手許現金とは【2026年】読み方・相続税申告での扱いと遺産分割協議書の書き方

手許現金とは

親が亡くなったあと、財布や引き出し、金庫から現金が出てきた。相続税の資料を調べると「手許現金」という言葉が出てくる。どう読み、どこまで数えるのか、迷う方は少なくありません。

手許現金は、亡くなった日に本人の手元にあった現金のことです。この記事では、読み方と手元現金との違い、相続税の申告書での扱い、遺産分割協議書での書き方の考え方を、2026年10月時点の国税庁の資料で確かめられる範囲で整理します。

目次

先に結論:亡くなった日の現金は、金額にかかわらず数えます

この記事の結論

  1. 読み方と意味:「てもとげんきん」と読みます。手元現金と同じ意味で、漢字の書き方が違うだけです。
  2. 相続税での扱い:財布・タンス・金庫・貸金庫にあった現金は、亡くなった日の金額で相続財産に入ります。申告書では第11表の付表3に「現金」として書きます。
  3. 協議書と記録:亡くなった日の金額を家族で数えて記録し、遺産分割協議書と申告書の金額をそろえます。

相続税の申告が必要かどうかは、現金だけでなく預金や不動産を合わせた全体の額で決まります。現金を数えるのは、その全体を正しく出すための一歩です。

手許現金の読み方と、手元現金との違い

手許現金は「てもとげんきん」と読みます。「手許」も「手元」も読みは同じ「てもと」です。意味に違いはなく、亡くなった人が銀行などに預けず、手近に置いていた現金を指します。

相続税の解説では「手許現金」と書かれることが多いのですが、国税庁の申告書では財産の種類は単に「現金」と書きます。どちらの言葉で調べても、相続税の扱いは同じです。家で保管していた現金を指して「タンス預金」と呼ぶこともありますが、これも申告書では「現金」に入ります。タンス預金が税務署に分かる仕組みや、相続税の時効(5年・7年)の数え方はタンス預金の相続にまとめています。

  • 手許現金:税理士の解説や相続税の資料でよく使われる書き方
  • 手元現金:日常の言葉に近い書き方。意味は同じ
  • 申告書での名前:「現金」(第11表の付表3の口座種別等)

相続税で「現金」に入るもの・入らないもの(早見表)

相続税がかかるのは、亡くなった人が亡くなった時に持っていた、お金に見積もれる全ての財産です。国税庁はその例として、預貯金と並んで「現金」を挙げています。考え方の目安は「亡くなった日の時点で、本人のお金だったかどうか」です。

お金の状態相続財産になるかひとこと
本人の財布に入っていた現金なる(現金)少額でも数えます
自宅の金庫・タンス・仏壇などの現金なる(現金)保管場所ごとに金額を控えます
銀行の貸金庫に入れていた現金なる(現金)貸金庫は預金ではないので現金で数えます
亡くなる前に口座から下ろし、残っていた現金なる(現金)亡くなった日に残っていた分が対象です
家族が預かっていた本人のお金なる家族名義でも本人の財産と認められれば対象です
亡くなった後に口座から下ろしたお金なる(預貯金)亡くなった日は口座にあったので、預貯金として数えます
家族がもともと持っていた自分のお金ならない本人のお金と混ざらないよう分けておきます
※国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」の「相続税がかかる財産」「家族名義の財産は?」の説明をもとに整理(2026年10月時点)。個別の財産が誰のものかの判断は、税理士にご確認ください。

亡くなる前に下ろしたお金を、病院代などの支払いに使い切っていれば、その分は亡くなった日の財産には残っていません。一方で、家族に渡したお金や家族の口座に移したお金は、贈与なのか預かっているだけなのかで扱いが変わります。判断が分かれる部分は、通帳の動きを持って税理士に相談するのが確実です。

申告書での書き方と、期限・過ぎたらどうなるか

2024年1月以降に亡くなった方の申告書では、財産の明細を書く第11表が財産の種類ごとに分かれました。現金は預貯金と同じ「第11表の付表3(現金・預貯金等用)」に書きます。

項目内容
書く用紙第11表の付表3(現金・預貯金等用)。2024年1月以降の相続開始分から
口座種別等コード現金は「11」。普通預金は12、定期預金は14
金額亡くなった日の金額をそのまま書く。国税庁の記載例では現金450,000円が1行で書かれています
取得した人第11表(合計表)の「財産取得者の一覧」の番号を書く
転記先取得した人ごとの合計を第15表の㉓欄へ
申告が必要になる目安遺産の合計(課税価格の合計額)が、3,000万円+600万円×法定相続人の数 を超えるとき
申告期限亡くなったことを知った日の翌日から10か月目の日(土日祝なら翌日)
出典:国税庁「相続税申告書第11表の様式改訂」、同「相続税の申告書第11表の付表3 記載要領等【令和6年1月分以降用】(R8.7)」、同「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」(2026年10月時点で確認)。

期限を過ぎたら・あとで見つかったら

国税庁の案内では、申告期限に遅れて申告と納付をすると、原則として加算税と延滞税がかかります。たとえば2026年6月9日に亡くなった場合、期限は2027年4月9日です。

申告した後に現金が見つかり、申告額が少なかったとわかったときは、修正申告書を出すことができます。この場合も、納める税額に加算税と延滞税がかかることがあります。見つけた時点で、申告を頼んだ税理士か税務署に早めに伝えます。税務署から書類が届いた場合の対応は、税務署から「相続についてのお尋ね」が届いたらにまとめています。

