お父さんの引き出しから、マイナンバーカードと運転免許証、古いパスポートが出てきた。どれも役所や警察に返すものなのか、手元に置いてよいのか、迷う方は少なくありません。
この記事では、亡くなった方の3つのカードや手帳について、返す必要があるか、どこへ持っていくか、記念に残せるかを整理します(2026年10月時点の公的な案内で確認できた範囲です)。
先に結論:窓口への届け出が案内されているのはパスポート
この記事の結論
- マイナンバーカード:返却は不要と案内する自治体が多く、死亡届のあとは自動で使えなくなります。ただし廃棄を案内する市もあるため、住所地の窓口で確認します。
- 運転免許証:家族に返納の義務はありません。更新のお知らせを止めたいときだけ、警察署などで手続きします。
- パスポート:有効期間内のものは、死亡がわかる書類を添えて、都道府県の旅券窓口に届け出る案内です。
どれも、返さないと罰せられるといった案内は、確認した公式ページには見当たりませんでした。ただ、窓口ごとに書き方が少しずつ違います。あわてず、住所地の案内を確かめてから動けば大丈夫です。
3つの早見表:返すもの・返さなくてよいもの
「記念に残せるか」の欄は、公式の案内に書かれていることだけを入れました。書かれていない部分は、窓口でお尋ねください。
マイナンバーカード:返却不要の市が多いが、市で違う
東京都板橋区は、亡くなった方のマイナンバーカードと通知カードについて、返却は必要ないと案内しています。相続などの手続きが終わるまで保管し、不要になったら破棄してよい、という書き方です。
死亡届が出されて住民票が消されると、カードは自動で廃止になり、電子証明書も使えなくなります。つまり、手元に残っていても、本人確認やコンビニでの証明書取得には使えません。
一方、名古屋市のよくある質問では、死亡届のあとのカードの廃棄や回収の扱いが案内されています。持参が必要かどうかは、住所地の区役所や支所で確かめてください。世田谷区は返納の義務はないとしつつ、希望する人は窓口で受け付けると案内しています。相模原市も、死亡届のあとに自動で廃止されるため返納の義務はない、としています。
相続の手続きで、亡くなった方のマイナンバー(12桁の番号)を書く場面があります。番号はカードの表面で確認できるので、しばらくは手元に置いておく方が安心です。カードを返す場合も、先に番号を控えておくと困りません。
親が年金を受けていた場合は、年金の手続きも並行して進みます。残った親が受け取る遺族年金の目安は遺族年金で妻はいくら?、自営業などで国民年金だけだった場合は寡婦年金と死亡一時金の違いで整理しています。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
運転免許証:返納の義務なし。止めたいのは更新のお知らせ
愛知県警察、警視庁、北海道警察はいずれも、亡くなった方の運転免許証について、家族に返納の義務はないと案内しています。
ただし、有効期間が残っていると、更新のお知らせのはがきなどが届くことがあります。亡くなった方宛てのはがきが届くのは、気持ちの負担になります。止めたいときは、警察署などで手続きをします。
北海道警察の案内には、手続きが間に合わず、はがきが届くことがあるとも書かれています。有効期限が過ぎて失効すると、通知は届かなくなります。
手続きのあと、免許証が手元に戻るのか、記念に残せるのかは、確認した案内のどこにも書かれていませんでした。残したいときは、窓口で手続きの前に聞いてください。
パスポート:有効期間内なら旅券窓口へ届け出る
外務省のQ&Aでは、名義人が亡くなったときは、亡くなった方のパスポートと、死亡の事実がわかる戸籍謄本などの書類を、都道府県の申請窓口に持参する案内です。海外で亡くなった場合は、最寄りの在外公館(日本大使館や総領事館)になります。パスポートは、名義人が亡くなった時点で効力を失います(旅券法第18条)。
神奈川県の案内では、有効期間が切れたパスポートなら、死亡がわかる書類は不要とされています。同じFAQの別の質問には、新しく申請するときに持参した期限切れのパスポートは、穴をあけて返すとの記載があります(死亡の届出の場合の扱いは書かれていません)。
有効だったパスポートが、届出のあとに手元へ戻るかどうかは、確認した案内に書かれていませんでした。記念に持っていたい方は、届け出る前に、旅券窓口で「穴あけをして返してもらえるか」を聞いてください。問い合わせ先は、住んでいる都道府県のパスポートセンターです。
手順と持ち物チェックリスト
- 3つの現物を探す。カードや手帳が見つからなくても、先に進めます。見つからないときは、窓口に伝えれば案内してもらえます。
- マイナンバーを控える。相続の書類で使う場面に備えて、番号をメモします。
- 死亡届のあと、市区町村の窓口でカードの扱いを聞く。返却か廃棄か、保管でよいかを確かめます。
- パスポートは旅券窓口に連絡する。有効期間と必要書類を電話で確かめてから行きます。
- 免許証は、はがきを止めたいときに警察署へ。止めなくてよければ、何もしなくても構いません。
持ち物チェックリスト
- □ 亡くなった方のマイナンバーカード(通知カードがあれば一緒に)
- □ 亡くなった方の運転免許証
- □ 亡くなった方のパスポート
- □ 死亡診断書の写し、住民票の除票、戸籍謄本のいずれか(窓口が求めるもの)
