実家の仏壇を引き継げず、処分の方法と費用の目安、位牌の扱いを知りたい方に向けてまとめました。
この記事では、仏壇を処分する前に確かめること、閉眼供養(魂抜き)の考え方、処分の方法と費用の相場、位牌や仏具の扱い、頼む先を選ぶときの注意点を順に整理します。制度と自治体の手数料は国税庁・名古屋市・環境省の公式ページで、仏具店やお寺、業者に頼む場合の費用は複数の公開情報で、2026年11月時点で確かめた範囲を載せています。
処分の順番:中身を確かめ、お寺に相談してから方法を選ぶ
順番と費用の目安
- 順番:仏壇の中と引き出しを確かめる → 菩提寺(付き合いのあるお寺)に相談し、必要なら閉眼供養をしてもらう → 処分の方法を選ぶ、の順です。位牌は仏壇と別に行き先を決めます。
- 方法と費用:仏壇店・仏具店の引き取り(2万〜8万円ほど)、お寺での引き取り・お焚き上げ(1万〜10万円ほどと幅が大きい)、自治体の粗大ごみ(名古屋市は2,000円)、不用品回収・遺品整理業者への依頼の4つがあります。閉眼供養のお布施は1万〜3万円ほどが目安とされます。
- 注意:家庭から出るごみを運べる許可のない回収業者には頼まないでください。環境省と名古屋市は、産業廃棄物処理業や古物商の許可では家庭のごみは回収できないとして、無許可の業者を利用しないよう呼びかけています。
仏壇は「捨てる」より「役目を終える」と考える家が多い道具です。気持ちの整理と、ごみの出し方の決まりの両方を押さえると、家族で納得して進めやすくなります。
仏壇は誰が決める?相続の財産とは別の扱い
仏壇やお墓は、預金や家とは別の扱いです。民法897条は、系譜・祭具・墳墓(お墓)の所有権は、慣習に従って先祖の祭祀を主宰する人(祭祀承継者)が引き継ぐと定めています。亡くなった人が指定していればその人、慣習が明らかでなければ家庭裁判所が決めます。
つまり、仏壇をどうするかは、遺産分割の話し合いとは別に、仏壇を引き継ぐ人を中心に決めるものです。実際には、きょうだいや親族に「処分しようと思う」と相談してから進めると、あとで「勝手に捨てた」と言われずに済みます。
相続税の面では、国税庁は、墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝をしている物は相続税がかからないとしています。ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや、商品として持っているものは相続税がかかります。
処分する前に:仏壇の中と引き出しを確かめる
仏壇の引き出しや台の下は、家の大事なものの置き場になっていることがあります。処分を頼む前に、家族で中を一つずつ確かめてください。
ほかにも捨てる前に確かめたいものは遺品整理で捨ててはいけないものチェックリストにまとめています。
閉眼供養(魂抜き)は必要?お寺への相談の仕方
仏壇を手放す前に、お寺に読経をお願いする家が多くあります。一般に「閉眼供養」「魂抜き」と呼ばれますが、呼び方や考え方は宗派によって違い、こうした供養をしない宗派もあります。するかどうかは法律で決まっているものではないので、菩提寺があれば、まずお寺に「仏壇を処分したい」と相談するのが確実です。
- 菩提寺がある:電話で事情を話し、読経をしてもらうか、日程、お布施の目安を聞きます。位牌の預かりや供養を頼めるかも、このときに聞きます。
- 菩提寺がない・分からない:引き取りを頼む仏壇店や仏具店に、供養の手配ができるかを聞く方法があります。親族に、どのお寺とつながりがあったかを聞いてみるのも手がかりになります。
- お布施を包むとき:表書きや渡し方は、墓じまいのお布施(表書きの書き方)と同じ考え方で準備できます。
仏壇の処分方法4つと費用
処分の方法は4つあります。費用だけでなく、運び出しを誰がするか、供養も頼めるかで選ぶと決めやすくなります。
費用の相場(2026年11月時点で確かめた範囲)
お寺や業者の料金は公的な基準がなく、公開されている相場の解説も幅があります。複数の公開情報で重なる範囲を目安として並べました。実際の金額は、見積もりやお寺への相談で確かめてください。
| 費用 | 相場の目安 | 出典の種類 |
|---|---|---|
| 閉眼供養のお布施(菩提寺に頼む) | 1万〜3万円ほど。お寺に来てもらう場合は、別にお車代・御膳料をそれぞれ5,000円〜1万円ほど包むことがある | 処分・買取業者の解説記事 |