亡くなった日の現金を確かめる手順と書類チェックリスト

現金は通帳のような記録が残りません。だからこそ、早いうちに数えて書き残すことが、のちの説明や話し合いを楽にします。

  1. 保管場所を書き出す。財布、バッグ、金庫、タンス、仏壇、入院先の荷物、貸金庫などです。
  2. 家族2人以上で数える。場所ごとに金額と、数えた日・数えた人をメモします。封筒のまま写真に撮っておくと後で確かめやすくなります。
  3. 亡くなる前の出金を確かめる。通帳や取引の明細で、まとまった引き出しがないか見ます。残高や取引の証明の取り方は銀行の残高証明書の取り方で説明しています。
  4. 亡くなった後に使ったお金を分けて記録する。葬儀代などに使った場合も、亡くなった日の金額はそのまま記録し、使った分は領収書を残します。
  5. 財産の一覧に「現金」として載せる。預金や不動産と合わせ、遺産分割の話し合いと申告の土台にします。

そろえておく書類チェックリスト

  • □ 保管場所ごとの金額メモ(数えた日・数えた人の名前つき)
  • □ 現金や封筒を写した写真
  • □ 本人の通帳・取引明細(亡くなる前の引き出しを確かめるため)
  • □ 葬儀社・お寺などへの支払いの領収書や控え
  • □ 家族が預かっていたお金があれば、その金額と経緯のメモ
  • □ 遺産分割協議書の下書き(現金の金額と取得する人)

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

遺産分割協議書での手許現金の書き方の考え方

遺産分割協議書は、誰が何を受け取るかを相続人全員で決めた内容を書く書類です。決まった書式はありませんが、現金は形が残らない財産なので、あとで「どのお金のことか」がわかる書き方にしておきます。

  • 亡くなった日の金額で書く:「被相続人の手許現金 金○○円」のように、数えた金額を書きます。申告書の付表3に書く金額とそろえます。
  • 誰が受け取るかをはっきり書く:1人が全部受け取るのか、金額を分けるのかを書きます。分けるなら、人ごとの金額まで書くと迷いません。
  • 保管場所や保管している人を添える:「自宅金庫に保管していた現金」「長男が預かっている現金」など、特定できる言葉を足します。
  • 葬儀代に使った分の扱いを決めておく:現金は亡くなった日の全額を書き、葬儀代は誰が負担したかを別に書く方法があります。使った後の残りだけを書くと、申告書の金額と合わなくなることがあります。
  • あとで見つかった財産の扱いを決めておく:書き漏れに備え、協議書に書いていない財産が後で見つかったときに誰が取得するか、または改めて話し合うかを書いておく方法もあります。

協議書の文言は、預金や不動産の書き方と合わせて全体で整えるものです。現金だけを抜き出して書き方をまねるより、財産の一覧を先に作ってから協議書に落とすほうが、書き漏れが起きにくくなります。

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手許現金が申告漏れになりやすい点

ここでは、一般的に見落としやすい点をまとめます。実際にどう申告するかは、財産の全体を見て税理士に確認してください。

  • 葬儀代に使ったから、と現金から外してしまう。亡くなった日の現金はいったん全額を財産に入れ、葬儀費用は別に差し引くのが申告書の組み立てです。
  • 少額だからと数えない。現金に「ここまでは書かなくてよい」という金額は示されていません。財布の中の分も数えます。
  • 亡くなる直前に下ろしたお金を見落とす。口座の残高は減っていても、そのお金が家に残っていれば現金です。
  • 家族が預かっていたお金を入れ忘れる。名義や置き場所ではなく、誰のお金かで判断されます。
  • 家族のお金と混ぜてしまう。生活費の財布に入れてしまうと、亡くなった日の金額が後からわからなくなります。
  • 協議書と申告書で金額がずれる。どちらかを直すと、もう一方も直す必要が出てきます。

生前にまとまった現金を手渡しでやり取りした場合の記録の残し方は、遺産相続の現金手渡しは違法?で扱っています。申告を頼む先を探すときは、相続に強い税理士の選び方も参考にしてください。

今日できる一歩

家にある現金の置き場所を紙に書き出し、場所ごとの金額と今日の日付、数えた人の名前を1枚にまとめる。親がご健在なら、どこに現金を置いているかを一緒に確かめておく。

よくある質問

手許現金の読み方は?

「てもとげんきん」です。相続の場面では、亡くなった日に本人の手元にあった現金を指します。

手元現金と手許現金は何が違いますか

意味は同じで、漢字の書き方が違うだけです。相続税の申告書では、どちらも「現金」として第11表の付表3に書きます。

現金はいくらから申告に書くのですか

国税庁の資料に、現金について「この金額以下は書かなくてよい」という基準は示されていません。ただ、そもそも申告が必要かどうかは、財産全体の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで決まります。

葬儀代に使った現金はどう扱いますか

亡くなった日の現金は全額を財産に入れ、相続人が負担した葬式費用は別に差し引く形になります。お寺や葬儀社への支払いは差し引けますが、香典返しや法要の費用、墓地や墓石の購入費は含まれません(国税庁)。領収書を残しておきます。

遺産分割協議書に現金を書かないといけませんか

協議書は、分け方を相続人全員で決めた証拠になる書類です。現金の分け方を決めたなら、書いておくと後の行き違いを防げます。協議書に書かなかったことが、相続税の申告から外してよい理由にはなりません。

亡くなった後に下ろした預金は手許現金ですか

亡くなった日には口座に入っていたので、申告では預貯金として扱うのが基本です。下ろしたお金を現金として二重に数えないよう、いつ・いくら下ろしたかを控えておきます。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の国税庁の公開情報をもとにした一般的な整理です。財産が誰のものか、どの金額で申告するかなどの判断は、ご家族の事情や財産の状況で変わります。個別の申告や税額については税理士に、遺産分割協議書の内容については司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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