親が退院して、ケアマネジャーから「デイサービスとデイケア、どちらにしますか」と聞かれた。名前が似ていて、違いが分からない。こうした場面は、介護が始まる頃によくあります。
結論から言うと、デイサービスは食事や入浴などの生活の支えと交流が中心、デイケアは医師が関わるリハビリが中心です。この記事では、内容・使える人・費用・探し方を、2026年10月時点の公的な案内で整理します。
先に結論:違いは「中心になる支援」と「使える人」です
この記事の結論
- 中心が違う:デイサービス(正式名は通所介護)は、食事・入浴などの支援と機能訓練、交流が中心です。デイケア(通所リハビリテーション)は、病院や老健などに通い、リハビリが中心です。
- 使える人が違う:要介護1〜5ならどちらも対象です。要支援1・2は、通所介護ではなく市区町村の「総合事業」の通所サービスか、介護予防の通所リハビリを使います。
- 費用:厚生労働省の公式サイトの例で、1回あたり658円〜1,290円(1割負担、要介護1〜5)。食費やおむつ代は別にかかります。
どちらが「上」ということはありません。何のために通うかで選びます。足腰のリハビリを続けたいならデイケア、日中の居場所や入浴、家族の負担を軽くしたいならデイサービス、というのが基本の考え方です。ただし、実際にどちらが合うかは、本人の状態やケアプランで決まります。
内容の違い:デイサービスとデイケアの比較表
どちらも、自宅から送迎を受けて日帰りで通います。違いは、目的、通う場所、リハビリの比重です。
実際には、デイサービスにも機能訓練があり、デイケアにも食事や入浴があります。線引きは完全ではありません。「何を一番の目的にするか」を先に決めると、選びやすくなります。
使える人・使えない人の早見表
ここでつまずく方が一番多いところです。「要支援」の方は、デイサービスの呼び方と仕組みが変わります。
「事業対象者」とは、要支援の認定を受けなくても、窓口で基本チェックリストという質問票に答えて該当した方のことです。名古屋市の総合事業では、通所サービスに「予防専門型」「ミニデイ型」「運動型」があります。ミニデイ型と運動型は、原則6か月、週1回の利用です。内容や回数は市区町村で違うので、住んでいる市区町村の案内で確かめてください。
費用の比較:1割負担の目安と、別にかかるお金
費用は、事業所の規模と利用時間で決まります。下の表は、厚生労働省の公式サイトに載っている「1割負担」の例です。時間帯の条件がそろっていないので、2つのサービスの金額をそのまま比べないでください。
たとえば要介護2の方が、デイサービスを月8回(週2回ほど)使うと、777円×8回で6,216円です(1割負担、加算などは除く)。2割負担の方はこの2倍、3割負担の方は3倍になります。負担割合は、毎年届く「介護保険負担割合証」で分かります。
表の金額に含まれないものもあります。食費、おむつ代などの日常生活費は、全額を自分で払います。金額は事業所ごとに違い、レクリエーション費やキャンセル料を決めているところもあります。契約の前に、料金表と重要事項説明書で確かめてください。
1か月の自己負担が一定の上限を超えたときは、超えた分が戻る仕組みがあります。くわしくは高額介護サービス費の申請方法にまとめています。
申し込みから利用開始までの手順と必要なもの
- 窓口で相談する。住んでいる市区町村の介護保険の窓口か、地域包括支援センターに行きます。まだ認定を受けていなければ、要介護認定の申請から始めます(要介護認定の申請方法)。
- 認定の結果を受け取る。要介護1〜5と要支援1・2のどれかで、使えるサービスが変わります。
- 担当者に希望を伝える。要介護の方はケアマネジャー、要支援の方は地域包括支援センターが相談先です。「リハビリで歩けるようになりたい」「日中の居場所がほしい」「入浴したい」など、目的を言葉にして伝えます。
- 候補を2〜3か所にしぼり、見学や体験をする。体験できるかどうかは事業所によります。
- 契約してケアプランに入れる。料金表と重要事項説明書の説明を受けて、同意すると利用が始まります。
相談・見学の前に用意するものチェックリスト
- □ 介護保険被保険者証(要介護度と有効期間が書いてあります)
- □ 介護保険負担割合証(1〜3割のどれか分かります)
- □ お薬手帳と、かかりつけ医・持病のメモ
- □ 本人の困りごとのメモ(歩く、入浴、食事、物忘れなど)
- □ 希望の曜日や回数、家族が付き添えない時間帯のメモ
- □ 事業所の料金表と重要事項説明書(見学のときにもらいます)
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探し方:どこで調べ、見学で何を見るか
探す方法は4つあります。
- ケアマネジャーに聞く:本人の状態を知っているので、いちばん話が早い方法です。
- 地域包括支援センターに聞く:高齢者の総合相談窓口です。名古屋市では「いきいき支援センター」と呼びます(名古屋市のいきいき支援センター)。
- 公式の検索サイトで調べる:厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、都道府県ごとに事業所を探せます。
