加給年金と振替加算の条件早見表【2026年】金額・手続き・繰下げ

夫が65歳になり、年金請求書を出そうとしたら「加給年金」「振替加算」という言葉が出てきた。自分の家は対象なのか、金額はいくらなのか、何か届け出が要るのか。そんな場面を想定しています。

この記事では、2026年10月時点の日本年金機構の案内で、対象の条件、2026年度の金額、手続き、妻が年上の場合、繰下げとの関係を整理します。

目次

先に結論:加給年金は「夫の年金への上乗せ」、振替加算は「妻の年金への引き継ぎ」

この記事の結論

  1. 加給年金:厚生年金に20年以上入った人が65歳になったとき、65歳未満の配偶者がいると、配偶者の分として年24万3800円(2026年度)が上乗せされます。届出が必要です。
  2. 振替加算:配偶者が65歳になると加給年金は終わります。代わりに、配偶者自身の老齢基礎年金へ加算が引き継がれることがあります。生まれが昭和41年4月1日以前の人が対象です。
  3. 繰下げ:加給年金と振替加算は、繰下げをしても増えません。繰下げを待つ間は支給もされません。繰下げを考えるときは、この分も含めて比べます。

言葉の意味を、先に一度だけ整理しておきます。加給年金は、年金を受ける人に扶養している家族がいるときの「家族手当」のようなものです。振替加算は、その手当が終わったあと、配偶者の年金に残る小さな上乗せです。

対象になる人・ならない人の早見表

加給年金は、年金を受ける本人の条件と、配偶者の条件の両方がそろったときに付きます。日本年金機構の案内を、早見表にしました。

場面加給年金振替加算
本人の厚生年金の加入が20年以上対象になりうる(一定の短縮ルールあり)配偶者側の条件による
本人の厚生年金の加入が20年未満対象外夫婦の組み合わせにより確認が必要
65歳のとき、配偶者が65歳未満で生計を維持されている対象になる配偶者が65歳になったときに判定
65歳のとき、配偶者がすでに65歳以上対象外(配偶者は65歳未満が条件)生まれと年金記録によっては対象。年金事務所で確認
配偶者が20年以上の厚生年金の老齢年金を受ける権利がある支給停止(2022年4月から、実際に受け取っていなくても停止)対象外(厚生年金と共済の加入が合計240か月以上のとき)
配偶者が障害年金を受けている支給停止個別に確認
配偶者の生まれが昭和41年4月2日以後配偶者が65歳未満なら対象になりうる対象外(制度上、付かない)
離婚した・どちらかが亡くなったその時点で終了個別に確認
※出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(2026年10月時点)。「生計を維持されている」の収入の目安などは、機構の案内でご確認ください。

2026年に65歳になる夫(昭和36年生まれ)の場合、65歳未満の妻は昭和36年4月2日以後の生まれです。この妻の振替加算は、後で見る表のとおり、年1万6335円と小さな額です。加給年金は、妻が65歳になるまでの数年間が中心になります。

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金額はいくら:2026年度の加給年金と振替加算

金額は毎年4月に見直されます。次の額は、2026年度(令和8年4月分から)の日本年金機構の案内にあるものです。

加算の相手年額(2026年度)年齢の条件
配偶者24万3800円65歳未満
1人目・2人目の子各24万3800円18歳になった年度の末日まで(障害の等級によっては20歳未満)
3人目以降の子各8万1300円同上
※出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(2026年10月時点)。

配偶者の加給年金には、年金を受ける人の生まれ年に応じた「特別加算」が上乗せされます。生まれが新しい人ほど加算が大きくなります。

年金を受ける人の生年月日特別加算配偶者分の合計(年額)
昭和9年4月2日〜15年4月1日3万6000円27万9800円
昭和15年4月2日〜16年4月1日7万1900円31万5700円
昭和16年4月2日〜17年4月1日10万8000円35万1800円
昭和17年4月2日〜18年4月1日14万3900円38万7700円
昭和18年4月2日以後17万9900円42万3700円
※出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(2026年10月時点)。これから65歳になる人は、ほぼ最後の行に当たります。

