戸籍謄本と戸籍抄本の違い|全部事項・個人事項証明書と用途別の早見表

パスポートの案内には「戸籍謄本」、年金の案内には「戸籍抄本」と書いてある。役所の窓口に行くと、申請書には「全部事項証明書」「個人事項証明書」という言葉が並んでいる。同じ戸籍の話なのに、自分は何を取ればよいのか迷う場面です。

この記事では、謄本と抄本の違い、新しい呼び方との関係、使う場面ごとにどちらを取るかを一覧にしました。取り方の手順は本籍の調べ方、発行から何か月以内かという話は戸籍謄本の有効期限、人に頼んで取る方法は代理人が取る場合にまとめています。

目次

先に結論:謄本は「戸籍の全員分」、抄本は「ひとり分」

この記事の結論

  1. 謄本は戸籍に載っている全員、抄本は載っている人のうち必要な人だけの記録です。手数料はどちらも1通450円が標準です(世田谷区・名古屋市の案内)。
  2. 「全部事項証明書」は謄本、「個人事項証明書」は抄本と同じものです。戸籍をコンピュータで管理している市区町村が使う名前で、中身が変わるわけではありません。
  3. 提出先が「謄本」と書いていれば全部事項証明書を取ります。パスポートの新規申請、相続の手続き、家庭裁判所への申立てなどは、謄本が基本です。

戸籍謄本と戸籍抄本の違い

戸籍には、夫婦とその子どもが一緒に記録されています。この記録を証明書として写したものが謄本や抄本で、どこまで写すかによって名前が分かれます。

謄本・抄本・一部事項証明書の違い

呼び名写す範囲手数料の目安(1通)
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)戸籍に載っている全員(亡くなった人や、結婚などで抜けた人も含む)450円
戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)戸籍に載っている人のうち、必要な人だけ(複数人でもよい)450円
戸籍一部事項証明書証明を求められた事項だけ450円
除籍・改製原戸籍の謄本・抄本全員が抜けた古い戸籍、作り直される前の古い戸籍750円
手数料は標準的な額で、最終的には市区町村の条例で決まります。2026年10月時点。世田谷区・名古屋市の案内にもとづきます。

たとえば、父・母・長男の3人が載っている戸籍なら、謄本には3人分が、長男の抄本には長男の記録だけが載ります。謄本には、提出先に関係のない家族の情報も入ります。その人ひとりの記載が確認できれば足りる場面では、抄本のほうが家族の情報を出さずに済みます。

「全部事項証明書」「個人事項証明書」は新しい呼び方

戸籍をコンピュータで管理するようになった市区町村では、謄本を「戸籍全部事項証明書」、抄本を「戸籍個人事項証明書」と呼びます(名古屋市・世田谷区の案内)。名古屋市は、電算化に合わせて名前が変わっただけで手数料は変わらないと案内しています。申請書には、従来の「謄本」「抄本」の名前が併記されていることもあります。

電算化の前の紙の戸籍は、「改製原戸籍」として保存されています。名古屋市の場合、証明書は「平成改製原戸籍謄(抄)本」という名前で、1通750円です。古い戸籍を集める場面は除籍謄本・改製原戸籍の取り方で説明しています。

提出先の案内に「戸籍謄本」と書いてあっても、窓口では「戸籍全部事項証明書」を請求すれば足ります。逆に「個人事項証明書」と書いてあれば、抄本のことです。

用途別の早見表:どちらを取るか

提出先の公式な案内で確認できたものを、使う場面ごとに並べました。ここで扱うのは「謄本か抄本か」だけです。発行から何か月以内のものが必要かは、戸籍謄本の有効期限のほうに書いています。

使う場面ごとの戸籍の取り方

使う場面取るもの提出先の案内
パスポートの新規申請(初めて、期限切れ後)戸籍謄本(全部事項証明書)の原本外務省の案内。切替申請は、名前や本籍など戸籍上の記載に変更があるときだけ必要。オンライン申請は戸籍電子証明書の連携で原本の提出を省略できる
婚姻届など戸籍の届出原則として不要2024年3月から、届出先が本籍地以外でも戸籍証明書の添付は原則不要(法務省)
相続の手続き(亡くなった方の分)出生から死亡まで連続した戸籍謄本など法務局の相続登記の案内。除籍や改製原戸籍も含めて集める
相続の手続き(相続人の分)相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本法務局の案内。被相続人が亡くなった後に発行されたもの
相続放棄申述人(放棄する人)の戸籍謄本裁判所の案内。亡くなった方の分は、申述人の立場で変わる
相続税の申告被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本国税庁の案内
遺族年金の請求戸籍謄本日本年金機構の案内。戸籍抄本、戸籍記載事項証明書も並んで書かれている
成年後見の申立て本人の戸籍謄本(全部事項証明書)裁判所の案内
2026年10月時点。同じ手続きでも窓口や裁判所によって指示が変わることがあるため、取る前に提出先で確認してください。

