古い戸籍の読み方|手書き・縦書きの改製原戸籍と除籍の見方

本籍地から届いた封筒を開けると、縦書きで手書きの紙が何枚も出てきた。見慣れない字が並び、どこに何が書いてあるのかわからない。亡くなった親の相続で、古い戸籍を初めて手にした方からよく聞く場面です。

全部の字を読む必要はありません。相続で戸籍を集めるときは、日付と、前の本籍へのつながりが読めれば先に進めます。この記事では、2026年10月8日時点の公的な案内にもとづいて、古い戸籍の種類、読みどころ、旧字やくずし字の扱い、続柄や事由の欄の見方、読めないときの相談先をまとめます。

この記事の結論

  1. 古い戸籍は、すべてを読もうとせず「つなぎ目」を見ます。新しい戸籍の作成日と、ひとつ前の戸籍の消除日が一致していれば、戸籍はつながっています。
  2. 見るところは、本籍と筆頭者、編製・改製・除籍などの日付、身分事項欄の「従前の戸籍」「入籍」「転籍」などの記載です。続柄の抜けや、養子縁組・認知の記載は、集める戸籍が増えるサインです。
  3. どうしても読めない字や、つながらない戸籍は、自分で決めつけずに、本籍地の窓口や法務局の登記相談、司法書士に確認してください。
目次

届いた戸籍はどの種類か

戸籍と呼ばれる書類には、いくつか種類があります。名前が似ているので、まず整理しておきます。

名前どんな戸籍か
戸籍謄本いま在籍している人がいる戸籍。電算化された横書きの「平成6年式」と、縦書きの「昭和23年式」がある
除籍謄本戸籍にいた全員が、結婚、死亡、転籍などで抜けた戸籍
改製原戸籍謄本法律の改正などで戸籍が作り替えられる前の戸籍。破棄されずに保管されている
昭和32年の改製旧法の戸籍から新法の戸籍へ作り替え。編製の単位が「家」から、夫婦とその氏を同じくする子に変わった
平成6年の改製戸籍のコンピュータ化。紙の戸籍が、電子データでの保管に変わった

仙台家庭裁判所の案内によると、改製のときには記載の一部が省略されることがあります。新しい戸籍にない情報が、改製原戸籍や除籍謄本に残っていることもあるため、相続の手続きでは改製原戸籍がほとんどの場合に必要です。姫路市も、原戸籍は「生まれてからの全ての身分事項が載っている戸籍」とは限らないと案内しています。

電算化がまだ済んでいない市区町村では、縦書きの昭和23年式の戸籍が、最新の戸籍になっています。同じ人の戸籍を請求しても、本籍地によって、横書きの活字で出てきたり、縦書きで出てきたりします。

まず見るところ:つなぎ目の探し方

相続では、亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの、連続した戸籍が求められます。連続しているかどうかは、日付で確かめられます。読む順番は次のとおりです。

  1. 本籍と筆頭者を読む。古い戸籍では、筆頭者にあたる人が「戸主」と書かれていることがあります
  2. 戸籍が作られた日(編製日)、作り替えられた日(改製日)、全員が抜けた日(除籍日)を探す
  3. 亡くなった方の身分事項欄で、「従前の戸籍」「入籍」「転籍」「改製」などの記載を探し、前の本籍地を読み取る
  4. 新しい戸籍の作成日と、ひとつ前の戸籍の消除日が一致するか確かめる

仙台家庭裁判所の案内の例では、改製日が平成11年1月17日の戸籍と、改製原戸籍の消除日が同じ日になっていれば、つながっているとわかります。編製や転籍の場合も、新しい戸籍の編製日・転籍日と、前の戸籍の除籍日が一致するかを見ます。前の戸籍の身分事項欄に「新戸籍編製による除籍」などの記載があれば、その日付を見ます。

この確認を、亡くなった方が生まれる前に作られた戸籍までくり返します。そこまでさかのぼれたら、出生から死亡までの戸籍がそろったことになります。読めない字があっても、日付にだけ注目すれば、つながりは確かめられます。

手書き・縦書きの読み方:数字、旧字、くずし字

年月日に出てくる、特別な漢数字

古い戸籍の日付には、ふつうの漢数字とは違う字が使われることがあります。仙台家庭裁判所の案内にある主なものは、次のとおりです。

書かれている字読み方・意味
壱・壹いち(1)
弐・貳に(2)
参・參さん(3)
拾じゅう(10)
廿にじゅう(20)
丗・卅さんじゅう(30)
朔ついたち(1日)

