四十九日を終えたころ、父のスマートフォンから楽天銀行のアプリを開いてみると、普通預金と定期預金の残高がそのまま表示されていました。近くに支店があるはずもなく、通帳もキャッシュカードも見当たりません。「ネット銀行だから」と後回しにしていましたが、いざ手続きをしようにも、どこに電話をすればいいのか、何を郵送すればいいのか、まったく見当がつきませんでした。
✅ この記事の結論(30秒まとめ)
- 楽天銀行は実店舗を持たないネット専業銀行。相続手続きは電話・郵送でのやり取りだけで完結し、愛知県内在住かどうかは手続きに一切関係ない
- 死亡の連絡がカスタマーセンターに入った時点で口座は凍結され、正式な相続手続きが完了するまで入出金ができなくなる
- 必要書類は戸籍謄本一式・相続人の印鑑証明書など。書類の案内は楽天銀行から登録住所宛てに郵送で届く
- 正式名称は株式会社楽天銀行。本店は東京都港区にあり、相続の問い合わせはカスタマーセンター(0120-776-910など)で受け付けている
- 来店予約という概念自体が存在しないため、平日に休みを取って窓口へ行く必要がない点が、実店舗のある銀行との最大の違い
手続きが面倒というより、本当に不安なのは「ネット銀行だから、誰にも会わずに、電話と郵送だけで本当に手続きが完了するのか」という点かもしれません。実店舗がない分、対面で相談できないもどかしさや、書類に不備があったときにすぐ駆け込める窓口が近くにない心細さを感じる方も多いでしょう。だから、この記事では、楽天銀行の相続手続きが実際にどのような流れで進むのか、必要書類は何か、問い合わせ先はどこかを、愛知県内在住かどうかに関わらず分かる範囲で正直に整理しました。
楽天銀行(実店舗なし)での相続手続きの流れ
楽天銀行はインターネット専業銀行のため、他の銀行のように「口座のある支店」という概念自体が存在しません。相続の連絡から払戻・名義変更の完了まで、すべてカスタマーセンターへの電話連絡と郵送でのやり取りだけで進みます。愛知県内にお住まいでも、他の都道府県にお住まいでも、進め方に違いはありません。
相続発生の連絡(電話)
楽天銀行カスタマーセンターへ電話し、口座名義人(被相続人)が亡くなった旨を伝えます。来店予約という手順自体がないため、この電話だけで最初のステップが完了します。この連絡が入った時点で、口座の利用は停止されます。
必要書類のご案内(郵送)
電話連絡から数日程度で、相続の形態(遺言書の有無・遺産分割協議の要否など)に応じた必要書類一覧が、登録住所宛てに郵送で届きます。
必要書類の準備・返送(郵送)
戸籍謄本一式・印鑑証明書・遺産分割協議書(または遺言書)・楽天銀行所定の依頼書などをそろえ、返信用封筒等で郵送します。窓口に持ち込む必要はありません。
内容確認
提出された書類に不備がないか、楽天銀行が確認します。不足があれば電話または郵送で追加のやり取りが発生し、その分手続きが延びます。
払戻・名義変更(完了)
内容確認後、解約金が指定口座へ振り込まれる、または残高を引き継ぐ形で名義変更が行われ、手続きが完了します。この間、一度も窓口へ足を運ぶ必要はありません。
相続手続き全体で、戸籍収集を含めていつまでに何を進めればよいかは、相続でやることチェックリストで期限順に整理しています。楽天銀行の手続きと並行して確認しておくと安心です。
相続手続きに必要な書類
楽天銀行の相続手続きでは、一般的に以下のような書類が必要とされています。実際に必要な書類は、遺言書の有無・遺産分割協議書の有無・調停や審判に至ったかどうかなど、相続の形態によって異なるため、最終的にはカスタマーセンターまたは郵送で届く案内に必ずご確認ください。
なお、相続人の中に海外居住者がいる場合は、印鑑証明書に代えて現地の日本大使館・領事館が発行する在留証明書や署名(サイン)証明書が利用できるケースがあります。未成年者や認知症等で判断能力が十分でない相続人がいる場合は、家庭裁判所での特別代理人や成年後見人の選任が必要になることもあるため、早めにカスタマーセンターへ相談することをおすすめします。戸籍謄本に不足があると、追加の取り寄せだけで1~2週間、遠方の役所とのやり取りが加わるとさらに日数がかかることもあり、書類の実費(戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本は1通750円程度が目安)もそのつど発生します。
親がどの金融機関にどれだけの財産を持っているかを、生前のうちにどう把握・共有しておくかという視点では、親のお金の管理はどうする?認知症になる前に家族で決めておくべき5つのこともあわせて参考にしてください。
楽天銀行の相続に関する窓口・お問い合わせ先
楽天銀行(株式会社楽天銀行)は、実店舗を一切持たないインターネット専業銀行です。全国どこにお住まいでも、来店予約という選択肢自体が存在せず、電話と郵送によるやり取りだけで手続きが進みます。愛知県内に支店がないことを不便に感じる必要はなく、むしろ「どこに住んでいても同じ手順で進められる」という点が、実店舗のある銀行との大きな違いです。
- 正式名称:株式会社楽天銀行(Rakuten Bank, Ltd.)