相続の手続きでは、戸籍が何通になるかで自分で進められるかどうかの見当がつきます。目安は相続手続き、自分でできる人・できない人にまとめています。

謄本が必要な場面、抄本でよい場面

謄本が求められやすいのは、家族のつながりを確かめる場面です。相続のように「相続人が誰か」を確認する手続きは、戸籍に載っている人を全員確認する必要があるため、謄本が基本になります。表の相続税の申告も「全ての相続人を明らかにする」ものとされています。

抄本で足りるのは、特定の人ひとりの氏名や生年月日、本籍を確認できればよい場面です。提出先が「抄本で可」と書いていれば、他の家族の情報を出さずに済みます。

迷ったときは、提出先に「謄本でも抄本でもよいか」を聞いてから取るのが確実です。謄本には抄本に当たる内容が含まれますが、受け付けるかどうかを決めるのは提出先です。

抄本は広域交付で取れません

本籍地以外の窓口でも請求できる「広域交付」(2024年3月開始)では、個人事項証明書(抄本)と一部事項証明書は請求できません(法務省)。抄本が必要なときは、本籍地の市区町村に窓口か郵送で請求します。広域交付は郵送や代理人による請求もできません。

取り方と手数料の早見表

方法取れるもの気をつけること
本籍地の窓口謄本、抄本、一部事項証明書、除籍など本人確認書類が必要。開庁時間は市区町村で決まっている
本籍地への郵送同上申請書、本人確認書類の写し、手数料の定額小為替、返信用封筒を同封。到着まで1週間から10日が目安(世田谷区の案内)
最寄りの窓口(広域交付)戸籍謄本(全部事項証明書)など抄本と一部事項証明書は不可。郵送・代理人は不可。コンピュータ化前の一部の戸籍も不可(法務省)
2026年10月時点。手数料の目安は上の表のとおり。附票の写しは1通300円の例があります(世田谷区)。

窓口に行く時間がないときの考え方は、戸籍の広域交付の使い方とコンビニで取れるかの記事に詳しく書いています。

よくある質問

Q. 抄本を求められたのに、謄本を出してもよいですか。

謄本には抄本にあたる内容が含まれますが、受け付けるかどうかは提出先の判断です。同じ戸籍の他の人の情報も載る点も含めて、窓口や電話で確認してから取ると、取り直しを避けられます。

Q. 全部事項証明書と謄本で、手数料は違いますか。

違いません。名古屋市では、電算化で名前が「戸籍全部事項証明書」に変わりましたが、手数料は同じ450円と案内されています。

Q. 戸籍謄本と住民票の写しは、同じ書類ですか。

別の書類です。住民票は住所の記録、戸籍は本籍や家族関係の記録です。本籍を調べるときは、住民票の写しを「本籍記載あり」で請求する方法もあります。詳しくは本籍の調べ方をご覧ください。

Q. 本籍地が遠くて行けません。謄本はどうやって取りますか。

本籍地の市区町村に郵送で請求できます。窓口に行く時間がなく、家族や知人に取りに行ってもらう場合は、委任状が必要になることがあります。誰が委任状なしで請求できるかは戸籍謄本を代理人が取る方法で説明しています。

あわせて読みたい

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の一般的な情報の整理です。必要な戸籍の種類や手数料は、提出先と市区町村によって異なります。個別の手続きの判断は、提出先や専門家にご確認ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

親の預金・保険、元気なうちに決めておくこと。30分無料で相談できます052-766-5650無料相談を申し込む
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「いまから相続」は、株式会社アシストプラスが運営する、相続の手続き・生前対策・終活に関する情報サイトです。愛知県内の相続相談先の選び方や費用相場、金融機関ごとの手続き、生前対策や終活の進め方など、地域の実情に即した実践的な情報をお届けしています。 なお、運営会社である株式会社アシストプラスには、「あいち相続あんしんセンター」代表を務める司法書士 今井裕司が一部出資しております。この関係性を踏まえ、記事内でのご紹介・ご案内は公平性を保つよう努めています。

目次