戸籍謄本を代理人が取る方法|委任状の書き方と記載例・取れないケース

平日は仕事で役所に行けない。遠方に住む親の戸籍謄本が必要になった。こうしたとき、家族や知人に取りに行ってもらえるのか、委任状には何を書けばよいのか、と迷う人は多いはずです。

この記事では、戸籍謄本を請求できる人の範囲、代理人が必要なもの、委任状の書き方と記載例、取れないケースを整理しました。謄本と抄本のどちらを取るかは戸籍謄本と戸籍抄本の違い、発行から何か月以内のものが必要かは戸籍謄本の有効期限をご覧ください。

目次

先に結論:委任状がいるのは「請求できる人以外」が行くとき

この記事の結論

  1. 戸籍に載っている本人、配偶者、父母・祖父母、子・孫は、自分の資格で請求できます。窓口に行く人がこの範囲の人なら、委任状は要りません。本人確認書類は必要です。
  2. それ以外の人が頼まれて取りに行くときは、請求できる人が作った委任状と、窓口に行く人の本人確認書類が要ります。
  3. 最寄りの窓口で取る広域交付は、郵送も代理人も使えません。兄弟姉妹などの戸籍は、請求の理由が必要です。

戸籍謄本を請求できる人

戸籍法で、戸籍の証明書を請求できる人は決まっています。法務省の案内では、次のように分かれています。

戸籍謄本を請求できる人

区分誰が窓口で必要なもの
本人・配偶者・直系戸籍に載っている本人、配偶者、父母・祖父母(直系尊属)、子・孫(直系卑属)本人確認書類。自分の資格で請求するので、委任状は不要
上の人の代理人兄弟姉妹、親戚、知人など、上の人に頼まれた人請求できる人が作成した委任状と、代理人の本人確認書類
理由のある第三者自分の権利の行使や義務の履行に必要な人(例:相続人が兄弟姉妹の戸籍を請求)、国や地方公共団体に提出する人など請求書に理由を書く。代理人が行くときは、その人が作成した委任状
専門家弁護士、司法書士、行政書士、税理士など受任している事件や業務に必要な場合に請求できる
2026年10月時点。法務省「戸籍の窓口での本人確認が法律上のルールになりました」「戸籍ABC」にもとづきます。市区町村長は、請求が不当な目的によることが明らかな場合は拒むことができます。

「代理」になるのはどんなときか

窓口に来た人が請求できる範囲の本人なら、それは代理ではなく本人の請求です。たとえば、子が亡くなった親の戸籍を取る、夫が妻の戸籍を取る、孫が祖父母の戸籍を取る、といった場面です。名古屋市の窓口の案内でも、同一戸籍の人と直系尊属・直系卑属は委任状なしで申請できるとされています。

代理人になるのは、請求できる人に頼まれた別の人です。たとえば、父の戸籍謄本が必要な長男が忙しく、長男の妻が代わりに行くとします。妻は父の直系ではないので、長男が作った委任状を持って行きます。兄弟姉妹の戸籍を取る場合も、直系ではないため、原則として委任状が必要です(名古屋市の案内)。

会社の従業員が請求する場合は、法務省の案内によると、社員証の提示と代表者の資格を示す書面、または法人代表者が作った委任状と資格を示す書面のいずれかです。

代理人が取るときに必要なもの

窓口と郵送で必要なもの

項目窓口で取る場合郵送で取る場合
申請書市区町村の様式を窓口で記入市区町村の郵送用の様式、または便せんなどに必要事項を書く(世田谷区の例)
委任状委任者が作ったもの委任者本人が書いた原本(世田谷区の例)
代理人の本人確認運転免許証、マイナンバーカードなど代理人の住所が書かれた本人確認書類の写し(世田谷区の例)。パスポートは認めない自治体もある
手数料戸籍謄本1通450円が標準郵便局で買う定額小為替を同封
返信用の封筒不要返信先の住所・氏名を書き、切手を貼る
受け取るまで窓口での交付が基本到着まで1週間から10日が目安(世田谷区の例)
2026年10月時点。必要なものは市区町村ごとに違います。郵送の定額小為替は、通数が分からないときは多めに入れると超えた分は返してもらえる自治体があります。

本人確認書類は、氏名と住所、または氏名と生年月日が確認できるものが必要です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、在留カードなど、1枚で足りる書類が法務省の案内に挙げられています。資格確認書のように、単独では足りず2枚以上の提示が必要とされる書類もあります。

