亡くなった親の家が、法務局に登記されていないと分かった方に向けて、名古屋市で相続人がする届出と、登記をするかどうかの考え方、かかる費用をまとめました。
名古屋市の固定資産税の案内(2026年3月31日・7月23日更新)、不動産登記法、国税庁の登録免許税の税額表、日本土地家屋調査士会連合会の報酬ガイドを、2026年11月4日に確かめた内容です。
登記のない家を相続したときの要点
- 登記がなくても、固定資産税はかかっています。名古屋市は登記のない家を別の台帳(家屋補充課税台帳)に載せて課税しています。
- 名古屋市では、相続人は「固定資産現所有者申告書」を市税事務所に出します。期限は、自分が持ち主になったと知った日の翌日から3か月です。相続登記を済ませた人と、相続放棄をした人は出さなくて構いません。
- 売るつもりなら、売る前に表題登記と所有権保存登記がいることが多いです。取り壊して土地で売るなら、建物の登記はいりません。
「未登記の家」とは。登記がなくても固定資産税はかかる
家の登記には、建物の場所・種類・広さを記録する「表題登記」と、持ち主を記録する「所有権保存登記」があります。未登記の家とは、このどちらもされていない家のことです。昔に建てた家や、建てたあとに増やした部屋・離れ・車庫で見られます。
登記がなくても、市は家があることを知っています。名古屋市は、登記のない家を「家屋補充課税台帳」に載せ、毎年1月1日の持ち主に固定資産税をかけています。親あての課税明細書にその家が載っていれば、市の台帳には載っています。
一方、法務局の記録には家が載っていません。このため、売るときや名義を変えるときに、まず登記から始める必要が出てきます。
親の家が未登記かどうかの確かめ方
いちばん確実なのは、市の台帳と法務局の記録を見比べることです。市の台帳に載っていて、法務局に記録がない家(または部屋・離れ)が、未登記の部分です。
見比べるときは、床面積に注目します。名寄帳の床面積が登記より広いときは、増築した部分が登記されていないことがあります。母屋は登記済みで、離れや車庫だけが未登記という家もあります。名寄帳の取り方は名寄帳の取得方法で説明しています。
名古屋市で相続人がする届出は「固定資産現所有者申告書」
名古屋市では、土地や家の持ち主が亡くなると、相続登記が済むまでの間、実際に持っている人(相続人など)が市に申告することになっています(名古屋市市税条例46条の3、2020年12月施行)。登記のない家は相続登記ができないため、この申告で納税する人を決めることになります。
名古屋市の案内には、登記のない家の持ち主を変える書類として「家屋補充課税台帳登録事項の相違に基づく届出書」もあります。ただし、これは売買や贈与で持ち主が変わったときの書類です。相続のときは、この届出書ではなく「固定資産現所有者申告書」を出すよう案内されています。
名古屋市に住民登録していた親が亡くなった場合、市税事務所から親族あてに申告をお願いする文書が届くことがあります。親が名古屋市の外に住んでいて、名古屋市内に家だけがある場合は、文書は届きません。自分から電子申請するか、市税事務所に連絡して申告書を送ってもらいます。
提出先は、家のある区で決まります。家についての問い合わせ先は、各市税事務所の固定資産税課の家屋担当です。
親の住所あてに届いた固定資産税の通知の扱い方は、亡くなった親宛に固定資産税の納税通知書が届いたらにまとめています。
登記はしなければいけない?法律の決まり
不動産登記法は、表題登記のない建物の持ち主になった人に、持ち主になった日から1か月以内に表題登記を申請するよう求めています(47条1項)。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の定めもあります(164条)。相続で家を受け継いだ人も、この「持ち主になった人」にあたります。
2024年4月1日に義務になった相続登記は、すでに持ち主の登記がある家や土地の名義を、相続人に変える手続きです。登記のない家は、名義を変える前の段階、つまり家そのものを登記する段階から始めることになります。相続登記の義務の中身は相続登記をしないとどうなる?で説明しています。
表題登記の申請は土地家屋調査士、所有権保存登記は司法書士の仕事です。自分で申請することもできます。どちらも、何の書類で家が親のものだったと示すかが要になります。建てたときの書類(建築確認の通知書や工事の引き渡しの証明書など)が残っていないか、親の書類を探しておくと話が早く進みます。
売る・持ち続ける・取り壊す。行き先ごとの手続きと費用
登記をするかどうかは、この家をこの先どうするかで考えるのが現実的です。
たとえば、固定資産税の評価額(価格)が300万円の家なら、保存登記の登録免許税は300万円×0.4%=1万2,000円です。これに、調査士と司法書士への報酬が加わります。
売るなら、なぜ登記が要るのか
家を買う人が住宅ローンを使う場合、銀行は家と土地に抵当権の登記をします。抵当権を登記するには、その家の持ち主の登記が先に要ります。そのため、未登記の家を家付きで売るときは、売る前に表題登記と所有権保存登記を済ませる段取りになることが多いです。
取り壊して土地だけを売るなら、建物の登記はいりません。名古屋市では、取り壊したら市税事務所の家屋担当に知らせるだけでよく、申告書の提出は不要とされています。取り壊しの費用と補助金は空き家の解体補助金 名古屋・愛知にまとめています。
