死亡後の保険証返却と資格喪失の手続き【2026年】期限14日・国保と会社の違い

葬儀が終わって少し落ち着いたころ、親の財布や引き出しから資格確認書や介護保険の被保険者証が出てきます。「これはどこへ返すのか」「期限はあるのか」と手が止まる方は少なくありません。

この記事では、亡くなった方の健康保険と介護保険の「やめる手続き」を、返すもの・期限・届出先の順に、2026年10月時点の公式な案内で整理します。

目次

先に結論:返すものと期限は「入っていた制度」で決まる

この記事の結論

  1. どこへ:国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険は市区町村の窓口へ。会社の健康保険は勤め先へ返します。
  2. いつまで:国保と介護保険は「14日以内」を目安とする市区町村が多く、会社の保険は会社が5日以内に届け出ます。
  3. 何を:資格確認書などの紙のカードは返します。マイナンバーカードは返さなくてよいとする市もあり、扱いは市区町村で違います。

健康保険をやめることを、役所の言葉で「資格喪失(しかくそうしつ)」と呼びます。加入者でなくなる、という意味です。亡くなった方の場合、亡くなった日の翌日に加入者でなくなる扱いです。

多くの市区町村では、死亡届を出すと役所の中で情報が回ります。そのため、届出そのものは省ける場合があります。それでも、手元のカードを返すことと、家族の分の切り替えは残ります。死亡届の流れは死亡届の出し方と書き方でまとめています。

まず確認:亡くなった方はどの制度に入っていたか

最初に、手元のカードに書かれた名前で、どの制度だったかを確かめます。年齢と働き方でおおよそ分かります。

制度手続きの対象になる人対象にならない人カードの例
国民健康保険(国保)74歳までで、自営業・年金暮らしなど会社の保険に入っていなかった人75歳以上の人、会社の保険の本人や家族(扶養)だった人国民健康保険の資格確認書、資格情報のお知らせ
後期高齢者医療75歳以上の人(一定の障害がある65歳以上の人を含む)74歳までの人(障害認定を受けた人を除く)後期高齢者医療の資格確認書
会社の健康保険働いていて会社の保険に入っていた人と、その扶養に入っていた家族退職して国保や後期高齢者医療に移っていた人協会けんぽや健康保険組合の資格確認書
介護保険65歳以上の人、40〜64歳で要介護・要支援の認定を受けていた人40〜64歳で認定を受けていない人(被保険者証が手元にない)介護保険被保険者証、負担割合証など
※出典:厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」、三原市「死亡に伴う手続き」の案内、名古屋市のおくやみ手続きの案内(2026年10月時点)。対象の細かな条件は加入先で確認してください。

75歳以上の方は、働いていても後期高齢者医療に入ります。介護保険は医療とは別の制度です。65歳以上の方なら、医療のカードとは別に介護保険のカードも返すのが一般的です。

返すもの・期限・届出先の一覧

制度ごとの違いを一つの表にまとめました。期限は国が一律に決めた日付ではなく、市区町村の案内に書かれた目安も含みます。

制度届出・返却の先期限の目安返すもの・注意点
国民健康保険故人の住所地の市区町村(国保の担当課)亡くなった日から14日以内(浜松市・世田谷区などの案内)本人の資格確認書など。世帯主が亡くなったときは家族の分の書き替えも必要
後期高齢者医療故人の住所地の市区町村(後期高齢者医療の担当課)死亡届で自動的に喪失とする区が多い。文京区は返却期限なし資格確認書、限度額の認定証など。医療費の精算後や葬祭費の申請時に返す案内が多い
会社の健康保険勤め先(会社が年金事務所や健康保険組合へ届け出る)会社が亡くなった翌日から5日以内に届出本人と扶養家族の資格確認書、高齢受給者証など。回収できないときは会社が「回収不能届」を出す
介護保険故人の住所地の市区町村(介護保険の担当課)14日以内を目安とする案内が多い。神戸市は「お早めに」介護保険被保険者証、負担割合証、負担限度額認定証など手元にあるもの
※出典:日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」、浜松市・世田谷区・江東区の国民健康保険の案内、文京区・板橋区の後期高齢者医療の案内、神戸市の死亡に伴う手続きの案内(2026年10月時点)。

