「遺族年金は、家族のだれがもらえて、だれがもらえないのか。もらえるとしたら何歳までなのか」。家族が亡くなったあと、最初に調べる方が多い疑問です。答えは、亡くなった人がどの年金に入っていたかと、遺された人の続柄・年齢・子どもの有無の組み合わせで決まります。
この記事では、妻・夫・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のそれぞれについて、受け取れる遺族年金と受け取れる期間を1つの早見表にまとめました。家族の中でだれが受け取るかの順位、途中で止まる場面と届出の期限、2028年4月からの見直しで変わる人も整理しています。内容は2026年10月時点で、日本年金機構と厚生労働省の公表内容を確かめたものです。
この記事の結論
- 遺族年金は2種類です。国民年金の「遺族基礎年金」は、18歳になった年度の3月末までの子がいる配偶者と、その子だけが対象です。厚生年金の「遺族厚生年金」は、配偶者・子・父母・孫・祖父母まで対象が広がります。
- 何歳までかは立場で違います。妻は原則一生です(夫の死亡時に30歳未満で子がいなければ5年)。夫・父母・祖父母は死亡時に55歳以上なら60歳から一生、子と孫は18歳になった年度の3月末までです。
- もらえないのは、亡くなった人の保険料や加入期間の条件が足りない、生計を維持されていなかった、自分より順位が上の家族が受け取る、などの場合です。受け取り始めたあとも、結婚や養子縁組で権利がなくなります。
もらえる人は「亡くなった人の年金」と「遺された人の立場」で決まる
まず、亡くなった人がどの年金に入っていたかで、出る遺族年金の種類が決まります。そのうえで、遺された家族がその年金の対象に当たるかを見ます。順番を逆にすると、「うちは子どもが大きいから何も出ない」といった早とちりが起きやすくなります。
| 亡くなった人 | 出る可能性がある遺族年金 | 対象になりうる家族 |
|---|---|---|
| 会社員・公務員として厚生年金に入っている間に亡くなった | 遺族厚生年金。子がいれば遺族基礎年金も | 配偶者・子・父母・孫・祖父母 |
| 厚生年金の期間があり、老齢厚生年金を受け取っていた(または受け取る資格があった) | 遺族厚生年金。子がいれば遺族基礎年金も | 配偶者・子・父母・孫・祖父母 |
| 自営業などで国民年金だけだった | 遺族基礎年金だけ | 子のある配偶者と子。いなければ寡婦年金・死亡一時金を確認 |
(日本年金機構「遺族年金」「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」をもとに作成。2026年10月時点)
亡くなった人の側の条件も確かめます。加入中に亡くなった場合などは、国民年金の保険料を納めた期間と免除の期間が、加入期間の3分の2以上あることが必要です。2036年(令和18年)3月末までの死亡で65歳未満なら、直近1年間に未納がなければ足ります。年金を受け取っていた人や受け取る資格があった人は、加入期間などの合計が25年以上あることが条件です。
遺された人の側の土台は、亡くなった人に「生計を維持されていた」ことです。暮らしを共にしていて(別居でも仕送りがあるなどを含む)、前年の収入が850万円未満(所得なら655万5千円未満)であることをいいます。年金暮らしや専業主婦の家庭なら、多くの方が当てはまります。
家族別の早見表|もらえる人・もらえない人と何歳までか
亡くなった人に厚生年金の期間があり、遺された人が生計を維持されていた場合で、立場ごとに整理しました。ご自分の行を探してください。
| 遺された人(亡くなったときの状況) | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | 何歳まで |
|---|---|---|---|
| 妻(18歳年度末までの子がいる) | もらえる | もらえる | 遺族基礎年金は子が18歳になった年度の3月末まで。遺族厚生年金は原則一生 |
| 妻(子なし・30歳未満) | もらえない | もらえる | 5年で終わる |
| 妻(子なし・30〜39歳) | もらえない | もらえる | 原則一生 |
| 妻(子なし・40〜64歳) | もらえない | もらえる+中高齢寡婦加算 | 原則一生。加算は65歳まで |
| 妻(65歳以上) | もらえない | もらえる(自分の老齢厚生年金があれば差額) | 原則一生 |
| 夫(子がいる・55歳以上) | もらえる | もらえる(遺族基礎年金と一緒なら60歳前から) | 遺族基礎年金は子の年度末まで。遺族厚生年金は原則一生 |
| 夫(子がいる・55歳未満) | もらえる | 夫はもらえない(子が受け取る) | 遺族基礎年金は子の年度末まで |
| 夫(子なし・55歳以上) | もらえない | もらえる(60歳から) | 60歳から原則一生 |
| 夫(子なし・55歳未満) | もらえない | もらえない | ― |
| 子(18歳年度末まで。障害1・2級は20歳未満。未婚) | 配偶者が受け取る間などは止まる | もらえる(子のある配偶者が受け取る間は止まる) | 18歳になった年度の3月末まで(障害1・2級は20歳まで) |
| 父母(55歳以上) | もらえない | 配偶者・子が権利を得ていなければもらえる(60歳から) | 60歳から原則一生 |
| 孫(子と同じ年齢の条件) | もらえない | 配偶者・子・父母が権利を得ていなければもらえる | 18歳になった年度の3月末まで |
| 祖父母(55歳以上) | もらえない | 上の順位の家族が権利を得ていなければもらえる(60歳から) | 60歳から原則一生 |
| 兄弟姉妹 | もらえない | もらえない | ―(死亡一時金・未支給年金の対象にはなりうる) |
(日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」「遺族年金ガイド 令和8年度版」、厚生年金保険法59条をもとに作成。2026年10月時点。中高齢寡婦加算は、年金を受け取っていた夫などの場合、夫の厚生年金の加入期間が原則20年以上必要です)
