年末年始の帰省で親とお金の話|切り出し方と聞いておく5つのこと【2026年】

12月30日の夕方、実家の居間。テレビでは年末の特番が流れていて、テーブルにはみかんと、届いたばかりの郵便物が数通。「今回こそ、お金のことを少し聞いておこう」と思って帰ってきたのに、言い出すきっかけがないまま、気づけば帰りの新幹線の時間になっている。

親とお金の話は、上手に切り出せないのが普通です。この記事では、2026年の年末年始に帰省する子世代の方に向けて、話しやすい場面の選び方、そのまま使える切り出し方の例文、初回に聞いておきたい5つのことと、あえて聞かなくてよいことをまとめます。

この記事の結論
1. 主語を「私」にして切り出す。「ちゃんとしておいて」ではなく「私が困らないように教えて」。
2. 初回に聞くのは「どこに何があるか」だけ。銀行名・定期の満期・保険の有無と受取人・かかりつけ医と介護の希望・いざというときの連絡先の5つ。
3. 暗証番号や金額の細かい話は、初回は聞かない。聞いた内容は1枚のメモにして、次に話す時期を決めて帰る。
目次

なぜ年末年始が、お金の話を切り出しやすい時期なのか

理由は大きく3つあります。

1つめは、時間です。お盆の帰省は短く慌ただしく終わりがちですが、年末年始は数日いられる方が多いはずです。初日は近況報告で終わっても、2日目、3日目に落ち着いて話せる時間が生まれます。

2つめは、きょうだいがそろいやすいことです。親から聞いた話を、自分だけが知っている状態は後で誤解を生みます。同じ場で聞ければ、それだけで公平です。

3つめは、お金にまつわる書類が届く時期と重なることです。年金を受け取っている人には、毎年1月に日本年金機構から「公的年金等の源泉徴収票」が届きます。2025年分は、2026年1月8日から15日にかけて順次送られました(日本年金機構の案内より)。確定申告に使う書類なので、去年の分を取ってある家もあるはずです。「年が明けたら年金の書類が来るね」という一言も、話の入り口になります。

保険に入っていれば、保険料の控除に使う証明書のはがきが、秋から年末にかけて保険会社から届くことが多くあります。こうした郵便物そのものが、どこに何があるかを知る手がかりになります。

時期実家で目に入りやすいものそこから聞けること
11月30日厚生労働省が定めた「人生会議の日」。医療やケアの希望を家族と考える日かかりつけ医、入院や介護が必要になったときの希望
秋〜年末保険会社からの保険料の証明書(はがき)どこの保険に入っているか、受取人は誰か
年末〜年始年賀状の束、来年の手帳やカレンダーいざというときに知らせたい親戚・友人、次に話す日
1月上旬〜中旬日本年金機構からの「公的年金等の源泉徴収票」年金がどこの銀行に振り込まれているか
通年銀行からの定期預金の満期のお知らせ定期がいつ満期になるか、自動で継続されているか
出典:日本年金機構「令和7年分公的年金等の源泉徴収票の送付について」、厚生労働省「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を『人生会議』に決定しました」(2026年10月時点)。2026年分の源泉徴収票の送付日は、例年12月下旬に日本年金機構から案内されます。

一方で、避けたほうがよい場面もあります。親戚が大勢集まる元日の食卓、お酒が入ったあと、帰る直前の玄関先。どれも「いま言わなくても」と受け流されやすい場面です。おすすめは、家族だけで少し手持ちぶさたになる時間、たとえば大掃除のあとのお茶の時間や、親と二人で買い物に出た車の中です。

切り出し方の例文:親を責めない「私が困らないように」型

親の側から見ると、子どもからお金のことを聞かれるのは、少し身構える出来事です。「財産を当てにしているのか」「もう年寄り扱いか」と受け取られてしまうと、その日はもう話が進みません。

コツは、主語を自分にすることです。「お父さんのため」ではなく「私が困らないように」。そして、最初から全部を聞こうとしないことです。次の3つの言い方を、家の雰囲気に合わせて使ってみてください。

