相続した古い実家を「壊してから売るか」「解体にいくらかかり、補助金は出るのか」で迷っている方に向けた記事です。解体は一度始めると元に戻せません。順番を間違えると、補助金が受けられなかったり、土地の固定資産税が上がったりします。
名古屋市の解体の補助金2つと、瀬戸市・春日井市・大府市など近隣8市の補助の一覧、解体費の目安、解体すると変わる固定資産税、空き家の3,000万円特別控除との関係、見積の内訳と工事前後の手続きを、各市・愛知県・国税庁などの公式情報で確かめてまとめました(2026年11月時点)。
解体は「売り方」を決めてから。補助金は契約の前に申し込む
押さえておきたい3つのこと
- 壊すかどうかは、売り方を聞いてから決めます。古家付きで売るか、更地で売るかは、地域や家の傷み方で答えが変わります。不動産会社の査定で両方の見込みを聞くのが近道です。
- 名古屋市には解体の補助が2つあります。昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅の「戸建木造住宅除却助成」(上限20万円)と、危険な空き家の「老朽危険空家等除却費補助金」(上限40万円または80万円)です。どちらも交付決定の前に契約・着工すると受けられません。近隣の市にも同じような補助があり、上限は市と制度によって10万〜90万円です。
- 壊すと、翌年から土地の固定資産税が上がることがあります。固定資産税は1月1日の状態で決まり、住宅が建っている土地の軽減(最大6分の1)は、更地では使えないためです。
解体して売る・古家付きで売る・そのまま持つの比較表
相続した古い家の扱いは、大きく3つに分かれます。どれが合うかは、家の傷み方と、売るまでの期間で決まります。
迷うときは、査定を頼むときに「古家付きで売る場合」と「更地にして売る場合」の両方の見込みを聞きます。解体費を差し引いても更地のほうが手元に残るのか、査定の書面で比べられます。売る手順の全体は名古屋・愛知で相続した実家を売る手順にまとめています。
名古屋市の解体の補助金は2つ:対象と金額
名古屋市には、空き家の解体に使える補助が2つあります。対象になる家と金額が違うので、先にどちらに当てはまりそうかを見ます。
相続した古い木造の家なら、まず当てはまりやすいのは「戸建木造住宅除却助成」です。たとえば延床面積100㎡の家で解体費が150万円なら、解体費の3分の1は50万円、100㎡×9,600円の3分の1は32万円で、上限の20万円が助成額になります。
どちらの補助も、交付決定の通知を受けてから契約・着工するのが決まりです。解体業者の見積を取るのは先でかまいませんが、契約書に判を押すのは決定のあとにします。名古屋市によると、申請から決定まではおおむね2週間です。
名古屋近郊の市の解体の補助(2026年度)
名古屋市の外にある実家でも、市ごとに解体の補助があります。名古屋近郊の主な市の制度を、各市の公式ページで確かめて並べました。耐震の補助として「古い木造住宅」を対象にするものと、「傷んだ空き家」を対象にするものの2種類があり、市によって片方だけのこともあります。
表のとおり、耐震の補助は「解体費の23%・上限20万円」の形が多く、豊田市・豊明市は上限が50万円台です。日進市の木造住宅の補助のように「いま住んでいる家」に限る制度もあるため、相続して空き家になった家は、空き家向けの制度があるかもあわせて聞きます。
表にない市町村は、愛知県の「あいち耐震改修ポータルサイト」に市町村の窓口の一覧があります。電話では「昭和56年以前の木造住宅を解体したい。除却の補助と、その前の耐震診断はありますか。空き家でも使えますか」と聞くと話が早く進みます。
解体すると固定資産税はどう変わるか
住宅が建っている土地には、固定資産税を軽くする「住宅用地の特例」があります。名古屋市の案内では、住宅1戸につき200㎡までの部分は固定資産税の課税標準が6分の1、200㎡を超える部分は3分の1になります(都市計画税は3分の1と3分の2)。
この特例は、毎年1月1日に住宅の敷地になっている土地に使われます。年内に解体を終えて更地のまま年を越すと、その年度から土地の税額が上がることがあります。売る時期が年明けになりそうなら、解体の時期を不動産会社と相談してから決めます。家の名義や、届いている納税通知書の扱いは亡くなった親宛に固定資産税の納税通知書が届いたらで説明しています。
解体が12月中に終わるか1月2日以降になるかで、どの年度から税額が変わるかは、空き家の解体は年内か年明けかに名古屋市の計算例と早見表でまとめています。
一方で、壊さずに放っておいた家が、管理不全空家等や特定空家等として市町村から勧告を受けると、建物が残っていても特例から外れます。どちらにしても、家を「決めないまま置いておく」のがいちばん重くなりやすい形です(空き家を放置すると固定資産税は6倍?)。
空き家の3,000万円特別控除と、解体の順番