表の「何歳まで」は、結婚などで権利がなくなる事情がない場合です。妻が65歳以上で自分の厚生年金もある場合は、権利はあっても実際に入る額が差額になります。いくらになるかは遺族年金で妻はいくら?計算シミュレーション、夫の場合は遺族年金で夫はいくら?で整理しています。
遺族年金は何歳までもらえる?期間の数え方
「何歳まで」は、年金の種類と立場ごとに区切りが違います。早見表の内容を、期間の数え方に沿って言い直すと次のとおりです。
- 遺族基礎年金は「子の年度末」まで:子が18歳になった年度の3月31日で終わります。たとえば2010年5月生まれの子なら、18歳になるのは2028年5月で、区切りは2029年3月31日です。障害等級1級・2級の子は20歳になるまでです。
- 妻の遺族厚生年金は原則一生:結婚などの事情がなければ、亡くなるまで続きます。例外は、夫の死亡時に30歳未満で子がいなかった妻で、5年で終わります。30歳になる前に子の遺族基礎年金が終わった妻も、そこから5年です。
- 中高齢寡婦加算は65歳まで:40歳以上65歳未満で子のいない妻などに、年635,500円(2026年度)が上乗せされます。65歳で終わり、昭和31年4月1日以前生まれの妻は経過的寡婦加算に切り替わることがあります。
- 夫・父母・祖父母は「55歳以上」が入口、受け取りは60歳から:亡くなったときに55歳以上なら対象で、55〜59歳の間は止まっています。子がいて遺族基礎年金も受ける夫は、60歳前から遺族厚生年金を受け取れます。
- 子・孫は18歳の年度末まで:障害等級1級・2級なら20歳までです。結婚すると、その時点で終わります。
- 寡婦年金は60歳から65歳になるまで:夫が国民年金だけだった妻の制度で、受け取れるのは最長5年です(寡婦年金と死亡一時金の違い)。
受け取りは、亡くなった月の翌月分から計算されます。支払いは偶数月に2か月分ずつで、請求書を出してから最初の振り込みまでは数か月かかります(日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」)。
家族の中でだれが受け取る?順位と「下の順位には回ってこない」
遺族厚生年金は、対象になる家族のうち、順位がいちばん上の人が受け取ります(日本年金機構)。順位は次のとおりです。
- 子のある配偶者
- 子
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
気をつけたいのは、上の順位の人が受け取る権利を得ると、下の順位の人は最初から対象にならないことです(厚生年金保険法59条)。たとえば夫が亡くなり、妻と夫の母が同居していたとします。妻が権利を得れば、夫の母は対象外です。その後に妻が再婚して権利がなくなっても、母に移ることはありません。
配偶者と子がどちらも対象になる家庭では、子のある妻(または子のある55歳以上の夫)が受け取っている間、子の遺族厚生年金は止まります。遺族基礎年金も、子と生計を同じくする父か母がいる間は、子には支払われません。家族のだれの名前で請求するかで書類も変わるので、年金事務所の予約のときに「だれが請求できるか」を先に聞いておくと二度手間になりません。
遺族年金がもらえない・途中で止まる場面の早見表
もらえない理由は、「亡くなった人の事情」「遺された人の事情」「受け取り始めたあとの出来事」の3つに分かれます。どこでつまずいているかが分かれば、確かめる先もはっきりします。
| いつの話か | 当てはまること | どうなるか |
|---|---|---|
| 亡くなった人の事情 | 国民年金の保険料の未納が多い。年金を受け取る前に亡くなり、加入期間などの合計が25年に足りない | 遺族年金が出ない。ただし厚生年金の加入中に初診日がある病気やけがで、初診日から5年以内に亡くなった場合などは別 |
| 遺された人の事情 | 前年の収入が850万円以上(所得655万5千円以上) | 生計維持に当たらず対象外。おおむね5年以内に850万円未満になると認められれば対象 |
| 遺された人の事情 | 夫・父母・祖父母が、亡くなった当時55歳未満 | 遺族厚生年金の対象外 |
| 遺された人の事情 | 上の順位の家族が権利を得た | 対象外。あとで上の人の権利がなくなっても回ってこない |
| 受け取り始めたあと | 結婚した(事実婚を含む)、直系血族・直系姻族以外の人の養子になった、離縁した | 権利がなくなる。遺族厚生年金は10日以内、遺族基礎年金は14日以内に「遺族年金失権届」を出す |
| 受け取り始めたあと | 子・孫が18歳の年度末(障害1・2級は20歳)を迎えた | その分が終わる。年齢による終了は失権届が要らない |
| 受け取り始めたあと | 夫の死亡時に30歳未満で子のなかった妻が、5年たった | 遺族厚生年金が終わる |
| 65歳以降 | 自分の老齢厚生年金のほうが多い | 権利はあるが、遺族厚生年金は全額止まり、入るのは0円 |
| 請求しないまま | 受け取る権利が生まれてから5年たった | 時効で受け取れない分が出る |
(日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」「生計維持」「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」「年金の時効」「遺族年金ガイド 令和8年度版」をもとに作成。2026年10月時点)
遺族年金がもらえない場合でも、別のお金が出ることがあります。夫が自営業などで国民年金だけだった妻は、寡婦年金か死亡一時金の対象になりえます(寡婦年金と死亡一時金の違い)。年金を受け取っていた人が亡くなったときは、亡くなった月までの払い残し(未支給年金)を、生計を同じくしていた家族が請求できます(未支給年金の請求方法)。籍を入れていない内縁の妻・夫も、条件を満たせば配偶者として扱われます(内縁の妻・夫は遺族年金をもらえる?)。
2028年4月からの見直しで、もらえる人はどう変わる?
