成年後見の申立て【2026年】費用・手順・必要書類・期間と後見人ができないこと

親の物忘れが進み、預金の引き出しや施設の契約が、家族だけでは進められなくなった。そんなとき、成年後見制度の利用を考える方は少なくありません。

この記事では、家庭裁判所へ申し立てるときの手順、そろえる書類、費用の内訳、かかる期間を、2026年10月時点の裁判所の案内で整理します。郵便切手の額は裁判所ごとに違うため、名古屋家庭裁判所と東京家庭裁判所の例で示します。名古屋家庭裁判所で後見開始を申し立てるなら、申立て費用は収入印紙と切手で計7,590円分が基本です。ほかに診断書の作成料や書類代、鑑定をするときは鑑定費用がかかります。あわせて、後見人ができないこと(医療行為への同意や身元保証など)も表にしました。なお、当社は申立書の作成や提出の代行は行っていません。

目次

先に結論:申立先は本人の住所地の家庭裁判所。書類は3か月以内のものをそろえます

この記事の結論

  1. どこへ・誰が:本人の住所地の家庭裁判所へ出します。申立てできるのは、本人、配偶者、四親等内の親族などです。友人や知人は申立人になれません。
  2. いくら:収入印紙は、申立手数料の800円分と、登記手数料の2,600円分です。連絡用の切手は裁判所ごとに違います(名古屋家裁の後見開始は4,190円分)。鑑定が必要なときだけ、5万円程度(事案で増減)の鑑定費用が別にかかります。
  3. いつまで:審判まではおおむね1〜2か月です。戸籍や診断書は発行から3か月以内のものが要ります。出したあとは、裁判所の許可がないと取り下げられません。

申立てそのものに、法律で決まった期限はありません。ただ、集めた書類に3か月の有効期間があるため、書類を集め始めてから提出までの段取りが大切になります。

申立てができる人・できない人の早見表

申立てができる人は、法律で決まっています。裁判所の「後見開始」の案内には、次の人が挙がっています。

立場申立てひとこと
本人できる判断力が残っているうちに、自分で申し立てる例もあります
配偶者できる夫婦のどちらかが申立人になれます
四親等内の親族できる子、孫、兄弟姉妹、おい・めい、いとこなどが入ります
検察官できる法律上の申立人ですが、家族が頼む相手ではありません
任意後見の受任者・任意後見人・監督人できる任意後見契約が登記されている場合に限ります
保佐人・補助人・未成年後見人などできる裁判所の案内に挙がっている申立人です
友人・知人・近所の人できない申立人になれません。条件に合う親族に頼む形になります
四親等より遠い親族できない申立人になれません。身寄りが少ないときは、市区町村の窓口に相談します
※裁判所「後見開始」をもとに整理(2026年10月時点)。市区町村長が申し立てる制度もあります。

令和7年(2025年)の統計では、申立人は本人が約24.8%、市区町村長が約23.7%、本人の子が約18.5%の順でした。親族がいない、または頼れないときは、市区町村長が申し立てる場合があります。お住まいの市区町村の窓口で確かめてください。

申立人になることと、後見人に選ばれることは、別の話です。申立書には後見人の候補者を書けます。ただ、裁判所は本人の財産や必要な支援を見て、弁護士や司法書士などの専門職を選ぶことがあります。希望した人が選ばれなくても、不服を申し立てることはできません。

また、補助を開始するときなどは、本人の同意が必要です。後見・保佐・補助のどれにあたるかは、診断書をもとに裁判所が判断します。

申立てから審判までの手順(9ステップ)