パターン1:年末の用事から入る
「来年の手帳を買ったから、家族の連絡先を書き写させて。ついでに、何かあったとき私がどこに電話すればいいか分からないと困るから、使ってる銀行の名前だけ教えておいて」
パターン2:自分の話から入る
「私も50を過ぎたから、自分の口座や保険を紙に書き出してみたの。思ったより自分でも覚えてなくて。お母さんはどうしてる? どこかにまとめてある?」
パターン3:「もしものとき」を自分の困りごととして話す
「もし急に入院することになったら、病院の先生に何を伝えればいいのか、私は何も知らないなと思って。かかりつけの病院と、誰に連絡すればいいかだけ、聞いておいてもいい?」

どの言い方も、「教えて」で終わっています。親に何かを「してもらう」お願いではなく、自分が「知っておきたい」というお願いにすると、親は答える側に回れるので、話しやすくなります。

反対に、同じ内容でも言い方で受け取られ方が変わります。

言いがちな言葉言い換えの例
「そろそろ終活しないと」「私が困らないように、ひとつだけ教えて」
「貯金、いくらあるの?」「どこの銀行を使ってるの?」
「何かあってからじゃ遅いから」「元気なうちに、お母さんの希望を聞いておきたい」
「遺言は書いたの?」「大事な書類って、どこにしまってある?」

親子で話すきっかけになる台本や進め方は、無料で配っている家族会議キットにもまとめています。印刷して帰省の荷物に入れておくと、話の糸口に使えます。

初回に聞いておく5つのこと

初回の目標は、親の財産の全体像を知ることではありません。「何かあったときに、家族がどこに連絡すればいいか」が分かれば十分です。そのために必要なのは、次の5つです。

聞くこと聞き方の例分かると助かる場面
1. どこの銀行に口座があるか「年金はどこに入ってる?ほかに使ってる銀行はある?」入院費の支払い、亡くなったあとの手続き
2. 定期預金の満期「定期ってある?満期はいつごろ?自動で続く設定?」満期のたびに窓口へ行けるか、判断力が落ちたとき
3. 保険の有無と受取人「保険のはがき来てたね。受取人って誰になってる?」入院給付金の請求、亡くなったあとの請求
4. かかりつけ医と介護の希望「いつもの病院はどこ?介護が必要になったら、家と施設どっちがいい?」救急搬送、入院時の説明、介護の相談
5. いざというときの連絡先「何かあったら、誰に知らせてほしい?」入院・葬儀の連絡、近所の見守り

1. どこの銀行に口座があるか

聞くのは銀行名と支店名までです。年金の振込先、公共料金の引き落とし先、昔の勤め先で作った口座、JAやゆうちょ。本人も「そういえばあった」と思い出すことがよくあります。通帳を全部出してもらう必要はありません。

2. 定期預金の満期

定期預金は、満期のあと自動で続く設定になっていることが多い預金です。元気なうちは困りませんが、本人の判断力が落ちると、家族が代わりに解約や払い戻しをするのは簡単ではありません。銀行ごとに対応が分かれ、全国銀行協会がまとめた考え方も「一律の対応を求めるものではない」としています。

だからこそ「いつ満期か」「自動継続か」だけでも知っておくと、次の満期を家族で話すきっかけにできます。判断力が落ちたあとの預金の扱いは、定期預金は認知症になると解約できない?で詳しく整理しています。

3. 保険の有無と受取人

保険に入っているなら、保険会社の名前と、受取人が誰になっているかを聞きます。受取人が亡くなった配偶者のままになっている例は、珍しくありません。また、本人が入院給付金などを請求できない状態になったとき、家族が代わりに請求できるようにする「指定代理請求人」という届け出もあります。手元に保険がある家なら、指定代理請求人の決め方もあわせて確認しておくと安心です。

親自身が保険会社を覚えていなくても、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」で、加入の有無を調べられる場合があります。対象は、死亡や認知判断能力の低下などで手がかりがなくなった場合です。使い方は生命保険契約照会制度の使い方にまとめています。

4. かかりつけ医と介護の希望

お金の話ではないようで、実は一番お金の使い方に関わる話です。介護が必要になったとき、家で暮らしたいのか、施設も考えているのか。その希望によって、手元にどれくらいのお金を置いておくかが変わります。

厚生労働省は、医療やケアの希望を家族などと繰り返し話し合う取り組みを「人生会議」と呼び、11月30日を「人生会議の日」としています。一度で決める必要はなく、「繰り返し」話すものとされている点が大切です。今年は「いつもの病院」と「どこで暮らしたいか」だけ聞ければ、それで十分です。

