「愛知県に公証役場っていくつあるんだろう」「うちの近くはどこだろう」。公正証書遺言を作ろうと決めて検索してみると、葵町・熱田・岡崎・豊田……と聞き慣れない地名が並び、どこに連絡すればいいのか分からなくなる方は少なくありません。自分の住んでいる市区町村の役場でなければいけないのか、それとも隣の市の役場でもいいのか——そんな初歩的な疑問でつまずいてしまうのは、もったいないことです。
📝 この記事の結論(30秒まとめ)
愛知県内には11箇所の公証役場があります(名古屋市内3箇所+岡崎・豊田・新城・春日井・一宮・半田・豊橋・西尾の8市)。
① 公証役場は住所地に関係なく、全国どこでも自由に選べます。愛知県内にお住まいでなくても利用できます。
② 選ぶ基準は「近さ」だけではありません。予約の取りやすさ、証人紹介や出張への対応も役場によって差があります。
③ 各役場ごとの詳しい注意点(落とし穴)は、この記事の一覧表から個別記事にリンクしています。
「とにかく近くの役場に行けばいい」と思われがちですが、本当に大事なのは所在地の近さそのものではなく、事前相談から作成当日までを安心して任せられるかどうかです。予約の取りやすさ、証人を紹介してもらえるか、体調によっては出張を頼めるか——こうした運用面は役場ごとに少しずつ異なります。だからこの記事では、愛知県内11役場の住所・電話・アクセスを一覧にした上で、選び方の考え方までまとめました。
愛知県内の公証役場は11箇所|住所・電話・アクセス一覧
愛知県内の公証役場は、名古屋市内の3箇所(葵町・熱田・名古屋駅前)と、岡崎・豊田・新城・春日井・一宮・半田・豊橋・西尾の8市にある計11箇所です。名称・住所・電話番号・最寄り駅からのアクセス目安を一覧にまとめました(手数料や必要書類など、各役場に共通する基本情報は後述します)。
いずれの役場も事前予約制で、繁忙期は数週間先まで埋まっていることもあります。名古屋市内の3役場(葵町・熱田・名古屋駅前)は同じ市内にありながら混雑状況や証人紹介の対応が少しずつ異なるため、名古屋の公証役場(葵町・熱田・名古屋駅前)で公正証書遺言を作るときに後悔しやすい7つの落とし穴で詳しく解説しています。住所・電話番号・手数料は変更されることがあるため、実際に連絡する前に必ず各役場の公式情報もあわせてご確認ください。
公証役場は住所地に関係なく、全国どこでも選べる
「自分が住んでいる市の役場でなければいけないのでは」と思い込んでいる方が多いのですが、これは誤解です。遺言の公正証書を作成する場合、公証役場の管轄は定められていません。住民票の住所や本籍地に関係なく、愛知県内はもちろん、県外の公証役場を選んでも問題ありません。
たとえば実家が愛知県内にあり、ご自身は県外にお住まいの場合でも、実家に近い役場・今お住まいの地域に近い役場のどちらを選んでも構いません。里帰りのついでに手続きを進める、逆に自分の生活圏で完結させる、といった選び方も可能です。
どの役場を選んでも、公正証書遺言そのものに共通する注意点は変わりません。特に遺留分・代償金・納税資金の3つは、遺言があっても解決しきれない論点として見落とされがちです。詳しくは公正証書遺言を作る前に知っておきたい4つの盲点|遺留分・代償金・納税にまとめています。
役場を選ぶときの3つの目安
住所地の制限がないとはいえ、無数にある選択肢からいきなり1つに絞るのも大変です。実際に多くの方が重視しているのは、次の3点です。
① アクセスのしやすさ
作成当日だけでなく、事前の打ち合わせで1〜2回は来所を求められることが一般的です。自宅・職場から通いやすい役場を選ぶと負担が小さくなります。
② 予約の取りやすさ
都市部の役場ほど混み合いやすく、繁忙期は数週間〜1ヶ月ほど先になることもあります。急ぎの場合は、複数の役場に同時に空き状況を問い合わせても失礼にはあたりません。
③ 証人紹介・出張への対応
証人を自分で用意できない場合や、体調面で来所が難しい場合の対応は役場によって差があります。次の章で詳しく解説します。
公証役場のない市町にお住まいの方は、隣接する役場を利用することになります。たとえば岡崎公証役場は幸田町から、豊田公証役場はみよし市からの利用も多く、公証人の出張サービスに対応している役場もあります。詳しいアクセスや出張の可否は各役場の個別記事で解説していますので、あわせてご確認ください。
公正証書遺言には証人2人以上の立ち会いが必要ですが、身近に頼める人がいない場合、多くの公証役場では証人を紹介してもらえます。ただし紹介される証人の属性(退職された公務員の方などが多いとされます)や、謝礼の金額の考え方は役場によって取り扱いが異なるとされており、全国一律の基準があるわけではありません。相場としては1人あたり6,000円〜1万円程度が目安とされていますが、財産額や役場の運用によって前後することもあります。証人を紹介してもらいたい場合は、予約の段階で希望する役場に対応の可否と金額の目安を確認しておくと、当日になって慌てずに済みます。
この一覧を細かく比較しなくてもいい方
次のような方は、11箇所すべてを見比べる必要はありません。すでに紹介を受けた役場がある方、自宅や職場から明らかに一番近い役場があり特にこだわりがない方、行政書士や司法書士など専門家がすでに役場とのやり取りを進めてくれている方——こうしたケースでは、無理に他の役場と比較検討する必要はありません。まずは今ある候補の役場に直接連絡し、予約の空き状況を確認するところから始めて問題ありません。
セルフチェック:あなたはどのくらい迷っている?
