老後資金の見直し方|月4.2万円の不足の目安と棚卸し4ステップ・3つの事例

「老後資金の見直しが大切なのはわかったけれど、みんな実際どう進めているのだろう」——制度や考え方の説明だけでは、自分ごととして捉えにくいものです。この記事では、愛知県内の当社に寄せられたご相談をもとに再構成した典型的な事例を通じて、老後資金の見直しの進め方を、中立の立場で紹介します。

※以下はいずれも、個人が特定されないよう内容を改変・再構成した一般的な事例です。特定の実在の方の事案ではありません。また、当社は特定の金融商品を推奨する立場ではなく、資産全体の整理をお手伝いする視点でお伝えします。

目次

老後資金はいくら足りない?公的調査で見る目安(2025年)

見直しを始める前に、平均的な数字を知っておくと、ご自身の家計と比べやすくなります。次の数字はあくまで平均で、個々の世帯に必要な額を示すものではありません。

指標数字(月額)出典
高齢夫婦無職世帯(65歳以上の夫婦のみ)の家計実収入 約25.4万円、消費支出 約26.4万円。可処分所得との差(不足分)は約4.2万円総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」
老後の最低日常生活費(夫婦2人)平均 23.9万円生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度
ゆとりある老後生活費(夫婦2人)平均 39.1万円(最低日常生活費への上乗せは平均15.2万円)生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度

家計調査の不足分(約4.2万円)をそのまま年換算すると約51万円です。この水準が続くと単純計算で、20年で約1,000万円、30年で約1,500万円の取り崩しになります。ただし、持ち家か賃貸か、医療・介護の費用、住宅の修繕、年金額の違いで、世帯ごとの数字は大きく変わります。「足りる・足りない」は平均ではなく、後述するステップ1・2の棚卸しで、ご自身の数字に置き換えて判断してください。

事例1:「退職金の使い道に迷った」

退職金を受け取り、金融機関から運用商品をすすめられて迷っていた60代の方。まずは急いで決めず、資産全体の棚卸しと生活費の見通しから整理しました。「増やすこと」より先に「全体像を知ること」が大切だと実感された事例です。退職金受け取り時の確認事項は退職金を受け取ったら最初に確認すべきことで解説しています。

当社の実務から
相続では、死亡保険金が「遺産分割を待たずに受取人へすぐ入る現金」として役立つ場面があります。葬儀費用・相続税の納税資金・代償金の原資に使え、非課税枠(500万円×法定相続人)もあります。ただし一時払い終身は早期解約で元本割れ等があるため、当面使わない資金に限り、他の方法(生前贈与・信託・遺言・預貯金の取り分け)と比較して判断してください。

事例2:「現役時代の保険が今に合っていなかった」

子育て期に加入した手厚い死亡保障をそのままにしていた方。子が独立し、今の暮らしには保障が過大になっていました。保障内容を整理し、相続対策として非課税枠を活かす視点も含めて見直したことで、家計と備えのバランスが整いました。保険見直しの視点は老後資金と生命保険の見直しポイントにまとめています。

事例3:「収入源が家族に伝わっていなかった」

不動産の賃料や個人年金など、複数の収入源を持つ方。ご本人しか把握しておらず、「もし自分が認知症になったら、相続になったら」と不安を感じていました。収入源を一覧にして家族と共有し、認知症時の管理の備えも検討しました。年金以外の収入源の整理は年金以外の収入源、生前に整理しておくべきもので解説しています。

事例から見えてくる共通点

共通するのは、「まず全体像を棚卸しすると、次にやるべきことが見えてくる」という点です。老後資金の見直しは、増やすことばかりを考えるのではなく、資産を整理し、保険や相続対策とあわせて全体で設計することが大切です。全体の流れは退職金・老後資金、生前対策として何を見直すべきかをご覧ください。

当社では、複数の提携行政書士による監修体制のもと、愛知県内で中立の立場からご相談を承っています。「不要なものは不要」とお伝えする方針ですので、まずは資産の棚卸しから始めてみてください。

老後資金の見直しは何から始める?4つのステップ

事例に共通していたのは「まず全体像を棚卸しする」という進め方でした。ここでは、老後資金の見直しを実際に進めるときの手順を4つのステップに整理します。焦って商品を選ぶ前に、この順番で確認しておくと判断がぶれにくくなります。

老後資金の見直し 4つのステップ
1
資産と収入源の棚卸し
2
生活費・将来支出の見通し
3
保険の保障内容の点検
4
相続・認知症への備えと統合
  1. ステップ1:資産と収入源の棚卸し…預貯金・有価証券・保険・不動産・年金・その他の収入源を一覧にします。どこに何があるかを書き出すだけで、次に見直すべき点が見えてきます。年金以外の収入源の整理もあわせて確認しておくと安心です。
  2. ステップ2:生活費と将来の大きな支出の見通し…日々の生活費に加え、住宅の修繕・医療・介護など将来まとまって必要になる支出を概算します。「いつ・いくら必要になりそうか」を把握すると、取り崩し方針が立てやすくなります。
  3. ステップ3:保険の保障内容の点検…現役時代に加入した死亡保障が今の暮らしに合っているかを確認します。保障が過大なら見直し、相続対策として非課税枠を活かす視点も含めて検討します(老後資金と生命保険の見直しポイント)。
  4. ステップ4:相続・認知症への備えとの統合…老後資金の見直しは、相続対策や認知症時の資産管理と切り離せません。誰に何を残すか、判断能力が低下したときに誰が管理するかまで含めて全体で設計します。