5. いざというときの連絡先

入院や万一のとき、誰に知らせてほしいか。親のきょうだい、親しい友人、近所で頼りにしている人、ケアマネジャーがいればその名前。年賀状の束を一緒に見ながら聞くと、自然に話が進みます。

あわせて、子どもたちの携帯番号が親の電話にきちんと登録されているかも確かめておきましょう。子どもや警察官を名乗る電話への備えにもなります。最近の手口は高齢者を狙う詐欺の手口2026で紹介しています。

初回は聞かなくてよいこと

聞かないと決めておくことも、話をうまく進めるコツです。最初から踏み込みすぎると、親は「全部知られる」と感じて、次から話してくれなくなります。

  • 暗証番号:家族が番号を知っていても、それで代わりに手続きしてよいことにはなりません。家族が正式に手伝う方法(銀行の代理人カード、任意後見、家族信託など)は、別の機会に一緒に調べれば十分です。
  • 残高や金額の細かい数字:初回は「どこにあるか」だけ。金額を聞くと、きょうだいの間でも話が「分け方」に飛びやすくなります。
  • 遺言の中身や、誰に何を残すか:これは親が自分で考えて決めることです。子どもから聞き出すものではありません。
  • 通帳や証書の現物:「見せて」と言うより、「どこにしまってあるか」だけ聞くほうが、親は安心して答えられます。

親が自分から話し始めたときは、もちろん聞いてかまいません。ただ、聞いた数字をその場でメモに書くかどうかは、親に決めてもらいましょう。

話のあとにやること:メモの置き場所と、次に話す時期

話して終わりにすると、半年後には内容があいまいになります。帰る前に、次の3つだけやっておきましょう。

聞いたことを1枚の紙にする。親の字で書いてもらうのが一番です。金額を書かない形式のほうが、親も抵抗なく書けます。当社で配っているA4・1枚のわが家の安心メモは、銀行名・保険・かかりつけ医・連絡先を書き込める形にしてあります。

置き場所を親に決めてもらう。お薬手帳と同じ引き出し、電話の横の棚など、親が毎日目にする場所がよいでしょう。子どもが持ち帰るより、実家に置いておくほうが、いざというときに見つかります。スマホで写真を撮っておくかどうかも、親に確認してからにします。

次に話す時期を決める。来年のお盆、親の誕生日、聞いた定期の満期月など、具体的な日を一つ。来年のカレンダーや手帳に書いておくと、「次はこの話」とお互いに構えずにすみます。

帰ってきたら、来られなかったきょうだいにも「銀行は○○と△△、保険は××、メモは電話の横の棚」と、聞いた範囲を共有しておきます。自分だけが知っている状態を作らないことが、あとで家族がもめないための一番の備えです。

話してみて「認知症になったら、このお金はどうなるんだろう」と気になったら、認知症になる前に家族で決めておくことが次の一歩の参考になります。

今日できる一歩

1. 帰省の日程を決めたら、「話すならこの日のこの時間」と1つだけ場面を決めておく。

2. 上の3つの例文から、自分の家で言えそうなものを1つ選び、言いやすい言葉に直しておく。

3. わが家の安心メモを印刷して、帰省の荷物に入れておく。

相談現場から|相談員メモ

よく伺うのは、「毎年聞こうと思っていたのに、結局言い出せずに帰ってきた」というお話です。もう一つ多いのが、口座の数を聞いてみて初めて、親ご本人もいくつあるか覚えていなかったと分かる場面です。うまく聞けなかった年があっても、それで遅いということはありません。銀行の名前が一つ分かっただけでも、次に話すときの足がかりになります。

聞いた話をもとに、うちの場合はどうなるか知りたい方へ
帰省で聞けた銀行名や定期の満期、保険の受取人を持ってきていただければ、30分の無料相談で「今のままで困らないか」「元気なうちに決めておいたほうがよいことはあるか」を整理します。親子そろってのご相談も歓迎です。愛知県内は対面・ご自宅への訪問も可能、それ以外の地域はオンラインで対応します。
※相談中は折り返しのお電話になります。
LINEで書類の写真を送って相談する(返信は2営業日以内(土日祝を除く))

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参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の一般的な情報をもとにしています。書類の送付時期や金融機関・保険会社の取扱いは年や会社によって異なります。税金の扱いなど個別の判断は、提携の税理士など専門家にご確認ください。

本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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