売ったあとに空き家の3,000万円特別控除を使うつもりなら、名古屋市の「被相続人居住用家屋等確認書」の申請で、建物の登記事項証明書が求められます。建物が登記されていないときは、申請の前に市に相談しておきます。流れは被相続人居住用家屋等確認書 名古屋市で説明しています。
登記の費用をかけて家付きで売るか、取り壊して土地で売るかは、それぞれいくらで売れそうかを聞いてから決めるのが確かです。不動産会社2〜3社に査定を頼む方法は、名古屋・愛知で相続した実家を売る手順で説明しています。
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家付きで売るか、取り壊して土地で売るかを、値段を見てから決めたい場合
愛知の不動産会社「不動産SHOPナカジツ」が無料で査定します。申し込むときに、家が登記されていないことも伝えておきます。申し込むと、物件のことを確かめるためにナカジツから電話かメールで連絡があります。売らずに持ち続けると決めている方や、家が店舗の対応地域の外にある方は、申し込む必要はありません。近くの不動産会社に直接聞く方法もあります。
申込先は株式会社不動産SHOPナカジツです。当サイト(いまから相続)が査定や売却の仲介をするものではありません。査定のあとの連絡は、申し込むときに『メールで』などと希望を伝えておくと安心です。
口コミと、査定のあとの連絡についての声は不動産SHOPナカジツの評判・口コミにまとめています。
未登記の家を相続したときによくある質問
未登記の家も、遺産分割の話し合いの対象になりますか
なります。登記がなくても、親が持っていた家は遺産です。分け方を書面にするときは、登記の番号がないため、名寄帳や課税明細書に載っている所在・家屋の種類・床面積などで、どの家かが分かるようにしておきます。名古屋市の現所有者申告でも、分けた後は遺産分割協議書の写しを添えます。
名古屋市に住んでいなくても、申告や届出は郵送でできますか
現所有者申告は、電子申請もできます(栄・本陣・金山の各市税事務所の申請フォーム)。売買や贈与のときの届出書は、市外に住む人のために郵送でも受け付けると案内されています。どちらも、家のある区を担当する市税事務所に問い合わせると確実です。
登記をすれば、固定資産税を払う人は変わりますか
名古屋市では、相続登記などで登記簿の持ち主が決まると、その翌年の4月から始まる年度分から、登記簿上の持ち主に課税すると案内しています。それまでは、現所有者申告で決まった人に通知書が届きます。
離れや車庫だけが未登記の場合も、同じですか
母屋が登記済みで、増築した部屋や離れが登記されていない場合は、母屋の登記を直す手続き(表題部の変更の登記)か、別の建物としての登記になることがあります。どちらになるかは建物のつくりで変わるため、土地家屋調査士に図面や現地を見てもらって決めます。
参考にした公的情報
- 名古屋市「現に所有している者の申告制度」(2026年3月31日更新)
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1037356/1011931/1011932/1011934.html - 名古屋市「登記されていない家屋の台帳上の所有者変更」(2026年7月23日更新)
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1037356/1011931/1011940/1011944.html - 名古屋市「固定資産税・都市計画税に関するお問い合わせ先」
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1037356/1011931/1011932/1011963.html - 名古屋市「年の途中で家屋を取り壊した場合、固定資産税・都市計画税はいつまで支払う必要があるか知りたい。」
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1035069/1012012/1012042/1033985/1012045.html - 名古屋市「名寄帳(土地・家屋)の閲覧(写しの交付)の申請」(2026年10月1日更新)
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1007927/1011872/1033715.html - 名古屋市「固定資産税・都市計画税の課税明細書について知りたい。」
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1035069/1012012/1012042/1033979/1012048.html - e-Gov法令検索「不動産登記法」(47条・164条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm - 日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士 報酬ガイド」
https://www.chosashi.or.jp/media/hoshuguide_single_r07.pdf
※本記事は2026年11月4日時点の名古屋市・国税庁などの公式情報をもとにした一般的な情報です。名古屋市以外の市町村では、届出の名前や書類が違います。当社は登記の申請や書類の作成、税額の計算は行いません。表題登記は土地家屋調査士、所有権保存登記や相続登記は司法書士、固定資産税は家のある市町村の担当課にご確認ください。
