遺言書の作成費用【2026年】自分で書く場合・公証役場・司法書士と行政書士

遺言書を作ろうと思ったとき、最初に気になるのが費用です。自分で書けばタダなのか、公証役場ではいくらかかるのか、司法書士や行政書士に頼むと何が増えるのか。

この記事では、遺言書の作成費用を「自分で書く」「法務局に預ける」「公証役場で作る」「専門家に頼む」の4つに分けて整理します。公証人の手数料は、2025年10月1日に改定された公証人手数料令の表で計算例をつけました。金額はすべて2026年10月時点で確認したものです。

目次

先に結論:自分で書けばほぼ0円、公正証書は数万円から

この記事の結論

  1. 自分で書く:用紙とペンと印鑑があれば、ほぼ0円です。法務局に預けると、手数料は1通3,900円です。
  2. 公証役場で作る:公証人の手数料は、渡す財産の額と人数で決まります。たとえば2,000万円を1人に渡すなら、手数料は39,000円に正本・謄本の代金が加わります。
  3. 専門家に頼む:司法書士・行政書士の報酬は事務所ごとに違います。料金に何が含まれるかを、見積もりで確かめてから決めます。
  4. 払う人:作るときの費用は、遺言を作る本人が払うのが基本です。

書き方そのものは、遺言書の簡単な書き方(手書き)で見本つきで説明しています。この記事は「いくらかかるか」に絞ります。

遺言書の費用を方法別に比べる(総額の目安)

費用は、作るときだけでなく、亡くなった後にもかかります。自宅に置いた手書きの遺言書は、家族が家庭裁判所で「検認」を受ける必要があるためです。両方を並べると、次のようになります。

作り方作るときの費用亡くなった後の費用
自分で書き、自宅で保管用紙・ペン代程度(ほぼ0円)検認の申立て:収入印紙800円と連絡用の郵便切手、戸籍をそろえる実費
自分で書き、法務局に預ける保管の手数料3,900円と、住民票の写しの手数料検認は不要。手続きに使う遺言書情報証明書が1通1,400円
公証役場で作る(自分で準備)公証人の手数料(財産の額と人数で決まる)、正本・謄本の代金、証人の謝礼(紹介を頼む場合)、書類の実費検認は不要
自分で書き、文案を専門家に頼む上の自筆の費用に、専門家の報酬(見積もりで確認)保管の方法によって上の2行と同じ
公証役場で作り、準備を専門家に頼む公証人の手数料などに、専門家の報酬(見積もりで確認)検認は不要
出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度 手数料」、裁判所「遺言書の検認」、公証人手数料令(いずれも2026年10月時点で確認)。住民票の写しや戸籍の手数料は、市区町村によって異なります。

表のとおり、いちばん安いのは自分で書く方法です。ただし自宅に置くと、家族が検認のために戸籍を集め、家庭裁判所に出向く手間が残ります。費用の差だけでなく、家族にどんな手間が残るかもあわせて比べてください。方式ごとの確実さの違いは公正証書遺言と自筆証書遺言の比較にまとめています。

遺言書を自分で作る場合:ほぼ0円、法務局に預けても3,900円

自分で書く遺言書(自筆証書遺言)は、本文・日付・氏名を手で書き、印鑑を押せば作れます(民法968条)。かかるのは用紙とペンの代金くらいで、役所に払うお金はありません。財産目録だけはパソコンで作れますが、各ページに署名と押印が要ります。

書いた遺言書は、法務局に預けることもできます。手数料は遺言書1通につき3,900円で、収入印紙で納めます。預けている年数で増えることはありません。申請のときは、本籍と筆頭者が載った住民票の写しが要るので、その手数料も少しかかります。

項目金額払う人
用紙・ペン・印鑑手持ちのもので可本人
法務局に預ける手数料1通3,900円(収入印紙)本人
預けた後に内容を変える(預け直し)撤回は無料、預け直しはまた3,900円本人
遺言書情報証明書(亡くなった後)1通1,400円請求する相続人など
検認の申立て(自宅保管の場合)遺言書1通につき収入印紙800円と郵便切手申し立てる相続人など
出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度 09 手数料」、裁判所「遺言書の検認」(2026年10月時点で確認)。郵便切手の額は家庭裁判所ごとに異なります。

法務局に預けるなら、用紙はA4で片面だけに書き、上5mm・下10mm・左20mm・右5mm以上の余白をあけます。余白に1文字でもはみ出すと、書き直しになります。予約や持ち物は自筆証書遺言の保管制度で順番に説明しています。