一般的な流れです。細かい運用は、申立先の家庭裁判所で少しずつ違います。

  1. 相談して、本当に必要か確かめる。家庭裁判所は中立の立場なので、利用すべきかどうかの相談には応じられません。地域包括支援センターや社会福祉協議会などの窓口で、先に話を聞きます。
  2. 申立先の家庭裁判所を決める。本人の住所地の家庭裁判所です。裁判所のホームページから、申立書の書式とチェックリストを入手します。
  3. 診断書と本人情報シートを頼む。診断書は主治医に、本人情報シートは主治医や、ケアマネジャーなどの福祉関係者に作成を依頼します。
  4. 戸籍や住民票などを取り寄せる。発行から3か月以内のものが基本です。マイナンバーが載った書類は出しません。
  5. 財産と収支の資料をそろえる。通帳のコピー、不動産の登記事項証明書、年金の通知書などです。
  6. 申立書類を書く。申立書、申立事情説明書、親族関係図、財産目録、収支予定表、後見人等候補者事情説明書などです。親族の意見書も添えます。
  7. 収入印紙と郵便切手を買う。裁判所では売っていないので、郵便局などで先に買っておきます。
  8. 家庭裁判所に出す。名古屋家裁の例では、書類がそろったら受理面接を予約し、予約票と申立書を一緒に出します。面接を行わない場合もあります。
  9. 審理を受け、審判が出る。裁判所が、親族に後見人の候補者を知らせて意向を聞いたり、必要なときは鑑定をしたりします。審判が確定すると、裁判所の依頼で登記がされます。

成年後見の申立書類・必要書類チェックリスト(名古屋家庭裁判所の例)

申立書類は、裁判所の書式で書くものと、役所や法務局で取り寄せるもの、財産の資料の3つに分かれます。書式は、申立先の家庭裁判所のホームページか窓口で手に入ります。次は、名古屋家庭裁判所の「成年後見等開始申立必要書類(チェックリスト)」をもとにした一覧です。裁判所ごとに細かい点は違うため、実際には申立先のチェックリストを使ってください。

裁判所の書式で書くもの

  • □ 申立書(後見・保佐・補助)
  • □ 申立事情説明書、親族関係図、親族の意見書、財産目録、収支予定表
  • □ 後見人等候補者事情説明書
  • □ 診断書、鑑定連絡票、本人情報シート(主治医や福祉関係者に依頼)
  • □ 本人が相続を予定しているときは、相続財産目録

取り寄せるもの(発行から3か月以内)

  • □ 本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • □ 本人の住民票(世帯全員)または戸籍の附票
  • □ 候補者の住民票または戸籍の附票
  • □ 本人が「登記されていないことの証明書」(法務局で取得)
  • □ 申立人の戸籍謄本など(本人との親族関係が分かるもの。本人の戸籍で分かれば不要)

本人の財産と収支の資料

  • □ 不動産の登記事項証明書(未登記なら固定資産税評価証明書)
  • □ 預貯金の通帳や証書のコピー(過去1年分)
  • □ 有価証券のコピーや、証券会社の取引残高明細書
  • □ 各種の保険証券のコピー(表も裏も)
  • □ 借入れや保証の内容が分かる資料(契約書、返済計画表など)
  • □ 収入の資料(年金額の通知書、確定申告書、給与明細書など)
  • □ 支出の資料(医療費や施設費の領収書の直近1か月分、税金や社会保険料の通知書、請求書など)

費用と持ち物

  • □ 収入印紙(申立手数料と登記手数料)
  • □ 郵便切手(または電子納付などの予納)
  • □ 印鑑(認印で可。申立書に押印したものを持参)
  • □ 鑑定が必要になったときのための現金(精神鑑定を行う場合のみ)

提出の形にも決まりがあります。名古屋家裁の案内では、戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書、不動産登記事項証明書などは、コピーでよいとされています。診断書(成年後見制度用)は原本で出します。一度出した書類は、原則として返してもらえません。

売る予定の不動産がある場合は、登記事項証明書と固定資産税評価証明書の両方が必要です。親の家の扱いは、認知症の親の家を売るには|後見人の許可と家族信託の違いで整理しています。

親の預金や自宅のことも、元気なうちに整理しておきたい方は、3分でできる相続対策診断で確かめられます。

成年後見の申立て費用はいくら?内訳の表(印紙・切手・鑑定・書類代)

鑑定費用の幅や、申立てから審判までの期間を含めた費用の詳しい整理は、成年後見の申立て費用はいくら?にまとめています。ここでは、申立ての手順に沿って必要な分を表にします。

結論から言うと、名古屋家庭裁判所で後見開始を申し立てるときに必ず納めるのは、収入印紙3,400円分(800円+2,600円)と切手4,190円分の、計7,590円分です。これに診断書の作成料と、戸籍などの書類代がかかります。鑑定をすることになれば、その費用が加わります。

