実家の名義を確かめたくなり、法務局のサイトを開いてみた。けれど「窓口」「郵送」「オンライン」「登記情報提供サービス」と似た言葉が並び、どれを選べばよいか分からない。そんな声をよく聞きます。
この記事では、土地・建物の登記事項証明書(昔の呼び名は登記簿謄本)の取り方を、2026年10月時点の公式な案内で整理します。
先に結論:証明書は誰でも取れる。迷うのは「地番」と「受け取り方」
この記事の結論
- 誰でも請求可:登記事項証明書は、親族でなくても請求できます。委任状は要りません。
- 手数料は3通り:窓口と郵送の書面請求は1通600円。オンライン請求は、窓口受取490円、郵送受取520円です。
- 地番を先に調べる:登記は住所ではなく「地番」と「家屋番号」で探します。ここが一番つまずきやすい点です。
登記事項証明書は、土地や建物の持ち主と、抵当権などの権利が書かれた書類です。名義の確認や相続の手続き、家の売却で使います。
名義を確かめる目的で取る場合は、実家の名義を確認する方法|登記簿(登記事項証明書)の取り方と古い名義の対処もあわせてご覧ください。この記事は、取り方そのもの(手数料と手順)に絞っています。
3つの方法と、似た名前のサービスの違い
請求の方法は、窓口・郵送・オンラインの3つです。これとは別に「登記情報提供サービス」があります。名前が似ていますが、こちらは証明書になりません。
登記情報提供サービスの案内には「登記事項証明書は交付されません」と書かれています。銀行や役所に出す書類としては使えません。提出先が必要とする場合は、上の3つの方法で請求します。
手数料の一覧:窓口・郵送・オンライン・登記情報提供サービス
書面の証明書は、1通が50枚を超えると、超えた50枚ごとに100円が加わります。ふつうの住宅なら、1通は数枚から十数枚ほどのことが多く、この加算はあまり気にしなくて大丈夫です。
郵送の返信用切手の額は、法務局ごとの案内に古い金額が残っていることがあります。送る前に、管轄の法務局の最新の案内で確かめてください。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
対象になる人・ならない人の早見表
地番と住所は別もの:先に調べる5つの方法
登記は、住所(住居表示)ではなく「地番」と「家屋番号」で不動産を特定します。法務局の案内でも、この2つは住所と異なる場合があると注意されています。
たとえば、住所が「○丁目5番3号」でも、登記上の地番は「△△町1234番」といった別の番号のことがあります。住居表示が行われていない地区では、住所と地番が同じことが多いとされています。
地番を調べる方法として、法務局の案内には次のようなものが挙がっています。
- 権利証か登記識別情報を見る。土地の所在と地番が書かれています。
- 固定資産税の納税通知書を見る。毎年届く通知書や課税明細書に、土地の地番や建物の家屋番号が載っています。
- 管轄の法務局に電話する。住所が分かれば、そこから地番を検索してもらえる場合があります。
- 法務局の備え付けの地図で調べる。周りの土地の地番が分かるときに使えます。閲覧には所定の手数料がかかります。
- 登記情報提供サービスの地番検索を使う。無料で「おおよその地番」が分かります。使える地域は順次広がっているため、利用前に確認が必要です。
市販のブルーマップ(住宅地図に地番を重ねた地図)が備え付けられている窓口もあります。ただし、発行されていない地域もあるため、法務局の窓口で聞くのが確実です。
親名義の土地や建物をまとめて洗い出したいときは、市区町村の名寄帳にも所在や地番が載っています。相続登記の税金に使う評価額は、固定資産評価証明書で確かめます。
名義が祖父母のままかもしれない家の場合は、法務局から「長期相続登記等未了土地」の通知が届いたらも、あわせて確認してください。
請求の流れと持ち物チェックリスト
- 地番と家屋番号を確認する。土地は「所在+地番」、建物は「所在+家屋番号」です。土地と建物は別々の証明書になります。
- 受け取り方を決める。急ぐなら窓口、遠方なら郵送かオンラインです。
- 請求する。窓口では備え付けの申請書に所在・地番・家屋番号を書きます。郵送は申請書に収入印紙を貼り、返信用封筒を同封します。オンラインは「かんたん登記・供託申請」で入力します。
- 手数料を納める。オンラインはネットバンキングなどの電子納付で、収入印紙は要りません。郵送は収入印紙です。
- 受け取って中身を見る。持ち主の欄と、抵当権などの権利の欄を確かめます。
窓口に行くときのチェックリスト
- □ 土地の所在と地番をメモした
- □ 建物の所在と家屋番号をメモした(あれば)
- □ 通数を決めた(土地と建物で別の通数になる)
- □ 手数料の準備をした(収入印紙か、窓口の案内に従う)
- □ 権利証か納税通知書を持った(地番の確認用)
窓口では、備え付けの申請書に所在・地番などを書いて請求します。住所と地番のずれが心配なら、権利証や納税通知書を持っていくと安心です。
期限はないが、提出先の「3か月以内」に注意。損しやすい点も
登記事項証明書そのものに、有効期限はありません。ただし、提出先が「発行から3か月以内」などと決めていることがあります。
古い証明書を出すと、取り直しを求められることがあります。早く取りすぎないよう、提出先の指定を先に聞いてから請求するのが無難です。
証明書は、取った日の登記の内容を示すものです。その後に名義や権利が変わっても、手元の紙は自動では更新されません。
