相続登記や保険金の請求を進めていて、「亡くなった方の登記簿上の住所と、最後の住所のつながりが確認できません」と言われて困っていませんか。多くの場合は住民票の除票(亡くなった方の住民票)で解決しますが、住所を何度も変えていたり、除票の保存期間が過ぎて廃棄されていたりすると、除票だけでは証明できません。
そこで登場するのが「戸籍の附票」です。聞き慣れない書類ですが、内容はシンプルで、取り方も戸籍謄本とほとんど変わりません。この記事では、附票がどういう書類か、除票との違い、どこで取れるか、相続登記でどう使うかを順番に説明します。
先に結論:附票は「本籍地」で取る住所の履歴
住所のつながりを証明する書類の選び方
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まず住民票の除票
最後の住所地の役所で請求
⚠️
除票で足りない場合
住所履歴が複数回・除票が保存期間切れ
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戸籍の附票を取る
本籍地の役所で請求。広域交付は対象外
附票=本籍地管理の住所履歴
(本籍地の市区町村役場で戸籍謄本と一緒に請求できる。2026年9月時点)
戸籍の附票とは、その戸籍に入っている(入っていた)人の住所の履歴を、本籍地の市区町村が戸籍とセットで管理している書類です。住民票の除票は「最後の住所地」の役所にしかありませんが、附票は本籍地に一本化されているため、本籍が変わっていない限り、引っ越しを何度繰り返していても住所の変遷が1通で確認できます。相続登記の際に法務局から住所のつながりを求められたときは、まず除票を確認し、それで足りなければ附票を請求する、という順番で進めるのが効率的です。
住民票の除票との違い:保存期間が延びた2019年改正
住民票の除票(住民票が抜けた記録)と戸籍の附票の除票(本籍から除かれた後の住所履歴)は、いずれも2019年(令和元年)6月20日施行の住民基本台帳法施行令の改正で、保存期間が5年から150年に延長されました。事実上、期間切れで廃棄される心配はほぼなくなったといえます。
ただし、この改正は施行日時点でまだ保存期間内だった記録が対象です。改正前の5年ルールのもとで、施行日より前にすでに廃棄されてしまった除票・附票の除票は、延長の対象外のため取り戻せません。古い相続(数次相続や、亡くなってから時間が経っている案件)では、除票も附票も「廃棄済み」と言われることがある点は知っておく必要があります。
附票はどこで、誰が取れるか
請求先は「本籍地」の市区町村役場
戸籍の附票は、戸籍謄本と同じく本籍地の市区町村役場(戸籍を管理する部署)でしか取得できません。住んでいる場所ではなく、亡くなった方の本籍地がどこかを先に確認しておく必要があります。本籍が分からない場合は、住民票の除票(本籍記載あり)で確認できます。
請求できる人
相続手続きで請求する場合は、相続人であることが分かる戸籍謄本などを添えて、相続人本人が請求できます。窓口では本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)の提示が必要です。委任状があれば、司法書士など専門家への依頼や、家族間での代理請求も可能です。
窓口に行けない場合は郵送請求
本籍地が遠方の場合は、郵送でも請求できます。申請書(本籍地役場のサイトからダウンロード)、本人確認書類のコピー、返信用封筒、手数料分の定額小為替を同封して送ります。到着から発送まで1週間から10日程度が目安です。急ぐ場合は、事前に役所へ電話し、必要書類に不足がないか確認してから送ると差し戻しを防げます。
⚠️ 附票は広域交付の対象外
2024年3月開始の戸籍の広域交付は、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本が対象で、戸籍の附票は対象に含まれていません。最寄りの役所でまとめて取りたい戸籍がある場合と、附票を取る場合とでは請求先が分かれる点に注意してください。
相続登記で附票が必要になる場面
不動産の相続登記では、登記簿(登記記録)に記載されている所有者の住所と、亡くなった方の最後の住所を一致させる必要があります。転居していたり、登記後に住所変更の登記をしていなかったりすると、住所が一致しないまま相続登記の申請を行うことになり、法務局から「住所のつながりを証明する書類」を求められます。
通常はまず住民票の除票(本籍記載あり)で対応しますが、除票がすでに廃棄されている場合や、除票の記載だけでは登記簿上の住所までさかのぼれない場合に、戸籍の附票(除票を含む)を追加で取得し、住所の変遷をつなげます。附票には本籍地に戸籍が置かれていた期間の住所異動がすべて記録されているため、除票よりも長い期間をカバーできることがあります。
なお相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が義務づけられ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。2024年4月1日より前に発生した相続については、2027年3月31日までが期限です。住所のつながりで止まっている案件ほど、必要書類の見立てを早めにつけておくと期限に間に合います。
附票でもつながらないときの代替手段
除票も附票の除票もすでに廃棄されていて、住所のつながりを書類で証明できないケースもあります。この場合、法務局の実務では「上申書」(相続人全員が、登記簿上の人物と亡くなった方が同一人物であることを申述する書面)や、権利証(登記済証・登記識別情報)の提示、不在籍証明書・不在住証明書の添付などで対応することがあります。
ただし、どの書類の組み合わせで登記が通るかは法務局や案件ごとの判断が入るため、断定はできません。除票・附票のいずれも取得できないと分かった時点で、早めに司法書士に相談し、必要な書類の見立てをしてもらうことをおすすめします。
戸籍の附票を取るときの費用
| 書類 | 手数料の目安 |
|---|---|
| 戸籍の附票の写し(現在の附票) | 1通300円程度 |
| 戸籍の附票の除票の写し | 1通300円程度 |
| 住民票の除票の写し | 1通300円程度 |
| 戸籍謄本(全部事項証明) | 1通450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 1通750円 |
(金額は市区町村により異なります。戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本は戸籍法手数料令にもとづく全国一律額。附票・住民票除票は自治体条例によるため目安です。2026年9月時点)
相続の手続きで戸籍を調べている方へ:集める戸籍の範囲
附票と合わせて、亡くなった方の戸籍も出生から死亡までさかのぼって集める必要があります。誰の戸籍をどこまで集めるかは、相続人が誰かによって変わります。
附票と合わせて戸籍が何通必要になるかで、司法書士に頼むかどうかの見当がつきます。判断の目安は相続手続き、自分でできる人・できない人|戸籍の枚数で決まる判定表にまとめています。本籍そのものが分からない方は本籍の調べ方から確認してください。
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※本記事は2026年9月時点の法令・自治体および法務局の公開情報にもとづく一般的な整理です。手数料・必要書類・所要日数は市区町村・法務局により異なります。個別の登記の判断は司法書士にご確認ください。