申立てのときに納める費用は、収入印紙、連絡用の郵便切手、そして鑑定が必要なときの鑑定費用です。印紙と切手は郵便局などで買えます。

項目金額ひとこと
申立手数料(収入印紙)後見開始:800円分申立ての際に納めます
登記手数料(収入印紙)2,600円分審判が確定したあとの登記のための費用です。申立書には貼らないよう案内する裁判所もあります。申立先の案内に従います
連絡用の郵便切手(名古屋家裁・後見開始)4,190円分
500円×2、350円×4、110円×14、50円×3、10円×10
令和7年1月31日からの一覧。審理中の通信費用で、足りないときは追加を求められます
連絡用の郵便切手(東京家裁・後見開始)4,000円分
500円×2、350円×3、110円×15、50円×2、20円×10
令和6年10月1日改訂の一覧。切手の枚数は、裁判所ごとに違います
鑑定費用5万円程度(名古屋家裁の案内)精神鑑定が必要と裁判所が判断したときだけ、申立人が納めます。事案によって、これより高い場合も低い場合もあります
診断書の作成料医療機関ごとに違う成年後見制度用の書式で、主治医に頼みます。料金は先に病院の窓口で確かめます
戸籍・住民票などの書類代戸籍謄本は1通450円が一般的
住民票は市区町村ごとの額
登記されていないことの証明書は1通300円
不動産があれば、その登記事項証明書の手数料もかかります
弁護士や司法書士に書類作成を頼む場合事務所ごとに違う頼む前に見積もりをとります。自分で申し立てるなら、この費用はかかりません
保佐・補助を申し立てるとき(名古屋家裁)切手は保佐開始・補助開始とも5,410円分代理権や同意権の付与も申し立てると、その分の収入印紙800円分が1件ごとに加わります
※出典:裁判所「後見開始」、法務省「成年後見登記制度」Q&A(証明書の手数料)、名古屋家庭裁判所「成年後見等開始申立必要書類(チェックリスト)」「郵便切手及び予納金一覧(令和7年1月31日~)」、東京家庭裁判所「後見関係事件等の予納収入印紙・郵便切手一覧(R6.10.1)」。確認時点:2026年10月。

金額は改定されることがあります。出す前に、申立先の家庭裁判所の最新の一覧を必ず確かめてください。

申立て費用は誰が払う?本人の財産から払えるか

申立てのときは、申立人が印紙と切手を用意して納めます。鑑定をすることになったときも、申立人に鑑定費用を納めるよう求められることがあります。

ただ、裁判所の案内には、申立人が希望すれば一部を本人の負担にできる場合があると書かれています。対象は、申立手数料、送達・送付の費用、後見登記の手数料、鑑定費用の全部または一部です。認めるかどうかは家庭裁判所が決めます。

  • まず払う人:申立人(印紙・切手・鑑定費用の予納)
  • 本人の負担にできる場合があるもの:申立手数料、送達・送付の費用、登記手数料、鑑定費用
  • 案内に挙がっていないもの:診断書の作成料、戸籍などの書類代、専門家に払う費用

本人の負担を希望するときは、申立ての段階で、申立先の家庭裁判所に伝え方を確かめてください。認められなかったときに備えて、いったんは申立人が払える準備をしておくと安心です。

鑑定は、全部の事件で行うわけではありません

最高裁判所の「成年後見関係事件の概況(令和7年)」では、終わった事件のうち鑑定をしたのは約3.4%でした。鑑定費用は、5万円以下が約43.7%、10万円以下まで広げると約85.8%でした。鑑定の期間は、1か月以内が約52.6%で最も多くなっています。

鑑定をするかどうかは、診断書などを見て裁判所が決めます。申立ての段階では、鑑定の費用までは決まりません。

切手の代わりに、予納金で納める方法

裁判所の案内では、郵便料は切手のほかに、電子納付(保管金)でも払えます。名古屋家裁の一覧では、後見開始の予納金は4,000円とされ、別に110円の切手が必要です。切手を買う手間を減らしたいときは、申立先で使えるかを聞いてみてください。

後見人に払う報酬は、また別です。報酬は家庭裁判所が付けるかどうかと金額を決め、本人の財産から払われます。

後見人の報酬の目安(東京家庭裁判所の例)

