65歳の誕生日が近づくと、年金事務所や日本年金機構から封筒やはがきが届きます。「これは何を書いて、どこへ出すのか」と手が止まる方は多いものです。
この記事では、老齢年金を65歳から受け取る場合の請求書について、届く時期、書き方の注意点、提出先、添付書類、受け取りまでの日数、繰下げ(受け取りを遅らせる)の欄を、2026年10月時点の日本年金機構の案内で整理します。
先に結論:65歳の請求書は「2種類」あり、提出先と期限が違う
この記事の結論
- まず種類を見分ける:初めて請求する人は「事前送付用」、特別支給の老齢厚生年金を受けてきた人は「はがき型」です。提出先も期限も違います。
- 提出は誕生日の前日以降:事前送付用は65歳になる前に出しても受け付けられません。届くのは3か月前です。
- 受け取りまで2〜4か月ほど:提出の約1〜2か月後に年金証書が届き、さらに約1〜2か月後に支払いの案内が届きます。
年金は、受け取る資格ができても自動では始まりません。請求書を出して、初めて手続きが動きます。
自分に届くのはどちら? 請求書の種類の早見表
65歳で届く請求書は、これまでの年金の受け取り方で変わります。封筒かはがきかを見れば、おおよそ見分けられます。
最後に加入していた年金が共済組合(公務員などの年金)の場合は、請求書も共済組合から届きます。提出も、原則として加入していた共済組合です。迷ったら、年金事務所に電話で聞くのが近道です。
届く時期・提出期限・過ぎたらどうなるか
事前送付用は、65歳の3か月前から本人あてに届きます。基礎年金番号や氏名があらかじめ印字され、案内のリーフレットも入っています。
届いたら、同封の年金加入記録を見てください。「もれ」や「誤り」があれば、出す前に年金事務所へ問い合わせます。会社員だった時期の抜けなどがあると、年金額に響くためです。
提出できるのは誕生日の前日以降です。事前送付用は、65歳になる前に出すと受け付けられません。届いてすぐ出したくなりますが、日付を待ちます。
はがき型は、誕生月の初め頃に本部から届き、誕生月の末日までに出します。1日生まれの方は、前の月の末日が期限です。遅れると、年金の支払いが一時的に止まることがあります。
では、期限をだいぶ過ぎたらどうなるでしょうか。年金を受け取れるようになってから5年を過ぎると、5年を過ぎた分は時効で受け取れなくなることがあります。受け取る側の損になるので、届いたら早めに動くのが無難です。
振込日のしくみは、年金の振込日はいつ?土日祝の場合と12月・2月の注意【2026〜2027年】で詳しく書いています。
書き方の注意点:記入の前にここを確認する
記入は、日本年金機構の記入例と案内動画を見ながら進めます。記入例は更新されることがあります。手元の請求書が届いた時期に合った記入例を開いてください。
見本(記入例)は、日本年金機構の「老齢年金請求書の記入方法等」のページにあります。事前送付用と様式第101号の2種類の記入例が載っています。書き方を説明する案内動画も、同じページから見られます(2026年10月時点)。
- □ 印字された氏名・生年月日・基礎年金番号が合っているか
- □ 同封の年金加入記録に、抜けや誤りがないか
- □ 受け取る口座(本人名義)を決めたか
- □ 受け取りを遅らせる「繰下げ」を考えているか(2ページの欄)
- □ 手元になければ、様式第101号をPDFで印刷して使えると知っているか
次のどれかに当てはまる人は、郵送する前に年金事務所へ相談するよう案内されています。
- 年金加入記録に空白期間や記載の誤りがある
- 基礎年金番号を複数持っている
- 遺族年金や障害年金など、ほかの年金を受けている
- 受け取り開始時期の繰上げ・繰下げを考えている
- 請求のときに、年金の見込額を出してほしい
自分の年金記録は、マイナポータルからも確認できます。やり方はマイナポータルで年金を確認する方法にまとめています。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
提出から受け取りまでの流れと日数
- 請求書が届く。事前送付用は65歳の3か月前、はがき型は誕生月の初め頃です。
- 加入記録を確認する。もれや誤りは、先に年金事務所へ連絡します。
- 書類をそろえる。戸籍謄本か住民票、口座の確認書類など。
- 記入して提出する。事前送付用は誕生日の前日以降に年金事務所へ。はがき型は本部へ。
- 年金証書・年金決定通知書が届く。提出の約1〜2か月後です。
- 支払いの案内が届く。さらに約1〜2か月後です。この案内のあと、受け取りが始まります。
事前送付用の主な添付書類は、次のとおりです。
- □ 戸籍謄本か住民票(受給権が生じた日以後に発行され、提出日の前6か月以内のもの)
- □ 生年月日が確認できる書類(マイナンバーの記入などで省略できる場合あり)
- □ 本人名義の通帳かキャッシュカードの写し(請求書に金融機関の証明を受けた場合や、公金受取口座を使う場合は不要)
- □ 配偶者の加入期間などによって必要になる書類(該当する人だけ)
65歳までに厚生年金へ1年以上入っていた人と、それ以外の人とで、必要書類の一覧が分かれています。海外に住んでいる人は、さらに別の書類が要ります。自分に必要な書類は、請求書に添えられた案内か年金事務所で確認してください。
65歳未満の配偶者がいる人は、請求書の配偶者の欄も書きます。配偶者の分が上乗せされる「加給年金」の条件は、加給年金と振替加算の条件早見表で整理しています。
繰下げしたいとき:書く欄と増える年金額
繰下げは、65歳では受け取らず、66歳以降に遅らせる方法です。その分、年金額が増えます。
書く場所は、請求書の種類で変わります。
- 事前送付用:2ページの「受取開始時期の選択」欄を必ず記入します。書けば、受取方法確認書や繰下げの申出書をつけなくて済みます。
