいですか?

案内に「無宗教で執り行います」「献花でお別れいただきます」と書き添えると、参列する側も準備しやすくなります。香典を受け取るかどうかも家族で決め、辞退する場合は案内に書いておきます。

参考にした公的情報・解説

※本記事は2026年10月時点の法令・公的機関の公開情報と、葬儀の専門家の解説にもとづく一般的な整理です。式の進め方や納骨の扱いは、葬儀社・お寺・墓地・地域・家ごとの考え方で異なります。菩提寺がある場合は、早めにお寺へご相談ください。相続税や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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