市区町村によって違うところ(例)

  • 東京都江東区:死亡届を出すと国保は自動でやめる扱いです。本人の資格確認書は、葬祭費の申請のときに回収するとしています。
  • 東京都世田谷区:亡くなった日から14日以内に返すよう案内しています。窓口のほか郵送でも返せます。葬祭費を申請する場合は、その手続きの後でよいとしています。
  • 愛知県名古屋市:区役所の保険年金課で、資格確認書と資格情報のお知らせを返します。故人のマイナンバーカードは返さなくてよいとしています。

このように、届出が要るか、いつ返すかは市区町村で分かれます。迷ったら、故人の住所地の役所に「国保(または後期高齢者医療)と介護保険の、死亡の手続きを知りたい」と電話で聞くのが近道です。

マイナ保険証・資格確認書の扱い(2026年10月時点)

2024年12月2日に、従来の紙やプラスチックの保険証は新しく発行されなくなりました。その後、残っていた保険証も有効期限を迎えています。

期限切れの保険証でも受診できる暫定的な扱いがありましたが、2026年7月31日で終わりました。いまは、マイナ保険証か資格確認書を出して受診する仕組みです。

亡くなった方の手元にあるものの扱い

手元にあるもの一般的な扱い確認したいこと
資格確認書返す(国保・後期は市区町村、会社の保険は勤め先へ)返す時期(すぐ/葬祭費の申請時/医療費の精算後)
資格情報のお知らせ返すよう求める市(名古屋市・札幌市など)がある返却が要るか、持参だけでよいか
マイナンバーカード(マイナ保険証)名古屋市は返却不要。大阪府泉南市は返納を求めている返納が要るか、窓口で預かるか
期限切れの古い保険証もう使えない。返却の要否は加入先で違う一緒に返すか、自分で処分してよいか
※出典:厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」、厚生労働省の周知資料(暫定的な取扱いは2026年7月31日で終了)、名古屋市・札幌市・泉南市の死亡手続きの案内(2026年10月時点)。

マイナ保険証を使っていた方は、返すカードが見当たらないこともあります。その場合も、加入者でなくなる手続きと保険料の精算は必要です。「カードがないから手続きは要らない」とはなりません。

なお、協会けんぽ石川支部は、退職した人について、期限切れの資格確認書や資格情報のお知らせは返却不要と案内しています。会社の保険では、加入先ごとに扱いが違うので、勤め先の指示に合わせてください。

手続きの手順と持ち物チェックリスト

役所の手続きは、死亡届を出した後にまとめて回ると楽です。「おくやみ窓口」を設けている市区町村なら、そこで一度に案内してもらえます。

  1. 故人の制度を確かめる。手元のカードと年齢、亡くなる前に働いていたかを見ます。
  2. 会社の保険だった場合は勤め先へ連絡する。本人と扶養家族のカードを会社へ返します。届出は会社が行います。
  3. 国保・後期高齢者医療・介護保険は市区町村の窓口へ。届出が要るか、カードをいつ返すかを聞きます。郵送で返せる市区町村もあります。
  4. 家族の分の切り替えをする。世帯主が亡くなったときは、国保の世帯主の変更と家族のカードの書き替えが必要になることがあります。
  5. 葬祭費・埋葬料を申請する。同じ窓口で受け付けることが多く、カードの返却と一緒に済ませられます。
  6. 後日届く保険料の通知を確認する。払い過ぎは戻り、足りない分は相続人が納めます。

窓口に持っていくもの

  • □ 亡くなった方の資格確認書(国保または後期高齢者医療)
  • □ 資格情報のお知らせ(届いていれば)
  • □ 介護保険被保険者証・負担割合証など介護のカード
  • □ 限度額の認定証、高齢受給者証など、ほかに交付されていたもの
  • □ 窓口に行く人の本人確認書類(運転免許証など)
  • □ 世帯主が亡くなった場合は、同じ世帯の家族のカード
  • □ 葬祭費も申請するなら、喪主の口座が分かるものと会葬礼状など
  • □ 別の世帯の人が手続きする場合は委任状(必要か事前に確認)