- 様式第101号(手元に請求書がない場合):「老齢年金の受取方法確認書」を一緒に出します。繰下げを希望するなら、「支給繰下げ申出書(様式第103-1号)」も出します。
- はがき型:老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げるなら、65歳時点の手続きは不要です。片方だけを65歳から受け取り、もう片方を繰り下げるときは、受取方法の欄にチェックを入れて出します。
75歳を過ぎてから請求しても、増額率は上がりません。障害年金や遺族年金の受給権を得た場合も、その時点で増額率が決まります。得か損かの分かれ目は年金の繰下げは得か|損益分岐点の年齢・増額率早見表と繰下げ中に亡くなったらで整理しています。迷う段階なら、請求書を出す前に年金事務所へ相談します。
損しやすい点と、今日できる一歩
- はがき型の期限を見落とす:誕生月の末日までです。遅れると支払いが一時的に止まることがあります。
- 早く出しすぎる:事前送付用は、65歳になる前だと受け付けられません。
- 繰下げの欄を空けたまま出す:事前送付用の2ページ目の欄は必ず記入します。
- 加入記録の抜けを放っておく:同封の記録を見て、気になれば出す前に確認します。
今日できる一歩
- 手元の請求書が「事前送付用」か「はがき型」かを見分けて、封筒に提出の期日をメモする。
よくある質問
請求書をなくしたら、手続きできませんか?
できます。日本年金機構のサイトから様式第101号をPDFで印刷し、記入例を見ながら書けます。はがき型をなくした場合も、サイトから様式をダウンロードできます。
65歳の誕生日より前に出せますか?
事前送付用は、65歳になる前に出しても受け付けられません。誕生日の前日以降に出します。
電子申請はできますか?
はがき型の人は、令和7年1月以降に65歳になり、日本に住んでいれば電子申請ができます。事前送付用は、未加入期間がないなど一定の条件を満たす人が使えます。該当する人には、事前送付用の請求書に電子申請の案内リーフレットが同封されます。
年金は何月分から、いつ振り込まれますか?
受給権が生じた月の翌月分からです。振込は偶数月の15日で、前月分と前々月分がまとまって入ります。
65歳を過ぎてから請求したいときは?
事前送付は受給開始年齢の3か月前に行われます。65歳を過ぎて請求する場合、請求書が届くとは限りません。繰下げの意思確認も必要になるため、年金事務所に早めに相談してください。
年金請求書の書き方が分からないときは、どこに相談できますか?
年金事務所か、街角の年金相談センターの窓口で相談できます。窓口の相談は予約ができ、予約受付専用電話は0570-05-4890です(平日8時30分〜17時15分、2026年10月時点)。予約のときは、届いた請求書や基礎年金番号が分かるものを手元に置くと話が早く進みます。書き方の一般的な質問は、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)でも受け付けています。請求書は窓口にも置いてあるので、書き損じたときも相談できます。
郵送するとき、封筒には何を書けばいいですか?
事前送付用の請求書は、窓口で相談する必要がなければ郵送で出せます。宛先は、お近くの年金事務所です。住所は日本年金機構の年金事務所の一覧で確かめられます。封筒の表に年金事務所の住所と名称、裏に自分の住所と氏名を書いておくと、問い合わせがあったときにも連絡がつきます。送る前に、添付書類の入れ忘れがないかと、請求書の控えのコピーを取ったかを確かめておくと安心です。
はがき型の年金請求書は、どう書けばいいですか?
氏名などを書き、受け取り方の欄にチェックを入れて出します。65歳から基礎年金と厚生年金の両方を受け取るなら、「両方65歳から受け取る」欄にチェックします。片方だけ繰り下げたいときは、当てはまる欄を1つ選んでチェックします。両方とも繰り下げるなら、はがきは出さなくてかまいません。期限は誕生月の末日で、宛先は日本年金機構本部です。
参考にした公的情報
- 日本年金機構「老齢年金の請求手続きの流れ」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/gaiyou.html - 日本年金機構「65歳時の年金の手続き(老齢年金を初めて請求する方)」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20140421-30.html - 日本年金機構「65歳時の年金の手続き(特別支給の老齢厚生年金を受給している方)」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20140421-26.html - 日本年金機構「老齢年金請求書の記入方法等」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/kinyu.html - 日本年金機構「老齢年金請求書の事前送付」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/jizensofu.html - 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html - 日本年金機構「電子申請の対象となる方(老齢年金)」
https://www.nenkin.go.jp/section/faq/denshishinsei_kojin/denshi_jukyu/denshi_rorei/gaiyo/taisyousya.html
※本記事は2026年10月時点の日本年金機構の公開情報をもとにした一般的な整理です。提出先・添付書類・期限は、加入歴や請求書の種類によって変わります。個別の事情は、年金事務所などの窓口でご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