- 本店所在地:〒108-0075 東京都港区港南2-16-5 NBF品川タワー
- 公式サイト:https://www.rakuten-bank.co.jp/
- 相続手続きのご案内ページ:https://www.rakuten-bank.co.jp/guide/inheritance.html
- お問い合わせ(カスタマーセンター):0120-776-910(通話無料)/0570-064-924(携帯電話用・有料)/03-6832-2255(国際電話用・有料)、受付9:00~17:00(平日・土日祝)
公式サイトには相続手続き専用の案内ページが用意されており、まずはこのページの案内に沿ってカスタマーセンターへ電話するのが確実です。実店舗を持たない分、窓口の担当者と対面で確認しながら進めることはできませんが、その分、平日に休みを取って支店へ足を運ぶ必要もありません。愛知県内で対応してくれる支店を探す、という発想自体が不要になる点は、ネット銀行ならではのメリットとも言えます。
楽天銀行以外も含めた愛知県内の相続相談先については、愛知県の相続相談先マップ|市区町村別ガイド【尾張・知多・西三河・東三河】で詳しく解説しています。
手続きを先延ばしにするとどうなるか
金融機関は、名義人の死亡を知った時点(遺族からの連絡が一般的なきっかけです)で、その口座を凍結する取り扱いが一般的です。楽天銀行についても、カスタマーセンターへの連絡が入った時点で口座が利用停止になります。凍結後は、正式な相続手続きが完了するまで、原則として入出金・引き落としのいずれもできなくなります。
「まだ大丈夫」と手続きを先延ばしにすると、負担は静かに積み上がっていきます。たとえば相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10か月、相続放棄の申述期限は原則3か月です。2024年からは相続登記も義務化され、正当な理由なく登記を怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。楽天銀行の預金だけの問題ではなく、不動産や他の金融資産も含めた全体のスケジュールに影響してくる点に注意してください。
⚠️ 注意:連絡前に引き出した場合のリスク
口座凍結前に故人の口座から現金を引き出すこと自体は、法律上直ちに禁止されているわけではありませんが、他の相続人から使途を疑われ、遺産分割協議が難航する原因になりやすい点に注意が必要です。引き出した金銭は、後日の相続税申告や遺産分割の際に「使途不明金」として説明を求められることがあります。葬儀費用などやむを得ず引き出す場合は、明細・領収書を必ず保管し、他の相続人にも事前に共有しておきましょう。
相続手続きを何もしないまま放置した場合に具体的に何が起こるのかは、相続手続きをしなかったらどうなる?対処法と起こりうるリスクについて徹底解説で詳しく解説しています。
口座凍結前にできる生前対策
相続が発生してからでは、口座凍結を止めることはできません。しかし家族が元気なうちに対策をとっておくことで、「必要なときにお金が引き出せず困る」という事態を大きく減らせます。とくにネット銀行は、家族が口座の存在自体に気づきにくいという特有のリスクがあるため、生前の情報共有が一段と重要になります。
定期預金の普通預金化定期預金は満期前解約の手続きが煩雑になりがちで、相続発生後は名義人本人の同意も得られないため、相続人全員の書類がそろうまで実質的に動かせません。当面使う予定のない範囲で、生前のうちに普通預金へ組み替えておくと流動性を確保しやすくなります。
生活費超過分の普通預金化高齢の親などが日常的に使う金額を大きく超える資金を定期預金や他の金融商品に置いたままにしていると、判断能力低下や死亡時に家族が必要な資金をすぐ引き出せなくなりがちです。生活費の1~2年分を目安に、普通預金へ移しておくと安心です。
口座の存在を家族へ伝えておく楽天銀行はネット銀行のため、通帳や届出印を家族が偶然見つけて気づくということが起こりにくく、ログインID・アプリの存在自体を本人しか把握していないケースが少なくありません。「楽天銀行に口座がある」ことだけでもエンディングノート等に書き残しておくと、家族が手続きに着手できないまま時間だけが過ぎる事態を防げます。
