遺品整理を自分でする手順【2026年】必要な道具・日数の目安とごみの出し方

業者に全部頼むと費用がかかる。親の物は、できれば自分たちの手で片付けたい。そう考えて遺品整理を自分で始める方は多いものの、何から手をつけ、何日くらい見ておけばよいのかで迷いがちです。

この記事では、遺品整理を自分で進める手順を、期限のあることの確認から、貴重品と書類の探索、仕分け、処分までの順にまとめます。必要な道具、日数の見積もり方、自治体のごみ出しルールの調べ方、業者に一部だけ頼む判断の目安も、2026年10月時点の公的な情報をもとに説明します。

目次

先に結論:期限のあることを確かめてから、探す→分ける→出すの順に進める

この記事の結論

  1. 最初に期限を確かめる:賃貸の部屋の退去日と、相続放棄をするかどうか(知った時から3か月)。放棄を考えているなら、片付けは最低限にとどめます。
  2. 捨てる前に探す:通帳・権利証・保険・年金の書類などを先に探し、1つの箱にまとめます。捨てる作業はそのあとです。
  3. ごみの出し方が日数を決める:自治体の収集日と粗大ごみの予約で、1日に出せる量は限られます。先に市区町村のルールを調べ、無理な分だけ業者に頼みます。

業者に頼んだ場合の費用や、費用を誰が払うかは遺品整理の費用は誰が払う?平均と安くする方法で整理しています。

遺品整理を自分で始める前に確かめる2つの期限

片付けに決まった期限はありません。ただし、片付けの進め方を左右する期限が2つあります。始める前に、この2つだけは確かめてください。

期限確かめること片付けへの影響
賃貸の部屋の退去契約書の解約予告の期間と、管理会社が求める明け渡しの日明け渡すまで家賃がかかる。日程から逆算して、自分でやる量を決める
相続放棄の検討(3か月)借金がありそうか。放棄するかどうかを相続人の間で話しているか放棄を考えているなら、価値のある物を捨てる・売る・持ち帰るのは控える
※相続放棄の期間は、自分が相続人になったと知った時から3か月です(民法915条)。2026年10月時点。

相続放棄を考えている場合、家具や家電をまとめて処分する、まだ使える物を売る、といった行為は、相続を受け入れたと見られるおそれがあります。戸締まりや、腐る食品の片付けなどは問題になりにくいとされています。線引きは相続放棄できないケース(遺品整理はバレる?)でくわしく説明しています。

電気・ガス・水道の止め方は、片付けの日程と合わせて決めます。作業中は照明や掃除機、水を使うので、止めるのは片付けが終わってからが便利です。連絡先と手順は電気・ガス・水道・NHKの名義変更と解約にまとめています。

遺品整理を自分でする手順(5ステップ)

1. 家族で「範囲・日程・分担」を決める

一人で始めると、あとで「あれを残してほしかった」と言われがちです。始める前に、相続人や近い家族に次の3つを伝えておきます。

  • どの部屋から、いつ作業するか
  • 残してほしい物、形見として欲しい物があれば、いつまでに知らせてほしいか
  • 粗大ごみの手数料や道具代など、かかったお金をどう精算するか

2. 捨てる前に、貴重品と書類を探す

最初の1日は「捨てない日」にします。通帳、印鑑、権利証、保険や年金の書類、借入の書類などを探し、見つけた物を1つの箱に入れていきます。何を残すかの一覧は遺品整理で捨ててはいけないものにまとめています。

探すときは、場所を決めて順に見ていくと見落としが減ります。タンスや机の引き出し、仏壇の引き出し、本棚の本の間、衣類のポケット、バッグの中、冷蔵庫の上、押入れの奥の箱などです。封をした遺言書が見つかったら、開けずにそのまま保管します。

3. 4つの箱で仕分ける

仕分けは「残す」「形見分けする」「売る・譲る」「処分する」の4つに分けます。迷う物のために「保留」の箱を1つ足すと、手が止まりにくくなります。保留の箱は、最後にまとめて家族と見直します。

箱入れる物の例次にすること
残す手続きに使う書類、家族が使う物持ち帰る人と保管場所を決める
形見分けする時計、愛用品、写真、手紙など誰に渡すかを家族で決めてから渡す
売る・譲る状態のよい家具、着物、貴金属、本価値が分からない物は、処分の前に見てもらう
処分する傷んだ衣類、日用品、紙類、壊れた家電自治体の分別に合わせてさらに分ける
保留その場で決められない物最終日にまとめて家族と見直す