亡くなった親が一人で住んでいた家を相続して売るとき、条件を満たせば、売った利益から最高3,000万円を差し引ける特例があります(国税庁 タックスアンサーNo.3306)。解体との関係では、次の点が大事です。
- 壊してから土地を売っても使える:家を全部取り壊したあとに土地を売る形も対象です。ただし、相続してから取り壊すまで、取り壊してから売るまでの間に、人に貸したり、駐車場などに使ったりしていないことが条件です。
- 買った人が壊す形も使える:2024年1月1日以後の売却なら、売るときに耐震基準を満たしていなくても、売った年の翌年2月15日までに買った人が取り壊すか耐震改修をすれば対象になります。自分で先に壊さなくてよい道があります。
- 家の条件と期限:昭和56年5月31日以前に建てられた家で、亡くなる直前に親以外が住んでいなかったことなどが条件です。売るのは相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、特例の対象は2027年12月31日までの売却です。売る値段は1億円以下です。
- 相続人が3人以上なら上限は2,000万円:2024年1月1日以後の売却で、家と土地を相続した人が3人以上いると、1人あたりの上限は2,000万円になります。
使えるかどうか、税金がいくらになるかは、家ごとに違います。個別の判断は税務署の相談窓口か税理士に確かめてください。特例の全体と、名古屋市で要る「被相続人居住用家屋等確認書」の取り方は相続した空き家の税金と売却で整理しています。
解体を頼むときの流れと、見積で確かめる内訳
解体の費用は、建物の大きさと造り、道の広さ、残っている家財の量などで大きく変わります。先に、公的な機関や空き家の支援団体が示している目安を見ておくと、届いた見積が高いか安いかの見当がつきます。
目安に幅があるのは、「建物だけ」の単価か、「塀や家財の処分まで含めた総額」かが出どころごとに違うためです。金額だけで比べず、何が含まれているかを次の表の項目で並べると、あとからの追加請求を防げます。
見積は2〜3社に、同じ条件で頼みます。工事の前後には、次の手続きがあります。
- 家財を片付ける:書類や貴重品を先に探し、残す物・処分する物を分けます(実家を売る前の片付けはどこまで?)。
- 補助金を申し込む:使えそうなら、交付決定を受けてから工事の契約をします。
- 電気・ガス・水道を止める:解体の日程に合わせて、各社に使用中止を伝えます(空き家の電気・水道・ガスは止める?残す?)。
- 工事前の届出:床面積80㎡以上の建物の解体は、建設リサイクル法により工事着手の7日前までの届出が要ります。名古屋市内の建物の解体は建築指導課(052-972-2924)が窓口です。あわせて、解体部分の床面積が80㎡以上の工事では、アスベストの事前調査の結果を元請業者が報告します。
- 建物の滅失登記:建物を取り壊したら、1か月以内に「建物滅失登記」を申請します(不動産登記法57条)。申請は土地家屋調査士に頼むのが一般的で、自分で申請することもできます。分からないことは、家のある地域の法務局の相談窓口で聞けます。
相続登記がまだのときは、売る前に済ませる必要があります。家の名義の確かめ方は実家の名義を確認する方法で説明しています。
解体を考え始めたら、まず確かめること
- 固定資産税の納税通知書か登記事項証明書で、家が建った年(昭和56年5月以前か)と延床面積を確かめる
- 家のある市町村の窓口に、除却の補助(耐震向け・空き家向け)と耐震診断があるかを電話で聞く
- 不動産会社に査定を頼むとき、「古家付き」と「更地」の両方の見込みを聞く
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壊す前に、古家付きと更地の両方で値段を聞きたい場合
愛知の不動産会社「不動産SHOPナカジツ」が無料で査定します。売ると決めていなくても、いくらになるかを知るためだけに頼めます。申し込むときに「解体するか迷っている」と伝えておくと、古家付きと更地の両方で話を聞けます。家が店舗の対応地域の外にある場合や、売るかどうかをまだ家族で話し合っている段階なら、今は申し込まなくて構いません。家の近くの不動産会社に直接頼む方法もあります。
申込先は株式会社不動産SHOPナカジツです。当サイト(いまから相続)が査定や売却の仲介、解体の手配をするものではありません。査定のあとの連絡は、申し込むときに『メールで』などと希望を伝えておくと安心です。
ナカジツの口コミの良い点・悪い点と、査定後の連絡が多いという声への対策は、不動産SHOPナカジツの評判・口コミにまとめています。
実家をどうするかは、兄弟の分け方や、残された親の住まいの話とつながっていることが多いです。何から決めるかを整理したい方は、30分の無料相談でお話をうかがえます。愛知県内はご自宅への訪問もできます。その場で何かをお決めいただく必要はありません。
空き家の解体についてよくある質問
解体の補助金は、工事が終わってから申し込めますか?