家族信託の活用財産管理を家族に託す契約を結んでおけば、認知症等で本人の判断能力が低下した後も、受託者となった家族が口座の管理や資金の引き出しを継続できます。金融機関により信託口口座の取り扱いが異なるため、利用を検討する際は事前に楽天銀行へ相談しておきましょう。
生命保険の非課税枠の活用生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、受取人をあらかじめ指定しておけば、遺産分割協議の完了を待たずに比較的短期間で保険金を受け取れる場合があります。葬儀費用や当面の生活費の確保に役立つほか、特定の家族に確実に資金を残したい場合の対策にもなります。実際にどの対策が適しているかは財産状況や家族構成によって異なるため、税額に関わる判断は税理士など専門家に確認しながら進めることをおすすめします。
生命保険と相続の関係については、生命保険と相続に関する完全ガイドで詳しく解説しています。
実務知見:登記地番不一致・閉鎖登記簿
💡 【当窓口の相談から】
「楽天銀行の解約手続きは終わったのに、いざ実家の土地を相続登記しようとしたら、法務局で取得した公図の地番と、実際の住所表示(住居表示)がまったく一致しない」というご相談を伺うことがあります。古い土地では、過去の合筆・分筆や区画整理事業の際に登記手続きが実態に追いつかず、登記簿の一部が現在の公図に反映されないまま「閉鎖登記簿」として残っているケースがあります。相続登記の義務化(2024年~)を機に、何十年も前の登記状態のまま放置されていたことが判明する例も少なくありません。預金と違い、不動産は名寄帳や公図・地図で地番を事前に確認しておかないと、相続登記の申請段階になって初めてつまずくことがあります。心当たりがある場合は、早めに法務局や司法書士に地番の確認を相談することをおすすめします。(当窓口に寄せられた相談をもとに再構成した典型例です)
この記事が「不要」な方
相続人がご自身おひとりだけで、かつ戸籍謄本などの書類収集に慣れている方は、本記事で紹介する手順どおりに進めるだけで、楽天銀行の相続手続きをご自身で完結できる可能性が高く、専門家への依頼は必ずしも必要ではありません。まずはカスタマーセンターへ電話し、案内される必要書類を確認しながら進めてみることをおすすめします。
セルフチェック:今のご自身の状況を確認する
✅ 以下のうち、当てはまるものにチェックしてみてください
- □ 相続人が3人以上いる
- □ 遺産の中に不動産(自宅や田畑など)が含まれている
- □ 相続人の中に、音信不通・連絡が取りづらい人・未成年者・海外在住者がいる
- □ 遺言書の有無や内容がはっきり分からない
- □ 楽天銀行以外にも、定期預金などすぐには動かせない金融資産がまとまった額である
該当0~1個:自力で進められます。専門家に依頼しなくても、ご自身で手続きを完了できる可能性が高い状況です。
該当2~3個:判断が必要な論点があります。下記の生前対策診断で、ご自身の状況を整理することをおすすめします。
該当4個以上:専門家と整理した方が早い状況です。下記の生前対策診断から、ご自身の状況を整理したうえで、必要に応じて個別相談のご案内も確認できます。
上のチェックで該当が0~1個だった方は、専門家に依頼しなくてもご自身で手続きを完了できる可能性が高い状況です。無理に相談される必要はありません。
よくある質問
楽天銀行の本店はどこにありますか?近くに支店がなくても手続きできますか?
本店は東京都港区にあります。ただし楽天銀行はインターネット専業銀行のため、そもそも「口座のある支店」という概念自体がなく、来店予約という選択肢もありません。相続手続きはカスタマーセンターへの電話連絡と郵送でのやり取りだけで完結するため、近くに支店があるかどうかを気にする必要はありません。
ネット銀行だから、遠方に住んでいたり、愛知県内に支店がなかったりすると不利になりませんか?
