離れて暮らす親の電話の声が、最近どうも弱い。通院や買い物のことを聞くと、話がかみ合わない。そんなとき、まず頼れるのが「地域包括支援センター」です。
ただ、市によって呼び名が違い、どこに電話すればよいか分かりにくい窓口でもあります。この記事では、できること、探し方、相談の仕方を、2026年10月時点の公的な案内で整理します。
先に結論:困りごとの段階で、親の住所地の窓口に電話します
この記事の結論
- 何をする所か:高齢者と家族の総合相談窓口です。介護の申請の手伝い、認知症や詐欺の相談、介護予防のプラン作りまで幅広く受けます。
- どこにあるか:市町村が設けていて、住所ごとに担当が決まっています。名前は「いきいき支援センター」など地域で違います。
- いつ行くか:介護の認定を受ける前でかまいません。「少し心配」の段階で、親の住所地のセンターに電話します。
全国のセンターは、5,487か所(ブランチと呼ばれる支所を含めると7,374か所)あります。厚生労働省の2025年4月末の数字です。身近な場所に、ほぼ必ずあると考えてよい数です。
地域包括支援センターでできること・できないこと
センターは市町村が設置します。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)の3職種が、チームで対応するのが基本です。厚生労働省は、総合相談、権利擁護、介護予防の援助などを行う機関と案内しています。
要介護認定そのものの流れは、要介護認定の申請方法にまとめています。この記事は、その前の「どこに相談するか」に絞ります。
4つの役割と、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーの担当
センターの仕事は、大きく4つに分かれます。相談を受けて必要な支援につなぐ「総合相談支援」、虐待の防止や成年後見制度の利用を支える「権利擁護」、地域のケアマネジャーを支える「包括的・継続的ケアマネジメント支援」、要支援の人などのプランを作る「介護予防ケアマネジメント」です(栃木県)。
保健師は、健康や体調管理の相談と、介護予防の指導が主な担当です。社会福祉士は、権利擁護の相談を受け持ちます。成年後見制度の利用や、悪質な訪問販売、虐待の心配などがこれに当たります。主任ケアマネジャーは、地域のケアマネジャーと連携した相談支援を担います(栃木市)。実際は3職種がチームで動くので、相談する側が担当を選ぶ必要はありません。
名前は地域で違います:「いきいき支援センター」など
制度上の名前は「地域包括支援センター」です。ただ、市の広報や封筒では別の名前で呼ばれることがあります。名前が違っても、役割は同じ高齢者の総合相談窓口です。
名古屋市の様子は名古屋市のいきいき支援センターの記事で、住所ごとの担当を確認する方法とあわせて紹介しています。名古屋市では、身近な相談の入口として「高齢者いきいき相談室」もあります。相談室は、いきいき支援センターにつなぐ窓口です。
電話帳や検索で「地域包括支援センター」と調べて出てこないときは、市の名前に「高齢者 相談窓口」を足して探してみてください。
親の担当センターの探し方
相談先は、相談する人の住所ではなく、高齢者本人の住所で決まります。遠方の親のことは、親が住む市区町村のセンターに連絡します。担当の分け方は市ごとに違います。名古屋市は小学校区、神戸市はおおむね中学校区です。
- 親の住所を確認する。住民票のある市区町村と町名・丁目をメモします。
- 市区町村のサイトで一覧を探す。「市名 地域包括支援センター」で検索し、担当地区の一覧から選びます。名古屋市は「担当小学校区」の一覧、横浜市は「ふくしらべ」などで調べられます。
- 分からなければ役所に電話する。高齢福祉や介護保険の課に「親の住所の担当センターを教えてください」と伝えれば足ります。
- センターに電話する。名古屋市や横浜市は、受付日時が決まっています。来所したいときは先に電話で連絡します。
愛知・岐阜の方は、多治見市の地域包括支援センターや東郷町の地域包括支援センターの記事も参考になります。
親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。
相談の流れと、準備するものチェックリスト
- 電話で、困りごとを短く伝える。「親の物忘れが気になる」「退院後の暮らしが心配」のように、一言で足ります。
- 職員が状況をたずねる。年齢、住所、同居の有無、いまの生活の様子が中心です。
- 面談や自宅訪問の日を決める。本人が同席できると話が早く進みます。難しければ家族だけの相談から始めます。
- 必要な手続きや窓口を案内してもらう。要介護認定の申請、介護予防の教室、権利擁護の窓口などにつないでもらえます。
- 家族で共有する。聞いた内容と担当者の名前、連絡先をきょうだいにも伝えておきます。
相談前の持ち物チェックリスト
- □ 親の氏名・住所・生年月日
- □ 困っていることのメモ(いつから、どんな場面か)
- □ 介護保険証(持っていれば)
- □ かかりつけ医と、飲んでいる薬の分かるもの
- □ 家族の連絡先と、きょうだいで分担できそうなこと
- □ 本人に相談することを伝えたかどうかのメモ
書類がそろっていなくても、電話はできます。介護保険証が見つからなくても、先に相談して大丈夫です。
期限はありません。ただ、遅れると選べる手が減ります
相談そのものに期限はありません。いつ電話してもかまいません。ただ、転倒や入院のあとに慌てて動くと、考える時間が短くなります。
要介護認定は、結果が出るまで通常1か月から1か月半ほどかかる、と船橋市などが案内しています。認定は申請日にさかのぼって効力が生じます。結果前に介護サービスを使うなら、暫定のケアプランが要ります。非該当になると、その分は全額自己負担になる場合もあります(千葉市の案内)。使う前に、センターか市の窓口で確認します。