- 市区町村の窓口で一覧をもらう:総合事業の通所サービスは、市区町村ごとに事業所が違います。
見学では、次の点を見ておくと比べやすくなります。
- □ 1日の流れ(リハビリ、入浴、食事、レクの時間配分)
- □ 送迎の範囲と、乗り降りのときの介助
- □ 食費・おむつ代・レク費・キャンセル料など、別にかかる費用
- □ 本人が過ごす場所の広さ、にぎやかさ、トイレまでの距離
- □ 利用できる曜日・時間と、当日に休むときの連絡のしかた
認定の期限と、損しやすい点
デイサービスもデイケアも、使える前提は要介護・要支援の認定です。認定には有効期間があります。厚生労働省の案内では、新規の認定は原則6か月(市区町村が必要と認めれば3〜12か月)、更新は原則12か月です。期間が切れたまま使うと、その間の費用が介護保険の対象にならない場合があります。更新の時期は、被保険者証と、ケアマネジャーからの連絡で確かめます。
- 名前だけで決めない。リハビリが目的なのに生活支援中心の事業所を選ぶと、ずれが出ます。逆も同じです。
- 要支援の方は、デイサービスの仕組みが違うと知っておきます。通所介護ではなく、総合事業の通所サービスになります。
- 認定が変わると、使えるものが変わる。要支援から要介護になったときは、担当者とプランを見直します。
- 医療費控除の領収書を捨てない。デイケアは自己負担額が対象です。デイサービスは、ケアプランに医療系サービスも入っているときだけ対象になります(国税庁)。事業所の領収書には、控除の対象になる金額が書かれます。くわしくは介護費用・おむつ代と医療費控除をご覧ください。個別の判断は、税務署や税理士にご確認ください。
- 食費などは別と知らずに、毎月の見込みより高くなることがあります。契約前に料金表で合計を出しておきます。
今日できる一歩
- 親の介護保険被保険者証を出して、要介護度と有効期間を確かめる。
- 「リハビリがしたいのか、日中の居場所がほしいのか」を、一言でメモする。
- そのメモを持って、ケアマネジャーか地域包括支援センターに電話する。
よくある質問
デイサービスとデイケアは、両方使えますか
組み合わせはケアプランで決まります。ケアマネジャーが、本人の状態と目的を見て提案します。両方を考えているときは、早めにケアマネジャーに伝えてください。
要支援でも、デイサービスに通えますか
通えます。ただし、介護保険の「通所介護」ではなく、市区町村の総合事業の通所サービスになります。担当は地域包括支援センターです。
負担が2割・3割になるのはどんなときですか
一定以上の所得がある方が、2割または3割になります。割合は毎年見直され、市区町村が交付する負担割合証に書かれています。自分の割合は、その証で確かめてください。
見学や体験はできますか
事業所によって違います。ケアマネジャーを通して申し込むと話が進みやすいです。見学のときは、料金表と重要事項説明書をもらってください。
親が「行きたくない」と言っています
無理に決めず、ケアマネジャーに状況を伝えてください。見学だけ先にする、短い時間から試すなど、段階を踏む方法を一緒に考えてもらえます。
参考にした公的情報
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム 通所介護(デイサービス)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html - 厚生労働省「介護サービス情報公表システム 通所リハビリテーション(デイケア)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group8.html - 厚生労働省「要介護認定に係る法令」(認定の有効期間)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html - 国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1127.htm - 名古屋市「介護予防・日常生活支援総合事業 サービス内容」
https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/yobou/about/service.html - 千葉県「令和5年度介護保険事業者集団指導(通所リハビリテーション)」
https://www.pref.chiba.lg.jp/koufuku/kaigohoken/documents/07r5-tsuusyoriha.pdf
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。費用、総合事業の内容、必要なものは、事業所や市区町村によって異なります。ご自身のケースは、ケアマネジャーや市区町村の窓口でご確認ください。介護や医療の判断は、担当の専門職や医師にご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