当てはまる数をかぞえてみてください
☐ 候補の役場が複数あり、どこにすればいいか迷っている
☐ 証人を自分で用意できず、役場に紹介してほしいと考えている
☐ 出張(公証人に来てもらう対応)を希望している、または通所が難しい
☐ 財産や相続人の状況をまだ整理できておらず、遺言の内容自体が固まっていない
0〜1個 → 一覧表を参考にご自身で役場を選び、直接連絡してみて問題ない状況です。
2〜3個 → 役場選びより先に、遺言の方向性を整理した方がスムーズです。下の診断で確認しましょう。
4個 → 財産・相続人・証人まで論点が重なっている状況です。専門家と一緒に整理した方が早く進みます。
該当が0〜1個だった方は、専門家に依頼しなくても、まずはご自身で候補の役場に直接問い合わせてみることをおすすめします。無理に相談される必要はありません。
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ご家族の人数と、だいたいの財産額を選ぶだけです。11か所を比べる前に、遺言で足りるのか、ほかに何が要るのかが分かります。
よくある質問
手数料は役場によって違いますか?
公証人手数料そのものは全国一律のルール(財産額に応じた算定基準・2025年10月改定)にもとづくため、どの役場を選んでも大きく変わりません。ただし、証人紹介にかかる謝礼など、手数料以外の実費部分は役場によって考え方が異なる場合があります。事前に希望する役場へ確認しておくと安心です。
まだ財産や相続人が整理できていなくても、役場に問い合わせていいですか?
問題ありません。多くの役場では、最初の問い合わせの時点で財産目録が完璧に揃っている必要はなく、大まかな内容を伝えれば必要書類や進め方を案内してもらえます。むしろ「まだ早いかどうか」を判断するために、早い段階で一度相談してみる方がスムーズです。
家族に内緒で公証役場に相談することはできますか?
できます。公証役場への相談・予約はご本人が単独で行うことができ、家族の同意は必要ありません。ただし、証人2人の立ち会いは必須であるため、最終的に誰にも知らせずに作成することは難しく、証人をどう確保するかは早めに考えておく必要があります。
複数の公証役場に同時に問い合わせてもいいですか?
問題ありません。公証役場を管轄で決める必要がない以上、複数の役場に空き状況や対応を問い合わせて比較検討することは失礼にはあたりません。予約が取りやすく、対応が丁寧だと感じた役場を選んで構いません。
将来引っ越す予定がある場合、どの役場を選べばいいですか?