老後資金の棚卸しでチェックしたい項目

ステップ1の棚卸しでは、次の項目を一覧にしておくと専門家への相談もスムーズです。金額は概算でかまいません。まずは「どこに何があるか」を家族と共有できる状態にすることが目的です。

区分 棚卸しの対象 確認しておきたいこと
預貯金 普通・定期預金、ネット銀行口座 口座数・おおよその残高・引き落とし設定
有価証券 株式・投資信託・債券など 保有商品・評価額の目安・口座の所在
保険 生命保険・医療保険・個人年金 受取人・保障額・満期や解約返戻金の有無
不動産 自宅・賃貸物件・土地 名義・おおよその評価・活用や売却の方針
年金・収入源 公的年金・企業年金・家賃収入など 受給額の目安・年金以外の収入の有無
負債 住宅ローン・その他借入 残高・返済期間・団体信用生命保険の有無

この一覧が整うと、「増やす」より先に「どこを見直すか」が具体的になります。手をつける順番に迷うときは生前整理のやり方もあわせてご覧ください。

典型例:老後資金の見直しが相続対策につながったケース

以下は、当社の相談をもとに再構成した典型例です(個人が特定されないよう内容を改変しています)。70代のご夫婦から「老後資金は足りそうだが、まとまった預金が定期のままで、認知症になったら動かせないのが不安」とご相談がありました。棚卸しの結果、生活費の数年分を普通預金に残しつつ、残りの一部を非課税枠の範囲で生命保険に組み替え、受取人を子に指定。あわせて、判断能力が低下したときに備えて家族で管理方針を話し合う、という整理を行いました。老後資金の見直しが、そのまま相続対策と認知症への備えにつながった一例です。ご自身に合う対策と非課税枠の目安は、無料の相続税・生前対策かんたん診断でも確認できます。

生命保険金の非課税枠(相続税)
500万円 × 法定相続人の数
例:法定相続人が3人なら 500万円×3人=1,500万円が目安。
まとまった預貯金の一部を、この枠の範囲で生命保険に組み替える方法があります。
※実際の取り扱いは家族構成や契約内容で変わります。具体的な税額は税理士にご確認ください。

見直しを進めるときの注意点

老後資金の見直しでは、目先の利回りだけで判断しないことが大切です。高齢期は、値下がりしても長く待てない・急に現金が必要になるといった事情が増えます。また、判断能力が低下すると定期預金の解約や有価証券の売却ができなくなるため、「元気なうちに動かしやすい形にしておく」視点が欠かせません。税金の取り扱いは家族構成や契約内容で変わるため、具体的な税額は税理士に、契約の見直しは保険会社や募集人に確認しながら進めましょう。

見直しで整えやすい点
✓ 全体像を棚卸しして「どこに何があるか」を把握
✓ 過大になった死亡保障を今の暮らしに合わせて調整
✓ 非課税枠を活かす視点で保険を検討
✓ 収入源を一覧にして家族と共有
進めるときの注意点
⚠️ 目先の利回りだけで判断しない
⚠️ 高齢期は値下がりで長く待てない・急な現金化も
⚠️ 判断能力の低下前に動かしやすい形にしておく
⚠️ 税額は税理士、契約見直しは保険会社・募集人に確認

よくある質問(FAQ)

老後資金の相談は何から始めればいいですか?

資産の棚卸し(全体像の把握)からです。どこに何があるかを書き出すだけで、次に見直すべきことが見えてきます。診断ツールで整理してから相談すると、話がスムーズです。

運用商品のおすすめは教えてもらえますか?

当社は特定の金融商品を推奨する立場ではありません。中立の立場で、資産全体の整理や、相続・生前対策との統合をお手伝いします。運用の判断は、それぞれの専門家にご相談ください。

資産の棚卸しと必要な備えを確認してみませんか? 相続税・生前対策かんたん診断(無料・登録不要・1分)で今の状況を整理できます。保険の見直しは、複数社を比較できる提携保険代理店をご紹介することも可能です(ご紹介にあたり当社が紹介料を受け取る場合があります)。愛知県内での個別相談も承っています。

棚卸しはできたが、次に何を動かすかで止まっている方へ
一覧を書き出したあと、「保険を減らすべきか」「定期預金をどうするか」「誰に何を残すか」で手が止まる方が多い場面です。30分の無料相談では、その一覧をもとに今動かすもの・急がないもの・専門家に回すものを切り分けてお持ち帰りいただけます。愛知県内は対面、それ以外はオンラインです。
お電話 052-766-5650(相談中は折り返しになります)

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。掲載事例は個人が特定されないよう改変・再構成した一般的なもので、特定の実在事案ではありません。特定の金融商品の推奨・勧誘や断定的判断の提供を行うものではありません。提携保険代理店をご紹介する場合、当社が紹介料を受け取ることがあります。複数の提携行政書士による監修体制で運営しています。

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この記事を書いた人

「いまから相続」は、株式会社アシストプラスが運営する、相続の手続き・生前対策・終活に関する情報サイトです。愛知県内の相続相談先の選び方や費用相場、金融機関ごとの手続き、生前対策や終活の進め方など、地域の実情に即した実践的な情報をお届けしています。 なお、運営会社である株式会社アシストプラスには、「あいち相続あんしんセンター」代表を務める司法書士 今井裕司が一部出資しております。この関係性を踏まえ、記事内でのご紹介・ご案内は公平性を保つよう努めています。

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