写真やアルバムは量が多く、ここで手が止まりやすい物です。残す量の決め方やデータにする方法は家族写真・アルバムの整理のしかたを、服や着物は着なくなった服・着物の処分方法をご覧ください。形見分けや売却は、相続人どうしで話してから進めると、あとのもめごとを防げます。

4. 処分の方法ごとに出していく

処分する物は、出し方ごとにまとめます。ふだんのごみの日に出す物、粗大ごみとして予約する物、家電リサイクルに回す物、ごみ処理施設に自分で運ぶ物、買い取りや寄付に回す物、の5つです。出し方は次の章でくわしく説明します。

5. 掃除をして、引き渡しや戸締まりをする

物がなくなったら、床や水回りを掃除します。賃貸の場合は、管理会社の立ち会いで部屋の状態を確かめ、鍵を返します。持ち家で空き家になる場合は、戸締まり、郵便物の転送、ガスの元栓などを確かめておきます。

遺品整理に必要な道具

道具は、作業を始める前にまとめてそろえておくと、何度も買い出しに行かずにすみます。

道具使いみち
自治体の指定ごみ袋可燃・不燃など、分別ごとに多めに用意する
段ボール箱とガムテープ、油性ペン仕分けの箱づくりと、中身・持ち帰る人の書き込み
軍手・作業用手袋、マスクほこりや、割れた物でのけがを防ぐ
ひも・はさみ・カッター雑誌や新聞を束ねる、段ボールを切る
ドライバーなどの工具組み立て家具を分解して、運びやすくする
掃除道具ほうき、ぞうきん、掃除機。物を出したあとの掃除に使う
スマートフォン片付け前の部屋や、手放す思い出の品を写真に残す。家族への共有にも使う

日数の目安は「ごみを出せる回数」から考える

自分で遺品整理をする日数は、家の広さよりも、物の量と「ごみを出せる回数」で決まります。仕分けが1日で終わっても、可燃ごみの収集は週に決まった回数しかありません。粗大ごみも、申し込んでから収集日まで日数がかかります。

そこで、次の順で日数を見積もります。

  1. 通える日を書き出す:遠方なら週末だけ、など。実家に泊まれるかも考えます。
  2. 収集日を調べる:その地域の可燃・不燃・資源の収集曜日と、1回に出せる量の決まりを確かめます。
  3. 粗大ごみの予約日を先に取る:最初の作業日に大きな物を書き出し、すぐ申し込みます。
  4. 収まらない分を決める:通える日数と収集の回数で出しきれない量は、自己搬入か業者に回します。

計画の立て方の一例です。1日目は「探す日」として書類と貴重品を集め、粗大ごみを申し込む。2日目からは部屋ごとに仕分けし、収集日の前の日に袋をまとめる。最終日に保留の箱を家族と見直し、残りの出し方を決める。部屋数と物の量に合わせて、この流れを繰り返します。

自治体のごみ出しルールを先に調べる

ごみの分け方と出し方は、市区町村ごとに違います。実家のある市区町村のホームページで、「ごみの分け方・出し方」と「粗大ごみ」のページを先に確かめてください。ここでは名古屋市の案内を例に、よく出てくる物の扱いを整理します。

物出し方(名古屋市の例)ほかの市区町村で確かめること
家具・布団など大きな物粗大ごみ。インターネットか電話で申し込み、手数料は大きさや種類で250円〜2,500円。2026年10月からは、45リットルの指定袋に入らない物が粗大ごみの目安申し込み方法、手数料、1回に出せる数
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機市では収集しない。購入した店などに引き取りを頼むか、リサイクル料金を払って指定引取場所へ運ぶ全国共通(家電リサイクル法の対象4品目)
パソコン市では収集しない。メーカーの回収窓口に申し込む。小型の物は小型家電の回収ボックスも使える回収ボックスの場所と大きさの決まり
スプレー缶・カセットボンベ・ライター発火のおそれがある物として、ふつうのごみに混ぜない。中身を使い切って出す穴をあけるかどうか、出す日と袋
乾電池・充電式電池端子をテープで絶縁する。充電式電池をほかのごみに混ぜると発火の原因になる回収場所(店頭回収など)
一度に大量に出るごみ区の環境事業所で手続きをしてから、ごみ処理施設へ自分で運び込める自己搬入ができるか、手数料、受付時間
※名古屋市「粗大ごみの分け方・出し方について」、名古屋市のごみ・資源の案内冊子をもとに整理(2026年10月時点)。消火器やピアノ、農薬などは扱いが別になることが多いため、市区町村に確かめてください。