- □ 手続きに行く人の本人確認書類
- □ マイナンバーを控えたメモ
戸籍謄本の取り方は戸籍謄本の取り方【2026年】窓口・郵送・コンビニ・オンライン比較で、住民票の除票は住民票の取り方【2026年】で整理しています。
期限と、過ぎたらどうなるか。損しやすい点
この3つについて、確認した公式の案内には「いつまでに」という期限は見当たりませんでした。山梨県警の案内にも、期限の記載はありません。ネットには「1か月以内」と書いたものもありますが、公式な根拠は確認できませんでした。
期限がある手続きは、別にあります。健康保険の保険証の返却や資格喪失は、死亡から14日以内が目安です。くわしくは死亡後の保険証返却と資格喪失の手続き【2026年】期限14日・国保と会社の違いを見てください。携帯電話の解約は亡くなった人の携帯電話の解約【2026年】、全体の順番は相続の手続き一覧にあります。
損しやすい点
- 手続きより先にカードを返すと、相続の書類でマイナンバーを探すことになります。番号は先に控えます。
- 記念に残したいのに、先に窓口へ出してしまうと、戻らないことがあります。確認した案内には、返却されるかの記載がありません。出す前に聞きます。
- カードや免許証が手元にある間は、人目につかない場所にしまいます。番号や住所が書かれているため、置きっぱなしにしません。
今日できる一歩
- マイナンバーカードの番号をメモし、3つの現物を1か所にまとめます。窓口へ出すのは、そのあとで構いません。
よくある質問
Q. 3つとも、返さずに持っていてもよいですか。
マイナンバーカードと運転免許証は、返納の義務はないと案内する窓口が多くあります。パスポートは、有効期間内なら届け出る案内です。市区町村や県で書き方が違うので、住所地の窓口で確かめてください。
Q. 免許証に穴をあけて、記念に残せますか。
確認した警察の案内には、穴あけや返却についての記載がありませんでした。返納しなければ手元に残ります。窓口に出す手続きをするときは、手続きの前に「戻してもらえますか」と聞いてください。
Q. 期限が切れたパスポートも、届け出が必要ですか。
神奈川県の案内では、有効期間が切れたパスポートなら、死亡がわかる書類は不要とされています。県によって扱いが違うことがあるので、旅券窓口に電話で確認すると確実です。
Q. 遠方に住んでいて、窓口へ行けません。
マイナンバーカードは、窓口に出さなくてよい市区が多くあります。免許証は義務がないため、急ぐ必要はありません。パスポートは、郵送や代理で届け出られるかが、確認した案内では分かりませんでした。旅券窓口にお尋ねください。
Q. 亡くなった人の電子証明書は、いつ使えなくなりますか。
板橋区の案内では、死亡届が出されて住民票が消されたときに、カードが自動で廃止され、電子証明書も使えなくなります。細かい時期は、案内に書かれていないため、市区町村にお尋ねください。
Q. 亡くなった人のマイナンバーカードを返納したいときは、どうしますか。
返納の義務はないとする市区が多い一方、希望すれば窓口で受け付ける市区もあります(世田谷区など)。持っていく前に、相続の書類で使うマイナンバーを控えておきます。窓口や持ち物は市区町村で違うので、住所地の窓口に確かめてください。全国共通の問い合わせ先として、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)もあります(2026年10月時点)。
参考にした公的情報
- 板橋区「マイナンバーカード(通知カード) よくある質問」
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/faq/tetsuduki/koseki/1045289/1058311.html - 名古屋市「氏名変更をともなう戸籍届や死亡届、出生届を提出した際の通知カードやマイナンバーカードの手続き」(名古屋おしえてダイヤル)
https://faq.city.nagoya.jp/faq/detail.aspx?id=2894 - 愛知県警察「運転免許証の返納(亡くなられた場合)」
https://www.pref.aichi.jp/police/menkyo/shibouhennou.html - 警視庁「亡くなられた方の運転免許証について」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/koshin/jisyu_hennou/menkyo.html - 神奈川県「パスポートよくあるご質問(名義人が亡くなった場合)」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h6d/passport/faq/category7.html - 外務省「こんな時、パスポートQ&A」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/pass_4.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。市区町村、都道府県警察、旅券窓口によって扱いが異なる場合があります。個別の事情は、窓口でご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