委任状の書き方と記載例

委任状に全国共通の様式はありません。長野市の案内では、用紙や書式は問われないとされています。市区町村のサイトに様式がある場合は、それを使うと確実です。委任状は、頼む人(委任者)が自分で作ります。

書く項目

  • 委任状を作った日
  • 代理人(窓口に行く人)の住所・氏名・生年月日
  • 委任内容(戸籍の種類、通数、本籍と筆頭者)
  • 委任者(頼む人)の住所・氏名・生年月日、昼間に連絡がつく電話番号

記載例

委 任 状

令和 年 月 日

【代理人】住所:〇〇県〇〇市〇〇町1丁目2番3号 氏名:〇〇 〇〇 生年月日:昭和〇年〇月〇日

私は、上記の者を代理人と定め、次のことを委任します。

【委任内容】本籍:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地 筆頭者:〇〇 〇〇 の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)〇通の請求および受領

【提出先・使用目的】〇〇(例:金融機関への提出)

【委任者】住所:〇〇県〇〇市〇〇町4丁目5番6号 氏名(自署):〇〇 〇〇 生年月日:昭和〇年〇月〇日 電話番号(昼間):000-0000-0000

上の例は項目を示すための書き方の一例です。実際には、請求先の市区町村の指示に合わせてください。

気をつけること

  • 委任者本人が作る。代理人が代わりに書いた委任状は受け付けない自治体があります(長野市、さいたま市の案内)。
  • 押印の扱いは自治体で違う。法務省の「戸籍ABC」の回答は、委任状への押印は必須ではないとしています。長野市は、自署なら押印は要らないとしています。さいたま市は、自署または記名押印を求めています。
  • 通数を書く。長野市の案内では、通数の記載がないときは1通とみなされます。出生から死亡までの戸籍がほしいときは、その旨を書きます。
  • ボールペンで書く。長野市は、消せるペンや鉛筆を使わないよう案内しています。

取れないケースと注意点

取れない・断られやすいケース

ケース理由代わりの方法
広域交付を代理人や郵送で広域交付は郵送や代理人による請求ができない(法務省)本籍地の窓口で委任状を使うか、請求できる人が来庁する
請求の理由が説明できない第三者理由が確認できないと申請できない(世田谷区)。不当な目的が明らかなら拒まれる(法務省)相続人など自分の立場を示す。名古屋市は理由を示す資料の提出を求めている
委任状の不備コピーや、委任者本人が書いていないものは不可の自治体がある委任者が原本を作り直す
本人確認書類が足りない代理人の本人確認が法律上のルール(法務省)。郵送ではパスポートを認めない自治体もある免許証やマイナンバーカードなど、住所が分かる書類を用意する
コンピュータ化前の一部の戸籍広域交付の対象外(法務省)本籍地の市区町村に請求する
2026年10月時点。広域交付の対象外であっても、本籍地への請求はできます。

広域交付の使える範囲は戸籍の広域交付の使い方で、古い戸籍の請求は除籍謄本・改製原戸籍の取り方で詳しく説明しています。

自分で窓口に行けないときは、郵送で請求する方法もあります。専門家に任せる場合は、弁護士や司法書士、行政書士などが、受任した業務に必要な範囲で請求できます(法務省)。

よくある質問

Q. 委任状に押印は必要ですか。

法務省の「戸籍ABC」の回答は、押印は必須ではないとしています。ただし、自治体によって運用は違います。さいたま市のように自署または記名押印を求めるところもあります。書く前に、請求先の案内を見てください。

Q. 亡くなった親の戸籍を、子が相続のために取るときは委任状が要りますか。

子は直系卑属にあたるため、自分の資格で請求でき、委任状は要りません。窓口に行く人の本人確認書類は必要です。出生から死亡までの戸籍を集めるときは、除籍謄本・改製原戸籍の取り方もあわせて読んでください。

Q. 兄弟姉妹の戸籍を取りたいときは、どうすればよいですか。

兄弟姉妹は直系ではないため、請求の理由が必要です。法務省の案内では、相続人が兄弟姉妹の戸籍を請求するのは、自分の権利の行使に必要な場合の例とされています。請求書に理由を書き、必要に応じて資料を出します。

Q. 郵送で請求するとき、代理人の委任状は必要ですか。

本人が自分で郵送請求するなら不要です。本人に代わって任意代理人が請求するときは、委任状が必要になります(さいたま市の案内)。到着まで1週間から10日が目安なので、急ぐときは速達を使います。

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参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の一般的な情報の整理です。必要な書類や運用は、市区町村によって異なります。請求する前に、請求先の市区町村の案内をご確認ください。個別の手続きの判断は専門家にご相談ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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