自分で書く方法の弱点は、お金ではなく形式です。日付の書き方や押印など、1か所の不備で遺言全体が使えなくなることがあります。法務局は様式を確認しますが、内容が有効かどうかまでは見てくれません。

公証役場の費用:公証人手数料の表と計算例

公証役場で作る公正証書遺言は、公証人の手数料がかかります。手数料は、遺言で渡す財産の額を受け取る人ごとに表にあてはめ、合計して決まります。表は2025年10月1日に改定されたものです。

受け取る人1人分の財産の額手数料
50万円以下3,000円
50万円超〜100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下13,000円
500万円超〜1,000万円以下20,000円
1,000万円超〜3,000万円以下26,000円
3,000万円超〜5,000万円以下33,000円
5,000万円超〜1億円以下49,000円
1億円超〜3億円以下49,000円に、5,000万円を超えるごとに15,000円を加算
3億円超〜10億円以下109,000円に、5,000万円を超えるごとに13,000円を加算
10億円超291,000円に、5,000万円を超えるごとに9,000円を加算
出典:公証人手数料令 第9条の表(令和7年政令第263号による改正後、2025年10月1日施行。2026年10月時点で確認)。

この合計に、次のものが加わります。

  • 遺言加算:財産の合計が1億円以下なら、13,000円が加わります。1億円を超えると加わりません。
  • 正本・謄本の代金:遺言書の写しを紙でもらうと、1枚300円です。
  • 枚数の加算:遺言書の枚数が一定(横書きは3枚)を超えると、超えた1枚ごとに300円が加わります。

計算例(正本・謄本の代金は別)

例1:自宅と預金で合計2,000万円を、妻1人に渡す
26,000円+遺言加算13,000円=39,000円

例2:自宅1,500万円を妻に、預金800万円を長男に渡す
妻の分26,000円+長男の分20,000円+遺言加算13,000円=59,000円

財産の合計が同じでも、受け取る人を分けると手数料は増えます。不動産の額をどう見るかは公証役場が決めるので、正確な金額は事前の相談で確かめます。

加算の細かい点や、もう少し多いケースの試算は公正証書遺言の費用・手数料はいくら?で詳しく説明しています。手数料は、作る当日に遺言を作る本人が公証役場で払うのが通常です。事前の相談は無料です(日本公証人連合会)。

証人2人の費用

公正証書遺言には証人が2人要ります。知人に頼むこともできますが、相続人になる予定の家族や財産を受け取る人、その配偶者などはなれません。頼める人がいないときは、公証役場に紹介してもらえます。紹介を頼むと謝礼がかかり、金額は公証役場によって違います。予約のときに金額を聞いておきます。

自宅や病院に来てもらう場合

体調などで公証役場に行けないときは、公証人に自宅や病院へ来てもらえます。この場合、病床で作ると手数料に5割が加わります。さらに公証人の日当が1日20,000円(4時間以内なら10,000円)と、交通費の実費がかかります。

書類をそろえる実費

本人の印鑑登録証明書、家族との関係が分かる戸籍謄本、不動産の固定資産評価証明書や登記事項証明書などを、事前にそろえます。どれも市区町村や法務局の手数料がかかります。必要な書類の一覧は公正証書遺言の必要書類と作成当日の流れにあります。

公証役場は全国どこでも使えます。愛知県内なら愛知県の公証役場一覧で場所と電話番号を確かめられます。春日井・小牧方面の方は春日井公証役場の予約方法と手数料も参考にしてください。

司法書士・行政書士に頼む場合の費用:報酬は事務所ごとに違う

司法書士や行政書士には、遺言書の文案づくりや、公正証書遺言の準備(書類の取り寄せ、公証役場との打ち合わせ、証人の手配)を頼めます。費用は「専門家の報酬」と「公証人の手数料などの実費」の2つに分かれます。

報酬は事務所ごとに料金表で決めていて、全国一律の決まった金額はありません。公的な団体の最新の統計で相場を確かめることもできなかったため、この記事では報酬の金額は載せていません。かわりに、見積もりで確かめる点を表にしました。同じ条件で2〜3か所に見積もりを頼むと、比べやすくなります。

見積もりで確かめる点なぜ確かめるか
報酬に含まれる作業文案だけか、書類の取り寄せや公証役場とのやり取りまで入るかで、総額が変わります
公証人の手数料が別か報酬とは別に、上の表の手数料がかかるのが通常です
証人の謝礼事務所の職員が証人になる場合、1人いくらかを確認します
財産の額や人数で増えるか財産が多い、不動産が多いと加算する料金表もあります
戸籍などの取り寄せ実費役所の手数料や郵送代が、報酬と別に請求されるかを確かめます
出張や打ち合わせの回数自宅や病院に来てもらう場合の費用と、打ち合わせが増えたときの扱い
遺言執行者を頼む場合亡くなった後の手続きを任せる報酬は、作成費用とは別です

相続人どうしで争いになりそうなときは、弁護士に相談します。遺言執行者を誰にするか、報酬をどう考えるかは遺言執行者は誰にする?で説明しています。

遺言書の費用は誰が払う?

