年金から天引きされている保険料が、病気や災害、失業で急に重くなった。親の暮らしぶりを見ていて、そう感じる方もいるはずです。
後期高齢者医療の保険料には、払えないときの「減免」(金額を減らす・なくす)と「猶予」(払う時期を延ばす)があります。この記事では、2026年10月時点の公式な案内をもとに、対象になる場合、申請先、必要書類を整理します。
先に結論:決めるのは広域連合、申請は市区町村の窓口です
この記事の結論
- 対象:災害で家や家財に大きな被害が出た、失業や入院で収入が大きく減った、などの場合です。基準は都道府県ごとの広域連合で違います。
- 申請先:住んでいる市区町村の後期高齢者医療の窓口です(愛知県の広域連合の案内)。書類は、資格確認書と、事情を示す書類が基本です。
- 払えないとき:黙って待たず、納期限の前に窓口へ相談します。放っておくと督促や延滞金、差押えに進むことがあります。
制度の土台は同じですが、細かい基準は広域連合の条例で決まります。そのため、この記事では愛知県、神戸市(兵庫県)、柏市(千葉県)の公式な案内を例にしています。お住まいの地域の基準は、必ず窓口で確かめてください。
減免と猶予、低所得の軽減は別のものです
名前が似ていて混ざりやすいので、先に分けておきます。
低所得の軽減は、世帯の所得をもとに当てはまるかが決まります。今回の減免は、「今年に入って暮らしが急に変わった」人のための制度です。
減免の対象になる人・ならない人
愛知県の広域連合は、対象を5つの「特別な事由」としています。神戸市や柏市の案内にも、災害や所得の減少といった似た理由が並びます。
「家計が苦しい」だけでは、減免の対象にならないのが基本です。この場合は、後の章で触れる「納付の相談」から入ります。
基準は地域で違います:愛知・神戸・柏の例
減免の基準は、広域連合ごとの条例で決まります。収入が減ったときの目安を、3つの地域で並べます。
愛知県では、収入が減ったときの要件を3つともそろえる必要があります。見込所得は、あとで確定した時点で、減免が取り消されたり割合が変わったりすることがあります。神戸市の案内でも、減免の理由がなくなったときは、すぐに届け出る決まりです。
離れて暮らす親の収入の変化は、見えにくいものです。年金の通知書や源泉徴収票は、申請のときの書類になります。年金から天引きされるものの中身も、あわせて見ておくと整理しやすくなります。
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申請の手順と、必要書類のチェックリスト
- 窓口に相談する。住んでいる市区町村の後期高齢者医療の担当です。愛知県の広域連合は、払えないときは「そのままにせず、お早めに」相談するよう案内しています。
- 事情を示す書類を集める。災害ならり災証明書、収入が減ったなら見込みの所得が分かる書類です。
- 申請書を出す。窓口で提出します。家族が代わりに行くときは、代理人の身分証明書類が要ります(神戸市の案内)。
- 広域連合の審査を待つ。決定は広域連合が行います(柏市の案内)。
- 決まった内容に従う。減免が決まっても、理由がなくなったら届け出ます。
必要書類のチェックリスト
- □ 資格確認書(どの事由でも共通)
- □ 災害のとき:り災証明書または被災証明書
- □ 収入が減ったとき:給与支払明細書、所得申告書など、今年の見込所得が分かる書類(愛知県)
- □ 失業・休業のとき:休業届、離職証明書、雇用保険受給資格者証など(神戸市)
- □ 事業の損失のとき:確定申告書など(神戸市)
- □ 入院や障害のとき:診断書、入院証明書、手帳など(神戸市)
- □ 年金収入が分かる書類:年金額改定通知書、年金振込通知書など(神戸市)
- □ 代理人が行くとき:代理人の身分証明書類
書類は、事情や地域で変わります。窓口で「この事情で、何を持っていけばよいか」を聞くと、2度手間になりにくくなります。
期限と、払えないまま放っておくとどうなるか
申請の期限は、地域で違います。神戸市は、保険料額の決定通知の後から、賦課年度の翌年度の6月末日までです。愛知県と柏市の案内ページには、期限の記載を確認できませんでした。期限が分からないときは、早めに窓口へ聞くのが安全です。
愛知県の広域連合は、保険料を滞納したときの流れを次のように案内しています。