つまり、今65歳になる夫に65歳未満の妻がいれば、配偶者分は年42万3700円です。月に直すと3万5000円あまりです。

振替加算は、妻の生まれ年で額が変わります。最高額は昭和2年4月1日以前生まれの年24万3100円で、若い生まれほど少なくなります。主な区切りを抜き出しました。

妻(配偶者)の生年月日年額(2026年度)月額の目安
昭和2年4月1日以前24万3100円2万258円
昭和15年4月2日〜16年4月1日15万2424円1万2702円
昭和20年4月2日〜21年4月1日11万9848円9987円
昭和25年4月2日〜26年4月1日8万7516円7293円
昭和30年4月2日〜31年4月1日5万5184円4598円
昭和33年4月2日〜34年4月1日3万5839円2986円
昭和36年4月2日〜41年4月1日1万6335円1361円
昭和41年4月2日以後付かない-
※出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(2026年10月時点)。ここにない生まれ年の額は、機構のページの全年分の表でご確認ください。

手続き:届出が要る。自動では付かない

加給年金は、条件を満たしていても自動では付きません。65歳の年金請求のときに、配偶者の情報を書いて届け出ます。請求書の書き方は65歳の年金請求書の書き方にまとめています。ここでは流れだけ押さえます。

  1. 年金請求書に配偶者の欄を書く。配偶者の氏名、生年月日、基礎年金番号を書きます。
  2. 戸籍や住民票などの書類を添える。夫婦であることと、同居などで生計を維持していることを示す書類です。
  3. 配偶者の収入の分かる書類を添える。何を出すかは、請求書に同封の案内に沿います。
  4. 年金事務所か街角の年金相談センターに出す。窓口に行く前に、ねんきんダイヤルで必要書類を聞くと確実です。
  5. 配偶者が65歳になったら、加給年金は終わります。振替加算の要件を満たすと、配偶者の年金に加算されます。

必要書類チェックリスト

  • □ 年金請求書(配偶者の欄まで記入)
  • □ 戸籍謄本(記載事項証明書)など、夫婦関係が分かる書類
  • □ 世帯全員の住民票
  • □ 配偶者の収入が分かる書類
  • □ 配偶者の基礎年金番号が分かるもの

※書類は請求の時期や状況で変わります。実際に出す書類は、年金請求書に同封の案内か、年金事務所で確認してください。

振替加算のほうは、多くの場合、妻が65歳で自分の老齢基礎年金を請求するときに、機構が夫婦の記録を見て判定します。夫が65歳を過ぎてから厚生年金の20年を満たした場合などは、「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を年金事務所に出すことがあります。振込通知書の内容に疑問があれば、早めに窓口で聞いてください。

妻が年上の場合はどうなるか

夫が65歳になる時点で、妻がすでに65歳以上なら、加給年金は付きません。配偶者は「65歳未満」が条件だからです。夫は「厚生年金20年以上」を満たしていても、加給年金は出ない形になります。

夫婦の年齢差夫の加給年金妻の振替加算
妻が年下(夫65歳のとき妻は65歳未満)妻が65歳になるまで付く妻が65歳になったとき、要件を満たせば付く
妻が年上(夫65歳のとき妻は65歳以上)付かない妻の生まれと記録しだい。夫が要件を満たした時点で付く場合があり、年金事務所で確認
※出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」(2026年10月時点)。妻が年上の場合の個別の扱いは、同ページに詳しい記載がないため、年金事務所にご確認ください。

機構の案内によると、振替加算は「配偶者が65歳になった後に、老齢基礎年金を受け取る権利ができた場合」にも付くことがあります。妻が年上で、すでに自分の基礎年金を受けている場合でも、振替加算の対象かどうかを確かめる価値はあります。

ただし、妻の生まれが昭和41年4月1日以前であることや、妻自身の厚生年金の加入期間などの条件があります。妻が年上の家庭は、自分で判断せず、夫婦の年金記録を持って年金事務所で聞くのが近道です。

どちらかが亡くなったあとの年金については、遺族年金で夫はいくら?妻が亡くなったときの要件・金額・手続き【2026年】で、夫の側の整理をしています。

繰下げとの関係:増えないうえに、待つ間は出ない

年金を65歳より後に受け取る「繰下げ」をすると、年金は1か月ごとに増えます。ただし、加給年金と振替加算は、この増額の対象にはなりません。日本年金機構の資料にも、その旨が書かれています。

繰り下げるもの加給年金・振替加算への影響
夫が老齢厚生年金を繰り下げる待っている間、夫の加給年金は支給されない。あとから遡って受け取ることはできない。加給年金の額そのものは増額されない
妻が老齢基礎年金を繰り下げる待っている間、振替加算は支給されない。あとから受け取ることはできない。振替加算の額そのものは増額されない
※出典:日本年金機構の繰下げ受給に関する案内(2026年10月時点)。個別の組み合わせは年金事務所でご確認ください。