名義がすでに変わっていて、相続人の確認も必要になりそうなときは、法定相続情報一覧図の取り方も参考になります。
損しやすい点
- 登記情報提供サービスで済ませてしまう:画面で内容は見られますが、証明書は交付されません。提出用には取り直しになり、費用が二重にかかります。
- 住所のまま請求しようとする:住居表示では不動産を特定できません。地番が分からないと請求できず、窓口で待ち時間が増えます。
- 土地だけ取って建物を忘れる:土地と建物は別々に登記されています。家の名義を見たいなら、両方が必要です。
- 郵送の切手代を見落とす:郵送の書面請求は、手数料のほかに返信の切手代がかかります。オンラインの郵送受取は、郵送料込みの520円です。
- オンラインの受付時間を知らない:「かんたん登記・供託申請」の受付は平日の8時30分から23時まで、休日は8時30分から18時までです(年末年始は休み)。窓口受取の場合、平日17時15分以降や休日の請求は翌業務日の受付になります。
今日できる一歩
- 親の家の固定資産税の納税通知書(課税明細書)を探し、土地の地番と建物の家屋番号をメモに写す。
よくある質問
遠くにある実家の証明書を、近くの法務局で取れますか。
オンライン請求なら、自宅近くの登記所を受取先に指定して窓口で受け取るか、郵送で受け取れます。窓口受取は490円、郵送受取は520円です。書面でも、最寄りの登記所の窓口で管轄外の不動産の証明書を請求できます(登記事項要約書は管轄の登記所のみ)。
親の同意や委任状は必要ですか。
登記事項証明書は誰でも請求できるため、委任状の仕組みは用意されていません。ただ、親に黙って調べるとトラブルのもとになりかねません。声をかけてから動くのが穏やかです。
登記簿謄本と登記事項証明書は同じものですか。
登記簿が紙だった頃の呼び名が「登記簿謄本」です。いまはコンピュータで管理されており、同じ内容の書類を「登記事項証明書」と呼びます。窓口で「謄本をください」と言っても通じることが多いです。
登記情報提供サービスの利用に、登録は要りますか。
登録して使う方法のほか、事前登録なしで1日だけ有効なIDを取り、クレジットカードで払う「一時利用」があります。利用できる時間は、平日が8時30分から23時、土日祝が8時30分から18時です。年末年始は休みです。
地番が分からないとき、法務局で教えてもらえますか。
電話で住所から地番を検索してもらえることがあります。対応は法務局ごとに違うため、管轄の法務局に聞いてみてください。権利証や納税通知書が見つかれば、そこが一番早い確認先です。
スマホからオンライン請求できますか。
できます。名古屋法務局の案内では、登記事項証明書や地図・図面の証明書はスマートフォンからも請求できるとされています。使うのは「かんたん登記・供託申請」で、手数料はネットバンキングなどで電子納付します。受け取りは、郵送か法務局の窓口を選べます。地番と家屋番号を手元に用意してから始めると、入力で迷いません。
オンライン請求すると、何日で届きますか。
決まった日数は公表されていません。証明書は、法務局が手数料の納付を確かめてから発行されます。郵送受取なら、そこから郵便の日数が加わります。窓口受取で平日17時15分以降や休日に請求した分は、翌業務日の扱いです。提出の期日が近いときは、窓口受取を選ぶか、請求先の法務局に処理状況を聞いてください。
登記簿の「閲覧」と登記事項証明書は、何が違いますか。
閲覧は中身を見るため、証明書は提出するための書類です。法務局の窓口では、登記簿などの閲覧や、要点だけを書いた登記事項要約書の交付も受けられます。手数料はどちらも500円です(2026年10月時点の法務局の手数料一覧)。銀行や役所に出すなら、登記事項証明書を取ってください。画面で見るだけなら、登記情報提供サービスもあります。
参考にした公的情報
- 法務省「登記手数料について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/ - 法務省「オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji71.html - 法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25-1.html - 法務省「登記情報提供サービスにおける「地番検索サービス」について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00210.html - 旭川地方法務局「地番を調べる方法はありますか」
https://houmukyoku.moj.go.jp/asahikawa/page000001_00090.html - 岐阜地方法務局「郵送請求」のご案内
https://houmukyoku.moj.go.jp/gifu/table/QandA/all/yusouseikyu.html - 名古屋法務局「オンラインによる証明書の請求」のご案内
https://houmukyoku.moj.go.jp/nagoya/touki-online_guide.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。手数料や受付時間は改定されることがあります。実際の請求は、管轄の法務局の案内で最新の内容をご確認ください。個別の事情は窓口でご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。