作るときの費用は、遺言を作る本人が払うのが基本です。法務局の手数料も、公証人の手数料も、本人が手続きするときに納めます。子が費用を出して親の遺言づくりを手伝うこともありますが、誰がいくら出したかは記録しておくと、後でほかの家族に説明しやすくなります。

亡くなった後の費用は、手続きをする人がいったん払います。検認の申立てなら申し立てる相続人、遺言書情報証明書なら請求する人です。遺言の内容を実現する手続きの費用は、法律上、相続財産から出すことになっています。

費用で選ぶなら:3つの方法が向く人

方法向いている人
自分で書いて法務局に預ける(3,900円)財産が自宅と預金くらいで、分け方に迷いがない。相続人が少なく、関係も良い
公正証書遺言(数万円から)不動産が複数ある、相続人が多い、体力や判断力に不安が出る前に確実に残したい
専門家に依頼(報酬が加わる)前の結婚の子がいるなど家族構成が込み入っている、書類集めや公証役場とのやり取りを任せたい

費用をかければ安心、というわけではありません。財産と家族がシンプルなら、自分で書いて法務局に預ける方法で足りることが多くあります。逆に、書き方の不備で無効になるのが心配な場合や、遺留分(子などに法律で保障された最低限の取り分)が気になる分け方をしたい場合は、数万円の差より確実さを優先したほうが、家族の負担は小さくなります。

自分で書くか、公証役場にするか迷っている方へ
「自分で書いて無効にならないか心配」「家族構成が込み入っていて、どの方法が合うか分からない」。30分の無料相談で、財産と家族の状況から、どの作り方が合いそうかを一緒に整理します。当社は遺言書の作成や手続きの代行はしていません。文案づくりが必要な場合は、司法書士・弁護士などへの相談先をご案内します。愛知県内は来所・オンライン、県外はオンラインです。
お電話 052-766-5650(相談中は折り返しになります)

今日できる一歩

  1. 財産をざっと書き出し、「誰に、何を、いくらくらい」渡したいかをメモする。
  2. 公正証書を考えるなら、メモを見ながら上の表で手数料の目安を計算し、近くの公証役場に電話で概算を聞く(相談は無料)。

遺言以外の備え(親の預金や自宅のこと)もまとめて整理したい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

よくある質問

遺言書を自分で作れば、本当に費用は0円ですか

自宅で保管するなら、用紙とペン代くらいです。法務局に預けると3,900円かかります。ただし自宅保管の場合、亡くなった後に家族が検認を申し立てる費用(収入印紙800円と郵便切手など)と手間がかかります。

公証役場の手数料は、いつ払いますか

作成の当日に、公証役場で払うのが通常です。財産の内容と分け方を伝えれば、事前の相談の段階で概算を教えてもらえます。支払い方法は公証役場によって違うので、予約のときに確かめます。

司法書士と行政書士、どちらに頼むほうが安いですか

資格で決まるのではなく、事務所の料金表で決まります。報酬に含まれる作業と、公証人の手数料・証人の謝礼が別かどうかをそろえて、見積もりを比べてください。争いになりそうな場合は弁護士に相談します。

財産が1億円を超えると、遺言加算はどうなりますか

財産の合計が1億円を超える場合、13,000円の遺言加算はつきません。そのかわり、表の手数料そのものが財産の額に応じて上がります。

遺言を書き直すと、また費用がかかりますか

自宅で保管する手書きの遺言なら、書き直しても費用はほぼかかりません。法務局に預けている場合は、撤回は無料ですが、新しい遺言書を預けるとまた3,900円かかります。公正証書遺言を作り直す場合は、新しく作る分の手数料がかかります。

証人を頼める知り合いがいません

公証役場に紹介を頼めます。謝礼がかかり、金額は公証役場によって違うので、予約のときに確かめてください。相続人になる予定の家族や財産を受け取る人、その配偶者などは証人になれないため、頼む相手には注意が必要です。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の法令と公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。手数料や手続きは変わることがあります。作成の前に、公証役場・法務局・各専門家にご確認ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

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