銀行や法務局の窓口で「出生から死亡までの戸籍をすべてお持ちください」と言われて、戸惑った方は多いのではないでしょうか。実際には、現在の戸籍謄本だけでは足りず、除籍謄本と改製原戸籍謄本をさかのぼって集める必要があります。
この記事では、3種類の書類の違いと見分け方、さかのぼって集める具体的な手順、郵送での請求方法を整理します。
先に結論:戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の3種類をさかのぼって揃える
出生から死亡までの戸籍、3種類の帯
👶
改製原戸籍
出生〜改製前・750円
📜
除籍謄本
全員が抜けた戸籍・750円
📄
戸籍謄本(現在)
死亡時点の戸籍・450円
広域交付なら1か所でまとめて請求できる
(本人・配偶者・直系のみ。2024年3月開始。2026年9月時点)
出生から死亡までの戸籍は、時代の古い順に「改製原戸籍」→「除籍謄本」→「戸籍謄本(現在の戸籍)」とつながっています。亡くなった方の年齢や本籍地の移転回数によって、必要になる通数は変わります。本人・配偶者・直系(親・子・孫)が請求する場合は、2024年3月から始まった広域交付を使えば、最寄りの市区町村窓口で1か所にまとめて請求できます。
3種類の違いと見分け方
- 戸籍謄本(現在の戸籍・全部事項証明):現時点で有効な戸籍です。亡くなった方については、死亡の記載がされた状態のものがこれにあたります。
- 除籍謄本:戸籍に記載されていた全員が、死亡・婚姻・転籍などでいなくなり、戸籍自体が閉鎖されたものです。亡くなった方の親の代の戸籍などが該当することが多くあります。
- 改製原戸籍:法律・省令の改正で戸籍の様式が変わる際、それまで使われていた古い様式の戸籍です。昭和32年の法務省令による改製(家単位から夫婦と子の単位へ)と、平成6年の法務省令によるコンピュータ化の際にできた、改製前の戸籍がこれにあたります。
見分け方としては、戸籍の一番上や欄外に「除籍」「改製原戸籍」といった表示があるかどうかを確認します。表示がなければ現在の戸籍謄本です。窓口で「出生から死亡までの戸籍一式」と伝えれば、職員が種類を判別しながら必要な分を発行してくれるため、利用者自身が種類を厳密に見分けられなくても手続きは進められます。
さかのぼる手順
戸籍をさかのぼって集める流れ
死亡時点の戸籍謄本を取得する
本籍地(または広域交付の対象なら最寄り)の窓口で、亡くなった方の現在の戸籍謄本を取ります。
「従前戸籍」「改製前の戸籍」欄を確認する
取得した戸籍には、1つ前の戸籍がどこにあったかを示す欄があります。この記載をもとに、その前の戸籍(除籍・改製原戸籍)を請求します。
出生の記載が出るまで2を繰り返す
転籍や婚姻で本籍が変わっていると、その都度、移転先の市区町村に請求する必要があります。出生の記載が確認できた戸籍まで到達すれば完了です。
つながりに切れ目がないか確認する
それぞれの戸籍の在籍期間が途切れなくつながっているかを確認します。不安な場合は窓口で「出生から死亡まで連続しているか」を確認してもらうと安心です。
郵送請求のやり方
本籍地が遠方で、広域交付の対象にも当てはまらない戸籍(兄弟姉妹の関係を示す戸籍など)は、本籍地の役所へ郵送で請求します。必要なものは次のとおりです。
- 戸籍証明書等交付請求書(自治体のウェブサイトからダウンロードできることが多い)
- 請求者の本人確認書類のコピー(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 手数料分の定額小為替(郵便局で購入。現金の同封は避ける)
- 返信用封筒(切手を貼り、宛先を記入したもの)
- 亡くなった方との続柄が分かる書類(請求者自身の戸籍謄本など)
請求書には「出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本一式」のように、必要な範囲を明記しておくと、役所側でまとめて用意してもらいやすくなります。手数料は通数によって変わるため、多めに定額小為替を同封し、余った分は返送してもらう自治体が多いです。
⚠️ ここに注意
郵送請求は、役所に書類が届いてから発送までに1週間〜10日程度かかることが多く、転籍が多い方の場合は複数の役所を経由するため、さらに時間がかかります。銀行や法務局の提出期限がある場合は、余裕を持って早めに請求を始めましょう。手数料・所要日数は自治体により異なります(2026年9月時点)。
何通いるか|法定相続情報一覧図を作れば原本の出し直しが減る
銀行の預金解約、法務局での相続登記、相続税の申告、保険会社への請求など、戸籍一式を提出する場面は複数あります。提出のたびに原本を集め直すのは大変なため、法務局で無料の「法定相続情報一覧図」の認証を受けておくと、提出先ごとに一覧図の写しを何通でも受け取れ、原本を何度も出す必要がなくなります。作り方の手順は法定相続情報一覧図の作り方で解説しています。
戸籍を読むときによく迷うポイント
古い手書きの戸籍は、くずし字に近い書体で書かれていることがあり、読み取りに慣れていないと本籍地や続柄の記載を誤って読んでしまうことがあります。特に「除籍」と「改製原戸籍」を取り違えると、必要な範囲を取りこぼしたまま提出してしまい、銀行や法務局から「まだ足りません」と差し戻されることがあります。不安な場合は、役所の窓口で「この戸籍のつながりで、出生から死亡まで揃っているか」を職員に確認してもらうのが確実です。多くの自治体では、この場での確認に対応してくれます。
また、結婚や離婚、養子縁組などで戸籍の筆頭者や本籍地が変わっていると、1つの戸籍だけでは追いきれず、複数の市区町村にまたがって請求することになります。特に本籍を何度も移している方の場合は、想定より通数が増え、取り寄せに時間がかかることを見込んでおくと安心です。
費用の目安
| 書類 | 手数料(1通) |
|---|---|
| 戸籍謄本(全部事項証明) | 450円 |
| 除籍謄本 | 750円 |
| 改製原戸籍謄本 | 750円 |
| 戸籍の附票 | 約300円(市区町村により異なる) |
(手数料は戸籍法手数料令にもとづく全国共通額。附票は自治体により異なる。2026年9月時点/法務省・自治体公式案内をもとに整理)
転籍の回数が多いほど通数が増え、合計の手数料も上がります。目安として、本籍を一度も移していない方であれば2〜3通、転籍が複数回ある方は5通以上になることも珍しくありません。
相続の手続きで本籍を調べている方へ:集める戸籍の範囲
戸籍の種類が分かったら、次は誰の戸籍をどこまで集める必要があるかを確認しましょう。相続人が誰かによって範囲が変わります。
戸籍が何通になるかで、自分で進められるかどうかの見当がつきます。目安は相続手続き、自分でできる人・できない人|戸籍の枚数で決まる判定表にまとめています。本籍地以外の窓口でまとめて請求できる広域交付の詳しい条件は戸籍の広域交付の使い方をご覧ください。
あわせて読みたい
- 戸籍の広域交付の使い方|取れないケースと代わりの方法
- 法定相続情報一覧図の作り方|法務局への申出手順
- 本籍の調べ方|今すぐ確認する4つの方法
- 亡くなった親の本籍がわからないときの調べ方
- 相続手続き、自分でできる人・できない人|戸籍の枚数で決まる判定表
※本記事は2026年9月時点の法令・法務省および各自治体の公開情報にもとづく一般的な整理です。手数料・所要日数は市区町村により異なります。個別の相続手続きの判断は司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。