日付は、つなぎ目の確認に使う大事な情報です。「十」と「千」のように形の近い字で読み違えやすいため、前後の戸籍の日付と照らし合わせて確かめてください。

旧字体とくずし字:氏名の字が今と違うとき

手書きで作られた戸籍には、くずし字や、書いた人の癖のある字形が含まれています。箕面市の案内によると、戸籍をコンピュータで管理するときに、こうした字は社会一般に通用している文字(正字)に置き換えて記載されました。字形が正字になるのは証明書上の表示の扱いで、氏名そのものは変わりません。そのため、印鑑登録や不動産登記の名義を変える必要はないと案内されています。

改製原戸籍や除籍をコンピュータ化している市区町村もあります。箕面市は、2008年5月から、除籍と改製原戸籍をコンピュータ化して交付しています。この場合は、手書きの写しではなく、活字の証明書が出てきます。どちらの形で出てくるかは、本籍地で変わります。

現在の戸籍に旧字体や俗字で名前が書かれている場合は、申し出れば対応する新字体や正しい字に訂正できる市区町村もあります(豊川市の案内)。ただし、これは今の戸籍の話です。古い戸籍の字が今と違っていても、まずは読めた通りにメモして、提出先の窓口に確認してください。

続柄と事由の欄:読みとれること

戸籍には、家族の続柄(長男、二男など)と、戸籍の変動の事由(結婚、転籍、改製など)が書かれています。公的な案内で確かめられる記載の読み方を、表にまとめました。

出てくる記載読みとれること次にすること
除籍(名前の左に書く、または名前を×で消す)その人が、結婚、死亡などで戸籍から抜けた。記載は消されずに残る抜けた日付と理由を確認する
新戸籍編製による除籍新しい戸籍が作られて、この戸籍から抜けたその日付が、次の戸籍の編製日と一致するか確かめる
入籍(氏名欄の近く)婚姻や離婚で本籍が移った場合、前の本籍地が書かれているその前の本籍地に請求する
転籍本籍を別の場所に移した転籍前の本籍地に、除籍謄本を請求する
改製、改製日、改製事由戸籍が作り替えられた日と理由同じ本籍地に、改製原戸籍謄本を請求する。筆頭者が変わることもある
続柄の抜け(例:長男と三男はいるが二男がいない)二男は、すでにほかの戸籍へ移っているか、亡くなっている可能性があるいつ除籍されたかを調べ、相続人の範囲が決まるまで戸籍を集める
養子縁組、認知親子関係が増えた。新しい戸籍が作られていることがあるその人の戸籍もたどる

昭和23年式より前の古い戸籍は、戸籍事項欄と身分事項欄が分かれておらず、筆頭者(戸主)の身分事項の欄にまとめて書かれています。欄が分かれた今の戸籍とは見た目が違うので、日付の記載を拾って読む形になります。

戸籍に「戸主」「家督相続」という言葉が出てくることがあります。国税庁の資料によると、家督相続は「戸主の地位とその財産の相続」で、長子による単独相続でした。この制度は昭和22年(1947年)の憲法と民法の改正で廃止されています。古い戸籍に出てくる場合は、今の相続とは決まりが違った時代の記載です。誰がどのように相続するかの判断は、個別の事情で変わるため、専門家に確認してください。

読めない・つながらないときの進め方

手書きの字が読めない、どの戸籍を次に取ればいいかわからない。そのようなときは、次の順で進めてください。

  1. 読めた部分の日付と本籍地だけを、メモに書き出します。読めない字は、読めないままにして構いません
  2. 戸籍を出した市区町村の窓口に、戸籍がそろわない理由と、次にどこへ請求すればよいかを聞きます。東京法務局の相続登記ガイドブックでは、転籍などで一つの役所では全部そろわない場合、市区町村に理由と請求先の説明を求めるよう案内されています
  3. 戸籍が見つからないと言われたときは、「戸籍が滅失している」場合に、市区町村から告知書などの交付を受けられることがあります(東京法務局の相続登記ガイドブック)
  4. 相続登記が目的なら、法務局の登記相談を使います。たとえば名古屋法務局は、愛知県司法書士会と協力して、司法書士による無料の登記相談を予約制で行っています。名古屋法務局の案内ページでは、戸籍の読み方まで相談できるかは書かれていません。電話で予約するときに確認してください
  5. 登記の申請は司法書士の仕事です。戸籍の内容の確認も含めて、早めに相談する方法があります