ごみの日の前日に大量の袋を出すと、近所の迷惑になることがあります。一度に出しきれない量は、自己搬入を使うか、収集日に分けて出します。

もう一つ気をつけたいのが、軽トラックで回る不用品回収や、チラシで「無料回収」をうたう業者です。家庭から出るごみを事業として運ぶには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です(廃棄物処理法7条1項)。古物商や産業廃棄物の許可だけでは、家庭のごみは運べません。頼むなら、市区町村の許可業者か、許可業者と組んでいる業者を選びます。

業者に一部だけ頼む判断の目安

自分で全部やりきる必要はありません。探す・分けるは家族で、運ぶ・出すは業者に、という分け方もできます。次のような場合は、その部分だけ頼むことを考えてみてください。

こんなとき頼む範囲の例
タンスや冷蔵庫を2階から下ろせない大型家具・家電の運び出しだけ
退去日までに収集日が足りない仕分け済みの処分品の回収だけ
遠方で通える日がほとんどない探す日だけ家族で行い、残りの作業を頼む
物置や庭、屋根裏に物が多い家の外まわりと高い場所の片付け
気持ちがつらく、手が動かない思い出の品の判断だけ残して、ほかを任せる

頼むときは、残す物を別の部屋に移してから見積もりを取ると、作業の範囲がはっきりし、費用も抑えやすくなります。見積書の見方や追加料金の確認点は遺品整理の費用は誰が払う?平均と安くする方法で説明しています。実家全体の片付けを親と一緒に進める場合は実家の片付けの進め方と費用の目安も参考になります。

自分で進めるときに気をつけたいこと

  • 重い物は無理に運ばない:タンスや冷蔵庫は、2人以上で運ぶか業者に任せます。階段での作業は特に注意します。
  • 持ち帰る前に家族に知らせる:価値のある物を一人の判断で持ち帰ると、相続人の間で説明が必要になります。何を誰が持ち帰ったかをメモしておきます。
  • 片付け前の様子を写真に残す:部屋ごとに写真を撮っておくと、あとで「あの物はどこへ」と聞かれたときに答えやすくなります。
  • つらいときは手を止めてよい:遺品整理には決まった期限がない場合も多く、急がなくてよい部分もあります。気持ちが沈むときの考え方は遺品整理がつらいときにまとめています。

片付けの途中で借金の書類や、名義が亡くなった方のままの不動産の書類が出てきたときは、そこで手を止めて相談してください。30分の無料相談で、書類を見ながら一緒に整理できます。愛知県内はご自宅への訪問もできます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。

今日できる一歩

実家のある市区町村のホームページで、ごみの収集曜日と粗大ごみの申し込み方法を調べる。あわせて、賃貸なら退去の期限を、借金が心配なら相続放棄をするかどうかを家族で確かめ、最初の作業日を「探す日」として予定に入れます。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

よくある質問

遺品整理は、自分でもできますか

できます。期限のあることを確かめ、貴重品と書類を探してから、仕分けと処分に進めば、家族だけでも片付けられます。大きな家具の運び出しなど、難しい部分だけを業者に頼む方法もあります。

自分で遺品整理をすると、何日くらいかかりますか

物の量と、通える日数、ごみの収集日の回数で大きく変わります。仕分けが早く終わっても、収集日や粗大ごみの予約で出せる量が限られるためです。最初に収集日と粗大ごみの予約日を確かめ、そこから逆算して計画を立てます。

何から始めればいいですか

まず、賃貸の退去日と、相続放棄をするかどうかを確かめます。そのうえで、最初の作業日は捨てずに、通帳や権利証、保険・年金の書類などを探して1つの箱にまとめる日にします。

相続放棄を考えています。自分で片付けてもいいですか

戸締まりや腐る食品の片付けなど、財産を守るための最低限のことは問題になりにくいとされています。一方で、家具や家電をまとめて処分する、まだ使える物を売る・持ち帰るといった行為は、相続を受け入れたと見られるおそれがあります。放棄するかを決めるまでは、最低限にとどめてください。

冷蔵庫やテレビは粗大ごみに出せますか

エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)は家電リサイクル法の対象で、粗大ごみには出せません。購入した店などに引き取りを頼むか、リサイクル料金を払って指定引取場所に運びます。パソコンはメーカーの回収窓口に申し込みます。

「無料で回収します」という車に頼んでも大丈夫ですか

家庭のごみを事業として運ぶには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。許可のない業者に渡すと、積み込んだ後に高い料金を求められるなどのトラブルにつながることがあります。頼む前に、市区町村の許可業者かどうかを確かめてください。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。ごみの分け方・出し方や手数料は市区町村ごとに異なり、変わることがあります。実家のある市区町村の最新の案内をご確認ください。相続放棄との関係など個別の判断は、司法書士・弁護士にご相談ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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