報酬は、後見人が家庭裁判所に申し立て、裁判所が額を決めます。東京家庭裁判所は「成年後見人等の報酬額のめやす」を公表しています(2026年10月時点で確認。同裁判所は暫定的な掲載としています)。

  • 基本報酬:月額2万円が目安
  • 管理する預貯金や有価証券などが1,000万円を超え5,000万円以下:月額3万〜4万円
  • 同じく5,000万円を超える:月額5万〜6万円
  • 後見監督人がつく場合の監督人の報酬:管理財産5,000万円以下で月額1万〜2万円、5,000万円超で月額2万5,000円〜3万円

月額2万円なら、1年で24万円です。身上監護などで特に難しい事情があった場合は、基本報酬の50%の範囲で上乗せされることがあります。実際の額は事案ごとに家庭裁判所が決めるため、ここに挙げた額はあくまで目安です。

弁護士や司法書士が後見人になる場合

最高裁判所の「成年後見関係事件の概況(令和7年)」では、選ばれた後見人等のうち親族は約16.4%、親族以外は約83.6%でした。親族以外の内訳は、司法書士が約33.5%、弁護士が約24.9%、社会福祉士が約20.4%です。専門職が後見人になると、上の目安のような報酬が本人の財産から払われ続けます。親族を後見人にしたいときは、申立書の候補者の欄に書き、候補者事情説明書で事情を伝えます。

期間の目安と、書類の有効期間

項目目安ひとこと
申立てから審判までおおむね1〜2か月鑑定をする場合は、さらに鑑定の期間がかかります
令和7年の実績(終わった事件)2か月以内が約71.1%、4か月以内が約93.8%最高裁判所の統計です。事件によって差があります
鑑定の期間1か月以内が約52.6%鑑定をした事件の割合です
書類の有効期間発行から3か月以内戸籍、住民票、診断書、登記されていないことの証明書など
申立てそのものの期限なしただし、書類の取り直しを避ける段取りが要ります
※出典:裁判所「成年後見制度の概要を知りたい方へ」、最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年1月〜12月)」。確認時点:2026年10月。

期限はありませんが、3か月を過ぎた書類は取り直しになります。診断書を先にもらうと、残りの書類を集めている間に有効期間が過ぎることがあります。診断書の日付を見ながら、ほかの書類の取得を始める順番を決めると、無駄が出ません。

書類に不備があると、追加の提出を求められます。審判までの1〜2か月は、提出が受け付けられてからの目安です。提出前の準備の期間は含まれていません。

成年後見の登記事項証明書の取得方法(登記されていないことの証明書も)

後見の証明書は、市役所ではなく法務局で取ります。窓口は東京法務局の後見登録課か、全国の法務局・地方法務局の本局です。支局や出張所では取れません。郵送で頼めるのは、東京法務局の後見登録課だけです。愛知県なら、窓口は名古屋法務局の本局になります。

証明書は2種類あり、使う場面が違います。

証明書使う場面窓口・郵送の手数料オンライン請求の手数料
登記事項証明書審判のあと、後見人が銀行や役所で「自分が後見人です」と示すとき1通550円紙で受け取る:380円
電子の証明書:320円
登記されていないことの証明書申立ての書類。本人が後見などを受けていないことを示すとき1通300円紙で受け取る:300円
電子の証明書:240円
※法務省の案内をもとに整理(2026年10月時点)。手数料は収入印紙で納めます。オンライン請求の取扱いは東京法務局後見登録課だけです。

請求できる人

だれでも取れるわけではありません。請求できるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人など一定の人と、その人から委任を受けた代理人です。銀行などの取引の相手が、相手方だからという理由で請求することはできません。

登記事項証明書の申請書と、必要書類

申請書は、法務省のホームページから印刷できます。「登記事項の証明書」用と「登記されていないことの証明書」用で、用紙が分かれています。紙の用紙は、東京法務局の後見登録課のほか、最寄りの法務局・地方法務局やその支局などでも手に入ります(法務省)。証明書を出せるのは本局だけですが、用紙は支局でももらえます。