名古屋市の2つの補助は、どちらも交付決定の前に契約・着工した工事は対象外です。ほかの市町村でも同じ決まりのことが多いため、見積を取った段階で窓口に相談してください。
親の名義のままの家でも、補助金は使えますか?
名古屋市の戸建木造住宅除却助成は、前の所有者が亡くなっていて、いまの所有者を書類で示せない場合は事前に相談するよう案内しています。老朽危険空家等除却費補助金は、所有者全員の同意が要ります。相続人が複数いるときは、先に家族で話をまとめておきます。
解体したら、固定資産税はすぐに上がりますか?
固定資産税は1月1日の状態で決まるため、上がるのは更地で1月1日を迎えた年度からです。年の途中で解体しても、その年度の税額は変わりません。
建物滅失登記をしないとどうなりますか?
不動産登記法は、建物がなくなった日から1か月以内に滅失の登記を申請するよう定めています。登記が残ったままだと、土地を売るときに手続きが進みません。解体業者から受け取る取り壊しの証明書は、なくさずに保管します。
古家付きで売ると、3,000万円特別控除は使えませんか?
古家付きでも、売るときに耐震基準を満たしているか、2024年以後の売却で翌年2月15日までに買った人が取り壊すか耐震改修をすれば対象になります。ほかの条件もあるため、売る前に確かめてください。
参考にした公的情報・資料
- 名古屋市「戸建木造住宅除却助成」
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/juutaku/1014710/1014649/1034739/1014651.html - 名古屋市「老朽危険空家等除却費補助金」
https://www.city.nagoya.jp/bousai/anzen/1034530/1014550/1034531/1014557.html - 愛知県「木造住宅の耐震化の支援」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025466.html - 瀬戸市「木造住宅除却工事費補助事業」
https://www.city.seto.aichi.jp/docs/2018/04/09/00042/ - 春日井市「老朽空き家解体費補助金」
https://www.city.kasugai.lg.jp/kurashi/1033189/1038894/1039004/1039005.html - 大府市「木造住宅解体工事費補助」
https://www.city.obu.aichi.jp/kurashi/hojyokin/jyutaku/1023175.html - 大府市「大府市老朽空家除却費補助」
https://www.city.obu.aichi.jp/kurashi/hojyokin/jyutaku/1021848.html - 豊明市「木造住宅の除却費補助金助成制度について」
https://www.city.toyoake.lg.jp/6322.htm - 日進市「木造住宅除却工事費補助について」
https://www.city.nisshin.lg.jp/kurashi/sumai/jutaku/taishinn/6313.html - 日進市「日進市不良空家除却促進補助金」
https://www.city.nisshin.lg.jp/department/toshisangyo/toshi/7/3/2/2/5329.html - 尾張旭市「民間木造住宅除却工事費補助」
https://www.city.owariasahi.lg.jp/page/48788.html - 一宮市「一宮市民間木造住宅解体工事費補助金について」
https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/kenchiku/juutakuseisaku/1044399/1044400/1044401/1011801/1002185.html - 豊田市「木造住宅の地震防災対策と補助事業」
https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/bousaibouhan/bousaishien/1013899/1002571.html - 豊田市「豊田市空家解体促進費補助金」
https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/sumai/teiju/1036825.html - 国土交通省「令和7年度における住宅局所管事業に係る標準建設費等について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001984775.pdf - NPO法人 空家・空地管理センター「解体費用はいくらくらいかかりますか?」
https://www.akiya-akichi.or.jp/faq/12814/ - 神戸市すまいの安心支援センター「空き家の解体費用の相場を知りたい」
https://www.smilenet.kobe-rma.or.jp/faq-list/10843/ - 名古屋市「土地の評価額と税負担について」(住宅用地の特例)
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000074987.html - 名古屋市「住宅を新築した場合や建て替えた場合に住宅用地に対する課税標準の特例措置が適用されるかどうか知りたい。」(賦課期日1月1日の扱い)
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000097938.html - 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm - 愛知県 尾張建設事務所「建設リサイクル法の届出」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/owari-kensetsu/0000042883.html - 名古屋市「石綿の事前調査」(事前調査結果の報告)
https://www.city.nagoya.jp/jigyou/gomi/1026075/1026119/1026125/1026127.html - 法務局「建物滅失登記申請書」(様式・記載例。期限は不動産登記法57条)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
※本記事は2026年11月時点の法令と、名古屋市・愛知県・国税庁などの公式情報をもとにした一般的な整理です。補助金は年度ごとに内容や受付状況が変わり、予算に達すると受付が終わることがあります。申し込む前に、家のある市町村の窓口でご確認ください。税金の個別の判断は税務署または税理士に、登記は法務局または土地家屋調査士・司法書士にご確認ください。