離れて暮らす親の見守りを考えるなら、離れて暮らす親の見守り方法も合わせて読むと、センターに相談する内容を決めやすくなります。介護している家族が急に入院したときなど、短い預け先が要る場面の相談もできます。ショートステイの使い方はショートステイの費用と使い方にまとめています。
地域包括支援センターに初めて電話するときの話し方(例文)
電話をためらう理由の多くは、「何を言えばいいか分からない」ことです。最初の一言は、次の形で足ります。
伝えるのは、①親の住所(町名まで)と年齢、②気になっていること、③自分との続柄と住んでいる場所、の3つです。担当が違えば、正しいセンターを教えてもらえます。職員からは、同居の有無、持病やかかりつけ医、介護保険の認定を受けているかを聞かれることが多いので、分かる範囲で答えます。
センターの対象外になる「お金と法律の手続き」の行き先
センターは制度の説明や窓口の紹介はしてくれますが、手続きそのものは別の役所が受け持ちます。
| やりたいこと | 手続きの窓口 |
|---|---|
| 成年後見の申立て(判断力が落ちてから) | 本人の住所地の家庭裁判所 |
| 任意後見契約・公正証書遺言(元気なうちに) | 公証役場(住所に関係なく選べる) |
| 自分で書いた遺言を預ける | 法務局(遺言書保管所) |
| 相続した家や土地の名義変更 | 不動産の所在地の法務局 |
| 相続税・贈与税 | 亡くなった方の住所地の税務署 |
成年後見の申立ての手順と費用は成年後見の申立ての記事に、愛知県内の公証役場は愛知県の公証役場一覧にまとめています(2026年10月時点)。
読者が損しやすい点
- 自分の住所のセンターに電話してしまう。担当は親の住所地で決まります。
- 認定を受けてから相談しようとする。認定の前の「心配」の段階から話せます。
- 名前が違うので別の窓口と思い込む。「いきいき支援センター」などは同じ役割の窓口です。
- 受付時間を確認せずに行く。名古屋市は平日の日中、横浜市は月〜土で、時間は2026年10月から変更の案内もあります。事前に確認します。
- お金や相続の話まで頼もうとする。センターは介護や暮らしの窓口です。預金の管理や相続は、別の専門家の領域です。
今日できる一歩
- 親が住む市区町村名で「地域包括支援センター」を検索し、担当センターの電話番号をスマホに登録する。
よくある質問
相談にお金はかかりますか
名古屋市は「相談は無料」と案内しています。多くの自治体で同じ扱いですが、料金の有無は市区町村ごとの案内で確認してください。
本人が「まだ大丈夫」と嫌がります
まず家族だけで相談できます。本人に話すのは、センターの助言を聞いてからでも遅くありません。「いろいろ教えてもらう場所」と伝えると、受け入れやすいことがあります。
遠方に住んでいて、電話でしか話せません
電話で相談を始められます。面談や訪問が必要な場合は、センターと日程を調整します。オンライン相談の可否は、横浜市のように市やセンターで案内が分かれます。
地域包括支援センターと、ケアマネジャーの違いは何ですか
センターは、相談の入口と要支援の方のプラン作りが中心です。要介護の方の毎月のケアプランは、事業所のケアマネジャーが担当するのが一般的です。センターから事業所を紹介してもらえます。ケアマネジャーの選び方と変え方は、ケアマネジャーの変更・選び方にまとめています。
平日の昼間に電話できません
名古屋市は平日の9時〜17時、横浜市は月〜土が基本です。横浜市は時間外に相談専用の電話に転送される案内もあります。休みの日の対応は、市区町村ごとに違います。
参考にした公的情報
- 厚生労働省「地域包括支援センターの概要」(2025年4月末の設置数)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/index.html - 名古屋市「いきいき支援センター(地域包括支援センター)」(2025年11月26日更新)
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/koureisha/1016496/1016502.html - 神戸市「あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)」(2026年4月9日更新)
https://www.city.kobe.lg.jp/a46210/kenko/fukushi/carenet/ansuko-center/index.html - 横浜市「地域包括支援センター」(2026年10月1日更新)
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/otoiawase/chiikihoukatsu.html - 京都市の相談窓口に関する資料(愛称「高齢サポート」)
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/cmsfiles/contents/0000156/156999/2012_4_sodan.pdf - 千葉市「要介護認定の結果が出る前に介護保険のサービスを利用したいのですが」
https://www.city.chiba.jp/faq/hokenfukushi/koreishogai/kaigohokenkanri/547.html
※本記事は2026年10月時点の公的機関の公開情報をもとにした一般的な整理です。センターの名称、受付時間、担当地区、対応できる内容は市区町村によって異なります。ご自身の状況は、お住まいの市区町村や担当のセンターにご確認ください。病気や介護の判断は、医師やケアマネジャーにご相談ください。
本記事はFP(ファイナンシャル・プランナー)・生命保険募集人 門田 博之監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税額の計算や法的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