  • 申請書(法務局の様式。登記事項証明書用と、登記されていないことの証明書用で分かれています)
  • 手数料分の収入印紙
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど。郵送のときはコピーを同封。マイナンバーカードは表面だけ)
  • 親族が請求するとき:本人との関係が分かる戸籍謄本や住民票など(発行から3か月以内)
  • 代理人が請求するとき:委任状
  • 郵送のとき:返信用封筒(長3サイズ。宛名を書き、切手を貼る)

郵送の宛先は、東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎の、東京法務局民事行政部後見登録課です。郵便番号などは、出す前に法務省の案内で確かめてください。

取るときの注意点

  • オンライン請求は手数料が安い一方、電子証明書の準備が要ります。親族として請求する場合は戸籍の添付が必要ですが、オンラインで送れる戸籍を出す市区町村は今のところありません。親族なら、窓口か郵送が現実的です。
  • 電子の証明書は、提出先によっては使えないことがあります。先に提出先に確かめます。
  • 申立てに使う「登記されていないことの証明書」も、発行から3か月以内のものが要ります。他の書類と取る時期をそろえます。

名古屋法務局の本局の場所は、愛知県・岐阜県の法務局一覧で確かめられます。後見人が決まったあと、凍結された親の口座で登記事項証明書をどう使うかは、認知症で凍結された銀行口座を解除するにはで流れを整理しています。

成年後見人ができないこと:頼めないことと、許可が要ること

後見人がつけば、親のことを何でも任せられるわけではありません。医療行為への同意や身元保証はできず、親の家を売るには家庭裁判所の許可が要ります。贈与や投資のように、本人の財産を減らしたり危険にさらしたりすることも認められません。

内容後見人はひとこと
手術や治療などの医療行為への同意できない医師から求められても、後見人の職務ではありません。家族が対応します(京都家裁)
入院や施設入所の身元保証人・身元引受人なれない身元保証をする権限はありません。入所の手続きや費用の支払いは、本人の財産から行います(鈴鹿市のガイドライン案)
食事の世話や介護などの手助け職務ではない後見人は、介護サービスの契約や支払いを行います(厚生労働省)
本人が住む家や土地の売却・賃貸など家庭裁判所の許可が要る事前に許可を申し立てます。許可なしの処分は無効です(京都家裁)
親族への贈与、相続税を減らすための贈与原則できない将来の相続税を減らす目的の多額の贈与は、不適切な支出の例とされています(京都家裁)
株や投資信託など、元本保証のない商品を新たに買うできないリスクの大小にかかわらず、運用目的の購入は認められません(京都家裁)
遺言、結婚・離婚など本人の身分に関わること代わりにできない本人にしかできない行為です(下野市)
後見人と本人の利益がぶつかること(例:二人とも相続人になる遺産分割)本人の代理ができない家庭裁判所が選ぶ特別代理人などが代わりに行います(京都家裁)
出典:京都家庭裁判所「後見人等の職務Q&A」、厚生労働省「成年後見はやわかり」、鈴鹿市「身寄りがない方の入院・入所に関するガイドライン(素案)」、下野市「成年後見制度について」(2026年10月時点で確認)

申し立てる前に、親の家をどうしたいか、生前の贈与を続けたいかを家族で確かめておくと、あとで食い違いが出にくくなります。元気なうちに頼む相手と内容を決めておく方法としては、任意後見の代理権目録もあります。

申立てで損しやすい点・後戻りできない点

  • 出したあとは、自由に取り下げられません。申立書を出したあとは、家庭裁判所の許可が要ります。希望した人が後見人に選ばれそうにない、という理由では、原則として認められません。
  • 始めたら、家族の判断ではやめられません。本人の判断力が回復するか、本人が亡くなるまで続きます。「手続きが済んだら終わり」という制度ではありません。
  • 報酬が、本人の財産から出ます。専門職が後見人になると、報酬の支払いが続きます。金額は裁判所が決めます。
  • 書類の有効期間が切れると、取り直しです。戸籍や診断書は、3か月以内のものでそろえます。
  • 切手が足りなくなることがあります。審理が長引くと、追加の切手を求められる場合があります。
  • 元気なうちなら、ほかの備えもあります。判断力がしっかりしている間は、成年後見以外の備えも選べます。家族信託との違いは、こちらの記事で比べています。