不利になりません。むしろ楽天銀行は、全国どこに住んでいても手続きの流れが完全に同じという点が特徴です。実店舗のある銀行では「口座のある支店まで行けるか」が悩みの種になりがちですが、楽天銀行にはその心配自体がありません。愛知県内在住かどうかは、必要書類や手続きの進め方に一切影響しません。
キャッシュカードや通帳がなくても、相続手続きはできますか?
キャッシュカードや通帳がなくても手続き自体は可能です。楽天銀行は通帳を発行していないケースが多く、カード等を紛失していても再発行の手続きは不要で相続手続きを進められることが一般的です。まずはカスタマーセンターに連絡し、状況を伝えてください。必要なのは、キャッシュカードそのものよりも、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書(または遺言書)など、相続関係を証明する書類一式です。
相談すると必ず費用がかかりますか?断られるくらいなら、と心配です。
本記事のセルフチェックや生前対策診断は、ご利用時点で費用は発生しません。個別相談・依頼に進む場合も、正式にご依頼いただく段階まで費用は発生しないのが一般的です。まずは情報を整理する目的でご利用いただいて構いません。
まだ相続は発生していませんが、口座凍結の心配をするのは早すぎますか?
早すぎることはありません。口座凍結は相続が発生してからでは止められず、対策の選択肢も大きく減ってしまいます。定期預金の見直しや口座の存在を家族へ伝えておくこと、家族信託の活用は、家族が元気で判断能力がしっかりしている今だからこそできる備えです。とくにネット銀行は、家族が口座の存在に気づきにくい点で、実店舗のある銀行より早めの情報共有が重要になります。
まとめ
楽天銀行の相続手続きは、カスタマーセンターへの電話連絡をきっかけに口座が凍結され、郵送で届く案内に沿って戸籍謄本一式・印鑑証明書・遺産分割協議書(または遺言書)・所定の依頼書などをそろえて進める流れです。実店舗を一切持たないインターネット専業銀行であるため、来店予約という手順自体が存在せず、愛知県内在住かどうかは手続きに一切影響しません。本店は東京都港区にあり、相続専用の案内ページも公式サイトに用意されています。口座凍結は起きてから慌てて対応するものではなく、生前のうちに普通預金化や口座の存在の共有、生命保険の非課税枠の活用を検討しておくことで、家族の負担を大きく減らせるものでもあります。
🛡️ 生前にこれをしておけば防げた、ということもあります
口座凍結や名義変更で相続人が実際に困るのは、多くの場合「今すぐ使える現金」が足りないときです。葬儀費用や当面の生活費、他の相続人へ渡す代償金をどう用意するかは、生前贈与・預貯金の取り分け・生命保険の非課税枠など、いくつかの方法を比較しながら考える必要があります。とくに生命保険は、遺産分割協議を待たずに受取人へ資金が渡る点で有効な選択肢の一つです。相続に詳しい保険の相談先をお探しの場合は、複数社を比較できる提携代理店をご紹介することも可能です。
※ご紹介にあたり、当社が提携代理店から紹介料を受け取る場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税額計算や特定の保険商品の推奨を行うものではありません。税務・法的な判断が必要な場合は、税理士・弁護士など専門家にご確認ください。
本記事は司法書士 今井 裕司(愛知第1112号/簡裁認定 第118116号)監修のもと、一般的な情報提供を目的として作成しています。掲載情報は作成時点(2026年7月)の公開情報に基づきます。楽天銀行は実店舗を持たないインターネット専業銀行であり、相続手続きは電話・郵送でのやり取りが中心です。最新の受付状況・必要書類・手数料は、カスタマーセンターまたは公式サイトで直接ご確認ください。なお、提携保険代理店をご紹介する場合、当社が紹介料を受け取ることがあります。
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この先どうするか、決めかねている方へ
当社は手続きそのものをお受けしていないため、「いまは何もしなくて大丈夫です」という結論をお伝えしても困りません。ご相談を無料にしているのは、そのためです。実際の手続きをご依頼になる場合は、提携先の専門家が有償で承ります。ご希望に応じて提携先をご紹介した際に紹介料を受け取る場合がありますが、紹介料の有無でご提案の内容は変えません。