世帯主と配偶者は、保険料を連帯して納める義務があります。本人が払えないとき、世帯主や配偶者に請求が行くことがあります。離れて暮らす家族は、滞納の連絡に気づきにくいものです。親宛ての封筒は、開けて中身を確かめておきます。
読者が損しやすい点
- 「払えないから」と通知を放置する。愛知県の広域連合は、納期限までに払えないときは相談するよう案内しています。
- 減免と軽減を取り違える。低所得の軽減は世帯の所得で決まります。急な変化は、別に減免の申請をします。
- 病院の窓口負担は別の制度。減免が決まっても、窓口の自己負担は自動では軽くなりません。愛知県では、窓口負担の免除・減額・猶予は一部負担金の制度で、別に申請します。
- 見込所得は、あとで確定する。愛知県では、確定した時点で減免の割合が変わったり取り消されたりすることがあります。
- 理由がなくなったら届け出る。仕事に復帰した、収入が戻った、などです(神戸市の案内)。
今日できる一歩
- 親宛ての後期高齢者医療の保険料の通知(納入通知書など)を見つけ、納期限と窓口の電話番号をメモする。
よくある質問
子どもが代わりに申請できますか
神戸市の案内では、代理人の身分証明書類が必要です。ほかの地域も、窓口で必要なものを聞くと確実です。本人の資格確認書と、事情を示す書類は、家族があらかじめ集めておけます。
病院の窓口で払うお金も、軽くなりますか
別の制度です。愛知県の「一部負担金減免等制度」は、免除・半額に減額・徴収猶予の3種類で、市区町村の窓口に申請します。入院中の食事代などは対象外とされています。
低所得の軽減を受けていると、減免は使えませんか
神戸市の案内では、世帯主などが条件に当てはまって所得が下がる場合の区分で、すでに低所得の軽減を受けていると対象外です。使えるかどうかは、事情と地域で変わるため、窓口で確かめます。
払えないとき、減免の対象外なら何もできませんか
愛知県の広域連合は、納期限までに払うのが難しいときの相談を、市区町村の窓口で受け付けています。相談の結果の中身は、案内ページでは確認できませんでした。まず窓口に相談してみてください。
75歳になったばかりで、手続きが分かりません
75歳になると後期高齢者医療に切り替わります。切り替えの流れは75歳になったら必要な手続きにまとめています。窓口の自己負担が高い月の払い戻しは、高額療養費の申請方法をご覧ください。
介護サービスの自己負担が重いときは
介護の自己負担には別の上限があります。高額介護サービス費の申請方法で確かめられます。
参考にした公的情報
- 愛知県後期高齢者医療広域連合「保険料の減免」(2026年7月7日更新)
https://www.aichi-kouiki.jp/iryou/hoken/1001551/1001552.html - 愛知県後期高齢者医療広域連合「保険料の納付が困難な場合」(2024年3月15日更新)
https://www.aichi-kouiki.jp/iryou/hoken/1001547/1001548.html - 愛知県後期高齢者医療広域連合「一部負担金減免等制度」(2024年12月3日更新)
https://www.aichi-kouiki.jp/iryou/kyufu/1001582/1001583.html - 愛知県後期高齢者医療広域連合「保険料を滞納すると」(2024年12月3日更新)
https://www.aichi-kouiki.jp/iryou/hoken/1001547/1001549.html - 神戸市「後期高齢者医療保険料の減免・徴収猶予」(2026年8月12日更新)
https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/kurashi/support/kouki/index/genmen.html - 柏市「災害等を理由とした後期高齢者医療の減免制度」(2026年8月25日更新)
https://www.city.kashiwa.lg.jp/hokennenkin/koukigenmen.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。減免の基準、期限、必要書類は、広域連合や市区町村によって異なります。ご自身の場合に当てはまるかは、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
