パスポートの申請、年金の手続き、亡くなった親の相続。案内書に「住民票の写しまたは戸籍謄本を」と書かれていて、役所でどちらを取ればいいのか迷った。そんな場面は珍しくありません。
住民票と戸籍謄本は、名前が似ていて、どちらも役所で取れますが、別の書類です。住民票は「いま、どこで誰と暮らしているか」、戸籍謄本は「誰と誰が親子や夫婦か」を証明します。この記事では違いを表で比べ、手続き別に「どちらを出すか」の早見表を付けました。戸籍謄本の中身は戸籍謄本の読み方で、欄ごとに説明しています。
この記事の結論
- 住民票は住所と世帯(居住関係)を、戸籍謄本は親子や夫婦などの身分関係を証明します。請求先も、住民票は住所地、戸籍謄本は本籍地の市区町村が原則です。
- 親子・結婚・相続人を示すなら戸籍謄本、住所や同居を示すなら住民票です。手続きによっては両方を求められます。
- 住民票に本籍を載せることはできますが、家族の関係までは載りません。提出先がどちらを求めているか、先に案内で確かめてください。
住民票と戸籍謄本は、証明するものが違う
まず、2つを並べて比べます。岡山市の案内では、戸籍は親族関係を証明するもので本籍地に置かれ、住民票は住居関係を証明するもので住所地に置かれる、と整理されています。
住民票と戸籍謄本の違い
たとえば、結婚して別の家に住んでいる子は、親の住民票には載りません。住所が別で、世帯が別だからです。一方、子が結婚前なら、別に暮らしていても親の戸籍に入っていることがあります。住んでいる場所と戸籍は、別々に決まります(岡山市の案内)。
載っている内容の違い
住民票に載っているもの
住民票の写しには、世帯主、住所、世帯の人ごとの氏名、生年月日、性別、世帯主との続柄、住民となった年月日、転入前の住所などが載ります(総務省の様式)。本籍・筆頭者とマイナンバー(個人番号)は、請求のときに載せるかどうかを選ぶ項目です。何も指定しないと載らない市区町村があります。
本籍を載せたいときの指定の仕方は、住民票に本籍を載せる方法にまとめています。
戸籍謄本に載っているもの
戸籍謄本には、本籍、筆頭者、載っている人ごとの生年月日、父母、続柄、出生や婚姻などの出来事が載ります。戸籍には、いまの住所を書く欄はありません。住所の移り変わりは、本籍地が保管している「戸籍の附票」に載ります(総務省の資料)。附票の写しは、名古屋市で1通300円です。必要な場面は戸籍の附票の取り方をご覧ください。
どちらで何が分かるか
本籍の調べ方は、本籍地の調べ方・確認方法4つに整理しています。
手続き別の早見表:どちらを出すか
提出先ごとに、求められる書類は違います。公式の案内で確かめられたものを表にしました。
手続き別の早見表
遺族厚生年金のように、2つの書類で別のことを確かめる手続きもあります。戸籍は亡くなった方との続柄を、住民票は生計を維持されていた関係を確かめるためです。
発行日から何か月以内、という期限が付くこともあります。遺族厚生年金は、提出日から6カ月以内に交付されたものです。期限の考え方は戸籍謄本の有効期限は?をご覧ください。パスポートの場合はパスポート申請に戸籍謄本はいる?、結婚は婚姻届に戸籍謄本は必要?で、くわしく書いています。
請求先・請求できる人・手数料の違い
住民票の写しと戸籍謄本の請求
住民票の請求できる人は名古屋市の案内、戸籍の請求できる人は法務省の案内によります。窓口では、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が要ります。
広域交付の戸籍は、郵送や代理人の請求ができません。コンピュータ化されていない一部の戸籍も取れません。使い方は戸籍の広域交付の使い方にあります。
亡くなった方の場合は、呼び名が変わる
相続の手続きでは、書類の名前が変わります。住民票は「住民票の除票」、戸籍は「除籍謄本」や「改製原戸籍謄本」です。
亡くなった方の書類
除票は、住所地の窓口か郵送で請求します。取り方は住民票の除票とはに、親の本籍が分からない場合の調べ方は亡くなった親の本籍地がわからない時の調べ方に書いています。除籍や改製原戸籍の取り方は除籍謄本・改製原戸籍の取り方です。
迷ったときの決め方
どちらを出すか迷ったときは、次の順で確かめてください。
- 提出先の案内で、書類の名前を確かめる(「住民票の写し」か「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)」か)
- 「本籍記載のもの」「世帯全員」「続柄入り」など、条件の指定がないか見る
- 発行日の期限(「3か月以内」「6か月以内」など)がないか見る
- 分からなければ、提出先に「住民票と戸籍謄本のどちらですか」と電話で聞く
請求書の書き方は、市区町村の窓口で聞けば、その場で直してもらえます。請求のあとで書類を取り直すと、手数料がもう一度かかります。請求の前に、提出先に聞いておくほうが安上がりです。
よくある質問
Q1 住民票は、戸籍謄本の代わりになりますか。
原則、代わりにはなりません。住民票は住所と世帯の証明で、戸籍は親子や夫婦などの関係の証明だからです。住民票に本籍と筆頭者を載せても、家族の関係までは載りません。代わりに使えるかどうかは、提出先の案内で確かめてください。
Q2 本籍地と住所地が同じ市区町村なら、窓口は同じですか。
同じ市区町村なら、同じ役所で両方を請求できます。名古屋市のように区ごとに窓口がある市では、戸籍は本籍地の区役所、住民票は住所地の区役所が原則です(名古屋市の案内)。
Q3 コンビニで、両方とも取れますか。
対応している市区町村では、マイナンバーカードを使ってコンビニで取れます。ただし、市区町村ごとに対象が違います。戸籍は、全部事項証明書と個人事項証明書が対象で、本籍がその区にある人に限る例があります(世田谷区の案内)。住民票の除票は、練馬区の案内では、コンビニ交付も広域交付も使えません。くわしくは戸籍謄本をコンビニで取る方法をご覧ください。
Q4 別に住む親の分も、まとめて請求できますか。
戸籍は、子が親の戸籍謄本を請求できます。委任状は要りませんが、本人確認書類は必要です(法務省)。住民票は、同じ世帯の人なら委任状が要りません。別の世帯の親の住民票は、委任状が要ります(名古屋市の案内)。
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参考にした公的情報
- 岡山市「戸籍と住民票は同じものですか?」
- 文京区「住民票と戸籍の違い・手数料」
- 総務省「住民基本台帳制度」
- 総務省「住民票の写しの様式」
- 総務省「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」
- 練馬区「住民票の除票の写し」
- 名古屋市「戸籍・住民票の証明書の手数料と請求できる人」
- 法務省「戸籍の窓口での本人確認」
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」
- 外務省「パスポート申請に通常必要な書類」
- 東京法務局「相続登記の手続について(概要編)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」
※本記事は2026年10月8日時点の、国と市区町村の公開情報にもとづく一般的な情報です。手数料、必要書類、対応する窓口は市区町村や手続き先によって異なります。個別の手続きに何が必要かは、手続き先に確認してください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