2025年(令和7年)の法改正で、遺族厚生年金が見直されます。施行は2028年4月の予定です。厚生労働省が示している主な点は次のとおりです。
- 対象:18歳年度末までの子がいない、60歳未満で死別した配偶者です。今は55歳未満の夫は受け取れませんが、60歳未満の男性も5年間の給付の対象に加わります。女性は、2028年度末に40歳未満の方から対象になります。
- 中身:原則5年間の有期の給付になり、その間の額は今の約1.3倍になります。障害の状態にある人や収入が十分でない人は、5年後も受け取れる仕組みがあります。
- 影響を受けない人:すでに受け取っている人、60歳以上で権利が生まれる人、2028年度末に40歳以上の女性です。18歳年度末までの子を育てている間も、今の扱いのままです。
60代以上で配偶者を亡くした方の「もらえる・もらえない」と「何歳まで」は、見直しのあとも変わりません。今受け取っている方の年金が5年で打ち切られることもありません。
今日できる一歩
1. 亡くなった方の年金証書か、基礎年金番号の分かる書類を探す。会社員や公務員だった期間があるかが、最初の分かれ道です。
2. 家族のうち、だれが「生計を維持されていた」に当たるかを書き出す。同居か、仕送りがあったか、前年の収入はどれくらいかをメモします。
3. 年金事務所の予約を取り、「だれが請求できるか」を先に聞く。予約の取り方は年金事務所の予約のしかた、愛知・岐阜の窓口は愛知県・岐阜県の年金事務所一覧にまとめています。
よくある質問
遺族年金は何歳までもらえますか
立場で違います。妻は原則一生で、夫の死亡時に30歳未満で子がいなければ5年です。夫・父母・祖父母は、亡くなったときに55歳以上なら60歳から一生です。子と孫は18歳になった年度の3月末まで(障害1・2級は20歳まで)です。
子どもがいないと、遺族年金はもらえませんか
遺族基礎年金は出ません。ただ、亡くなった人に会社員や公務員として厚生年金に入った期間があれば、子のない配偶者も遺族厚生年金の対象です。子どもが成人している60代以上のご夫婦は、多くがこちらに当たります。
妻を亡くした夫は、遺族年金をもらえますか
妻が亡くなったときに夫が55歳以上なら、60歳から遺族厚生年金を受け取れます。18歳年度末までの子がいれば、年齢に関係なく遺族基礎年金も出ます。額の目安は遺族年金で夫はいくら?をご覧ください。
亡くなった子どもの遺族年金を、親はもらえますか
亡くなった子に配偶者や子がいて、その人が権利を得た場合は対象外です。いない場合は、生計を維持されていた55歳以上の父母が、60歳から遺族厚生年金を受け取れます。仕送りを受けていたなど、生計維持を示す書類が要ることがあります。
兄弟姉妹は遺族年金をもらえますか
もらえません。ただ、生計を同じくしていた兄弟姉妹は、死亡一時金や未支給年金の対象になることがあります。順位はほかの家族より後なので、配偶者や子などがいない場合です。
離婚した元の妻は、遺族年金をもらえますか
元の配偶者は対象になりません。2人の間の子は、亡くなった人に生計を維持されていれば対象になる場合があります。ただし遺族基礎年金は、子と生計を同じくする父か母がいる間は止まります。個別の扱いは年金事務所で確かめてください。
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参考にした公的情報
- 日本年金機構「遺族年金」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」(PDF)
- 日本年金機構「生計維持」
- 日本年金機構「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」
- 日本年金機構「年金の時効」
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」(第59条 遺族)
- 厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報の整理です。受け取れる年金の種類や期間は、亡くなった方と遺された方それぞれの加入記録、生年月日、家族の状況で変わります。実際の判断は、年金事務所またはねんきんダイヤルでご確認ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