戸籍の読み違いで手続きが止まるより、わからない時点で窓口に聞くほうが早く進みます。窓口に持っていくときは、戸籍そのものと、書き出したメモの両方があると話が通じやすくなります。

古い戸籍を請求するときの注意

古い戸籍を集めるときは、請求のしかたで通数が変わります。

  • 請求書には「亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍がすべて必要」と書きます。「除籍謄本を1通」とだけ指定すると、死亡時の戸籍しか出ません(高山市の案内)
  • 本籍がわからない場合は、亡くなった時の住所地で、本籍入りの住民票(除票)を取ります。本籍の調べ方は亡くなった親の本籍地がわからない時の調べ方をご覧ください
  • 手数料は、戸籍謄本が1通450円、除籍謄本と改製原戸籍謄本が1通750円の市区町村が複数あります(神戸市、千葉市、箕面市の案内)。金額は市区町村で違うため、請求先に確認してください
  • 戸籍の広域交付は、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍が対象外です。古い戸籍は、本籍地への請求が必要になることがあります。戸籍の広域交付の使い方で、取れるものと取れないものを整理しています

集めた戸籍を、複数の窓口に何度も出すのが大変なときは、法定相続情報一覧図の作り方も参考になります。除籍や改製原戸籍の取り方そのものは、除籍謄本・改製原戸籍の取り方にまとめています。

よくある質問

Q1 除籍謄本と改製原戸籍、どちらが必要ですか。

相続では、両方が必要になるのが一般的です。出生から死亡まで連続した戸籍をそろえるため、作り替えられた古い戸籍(改製原戸籍)も、全員が抜けた戸籍(除籍謄本)も集めることになります。請求するときは、種類を指定せず「出生から死亡までの連続した戸籍」と伝えるほうが漏れません。

Q2 戸籍の名前の字が、今の字と違っています。同じ人として扱われますか。

戸籍がコンピュータ化されると、旧字体やくずし字は正字に置き換えて記載されますが、氏名そのものは変わりません。ただし、提出先が字の違いをどう扱うかは、手続きごとに違います。窓口で戸籍を見せて確認するか、司法書士に相談してください。

Q3 戸籍は、どこまでさかのぼれば出生までそろったことになりますか。

亡くなった方が生まれる前に作られた戸籍まで、さかのぼれたときです。ただし、相続人に兄弟姉妹やおい・めいがいる場合などは、両親の戸籍も必要になります。集める範囲は本籍の調べ方の最後にもまとめています。

Q4 戸籍に「家督相続」と書いてあります。今の相続と同じですか。

同じではありません。家督相続は、昭和22年(1947年)に廃止された古い制度です。戸籍に記載があるのは、その時代に起きたできごとの記録です。今回の相続人が誰かは、現在の民法をもとに決まります。個別のケースは、司法書士など専門家にご確認ください。


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参考にした公的情報

  • 仙台家庭裁判所「相続関係手続における戸籍の入手方法Q&A」 https://www.courts.go.jp/sendai/vc-files/sendai/file/205002.pdf
  • 高山市「亡くなった方の『生まれてから亡くなるまでの戸籍』が必要な方へ」 https://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/000/378/sibou_koseki.pdf
  • 関市「改製原戸籍とは何ですか」 https://www.city.seki.lg.jp/faq/faq_detail.php?co=cat&frmId=6&frmCd=2-1-0-0-0
  • 箕面市「コンピュータ導入により戸籍証明書が変わりました」 https://www.city.minoh.lg.jp/simin/kosekigaitou/koseki/kosekijimu.html
  • 国税庁 税務大学校「相続税の解説書」(NETWORK租税史料) https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/network/159.htm
  • 東京法務局ほか「相続登記ガイドブック 相続登記の手続について(詳細編)」 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/content/001396088.pdf

※本記事は2026年10月8日時点の、裁判所・法務局・国税庁・市区町村の公開情報にもとづく一般的な情報です。戸籍の様式や記載のしかたは、時期と本籍地によって異なります。個別の戸籍の読み取りや、相続人の判断は、司法書士などの専門家にご確認ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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