たとえば、妻が年下で、夫が厚生年金を3年繰り下げると、その3年間の加給年金(年42万3700円)は受け取れません。増える年金と、受け取れない加給年金を並べて、どちらが家計に合うかを見ます。

老齢厚生年金は65歳から受け取り、老齢基礎年金だけを繰り下げる方法もあります。その場合も、基礎年金を待つ間は振替加算が出ない点は同じです。繰下げの増額率や損益の分かれ目は、年金の繰下げは得か|損益分岐点の年齢・増額率早見表と繰下げ中に亡くなったらで整理しています。

届出が遅れたら・損しやすい点

加給年金・振替加算には、「いつまでに」という短い締め切りはありません。ただし、年金を受ける権利は5年で時効にかかります。振替加算の届出が遅れ、5年より前の分がさかのぼって出なかった例が、公的な裁決資料にあります。

  • 請求書の配偶者欄を空けたまま出す:加給年金は届出がないと付きません。65歳の請求のときに、配偶者の欄をきちんと書きます。
  • 妻の就職・年金の権利で停止になる:妻に20年以上の厚生年金の老齢年金を受ける権利があると、加給年金は止まります。2022年4月からは、受け取っていなくても止まります。
  • 妻が65歳になったときの連絡を見落とす:加給年金が終わったことと、振替加算の有無を、通知書で確かめます。
  • 離婚や死亡の届出:離婚したとき、どちらかが亡くなったときは、加給年金が終わります。
  • 将来の見直しは決定事項と分ける:2025年に成立した年金制度改正法では、配偶者の加給年金の見直しが盛り込まれたと解説されています。ただし、これは2028年4月以降を予定する将来の話で、2026年度の額には影響しません。内容は機構や厚生労働省の案内で確認してください。

今日できる一歩

  1. 夫婦それぞれの生年月日をメモして、「夫が65歳になる日に妻は65歳未満か」「妻は昭和41年4月1日以前の生まれか」の2点を書き出す。

よくある質問

夫の厚生年金が19年だと、加給年金は付きませんか。

原則は20年以上です。ただし、40歳以降(女性などは35歳以降)に15〜19年の加入があれば対象になる特例があります。共済の期間は含まないなど細かい決まりがあるため、年金事務所で記録を確かめてください。

妻が働いていて収入があると、加給年金はもらえませんか。

「生計を維持されている」ことが条件のため、妻の収入が一定額以上だと対象外になります。基準の金額は、機構の案内で確認してください。妻が自分の厚生年金(20年以上)を受ける権利を持つと、加給年金は止まります。

振替加算は自分で申請するのですか。

妻が65歳で基礎年金を請求するときに、機構が記録を見て判定するのが一般的です。ただ、夫の条件が後からそろったときなどは「加算開始事由該当届」を出すことがあります。心配なら、ねんきんダイヤルか年金事務所へ。

妻が昭和41年4月2日以後の生まれです。振替加算はもらえますか。

振替加算は付きません。その代わり、妻が65歳未満の間は、夫の加給年金が付く可能性があります。

夫が先に亡くなったら、加給年金や振替加算はどうなりますか。

夫が亡くなると、夫の加給年金は終わります。妻が受ける遺族年金や、妻自身の年金への影響は、状況で変わります。寡婦年金と死亡一時金の違いもあわせて、年金事務所で確認してください。妻が受け取る遺族厚生年金の目安は、遺族年金で妻はいくら?夫が亡くなったときの年金の計算と手続きで整理しています。

加給年金の配偶者の条件を、まとめて教えてください。

配偶者の条件は、大きく3つです。1つ目は、配偶者が65歳未満であることです。2つ目は、年金を受ける人に生計を維持されていることです。日本年金機構の基準では、同居している(別居でも仕送りがあるなどを含む)ことに加え、配偶者の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であることが目安です。3つ目は、配偶者が20年以上の厚生年金の老齢年金や、障害年金を受ける権利を持っていないことです。どれか1つでも外れると、加給年金は付かないか止まります(2026年10月時点)。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。金額や条件は変わることがあります。個別の事情は年金事務所やねんきんダイヤルでご確認ください。当社は年金の請求や届出の代行はしません。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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