| 閉眼供養(僧侶の手配サービスに頼む) | 3.3万〜5.5万円ほど(宗派を指定すると加算がある例も) | 生活情報サイトが示した事業者2社の料金例 |
| 仏壇店・仏具店の引き取り | 2万〜8万円ほど(大きさや運び出しの手間で変わる) | 暮らしのサービス紹介サイト、処分業者の解説 |
| お寺での引き取り・お焚き上げ | 1万〜10万円ほど(お布施として包み、料金表がないことが多い) | 暮らしのサービス紹介サイト、処分業者の解説 |
| 不用品回収業者 | 8,000円〜4万円ほど(トラックの大きさや、一緒に出す量で変わる) | 暮らしのサービス紹介サイト、処分業者の解説 |
| 自治体の粗大ごみ | 名古屋市は1点2,000円。ほかの市区町村は数百円〜3,000円ほどで、大きさの区分も違う | 名古屋市の公式ページ/ほかの市区町村は生活情報サイトの例示 |
(名古屋市「粗大ごみの品目・手数料」、くらしのマーケットマガジン「仏壇の処分方法と費用」(2024年3月更新)、おいくら「仏壇の処分方法と費用相場」(2026年8月更新)、ファイナンシャルフィールド「仏壇を処分したいのですが、粗大ごみにそのまま出せますか?」(2025年9月更新)をもとに当社で整理。業者・お寺の金額は公開情報の幅で、地域や仏壇の大きさで変わります)
状態のよい金仏壇・唐木仏壇や家具調の仏壇は、買い取りの対象になる場合があるとする業者の解説もあります。ただ、中古の仏壇は買い手が少なく、買い取りは難しいとする解説も多いため、買い取りで費用が浮くことは期待しすぎず、引き取りの見積もりと並べて考えると安心です。買い取りの査定の前に、閉眼供養を済ませておくよう求められることがあります。
名古屋市の場合、粗大ごみはインターネットで24時間申し込め、新しい申し込みの締め切りは収集日の7日前です。手数料はキャッシュレス決済か、コンビニなどで買う手数料納付券で払い、収集日の朝8時までに指定の場所へ出します。ほかの市町村に実家がある場合は、その市町村のホームページで「粗大ごみ 仏壇」と調べると、手数料と出し方が分かります。
位牌・遺影・仏具はどうする?
仏壇を手放しても、位牌まで手放すとは限りません。家族の住まいに合わせて、次のような形があります。
- 位牌を自宅に置く:小さな仏壇や棚に移し、手を合わせる場所を残します。複数の位牌を、一つにまとめる方法を用意しているお寺や仏具店もあります。
- 位牌をお寺に預ける・供養してもらう:菩提寺で、位牌の預かりや供養を受けているかを聞きます。
- 遺影・写真:額は処分し、写真だけを残すと場所をとりません。データにして家族で分ける方法もあります。
- 仏具:金属やガラスは、市町村のごみの分け方に従います。金や骨とう的価値がありそうなものは、相続の財産になることがあるので、処分する前に家族で確かめます。
お墓も同じように閉じることを考えている場合は、仏壇と位牌の行き先を、お墓の遺骨の行き先とあわせて決めると、お寺への相談が一度で済みます。お墓の行き先は墓じまいの遺骨はどうする?で比べています。
頼む先を選ぶときの注意:許可のない回収業者
実家の片付けでは、「無料で回収します」というチラシや、街を回る回収車を見かけることがあります。環境省は、家庭のごみを回収できるのは市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か、市区町村から委託を受けた業者で、産業廃棄物処理業や古物商の許可では回収できないと説明しています。名古屋市も、市の許可のない回収業者に粗大ごみなどの処分を頼まないよう呼びかけています。
名古屋市は、「定額」をうたうコースを頼んだのに見積もりより高額な別料金を請求された、積み込んだあとに断るとキャンセル料を求められた、といった例を挙げています。環境省も、無許可の業者が回収したものの不法投棄や高額な請求の例を示しています。頼む前に、次の点を確かめてください。
- 見積もりを書面で出してもらえるか、キャンセル料がかかるか
- 引き取ったあとに、引き取り書や領収書を出してもらえるか
- 家庭のごみを運ぶ許可(市町村の一般廃棄物収集運搬の許可)があるか、または許可のある業者と組んでいるか
遺品整理業者の選び方と費用の考え方は遺品整理を自分でする手順と遺品整理の費用は誰が払う?で、実家全体の片付けの進め方は実家の片付けと実家じまいの費用の目安で説明しています。