葬祭費や埋葬料の金額と申請のしかたは、葬祭費・埋葬料の申請方法で詳しく説明しています。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

期限を過ぎてしまったらどうなるか

14日を過ぎても、気づいた時点で窓口に連絡すれば手続きはできます。葬儀や片付けで遅れる方は多いので、まず電話で事情を伝えてください。

困るのは、遅れることで起きる次のようなことです。

  • 保険料の精算が遅れる。戻るお金の受け取りや、足りない分の納付が後ろにずれます。
  • 家族の加入が空白になる。会社の保険の扶養だった家族は、本人が亡くなると扶養から外れます。国保などへ入る手続きが遅れると、受診のときに困ります。
  • 誤って使われるおそれがある。日本年金機構は、届出が遅れると資格がないのに給付を受ける原因になると注意しています。後から医療費の返還を求められることがあります。

亡くなった後の手続き全体の期限は、相続の手続き一覧で順番に並べています。

損しやすい点・見落としやすい点

介護保険料・国保の保険料は月割りで精算される

介護保険料は、加入者でなくなった日を含む月の前月分までを納める扱いです(練馬区・世田谷区の案内)。年金から天引きされていた分は、払い過ぎになることがあります。

払い過ぎは相続人に戻り、足りない分は相続人が納めます(所沢市・鹿児島市の案内)。世田谷区では、およそ1か月後に還付の通知が届くとしています。届いた封書は捨てずに開封してください。亡くなった方の口座には振り込めないため、受け取る人の口座を書きます。

亡くなる前の医療費が戻る場合がある

入院などで医療費が高くなっていた場合、高額療養費として後から戻ることがあります。申請は相続人が行います。詳しくは高額療養費の申請方法をご覧ください。資格確認書を早く返し過ぎて番号が分からなくならないよう、表と裏をスマホで撮っておくと安心です。

葬祭費・埋葬料は申請しないともらえない

葬祭費や埋葬料は自動では振り込まれません。申請の期限は2年です。カードを返すときに、同じ窓口で申請できるか聞いておくと手間が減ります。

残された家族の切り替えを忘れやすい

亡くなった方のことに気を取られ、家族の分を忘れがちです。世帯主が亡くなった国保の世帯や、会社の保険の扶養だった配偶者は、早めに切り替えの手続きをしてください。

今日できる一歩

  1. 故人の財布や引き出しから、医療と介護のカードを全部集めて封筒に入れる
  2. カードの表と裏をスマホで撮り、番号を控えておく
  3. 故人の住所地の役所に電話し、「届出が要るか」「いつ、どこへ返すか」を聞く

よくある質問

Q. 死亡届を出せば、ほかに何もしなくてよいですか?

A. 届出そのものは死亡届で済む市区町村もあります。ただ、カードの返却、家族の切り替え、葬祭費の申請は別に残ります。窓口で「ほかに必要な手続き」を聞いてください。

Q. 資格確認書をなくしてしまいました。

A. 見つからない場合は、その旨を窓口に伝えてください。会社の保険では、会社が「回収不能届」を出す仕組みがあります。国保や後期高齢者医療も、窓口で書類の案内を受けられます。

Q. 遠方に住んでいて、窓口に行けません。

A. 世田谷区のように、郵送で返せる市区町村があります。名古屋市は葬祭費の電子申請も受け付けています。まず電話で、郵送の宛先と同封する書類を確かめてください。

Q. マイナンバーカードはどうすればよいですか?

A. 名古屋市は返さなくてよいとしていますが、返納を求める市もあります。故人の住所地の案内に従ってください。迷ったら、医療のカードを返すときに一緒に持参して確認すると確実です。

Q. 65歳未満で介護の認定を受けていなかった場合は?

A. 40〜64歳で認定を受けていない方には、介護保険の被保険者証は交付されていません。返すカードはありません。介護保険料は医療保険の保険料と一緒に精算されます。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。届出の要否、期限、返すものは市区町村や加入先によって異なります。実際の手続きは、故人の住所地の市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の担当窓口、または勤め先・加入先の健康保険でご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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