公正証書遺言は、作成した役場が変わっても効力に影響はありません。原本は作成した役場に保管され続けますが、正本・謄本があれば全国どこでも手続きに使えます。将来の引っ越し予定よりも、今の生活圏で通いやすい役場を選んで問題ありません。
11役場に共通する基本情報|手数料の早見表・持ち物・当日の流れ(印刷用)
手数料と必要書類は、どの公証役場を選んでも共通の考え方です。役場を決めたあと、そのまま印刷して持っていける形にまとめました。
このページは、そのまま印刷して公証役場へ持っていける形にまとめています。金額の当てはめや、ご家庭に必要な書類の確定はしていません。最新の金額・取扱いは、必ず公証役場へご確認ください。
1. 手数料の早見表(公証人手数料令)
公正証書の作成手数料は、法令で「目的の価額」の区分ごとに全国一律で定められています。下の表は2025年10月1日に施行された改正後の金額です。
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円超 ~ 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超 ~ 200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超 ~ 500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超 ~ 1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超 ~ 3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円超 ~ 5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円超 ~ 1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円超 ~ 3億円以下 | 49,000円に、超過額5,000万円までごとに15,000円を加算した額 |
| 3億円超 ~ 10億円以下 | 109,000円に、超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額 |
| 10億円超 | 291,000円に、超過額5,000万円までごとに9,000円を加算した額 |
上の表に加算されるもの・別にかかるもの
- 遺言加算…遺言の目的の価額が1億円以下のときは、上の表による額に13,000円が加算されます(1億円を超えるときは加算されません)。
- 正本・謄本の交付…1枚につき300円。
- 枚数による加算…公正証書の枚数が法務省令で定める枚数(横書きの場合は3枚、それ以外は4枚)を超えるときは、超える1枚ごとに300円。
- 病床で作成したとき…手数料の額に、その5割(10分の5)が加算されます。
- 公証人が出張したとき…日当は1日20,000円(4時間以内のときは10,000円)。旅費は交通の実費など。
※ この表は区分の一覧です。ご家庭の場合にどの区分に当てはまるかは、財産の内容と分け方によって変わります。当てはめと最終的な金額は公証役場でご確認ください(この記事では計算をしていません)。
※ 遺言の「目的の価額」は、財産を受け取る方ごとに価額を出し、それぞれ表に当てはめた手数料を合算する取扱いが案内されています(日本公証人連合会)。実際の算定方法は事案により異なるため、予約の電話のときにご確認ください。
※ 電子データで正本・謄本の提供を受ける場合の手数料は、本記事では原典を確認できていません(要確認)。役場にお尋ねください。
出典:e-Gov法令検索「公証人手数料令」(第9条・別表、第19条、第25条、第32条、第40条、第43条/2026年8月9日確認)
2. 当日までの流れ
- 電話で予約…財産のあらましと、誰に何を残したいかを伝えます。必要な書類もこのときに聞きます。
- 事前の打ち合わせ(案文の確認)…公証人が遺言の案文を作り、書面で確認します。1~2回のやり取りになるのが一般的です。
- 作成当日…証人2名が同席します。読み合わせのうえ、署名・押印します。
- 受け取り…正本・謄本を受け取り、手数料を支払います。原本は公証役場で保管されます。
3. 持ち物チェック
必要書類は事案によって変わります。予約の電話のときに、ご家庭の場合に何が必要かを必ずご確認ください。下は、一般に用意することが多いものです。
用意することが多いもの
事情によって、あらかじめ相談が必要になりやすいこと
4. 予約の電話で確かめる4つと、書き留め欄
| 公証役場の名前 | |
|---|---|
| 電話番号 | |
| 予約した日時 | |
| 電話で聞いた担当の方 | |
| 言われた持ち物・手数料の見込み |
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遺言だけで足りるのか、先に確かめておく
ご家族の人数と、だいたいの財産額を選ぶだけです。遺言のほかに用意しておいたほうがよい備えがあるかどうかを、ご自身で確認できます。
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愛知県内には11箇所の公証役場があり、住所地に関係なくどこを選んでも構いません。選ぶ際は「近さ」だけでなく、予約の取りやすさや証人紹介・出張への対応もあわせて確認しておくと、当日になって慌てずに済みます。まずはこの一覧表から候補の役場を選び、気になる点は直接問い合わせてみてください。より具体的な注意点(落とし穴)は、各役場の個別記事で詳しく解説しています。
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🛡️ 遺言では用意できない「現金」の問題
どの役場で作成しても、遺言で決められるのは「誰に何を渡すか」までです。遺留分の請求・代償金・相続税の納税資金といった「渡すための現金」は、別に用意する必要があります。準備の方法として生前贈与・預貯金の取り分け・生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)などがあり、活用法は生命保険と相続に関する完全ガイドで解説しています。相続に詳しい保険の相談先をお探しの場合は、複数社を比較できる提携代理店をご紹介することも可能です。
※ご紹介にあたり、当社が提携代理店から紹介料を受け取る場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税額計算や特定の保険商品の推奨を行うものではありません。税務・法的な判断が必要な場合は、税理士・弁護士など専門家にご確認ください。
本記事は行政書士 今井裕司(行政書士法人あいち行政&相続)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。掲載している役場名・住所・電話番号は作成時点(2026年7月)の公開情報にもとづき、公証人手数料は2025年10月改定後の内容です。手数料・制度・公証役場や法務局の運用は変更されることがあるため、作成前に必ず各公証役場・日本公証人連合会または法務局の公式サイトで最新の情報をご確認ください。個別の判断は弁護士・税理士など専門家にご相談ください。なお、提携保険代理店をご紹介する場合、当社が紹介料を受け取ることがあります。