片付けを始める前に
- 仏壇の引き出しと台の下を家族で確かめ、通帳・権利証・遺言書などを別の箱にまとめる
- 菩提寺に電話し、仏壇を手放したいこと、位牌をどうしたいかを相談する
- 実家のある市町村のホームページで、仏壇の粗大ごみの手数料と申し込み方法を調べる
仏壇の処分についてよくある質問
閉眼供養をせずに処分してもいいですか
閉眼供養は法律で決まっているものではありません。宗派によって考え方も違います。気持ちの区切りとしてお願いする家が多いので、迷うときは菩提寺に相談するか、引き取りを頼む仏壇店に供養の手配ができるかを聞いてください。
仏壇の処分の費用は誰が払いますか
法律に決まりはありません。仏壇を引き継いだ人が払う形のほか、きょうだいで分けることもあります。実家の片付け全体の費用とあわせて、誰がどれだけ出すかを先に話し、メモに残しておくとあとでもめにくくなります。
仏壇に相続税はかかりますか
国税庁は、日常礼拝をしている仏壇や仏具には相続税がかからないとしています。ただし、骨とう的価値があり投資の対象になるものや、商品として持っているものには相続税がかかります。個別の判断は税務署か税理士に確かめてください。
マンションに引っ越すので、小さな仏壇に替えたいです
古い仏壇の引き取りと、新しい仏壇の購入を同じ仏壇店に頼むと、運び出しと供養の手配を一度で済ませやすくなります。位牌をいくつ移すかで仏壇の大きさが変わるので、先に位牌の数を数えておきます。
仏壇を粗大ごみに出すとき、そのまま出していいですか
中のものをすべて出し、位牌や本尊は別にしてから出します。出し方の細かい決まり(受付番号を書いた用紙や納付券を貼るなど)は市町村で違うので、申し込みのときの案内に従ってください。
参考にした公的情報・公開資料
- e-Gov法令検索「民法」第897条(祭祀に関する権利の承継)
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 国税庁 タックスアンサー No.4108「相続税がかからない財産」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4108.htm - 名古屋市「粗大ごみの品目・手数料」
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/gomi/1012183/1035058/1012184/1012185.html - 名古屋市「粗大ごみの申し込み(インターネット・キャッシュレス決済)」
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/gomi/1012183/1035058/1012184/1046468/1046469.html - 環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」
https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html - 名古屋市「市の許可のない回収業者には粗大ごみなどの処分を頼まないで(不用品回収業者に注意!)」
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/gomi/1012183/1035058/1012184/1026025.html - くらしのマーケットマガジン「仏壇の処分方法と費用」(2024年3月更新)
https://curama.jp/magazine/597/ - おいくら「仏壇の処分方法と費用相場」(2026年8月更新)
https://oikura.jp/magazine/tips163/ - ファイナンシャルフィールド「仏壇を処分したいのですが、『粗大ごみ』にそのまま出せますか?」(2025年9月更新)
https://financial-field.com/living/entry-293492
※本記事は2026年11月時点の法令と、国税庁・環境省・自治体の公式サイト、仏具店や処分業者などの公開情報をもとにした一般的な情報です。閉眼供養などの作法は宗派やお寺によって異なります。粗大ごみの手数料と出し方は市町村ごとに違います。個別の税額や申告の判断は、税務署または税理士にご確認ください。