申立ての前に、預金の引き出しで困っている場合は、親が認知症なのに家族が預金を引き出すとバレる?で、銀行の対応を確かめておくと判断しやすくなります。施設の費用の払い方は、認知症の親の施設費用を親の預金から払うにはに整理しています。

申立ての前に相談できる窓口は、地域包括支援センターとはで探し方を紹介しています。書類づくりを弁護士や司法書士に頼む方法もあります。頼む場合は、委任状の原本が必要になります。

今日できる一歩

  1. 本人の住民票の住所を確かめ、その地域を担当する家庭裁判所のホームページを開き、「後見開始」のチェックリストと郵便切手の一覧を印刷する。

よくある質問

書類づくりを専門家に頼めますか

頼めます。弁護士や司法書士に、申立書類の作成や手続の代理を頼む方法があります。費用は事務所ごとに違うので、先に見積りを聞いてください。経済的に余裕がない方は、法テラスの民事法律扶助を使える場合があります(厚生労働省の案内)。法定後見の費用を助成している市町村もあるので、お住まいの市町村の窓口に聞いてみてください。

成年後見の申立書類は、どこで手に入りますか

申立書や財産目録などの書式は、申立先の家庭裁判所のホームページか窓口で手に入ります。戸籍や住民票は市区町村、登記されていないことの証明書は法務局で取ります。どれも発行から3か月以内のものが基本です。

成年後見人ができないことは何ですか

手術などの医療行為への同意、入院や入所の身元保証、食事の世話などの介護そのものは、後見人の職務ではありません。本人が住む家を売るには、家庭裁判所の許可が要ります。親族への多額の贈与や、元本保証のない商品への投資も認められません。

診断書は、誰に書いてもらえばよいですか

名古屋家裁の案内では、診断書と本人情報シートは、主治医や福祉関係者に作成を依頼します。診断書は、成年後見制度用の書式で、原本を出します。かかりつけ医がいないときは、申立先の家庭裁判所の案内を見るか、地域包括支援センターに相談します。

候補者に自分を書けば、自分が後見人になれますか

必ずなれるとは限りません。裁判所が、本人の財産や必要な支援の内容を見て決めます。専門職や法人が選ばれることもあります。選ばれた人に不満があっても、不服を申し立てることはできません。

申立てをやめたくなったら、どうなりますか

申立書を出したあとは、家庭裁判所の許可を得なければ取り下げられません。申立人の都合だけでは認められないため、出す前によく考えます。

本人の住所が施設と実家で違うときは、どこの裁判所ですか

申立先は、本人の住所地の家庭裁判所です。住民票が実家のままで施設に入っているときなど、迷う場合は、先に家庭裁判所に問い合わせると確実です。

成年後見の申立て費用は、本人の財産から払えますか

申立てのときは、申立人が印紙や切手を用意して納めます。ただ、申立人が希望すれば、申立手数料、送達・送付の費用、登記手数料、鑑定費用の全部または一部を、本人の負担と認めてもらえる場合があります。認めるかどうかは家庭裁判所が決めるので、申立先に伝え方を確かめてください。

成年後見の登記事項証明書は、どこで取れますか

法務局で取ります。窓口は東京法務局の後見登録課か、全国の法務局・地方法務局の本局です。支局や出張所では取れません。郵送なら東京法務局の後見登録課に送ります。手数料は1通550円(登記されていないことの証明書は300円)です。申請書は法務省のホームページから印刷でき、法務局の窓口でももらえます。

参考にした公的情報

※本記事は2026年10月時点の裁判所の公開情報をもとにした一般的な整理です。費用や必要書類は、申立先の家庭裁判所によって異なり、改定されることもあります。実際の申立てでは、申立先の最新の案内を確かめてください。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の事情による判断は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

「いまから相続」は、株式会社アシストプラスが運営する、相続の手続き・生前対策・終活に関する情報サイトです。愛知県内の相続相談先の選び方や費用相場、金融機関ごとの手続き、生前対策や終活の進め方など、地域の実情に即した実践的な情報をお届けしています。 なお、運営会社である株式会社アシストプラスには、「あいち相続あんしんセンター」代表を務める司法書士 今井裕司が一部出資しております。この関係性を踏まえ、記事内でのご紹介・ご案内は公平性を保つよう努めています。

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